2 / 4
◎1話目
しおりを挟む暖かな木漏れ日が揺れている。
真夏の様にうだる暑さは無いし、真冬のような凍える寒さに苛立ちを持つこともない季節。
そんな春の穏やかさを感じる窓辺では、似つかわしくない騒音が響き渡っていた。
ーーガッシャーン
「ッ.....ボルケ様、申し訳ありま、」
震える声で若い女の従業員が頭を下げ続ける。
「貴様、ワタシに対する侮辱行為!!赦されないヨ!!」
「申し訳ありません...ッ!申し訳ありません!」
割れた皿が辺りに散らばり、地団駄を踏む豚のような足がさらに破片を砕いていく。
こいつの名は『チャン=ボルケ』
様々な事業へと手を伸ばし、表向きは膨大な資産を抱え込むやり手の事業家となっているが、実際のところ数多の借金を抱えるハリボテの金持ち様。
噂じゃ、借金の使い道はもっぱら趣味へと使われているらしい。
「今夜、ワタシの部屋に来るヨ。直々にシツケするネ」
「そ、れは....」
どうやら随分と良い趣味をお持ちの様だ。
怒り収まらぬ状態のボルケは、崩れ落ちた従業員にホテルのキーを投げ捨てて、入り口付近に立つこちらへ向かってくる。
「フンッ、どいつもこいつも役立たず.......おぉ?」
「どうぞ、お召し物を。」
一礼し、慣れた動作でコートを羽織らせる。
興奮状態での帰り支度は、寸分のミスも更なる怒りへ引金になる。
極力怒りに触れないように自らの作法の知識をなぞりながら、右腕を通し、背中に回したところでこちらを向いている目と視線が合った。
「....」
「名は?」
「....サラ=ランゲージで御座います」
「ホゥ、ホゥ、ホーゥ!!」
「ッ、」
左腕を回し終えたところで、汗ばんだ手で内股をヌルリと撫でられる。
一瞬顔に青筋が立ちそうになるも、静かに深呼吸をして平然を装う。
するとボルケは、随分と気を良くしたのか数回上下に指を滑らせながら、まるで善意かのように告げる。
「サラ、お前も気を付けるんだヨ。ワタシの躾は徹底的だからネ!でも、お前には少しだけサービスしてあげても良いヨ、フゴッ」
その言葉に返すことなく、頭を下げて真っ黄色の悪趣味なオープンカーが一刻も早く去ってくれる事を祈った。
.... To be continued.
0
お気に入りに追加
5
あなたにおすすめの小説
【ヤンデレ鬼ごっこ実況中】
階段
恋愛
ヤンデレ彼氏の鬼ごっこしながら、
屋敷(監禁場所)から脱出しようとする話
_________________________________
【登場人物】
・アオイ
昨日初彼氏ができた。
初デートの後、そのまま監禁される。
面食い。
・ヒナタ
アオイの彼氏。
お金持ちでイケメン。
アオイを自身の屋敷に監禁する。
・カイト
泥棒。
ヒナタの屋敷に盗みに入るが脱出できなくなる。
アオイに協力する。
_________________________________
【あらすじ】
彼氏との初デートを楽しんだアオイ。
彼氏に家まで送ってもらっていると急に眠気に襲われる。
目覚めると知らないベッドに横たわっており、手足を縛られていた。
色々あってヒタナに監禁された事を知り、隙を見て拘束を解いて部屋の外へ出ることに成功する。
だがそこは人里離れた大きな屋敷の最上階だった。
ヒタナから逃げ切るためには、まずこの屋敷から脱出しなければならない。
果たしてアオイはヤンデレから逃げ切ることができるのか!?
_________________________________
7話くらいで終わらせます。
短いです。
途中でR15くらいになるかもしれませんがわからないです。
俺のセフレが義妹になった。そのあと毎日めちゃくちゃシた。
ねんごろ
恋愛
主人公のセフレがどういうわけか義妹になって家にやってきた。
その日を境に彼らの関係性はより深く親密になっていって……
毎日にエロがある、そんな時間を二人は過ごしていく。
※他サイトで連載していた作品です
【R18】黒髪メガネのサラリーマンに監禁された話。
猫足02
恋愛
ある日、大学の帰り道に誘拐された美琴は、そのまま犯人のマンションに監禁されてしまう。
『ずっと君を見てたんだ。君だけを愛してる』
一度コンビニで見かけただけの、端正な顔立ちの男。一見犯罪とは無縁そうな彼は、狂っていた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる