上 下
21 / 35
第二章『度重なる試練と成長編』

第二十一話『第一回ランキング戦の開幕』

しおりを挟む
第一回ランキング戦、それは希望者300人の総当たり戦。

イベント限定の加速世界での超大規模戦。

ルールは簡単、相手のHPを0にするのが勝利の条件。

ただし5分をすぎたらHPの割合が多い方が勝ち。

装備以外のアイテムの使用が禁じられてるため、HPやMPの管理が重要になってくる。

現在、戦闘職の平均レベルは50前後と言われている。

上が85、今回参加しているプレイヤーの中での下はレベル30台、そしてフウのレベルは42、いつも一緒にいるメンバーは70台が多い、ジュドラだけ67なのだ。

そんな彼らの戦いの火蓋が切られた。

んーっと、私の第一回戦の相手はっと。

63レベルの人かー。相手がどんなスキル持ちとか本気の人たちみたいに調べたりしてないからなー…

まあ、70前後のみんなと戦えたから多分大丈夫だよね。

「わわっ!?」

視界が…?急に明るくなったと思ったらここ闘技場か!

あれだね、コロッセオだっけ?の形してるね。

鐘の音がなったらスタートなんだっけ?

「はっ、一回戦からついてっやがるぜ!まさかあの生産職のふうかよ。なんで生産色如きがこんなところに居やがるんだよ?ここぁ神聖なランキング戦の闘技場だぜ?生産職如きは街で引きこもって俺らのサポートしてりゃいいんだよっ!」

なんか言ってるけど面倒くさいから無視でいいよね?

早く鐘ならないかなー。

ごーん。

「あ、鳴った」

「いくぜ!俺様のスピードについて来られないだろうから気づいたらキルされて控え室にいると……」

そう言ってこのなんか生意気な人が向かってきたんだよ。

スピードについて来られないとか言ってたけど私見えるんだよなー。

アヤカに言われて隠してた鎌を出してっと。

「そーっれっ!」

「ーーっは!?」

生意気な人が真っ直ぐ私に向かって突っ込んできたから股下に鎌の刃先が入った瞬間に頭に向かって鎌を振り上げたんだよ。

ブーーーー。

始まりの鐘じゃなくてこの音は終わりのブザー。

って事はもしかして一撃!?嘘でしょ!?

もっと楽しみにしてたのになー。速さでの勝負ならまだファイスとやったほうが楽しかったよ?

レベル差20くらいあるんだよね?なんでこうなったんだろう…装備がなぁ。

こうして私の初戦は開幕5秒で幕を閉じた。

はぁーっと大きなため息を吐きながらフウは控え室へと転送された。

控室って確か終わった選手がみんな転送されてくる場所だよね?

もしかして私達二人だけなの?

「ーーひっ!?お、お前さっきのなんなんだよ!お前生産職じゃなかったのかよ!あんなに強いなんて聞いてないぞ!」

「聞いてないよって言われても困るよ?私これでもスキルはほとんど生産職系しか取ってないし…それに自慢じゃないけど私そんなに戦闘上手くないと思うよ?」

「ーーなっ!?お前どの口がいいやがる!」

そんな時誰かが転送されてきたんだよ。

大量発注があった白と赤の巫女服に少し似た鎧を纏った人。

しかも一人分だけその鎧に龍っぽさを出して欲しいと頼んで来た素材も見た目も違う鎧を見に纏った人がいた。

「こ、これはフウ様!?お疲れ様です!」

「ん?お疲れ様です」

「何やらお困りのご様子ですね!私めにお任せくださいませ!」

「は、はい…?」

なんか私に対して執事みたいな態度のその人は私に怒鳴りつけてた人を連れて去って行っちゃった。

それからいつものみんなも戻ってきて徐々に人が増え始めてきた。

「そうだ、アヤカ。あの固まってこっち見てる赤と白の鎧の人たちなんなの?さっき私が絡まれてた所2回も助けてもらったんだけど?」

「そっかー、フウは知らないんだったよね。前に話してたファンクラブの人たちだよ~。ギルド『フウ様親衛隊』っていう…」

最後笑い堪えながらギルドの名前言ったよね!?

「そ、そんなのがあるんだ…」

「そうっすね、自分もあそこまで集団になってるのは初めて見るっすけど…」

「なんでも人数は100人余裕で超えてるらしいわよ?」

「な、何それ…ちょっと怖い」

私芸能人じゃないんだから…

それから1回目の5分が終了して2回目の転送が始まったの。

「フ、フウ様!?お会いできて光栄です!『フウ様親衛隊』でサブマスターをしてるカウシェラと申します。あぁ、ついにこの日が来たのですね!!私にとってフウ様にやられる事がどれほどありがたき事かっ…!」

私の次の対戦相手はさっき団体でいた私の親衛隊らしく、顔を赤らめてはぁはぁしながら私に攻撃される事が嬉しいと叫ぶ変態だった。

「はっ!すみません!私としたことが興奮を抑えられずフウ様の前で何とはしたない事を…如何様にも罰して下さいませ!」

面倒くさいなー。

親衛隊全員がこんな人ばっかりじゃないといいんだけど…

「じゃあ素直に殺されないで、ちゃんと私と戦ってよ。親衛隊なら私をがっかりさせないでね!」

(はうぅ!何と素敵な微笑み!私のために微笑みかけていただけるとはっ!これは何としてもフウ様のご期待に応えなければ!)

ごーん、と鐘がなり杖を構え、詠唱を始めるカウシェラ。

「戦ってくれるの嬉しいな!それじゃあ行くよっ!」

鎌を構えて猛スピードで突っ込んでいく私。

今回はカウンターじゃないから鎌を左から右へ時計回りに振りかざして体を捻って回転させて遠心力も使ってみよう!

鎌が左から右へ振りかざされると同時に体を一回転させる私。

詠唱中に攻撃されそうになってるのに満足そうな満面の笑みを浮かべるカウシェラ。

攻撃を終えて私がカウシェラの後ろで振り返るとブーーーという音と共にありがとうございますと言いながらカウシェラは可愛く笑い消えていったよ。

「はぁー、なんかトラウマ残りそう」

そう言いながら私も会場を後にした。

3回、4回…22回、23回って進んでくうちに1~3回攻撃するだけの戦闘にも飽きてきちゃったなー。

今までよりまともな戦いができたのは100回を超えたあたりで出会したファイスとの戦闘だったよ。

「フウじゃないっすか!?」

「ファイスさっきぶりー」

「お、お手柔らかに頼むっすよ?」

「え、私さっきまでの戦闘あんまり楽しく無かったからファイスとは楽しみたいんだよねー」

「ほ、本当にお手柔らかに頼むっすよ!?」

ごーーん。

「いっくよー!」

ファイスの戦闘スタイルは素早さに特化してて手数で稼ぐタイプ。

先に仕掛けても躱されちゃうけどそれでも立ち止まってるよりかは全然良いから動いたけど…

この間の訓練場では躱されちゃった後は慣れなくってファイスの攻撃を頑張って目で追いながら攻撃を弾いたり避けたりするしかできなかったんだけど…

今は違うんだよねー。つまらなかったって言っても無駄に100回以上戦ってきたわけじゃないって事なの!

STR特化の力任せな戦い方で相手の盾破壊とかフィールド破壊をしながら戦う練習をしてみたり、VITとMND特化の防御任せな戦い方で一歩も動かずノーダメージで耐え抜いて反撃する練習をしてみたり、INT特化の魔力任せな戦い方で付与全種バフ、デバフに加えて魔力操作で体に魔力を纏いながら戦う練習をしてみたり、AGI特化の素早さ任せな戦い方で相手の攻撃を交わす練習をしてみたり、逆に素早さで翻弄させる戦い方も練習してみたりしてどのやり方も20回以上練習して来たから今までの私とは一味違うよ?

まずは私に全部バフをかけて、ファイスにはデバフを。

魔力を濃縮させながら全身に纏ったらファイスを追いかける感じでスピードを調整して追いかけたんだけど、ファイスがスキルを使って一気にスピードを上げると壁を蹴ってそのまま反転してこっちに向かって来たの。

「今度はこっちがいくっすよ!」

私はファイスの攻撃見極めて、ギリギリの所で無駄がないように躱して、力を入れるタイミングとか力を入れる方向を決めて攻撃を躱した絶好のタイミングで反撃を仕掛けたの。

まあ、ファイスも元々素早さ特化だから完璧なタイミングで攻撃しても躱されちゃったの。

でもそれも予想済み。

私が力を入れた方向は下向き。

そう躱されるのを予想してフィールド破壊の衝撃波でファイスの体制を崩す事に成功したの!

「ま、まじっすか!?」

その瞬間に私は2回目の攻撃を仕掛けにかかるわけなんだけど、みんなと戦った後にライムといっぱい練習した鎌術の連続攻撃。

まずは振り下ろした時は2パターン考えたの。

1つ目は鎌に魔力を纏わせておいて地面に当たる瞬間に魔力をクッションにして、鎌を一瞬で回転させて振り上げの攻撃に移すやり方。

2つ目は振り下ろした時に鎌が地面に刺さらないようにして鎌の刃の根本を軸にして私がジャンプして、敵の後方に回って次の攻撃に移行するか、空中から再度攻撃を仕掛けるやり方。

振り上げの時は私の後方まで振り上げてピッケルみたいに反動を利用して次の攻撃に移行するやり方と、振り下ろしとは逆に後ろに飛んで再度攻撃をするやり方。

左右のなぎ払いの時はさっきやった回転してなぎ払った後に反対側になぎ払うやり方と、なぎ払った後に持ち手側の方で突き攻撃をするやり方。

手持ち側の突き攻撃からは振り下ろしを、鎌側の突き攻撃からは振り上げに連携させるのがやりやすかったよ。

そんなわけで5回くらい連続で攻撃したら終了のブザーが鳴ってファイスとの戦いが終了した。

「いやー、前戦ったときとは比べものにならなかったっすねー…手も足も出なかったっすよ?」

「お疲れー、無駄に100回以上連勝してないからねー」

「まじっすか!?自分これで負けたの3回目っすよ…」

「私も運が良かっただけできっとどっかで負けちゃうよー?」

「それはないっす!って言いたいところっすけど1人やばいのがいるので注意したほうがいいっすよ?」

そんな話をしている中、休憩室の隅っこでフウの戦いを見ていた1人の女性がいた。

「ふふっ、あの子面白そう。あの子ならもしかしたら…」
しおりを挟む
感想 88

あなたにおすすめの小説

沢山寝たい少女のVRMMORPG〜武器と防具は枕とパジャマ?!〜

雪雪ノ雪
ファンタジー
世界初のフルダイブ型のVRゲーム『Second World Online』通称SWO。 剣と魔法の世界で冒険をするVRMMORPGだ。 このゲームの1番の特徴は『ゲーム内での3時間は現実世界の1時間である』というもの。 これを知った少女、明日香 睡月(あすか すいげつ)は 「このゲームをやれば沢山寝れる!!」 と言いこのゲームを始める。 ゲームを始めてすぐ、ある問題点に気づく。 「お金がないと、宿に泊まれない!!ベットで寝れない!!....敷布団でもいいけど」 何とかお金を稼ぐ方法を考えた明日香がとった行動は 「そうだ!!寝ながら戦えばお金も経験値も入って一石三鳥!!」 武器は枕で防具はパジャマ!!少女のVRMMORPGの旅が今始まる!! ..........寝ながら。

春空VRオンライン ~島から出ない採取生産職ののんびり体験記~

滝川 海老郎
SF
新作のフルダイブVRMMOが発売になる。 最初の舞台は「チュートリ島」という小島で正式リリースまではこの島で過ごすことになっていた。 島で釣りをしたり、スライム狩りをしたり、探険したり、干物のアルバイトをしたり、宝探しトレジャーハントをしたり、のんびり、のほほんと、過ごしていく。

30年待たされた異世界転移

明之 想
ファンタジー
 気づけば異世界にいた10歳のぼく。 「こちらの手違いかぁ。申し訳ないけど、さっさと帰ってもらわないといけないね」  こうして、ぼくの最初の異世界転移はあっけなく終わってしまった。  右も左も分からず、何かを成し遂げるわけでもなく……。  でも、2度目があると確信していたぼくは、日本でひたすら努力を続けた。  あの日見た夢の続きを信じて。  ただ、ただ、異世界での冒険を夢見て!!  くじけそうになっても努力を続け。  そうして、30年が経過。  ついに2度目の異世界冒険の機会がやってきた。  しかも、20歳も若返った姿で。  異世界と日本の2つの世界で、  20年前に戻った俺の新たな冒険が始まる。

最強と言われてたのに蓋を開けたら超難度不遇職

鎌霧
ファンタジー
『To The World Road』 倍率300倍の新作フルダイブ系VRMMOの初回抽選に当たり、意気揚々と休暇を取りβテストの情報を駆使して快適に過ごそうと思っていた。 ……のだが、蓋をひらけば選択した職業は調整入りまくりで超難易度不遇職として立派に転生していた。 しかしそこでキャラ作り直すのは負けた気がするし、不遇だからこそ使うのがゲーマーと言うもの。 意地とプライドと一つまみの反骨精神で私はこのゲームを楽しんでいく。 小説家になろう、カクヨムにも掲載

VRMMO~鍛治師で最強になってみた!?

ナイム
ファンタジー
ある日、友人から進められ最新フルダイブゲーム『アンリミテッド・ワールド』を始めた進藤 渚 そんな彼が友人たちや、ゲーム内で知り合った人たちと協力しながら自由気ままに過ごしていると…気がつくと最強と呼ばれるうちの一人になっていた!?

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

追放シーフの成り上がり

白銀六花
ファンタジー
王都のギルドでSS級まで上り詰めた冒険者パーティー【オリオン】の一員として日々活躍するディーノ。 前衛のシーフとしてモンスターを翻弄し、回避しながらダメージを蓄積させていき、最後はパーティー全員でトドメを刺す。 これがディーノの所属するオリオンの戦い方だ。 ところが、SS級モンスター相手に命がけで戦うディーノに対し、ほぼ無傷で戦闘を終えるパーティーメンバー。 ディーノのスキル【ギフト】によってパーティーメンバーのステータスを上昇させ、パーティー内でも誰よりも戦闘に貢献していたはずなのに…… 「お前、俺達の実力についてこれなくなってるんじゃねぇの?」とパーティーを追放される。 ディーノを追放し、新たな仲間とパーティーを再結成した元仲間達。 新生パーティー【ブレイブ】でクエストに出るも、以前とは違い命がけの戦闘を繰り広げ、クエストには失敗を繰り返す。 理由もわからず怒りに震え、新入りを役立たずと怒鳴りちらす元仲間達。 そしてソロの冒険者として活動し始めるとディーノは、自分のスキルを見直す事となり、S級冒険者として活躍していく事となる。 ディーノもまさか、パーティーに所属していた事で弱くなっていたなどと気付く事もなかったのだ。 それと同じく、自分がパーティーに所属していた事で仲間を弱いままにしてしまった事にも気付いてしまう。 自由気ままなソロ冒険者生活を楽しむディーノ。 そこに元仲間が会いに来て「戻って来い」? 戻る気などさらさら無いディーノはあっさりと断り、一人自由な生活を……と、思えば何故かブレイブの新人が頼って来た。

異世界は流されるままに

椎井瑛弥
ファンタジー
 貴族の三男として生まれたレイは、成人を迎えた当日に意識を失い、目が覚めてみると剣と魔法のファンタジーの世界に生まれ変わっていたことに気づきます。ベタです。  日本で堅実な人生を送っていた彼は、無理をせずに一歩ずつ着実に歩みを進むつもりでしたが、なぜか思ってもみなかった方向に進むことばかり。ベタです。  しっかりと自分を持っているにも関わらず、なぜか思うようにならないレイの冒険譚、ここに開幕。  これを書いている人は縦書き派ですので、縦書きで読むことを推奨します。

処理中です...