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15 ガーデンパーティー
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結婚式当日、前日に降った雨も止み、伯爵邸の庭園では葉の上の雨粒が陽光を反射しきらきら輝いている。
庭園に設置された長方形のテーブルには数々の料理やフルーツが大皿に盛りつけられ、それをメイドが取り分けて招待客に提供しながら忙しく動き回っている。
ボーイはワインや果実水などを持って招待客の周りを行ったり来たりと、こちらも忙しそうだ。
小さな楽団の奏でる音楽に合わせて踊っている人もいる。
動物の形に刈り込んだトピアリーには色とりどりの風船が括りつけられ、招待客の子どもたちの目を楽しませている。
子どもたちのキャッキャ笑いながら走る姿は平和を象徴しているようだ。
ガーデンパーティーに招待されたのは親戚やお互いの友人――エメリアには友人と呼べる友人はいなかったのでほとんどアンドレの友人――など気心の知れた人たちだ。
その日のエメリアはこの世の美を全て詰め込んだかのごとく神々しささえ感じられ。
黄金に輝く髪、抜けるような白い肌。魅惑的な青い瞳と小さく赤い唇。
胸元は総レースで腕は透け感のある五分袖のジョーゼット、スカートはボリュームを抑えたAラインの白いドレスで、ヘアスタイルはハーフアップにして生花を散りばめている。
ウェディングドレスからガーデンパーティー用のドレスに着替えたエメリアはまるで春の女神のようでその場の空気を清浄なものに変えていく。
アンドレの友人のトーマスもまさかこれほどとは思っていなかったようで、エメリアから目が離せないでいる。
招待客も皆一様にエメリアを絶賛し、男性陣の目はエメリアに釘づけだ。
そんな周りの光景にアンドレはいささか気分が悪くなるが、後少しの辛抱でエメリアの全てが自分のものになると思うと我慢しようと思うのだった。
「アンドレ、結婚おめでとう。エメリア嬢があんなにも美しいなんて聞いてないぞ」
「ふん。わざわざお前に言う必要があるか」
「はは。それよりマリナの我儘を聞いて出席させてくれて礼を言うよ」
「アンドレ様、この度はご結婚おめでとうございます。それから出席をお許しいただきありがとうございます」
マリナは微笑みを貼りつけているが、心中穏やかではない。
まさか婚約者がいてこんなにすぐに結婚してしまうとは思ってもいなかった。
春分の日の夜会で芽生えた恋心は儚くも砕け散ってしまったのだ。
「いいんだ、こちらこそ祝ってくれてありがとう」
「それにしてもエメリア嬢は大人気だな。男性に」
アンドレは苦々しく笑った。
いつものエメリアだったらそういう場面では早々とどこかに消えてしまいそうなものを、今は男性たちに囲まれても堂々と笑いながら交流している。
自分の招待客なのだから愛想悪くしろとは言わないがもうちょっと気おくれしたり困ったりする表情をしてみせたっていいじゃないかと子どもじみた我儘な事を思ってしまう。
アンドレはワインを一本手に取ってリトランド伯爵が座る席へ行き、伯爵にワインを注いだ。
「おお、ありがとう」
「いいえ、義父上」
「それにしても今日無事に結婚式を挙げることができて本当に安心したよ。一時はどうなることかとやきもきしたが」
「え?」
「いやね、春分の日にエメリアが例年通り虹色の花を探しに行ったんだよ」
「まさか一人で? ……だめだって言ったのに」
「ははは。全くあの子はしょうがないな。まぁ私も実を言うと魔女の森はそんなに危ない所だとは思ってはいなかったんだ。つい最近まではな」
「どういうことです?」
「……エメリアがそこで君を見かけて君が魔女の家に入って行ったと言ったんだがな」
「? それは私ではないですよ、その日は私は午前中には首都に向かったのですから」
「うむ。私も君を信じているが、君の不貞現場をそこで見たと言ってね」
「ちょ、ありえない! 私は首都にいたし、証人もいる。それにそこには一度しか行ったことが無い。それもエメリアと一緒にですよ」
「うむ。私も婚約破棄をすると聞いたときは驚いたよ」
「婚約破棄!? 私の知らない所でそんな話になっていたんですか?」
びっくり仰天、夜会に行っていた間にそんなことが起こっていたとは。
そんなことなら夜会になど行かなければよかった。
どうせトーマスに頼み込まれて仕方なく行ったのだ。自分にとっては全く行く価値の無い夜会。
「それは私ではない。信じてください……」
幸せの絶頂にいる男をからかうのは面白いが、冷や汗を垂らしているアンドレを見て苛めるのはこの辺にしておこうと、伯爵はアンドレを安心させることにした。
「だがすぐに自分の見間違いだったと言ったよ。だから婚約破棄の話は無しだと」
「見間違い……当然です……」
誤解は解けているとはいえまだ心臓がどきどきいっている。伯爵にも聞こえてしまいそうだ。
身に覚えのないことで婚約破棄などあり得ないし、そもそもそんなことを言う前にどうして自分に確認しなかったのか、そんなに信用されていなかったのかととても悲しくなった。
そしてすぐに婚約破棄だと言えるくらいにしか自分は愛されていなかったのかと落ち込んだ。
「だから誤解が解けて無事に結婚できて良かった」
「それはもう、ほんとに……」
アンドレは力なくそう言った。
エメリアの口から婚約破棄という言葉が出たのがあまりにもショック過ぎる。
彼女の方を見るとまだ男たちに囲まれ、そこにトーマスとマリナも加わって楽しそうに笑っている。
正直エメリアがこんなに社交的だとは思っていなかった。
ゆくゆくは侯爵夫人としてしなければならない社交のことを考えると安心するがそれでも嬉しくないのはそれがエメリアらしくないからだ。
社交から遠ざかり、こういう場でも片時も自分から離れることなくずっと側にいて欲しいというのが本音だ。
本当はどこかに閉じ込めて自分だけのものにしたいくらいなのに。
伯爵はエメリアの方を悲しそうな顔で見つめるアンドレを見てやはりこの男が裏切るはずはないなと安心し、ワインを一口飲んだ。
するとワインの香りに誘われたのか大きなアゲハチョウがやってきて伯爵の周りを舞った。
珍しい色だなと伯爵が徐に手を伸ばすとその蝶は導かれるように伯爵の指に止まった。
まさか止まるとはと思ってもいなかった伯爵は得意げだ。
まだ半分うつろな目をしているアンドレもエメリアから伯爵とアゲハチョウの方に目を移して言った。
「綺麗なアゲハチョウですね」
「ああ。まるでエルシーのように清楚で可憐だ……」
伯爵はハッとした。
自分は何を口走ったのだろうか。
アンドレはきょとんとしている。
結局それからベニアの話をすることになった。
「――じゃあ今魔女の家にいるのが仲を引き裂いた魔女ベニアということですか? あの女性が……。それなら再び同じような事をする可能性はありますね」
伯爵に魔女に関するそんな過去があったとはびっくりだ。
他人に聞かれたらまずいのではないかと思いアンドレは小声になる。
「ベニアなら。いや、エメリアから聞いた容姿からすると絶対にベニアだろう。だから最初はベニアが君とエメリアの仲を引き裂こうとしていると思ったんだ。誰か魔法使いが君に変身してね。それならエメリアが本人だと思ってしまうのも当然だ。でもベニアもそこまではしなかったようだ」
「ではそれは私とは関係ない男だったということですよね」
「まぁそうだな。だが気を付けるに越したことはない。君は私の若いころに似ている。もちろん私の方がいい男だがな、ははは」
「……もう二度と魔女の家には行きません」
「それがいい。エメリアにも君の方からちゃんと言ってくれ。ベニアがあそこにいるということが分ったからには例え何も無かったとはいえ近づくことは避けるべきだ」
「そうします」
アンドレは魔女の家でなぜか彼女に不快さを感じ、この女性には気を付けろと何かが警告しているようなそんな気がしていたのを思い出した。
どうしてそう感じるのか探ろうと彼女を観察したが結局わからず。
そうして単に魔女なのかもしれないという偏見からくる自分サイドの問題なのだと思っていたのだが、その感覚は間違っていなかったということだ。
春になったら一緒に魔女の森の花を見に行こうとエメリアは言っていたがそれも止めておいた方がいいだろう。
伯爵の指に止まっていたアゲハチョウはいつの間にか伯爵のワイングラスに止まり、ワインを飲んだのだろうか、ふらふらとどこかへ飛んで行った。
庭園に設置された長方形のテーブルには数々の料理やフルーツが大皿に盛りつけられ、それをメイドが取り分けて招待客に提供しながら忙しく動き回っている。
ボーイはワインや果実水などを持って招待客の周りを行ったり来たりと、こちらも忙しそうだ。
小さな楽団の奏でる音楽に合わせて踊っている人もいる。
動物の形に刈り込んだトピアリーには色とりどりの風船が括りつけられ、招待客の子どもたちの目を楽しませている。
子どもたちのキャッキャ笑いながら走る姿は平和を象徴しているようだ。
ガーデンパーティーに招待されたのは親戚やお互いの友人――エメリアには友人と呼べる友人はいなかったのでほとんどアンドレの友人――など気心の知れた人たちだ。
その日のエメリアはこの世の美を全て詰め込んだかのごとく神々しささえ感じられ。
黄金に輝く髪、抜けるような白い肌。魅惑的な青い瞳と小さく赤い唇。
胸元は総レースで腕は透け感のある五分袖のジョーゼット、スカートはボリュームを抑えたAラインの白いドレスで、ヘアスタイルはハーフアップにして生花を散りばめている。
ウェディングドレスからガーデンパーティー用のドレスに着替えたエメリアはまるで春の女神のようでその場の空気を清浄なものに変えていく。
アンドレの友人のトーマスもまさかこれほどとは思っていなかったようで、エメリアから目が離せないでいる。
招待客も皆一様にエメリアを絶賛し、男性陣の目はエメリアに釘づけだ。
そんな周りの光景にアンドレはいささか気分が悪くなるが、後少しの辛抱でエメリアの全てが自分のものになると思うと我慢しようと思うのだった。
「アンドレ、結婚おめでとう。エメリア嬢があんなにも美しいなんて聞いてないぞ」
「ふん。わざわざお前に言う必要があるか」
「はは。それよりマリナの我儘を聞いて出席させてくれて礼を言うよ」
「アンドレ様、この度はご結婚おめでとうございます。それから出席をお許しいただきありがとうございます」
マリナは微笑みを貼りつけているが、心中穏やかではない。
まさか婚約者がいてこんなにすぐに結婚してしまうとは思ってもいなかった。
春分の日の夜会で芽生えた恋心は儚くも砕け散ってしまったのだ。
「いいんだ、こちらこそ祝ってくれてありがとう」
「それにしてもエメリア嬢は大人気だな。男性に」
アンドレは苦々しく笑った。
いつものエメリアだったらそういう場面では早々とどこかに消えてしまいそうなものを、今は男性たちに囲まれても堂々と笑いながら交流している。
自分の招待客なのだから愛想悪くしろとは言わないがもうちょっと気おくれしたり困ったりする表情をしてみせたっていいじゃないかと子どもじみた我儘な事を思ってしまう。
アンドレはワインを一本手に取ってリトランド伯爵が座る席へ行き、伯爵にワインを注いだ。
「おお、ありがとう」
「いいえ、義父上」
「それにしても今日無事に結婚式を挙げることができて本当に安心したよ。一時はどうなることかとやきもきしたが」
「え?」
「いやね、春分の日にエメリアが例年通り虹色の花を探しに行ったんだよ」
「まさか一人で? ……だめだって言ったのに」
「ははは。全くあの子はしょうがないな。まぁ私も実を言うと魔女の森はそんなに危ない所だとは思ってはいなかったんだ。つい最近まではな」
「どういうことです?」
「……エメリアがそこで君を見かけて君が魔女の家に入って行ったと言ったんだがな」
「? それは私ではないですよ、その日は私は午前中には首都に向かったのですから」
「うむ。私も君を信じているが、君の不貞現場をそこで見たと言ってね」
「ちょ、ありえない! 私は首都にいたし、証人もいる。それにそこには一度しか行ったことが無い。それもエメリアと一緒にですよ」
「うむ。私も婚約破棄をすると聞いたときは驚いたよ」
「婚約破棄!? 私の知らない所でそんな話になっていたんですか?」
びっくり仰天、夜会に行っていた間にそんなことが起こっていたとは。
そんなことなら夜会になど行かなければよかった。
どうせトーマスに頼み込まれて仕方なく行ったのだ。自分にとっては全く行く価値の無い夜会。
「それは私ではない。信じてください……」
幸せの絶頂にいる男をからかうのは面白いが、冷や汗を垂らしているアンドレを見て苛めるのはこの辺にしておこうと、伯爵はアンドレを安心させることにした。
「だがすぐに自分の見間違いだったと言ったよ。だから婚約破棄の話は無しだと」
「見間違い……当然です……」
誤解は解けているとはいえまだ心臓がどきどきいっている。伯爵にも聞こえてしまいそうだ。
身に覚えのないことで婚約破棄などあり得ないし、そもそもそんなことを言う前にどうして自分に確認しなかったのか、そんなに信用されていなかったのかととても悲しくなった。
そしてすぐに婚約破棄だと言えるくらいにしか自分は愛されていなかったのかと落ち込んだ。
「だから誤解が解けて無事に結婚できて良かった」
「それはもう、ほんとに……」
アンドレは力なくそう言った。
エメリアの口から婚約破棄という言葉が出たのがあまりにもショック過ぎる。
彼女の方を見るとまだ男たちに囲まれ、そこにトーマスとマリナも加わって楽しそうに笑っている。
正直エメリアがこんなに社交的だとは思っていなかった。
ゆくゆくは侯爵夫人としてしなければならない社交のことを考えると安心するがそれでも嬉しくないのはそれがエメリアらしくないからだ。
社交から遠ざかり、こういう場でも片時も自分から離れることなくずっと側にいて欲しいというのが本音だ。
本当はどこかに閉じ込めて自分だけのものにしたいくらいなのに。
伯爵はエメリアの方を悲しそうな顔で見つめるアンドレを見てやはりこの男が裏切るはずはないなと安心し、ワインを一口飲んだ。
するとワインの香りに誘われたのか大きなアゲハチョウがやってきて伯爵の周りを舞った。
珍しい色だなと伯爵が徐に手を伸ばすとその蝶は導かれるように伯爵の指に止まった。
まさか止まるとはと思ってもいなかった伯爵は得意げだ。
まだ半分うつろな目をしているアンドレもエメリアから伯爵とアゲハチョウの方に目を移して言った。
「綺麗なアゲハチョウですね」
「ああ。まるでエルシーのように清楚で可憐だ……」
伯爵はハッとした。
自分は何を口走ったのだろうか。
アンドレはきょとんとしている。
結局それからベニアの話をすることになった。
「――じゃあ今魔女の家にいるのが仲を引き裂いた魔女ベニアということですか? あの女性が……。それなら再び同じような事をする可能性はありますね」
伯爵に魔女に関するそんな過去があったとはびっくりだ。
他人に聞かれたらまずいのではないかと思いアンドレは小声になる。
「ベニアなら。いや、エメリアから聞いた容姿からすると絶対にベニアだろう。だから最初はベニアが君とエメリアの仲を引き裂こうとしていると思ったんだ。誰か魔法使いが君に変身してね。それならエメリアが本人だと思ってしまうのも当然だ。でもベニアもそこまではしなかったようだ」
「ではそれは私とは関係ない男だったということですよね」
「まぁそうだな。だが気を付けるに越したことはない。君は私の若いころに似ている。もちろん私の方がいい男だがな、ははは」
「……もう二度と魔女の家には行きません」
「それがいい。エメリアにも君の方からちゃんと言ってくれ。ベニアがあそこにいるということが分ったからには例え何も無かったとはいえ近づくことは避けるべきだ」
「そうします」
アンドレは魔女の家でなぜか彼女に不快さを感じ、この女性には気を付けろと何かが警告しているようなそんな気がしていたのを思い出した。
どうしてそう感じるのか探ろうと彼女を観察したが結局わからず。
そうして単に魔女なのかもしれないという偏見からくる自分サイドの問題なのだと思っていたのだが、その感覚は間違っていなかったということだ。
春になったら一緒に魔女の森の花を見に行こうとエメリアは言っていたがそれも止めておいた方がいいだろう。
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