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第二章『度重なる試練と成長編』

第二十一話『第一回ランキング戦の開幕』

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第一回ランキング戦、それは希望者300人の総当たり戦。

イベント限定の加速世界での超大規模戦。

ルールは簡単、相手のHPを0にするのが勝利の条件。

ただし5分をすぎたらHPの割合が多い方が勝ち。

装備以外のアイテムの使用が禁じられてるため、HPやMPの管理が重要になってくる。

現在、戦闘職の平均レベルは50前後と言われている。

上が85、今回参加しているプレイヤーの中での下はレベル30台、そしてフウのレベルは42、いつも一緒にいるメンバーは70台が多い、ジュドラだけ67なのだ。

そんな彼らの戦いの火蓋が切られた。

んーっと、私の第一回戦の相手はっと。

63レベルの人かー。相手がどんなスキル持ちとか本気の人たちみたいに調べたりしてないからなー…

まあ、70前後のみんなと戦えたから多分大丈夫だよね。

「わわっ!?」

視界が…?急に明るくなったと思ったらここ闘技場か!

あれだね、コロッセオだっけ?の形してるね。

鐘の音がなったらスタートなんだっけ?

「はっ、一回戦からついてっやがるぜ!まさかあの生産職のふうかよ。なんで生産色如きがこんなところに居やがるんだよ?ここぁ神聖なランキング戦の闘技場だぜ?生産職如きは街で引きこもって俺らのサポートしてりゃいいんだよっ!」

なんか言ってるけど面倒くさいから無視でいいよね?

早く鐘ならないかなー。

ごーん。

「あ、鳴った」

「いくぜ!俺様のスピードについて来られないだろうから気づいたらキルされて控え室にいると……」

そう言ってこのなんか生意気な人が向かってきたんだよ。

スピードについて来られないとか言ってたけど私見えるんだよなー。

アヤカに言われて隠してた鎌を出してっと。

「そーっれっ!」

「ーーっは!?」

生意気な人が真っ直ぐ私に向かって突っ込んできたから股下に鎌の刃先が入った瞬間に頭に向かって鎌を振り上げたんだよ。

ブーーーー。

始まりの鐘じゃなくてこの音は終わりのブザー。

って事はもしかして一撃!?嘘でしょ!?

もっと楽しみにしてたのになー。速さでの勝負ならまだファイスとやったほうが楽しかったよ?

レベル差20くらいあるんだよね?なんでこうなったんだろう…装備がなぁ。

こうして私の初戦は開幕5秒で幕を閉じた。

はぁーっと大きなため息を吐きながらフウは控え室へと転送された。

控室って確か終わった選手がみんな転送されてくる場所だよね?

もしかして私達二人だけなの?

「ーーひっ!?お、お前さっきのなんなんだよ!お前生産職じゃなかったのかよ!あんなに強いなんて聞いてないぞ!」

「聞いてないよって言われても困るよ?私これでもスキルはほとんど生産職系しか取ってないし…それに自慢じゃないけど私そんなに戦闘上手くないと思うよ?」

「ーーなっ!?お前どの口がいいやがる!」

そんな時誰かが転送されてきたんだよ。

大量発注があった白と赤の巫女服に少し似た鎧を纏った人。

しかも一人分だけその鎧に龍っぽさを出して欲しいと頼んで来た素材も見た目も違う鎧を見に纏った人がいた。

「こ、これはフウ様!?お疲れ様です!」

「ん?お疲れ様です」

「何やらお困りのご様子ですね!私めにお任せくださいませ!」

「は、はい…?」

なんか私に対して執事みたいな態度のその人は私に怒鳴りつけてた人を連れて去って行っちゃった。

それからいつものみんなも戻ってきて徐々に人が増え始めてきた。

「そうだ、アヤカ。あの固まってこっち見てる赤と白の鎧の人たちなんなの?さっき私が絡まれてた所2回も助けてもらったんだけど?」

「そっかー、フウは知らないんだったよね。前に話してたファンクラブの人たちだよ~。ギルド『フウ様親衛隊』っていう…」

最後笑い堪えながらギルドの名前言ったよね!?

「そ、そんなのがあるんだ…」

「そうっすね、自分もあそこまで集団になってるのは初めて見るっすけど…」

「なんでも人数は100人余裕で超えてるらしいわよ?」

「な、何それ…ちょっと怖い」

私芸能人じゃないんだから…

それから1回目の5分が終了して2回目の転送が始まったの。

「フ、フウ様!?お会いできて光栄です!『フウ様親衛隊』でサブマスターをしてるカウシェラと申します。あぁ、ついにこの日が来たのですね!!私にとってフウ様にやられる事がどれほどありがたき事かっ…!」

私の次の対戦相手はさっき団体でいた私の親衛隊らしく、顔を赤らめてはぁはぁしながら私に攻撃される事が嬉しいと叫ぶ変態だった。

「はっ!すみません!私としたことが興奮を抑えられずフウ様の前で何とはしたない事を…如何様にも罰して下さいませ!」

面倒くさいなー。

親衛隊全員がこんな人ばっかりじゃないといいんだけど…

「じゃあ素直に殺されないで、ちゃんと私と戦ってよ。親衛隊なら私をがっかりさせないでね!」

(はうぅ!何と素敵な微笑み!私のために微笑みかけていただけるとはっ!これは何としてもフウ様のご期待に応えなければ!)

ごーん、と鐘がなり杖を構え、詠唱を始めるカウシェラ。

「戦ってくれるの嬉しいな!それじゃあ行くよっ!」

鎌を構えて猛スピードで突っ込んでいく私。

今回はカウンターじゃないから鎌を左から右へ時計回りに振りかざして体を捻って回転させて遠心力も使ってみよう!

鎌が左から右へ振りかざされると同時に体を一回転させる私。

詠唱中に攻撃されそうになってるのに満足そうな満面の笑みを浮かべるカウシェラ。

攻撃を終えて私がカウシェラの後ろで振り返るとブーーーという音と共にありがとうございますと言いながらカウシェラは可愛く笑い消えていったよ。

「はぁー、なんかトラウマ残りそう」

そう言いながら私も会場を後にした。

3回、4回…22回、23回って進んでくうちに1~3回攻撃するだけの戦闘にも飽きてきちゃったなー。

今までよりまともな戦いができたのは100回を超えたあたりで出会したファイスとの戦闘だったよ。

「フウじゃないっすか!?」

「ファイスさっきぶりー」

「お、お手柔らかに頼むっすよ?」

「え、私さっきまでの戦闘あんまり楽しく無かったからファイスとは楽しみたいんだよねー」

「ほ、本当にお手柔らかに頼むっすよ!?」

ごーーん。

「いっくよー!」

ファイスの戦闘スタイルは素早さに特化してて手数で稼ぐタイプ。

先に仕掛けても躱されちゃうけどそれでも立ち止まってるよりかは全然良いから動いたけど…

この間の訓練場では躱されちゃった後は慣れなくってファイスの攻撃を頑張って目で追いながら攻撃を弾いたり避けたりするしかできなかったんだけど…

今は違うんだよねー。つまらなかったって言っても無駄に100回以上戦ってきたわけじゃないって事なの!

STR特化の力任せな戦い方で相手の盾破壊とかフィールド破壊をしながら戦う練習をしてみたり、VITとMND特化の防御任せな戦い方で一歩も動かずノーダメージで耐え抜いて反撃する練習をしてみたり、INT特化の魔力任せな戦い方で付与全種バフ、デバフに加えて魔力操作で体に魔力を纏いながら戦う練習をしてみたり、AGI特化の素早さ任せな戦い方で相手の攻撃を交わす練習をしてみたり、逆に素早さで翻弄させる戦い方も練習してみたりしてどのやり方も20回以上練習して来たから今までの私とは一味違うよ?

まずは私に全部バフをかけて、ファイスにはデバフを。

魔力を濃縮させながら全身に纏ったらファイスを追いかける感じでスピードを調整して追いかけたんだけど、ファイスがスキルを使って一気にスピードを上げると壁を蹴ってそのまま反転してこっちに向かって来たの。

「今度はこっちがいくっすよ!」

私はファイスの攻撃見極めて、ギリギリの所で無駄がないように躱して、力を入れるタイミングとか力を入れる方向を決めて攻撃を躱した絶好のタイミングで反撃を仕掛けたの。

まあ、ファイスも元々素早さ特化だから完璧なタイミングで攻撃しても躱されちゃったの。

でもそれも予想済み。

私が力を入れた方向は下向き。

そう躱されるのを予想してフィールド破壊の衝撃波でファイスの体制を崩す事に成功したの!

「ま、まじっすか!?」

その瞬間に私は2回目の攻撃を仕掛けにかかるわけなんだけど、みんなと戦った後にライムといっぱい練習した鎌術の連続攻撃。

まずは振り下ろした時は2パターン考えたの。

1つ目は鎌に魔力を纏わせておいて地面に当たる瞬間に魔力をクッションにして、鎌を一瞬で回転させて振り上げの攻撃に移すやり方。

2つ目は振り下ろした時に鎌が地面に刺さらないようにして鎌の刃の根本を軸にして私がジャンプして、敵の後方に回って次の攻撃に移行するか、空中から再度攻撃を仕掛けるやり方。

振り上げの時は私の後方まで振り上げてピッケルみたいに反動を利用して次の攻撃に移行するやり方と、振り下ろしとは逆に後ろに飛んで再度攻撃をするやり方。

左右のなぎ払いの時はさっきやった回転してなぎ払った後に反対側になぎ払うやり方と、なぎ払った後に持ち手側の方で突き攻撃をするやり方。

手持ち側の突き攻撃からは振り下ろしを、鎌側の突き攻撃からは振り上げに連携させるのがやりやすかったよ。

そんなわけで5回くらい連続で攻撃したら終了のブザーが鳴ってファイスとの戦いが終了した。

「いやー、前戦ったときとは比べものにならなかったっすねー…手も足も出なかったっすよ?」

「お疲れー、無駄に100回以上連勝してないからねー」

「まじっすか!?自分これで負けたの3回目っすよ…」

「私も運が良かっただけできっとどっかで負けちゃうよー?」

「それはないっす!って言いたいところっすけど1人やばいのがいるので注意したほうがいいっすよ?」

そんな話をしている中、休憩室の隅っこでフウの戦いを見ていた1人の女性がいた。

「ふふっ、あの子面白そう。あの子ならもしかしたら…」
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