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:1-9夢:
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廃棄された研究施設を出て、他の魔法使い達との集合地点へ徒歩で向かっている。すぐそこまで木々が生い茂る、薄暗い草木や倒木を避けながら進んでいた。道を歩いている間、メアはメノに施設のデータ内で見つけた単語について聞いていた。
「___メノ、"深緑の自然"ってなに?」
「ん?深い緑色に染まった自然の事だよ」
「家の周りみたいに?」
「ううん、見渡す限りすべての植物が緑色、そこにいろんな色の花が点々と咲いてたりして......とっても奇麗だよ」
「......変なの」
「それが普通なんだって」
周囲の植物は、魔界特有の環境によって赤く変色し、汚染されていた。魔界内の汚染環境を無効化するために、メノたちの様な魔法使いが除染を行い、おかげで通常世界と繋ぐゲートを中心に周囲は通常世界と同様の深緑の自然が広がっている。
「メノ、悪夢ってなに?」
「......」
「データの中にあったんだ......"深緑の自然が消え、悪夢のような光景が"って」
「うーんとね___」
暫く二人の間に重い空気が流れる。メアは、メノから嫌な雰囲気を感じ取って少しの間黙って彼女を見つめていた___。
「悪い夢、怖い夢とか......寝てる時に見たことない?」
「......ない」
「というか、ずっと一緒だもんね、見てたら私が気付くか」
「メノは......悪夢見る?」
メアの頭に手を乗せているメノに問いかけると、再び考え事をするように顔が俯く。
「___見てたよ、悪夢」
「どんなの?」
「戦争の夢」
「......戦争?」
「私ね、幼い頃に戦争経験してるんだ」
「......」
「少年兵、少女兵ってやつだね......今でも見る本当に怖い夢、私は銃を握ってて、なんの感情も抱かずに人を撃つの___撃ち殺した人数も表情も、全部記憶に焼き付いてる」
「メノ、それはいつの事?一番近い年の戦争って___」
「___さぁ?随分前だよ」
メノは右手に握っている大型のリボルバー拳銃を揺らして見せる。銃身下部には片刃の長剣が取り付けられたそれは、全体が鈍い銀色に輝いていた。
「あの時は必死で銃を握って走り回ってたけど...今は違う、私の、私が想う未来を歩むために生きてるよ、自分の意思でね」
「......」
メアは真剣に彼女の目をのぞき込んでいる。メノが言う悪夢がそれだけのものなのか、今は理解できないが必死に話を聞いていた。
「ははっ、難しいよね......これが私の悪夢だよ」
「___私は、どうすればいい?」
「どういうこと?」
「私はどうすれば、メノの力になれる?」
視界が開けて、微かに冷たい魔界の太陽が二人を包み込む。近くからそよ風が運ばれて、施設にいた時からあるメノたちの陰鬱とした気持ちが晴れたような気がした。
「メアは優しいなぁ、憧れる」
メノの頭をくしゃくしゃ撫でながら呟く。その表情からはさっき感じていた嫌な雰囲気は全くなくなり、明るい笑みに満ちていた。
「じゃあ......強く願って、ね?」
「願う、だけ?」
「そう、願うの......それだけで誰でも強くなれる世界なんだから」
「なんで願うだけなの?今の私ならもっと力に___」
「そういう事じゃないんだよ、魔法が扱えるかとか、知識があるかとかじゃなくて......ただ強く、強く願うだけで、誰かの力になれるの」
「......」
「___分かってくれた?」
「......変なの」
「もう、本当なんだってば!メアは強く願ったことないの?」
「うーん......」
二人は小さく笑い、暫くしてほかの魔法使いたちと合流。ある程度整備された簡易キャンプに迎えの乗り物が数台止まっているのが遠くから見えていた。
「覚えてない」
「ふふっ、そっか」
その時、何か思い出せそうな気がしたが次の瞬間、何かに気を取られて結局思い出せなかった。一瞬だけ身体が冷めるような恐怖感だけが余韻としてメアの心に暫く残っていた。
「___メノ、"深緑の自然"ってなに?」
「ん?深い緑色に染まった自然の事だよ」
「家の周りみたいに?」
「ううん、見渡す限りすべての植物が緑色、そこにいろんな色の花が点々と咲いてたりして......とっても奇麗だよ」
「......変なの」
「それが普通なんだって」
周囲の植物は、魔界特有の環境によって赤く変色し、汚染されていた。魔界内の汚染環境を無効化するために、メノたちの様な魔法使いが除染を行い、おかげで通常世界と繋ぐゲートを中心に周囲は通常世界と同様の深緑の自然が広がっている。
「メノ、悪夢ってなに?」
「......」
「データの中にあったんだ......"深緑の自然が消え、悪夢のような光景が"って」
「うーんとね___」
暫く二人の間に重い空気が流れる。メアは、メノから嫌な雰囲気を感じ取って少しの間黙って彼女を見つめていた___。
「悪い夢、怖い夢とか......寝てる時に見たことない?」
「......ない」
「というか、ずっと一緒だもんね、見てたら私が気付くか」
「メノは......悪夢見る?」
メアの頭に手を乗せているメノに問いかけると、再び考え事をするように顔が俯く。
「___見てたよ、悪夢」
「どんなの?」
「戦争の夢」
「......戦争?」
「私ね、幼い頃に戦争経験してるんだ」
「......」
「少年兵、少女兵ってやつだね......今でも見る本当に怖い夢、私は銃を握ってて、なんの感情も抱かずに人を撃つの___撃ち殺した人数も表情も、全部記憶に焼き付いてる」
「メノ、それはいつの事?一番近い年の戦争って___」
「___さぁ?随分前だよ」
メノは右手に握っている大型のリボルバー拳銃を揺らして見せる。銃身下部には片刃の長剣が取り付けられたそれは、全体が鈍い銀色に輝いていた。
「あの時は必死で銃を握って走り回ってたけど...今は違う、私の、私が想う未来を歩むために生きてるよ、自分の意思でね」
「......」
メアは真剣に彼女の目をのぞき込んでいる。メノが言う悪夢がそれだけのものなのか、今は理解できないが必死に話を聞いていた。
「ははっ、難しいよね......これが私の悪夢だよ」
「___私は、どうすればいい?」
「どういうこと?」
「私はどうすれば、メノの力になれる?」
視界が開けて、微かに冷たい魔界の太陽が二人を包み込む。近くからそよ風が運ばれて、施設にいた時からあるメノたちの陰鬱とした気持ちが晴れたような気がした。
「メアは優しいなぁ、憧れる」
メノの頭をくしゃくしゃ撫でながら呟く。その表情からはさっき感じていた嫌な雰囲気は全くなくなり、明るい笑みに満ちていた。
「じゃあ......強く願って、ね?」
「願う、だけ?」
「そう、願うの......それだけで誰でも強くなれる世界なんだから」
「なんで願うだけなの?今の私ならもっと力に___」
「そういう事じゃないんだよ、魔法が扱えるかとか、知識があるかとかじゃなくて......ただ強く、強く願うだけで、誰かの力になれるの」
「......」
「___分かってくれた?」
「......変なの」
「もう、本当なんだってば!メアは強く願ったことないの?」
「うーん......」
二人は小さく笑い、暫くしてほかの魔法使いたちと合流。ある程度整備された簡易キャンプに迎えの乗り物が数台止まっているのが遠くから見えていた。
「覚えてない」
「ふふっ、そっか」
その時、何か思い出せそうな気がしたが次の瞬間、何かに気を取られて結局思い出せなかった。一瞬だけ身体が冷めるような恐怖感だけが余韻としてメアの心に暫く残っていた。
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