7 / 11
6話 違う、はずだ。
しおりを挟む
「いや~スイーツ奢ってくれるなんて先輩も太っ腹っすねぇ~W」
てめぇこれ見越してわざとバカスカ食ったな?…なんてことは言えず。
俺は渋々財布から諭吉を出す。
あぁ我が諭吉よ。さらば。
満面の笑みで定員が返してきたのは…
昼飯も買えないような小銭だった。
恨むぞクソ野郎。
「先輩だから仕方なく、だ。」
「またまたぁ~そんなこと言って、本当はこの超絶可愛いレイシャちゃんに奢りたかったんじゃないんですか~?」
顬に青筋が浮かぶ。
反射で右手が刀の柄に向かい、丁度体が「静」の構えをとる。
「…事故死体が一体増えるな」
「ああまって冗談っす!冗談だからその顔やめて!怖いから!!」
静かに構えた剣を鞘に収める。
「安心しろ。礼状が出てないやつは誰だろうと殺さん。」
俺らは店を出た。
食べた量に比例せずかなりの時間俺らは雑談していたらしく、気がつけば日は茜色に染まり、彼方に消え去ろうとしていた。
レイシャが数歩先を歩き、くるりと茜色に染った栗毛色の髪を靡かせ、俺の方をむく。
「すみませんね、最後らへん私の愚痴になっちゃって。」
「いいさ。人の話を聞くのは嫌いじゃない」
ザー、と耳にノイズが走る。
「あはは…だって、先…て…すか。」
壊れたカセットテープのように、レイシャの言葉が崩壊していく。
青い蒼い目が、俺を見ていた。
「まぁ…だって…俺も…だから…」
それはまるで、宝石のような。
「それ…じゃあ…先輩」
最後に彼女はこういった。
「おやすみなさい。永遠に覚めることない世界で、抗い続けてください。」
俺は…俺は。
いいや、違う。
きっと、同じだったはずだ。
てめぇこれ見越してわざとバカスカ食ったな?…なんてことは言えず。
俺は渋々財布から諭吉を出す。
あぁ我が諭吉よ。さらば。
満面の笑みで定員が返してきたのは…
昼飯も買えないような小銭だった。
恨むぞクソ野郎。
「先輩だから仕方なく、だ。」
「またまたぁ~そんなこと言って、本当はこの超絶可愛いレイシャちゃんに奢りたかったんじゃないんですか~?」
顬に青筋が浮かぶ。
反射で右手が刀の柄に向かい、丁度体が「静」の構えをとる。
「…事故死体が一体増えるな」
「ああまって冗談っす!冗談だからその顔やめて!怖いから!!」
静かに構えた剣を鞘に収める。
「安心しろ。礼状が出てないやつは誰だろうと殺さん。」
俺らは店を出た。
食べた量に比例せずかなりの時間俺らは雑談していたらしく、気がつけば日は茜色に染まり、彼方に消え去ろうとしていた。
レイシャが数歩先を歩き、くるりと茜色に染った栗毛色の髪を靡かせ、俺の方をむく。
「すみませんね、最後らへん私の愚痴になっちゃって。」
「いいさ。人の話を聞くのは嫌いじゃない」
ザー、と耳にノイズが走る。
「あはは…だって、先…て…すか。」
壊れたカセットテープのように、レイシャの言葉が崩壊していく。
青い蒼い目が、俺を見ていた。
「まぁ…だって…俺も…だから…」
それはまるで、宝石のような。
「それ…じゃあ…先輩」
最後に彼女はこういった。
「おやすみなさい。永遠に覚めることない世界で、抗い続けてください。」
俺は…俺は。
いいや、違う。
きっと、同じだったはずだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
【完結】亡き冷遇妃がのこしたもの〜王の後悔〜
なか
恋愛
「セレリナ妃が、自死されました」
静寂をかき消す、衛兵の報告。
瞬間、周囲の視線がたった一人に注がれる。
コリウス王国の国王––レオン・コリウス。
彼は正妃セレリナの死を告げる報告に、ただ一言呟く。
「構わん」……と。
周囲から突き刺さるような睨みを受けても、彼は気にしない。
これは……彼が望んだ結末であるからだ。
しかし彼は知らない。
この日を境にセレリナが残したものを知り、後悔に苛まれていくことを。
王妃セレリナ。
彼女に消えて欲しかったのは……
いったい誰か?
◇◇◇
序盤はシリアスです。
楽しんでいただけるとうれしいです。
【完結】言いたいことがあるなら言ってみろ、と言われたので遠慮なく言ってみた
杜野秋人
ファンタジー
社交シーズン最後の大晩餐会と舞踏会。そのさなか、第三王子が突然、婚約者である伯爵家令嬢に婚約破棄を突き付けた。
なんでも、伯爵家令嬢が婚約者の地位を笠に着て、第三王子の寵愛する子爵家令嬢を虐めていたというのだ。
婚約者は否定するも、他にも次々と証言や証人が出てきて黙り込み俯いてしまう。
勝ち誇った王子は、最後にこう宣言した。
「そなたにも言い分はあろう。私は寛大だから弁明の機会をくれてやる。言いたいことがあるなら言ってみろ」
その一言が、自らの破滅を呼ぶことになるなど、この時彼はまだ気付いていなかった⸺!
◆例によって設定ナシの即興作品です。なので主人公の伯爵家令嬢以外に固有名詞はありません。頭カラッポにしてゆるっとお楽しみ下さい。
婚約破棄ものですが恋愛はありません。もちろん元サヤもナシです。
◆全6話、約15000字程度でサラッと読めます。1日1話ずつ更新。
◆この物語はアルファポリスのほか、小説家になろうでも公開します。
◆9/29、HOTランキング入り!お読み頂きありがとうございます!
10/1、HOTランキング最高6位、人気ランキング11位、ファンタジーランキング1位!24h.pt瞬間最大11万4000pt!いずれも自己ベスト!ありがとうございます!
愛想を尽かした女と尽かされた男
火野村志紀
恋愛
※全16話となります。
「そうですか。今まであなたに尽くしていた私は側妃扱いで、急に湧いて出てきた彼女が正妃だと? どうぞ、お好きになさって。その代わり私も好きにしますので」
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる