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第二章 「深十島〇〇一作戦」
一章 異常な者達(2)
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場面は変わり、熱き男たちの他に緋苗とエリニュスの戦いも俺ぐらいしか見ていない。
「……緋苗さん、まずは握力勝負、してみません?」
「……うん、いいよ」
今回初めて出会うであろうエリニュスに、緋苗は落ち着いて対応する。
彼女の人格は、俺と二人の時以外には隠していたのだが、どうやら譲れない何かがあるらしく表に出てきている。
正直このエリニュスはフリアエよりも好感が持てる。エリニュスの色々な表情、喜怒哀楽は誰よりも少女らしく、若さ故の魅力があるのだ。
「それではまず、普通に計りましょうか」
エリニュスは適当に置かれた握力計を手に取り、計れるように操作した後手に力を入れた。
これは普通の握力計であり、ワールドだとかウルカヌスだとかのようなミーザ専用ではない。
結果は可愛らしいものだ。
「ふ、一七です。緋苗さんもどうぞ?」
「ええ、そうするね」
緋苗もそれを手に取ると、少し周りを確認した後に力を入れた。
数値を確認すると何故か嬉しそうになるが「一八ですよ」と答えたので、一体何が嬉しいのかよく分からなかった。
「緋苗さん! 本気でやってませんでしたよね?」
「え、あ、いや本気だよ? 本気の本番でこれなんだよ?」
「わたしは本気でしたが、緋苗さんは全く本気ではなかったです! もう一度お願いします」
うう……と困った反応を返し、再び緋苗は握力を計ることになる。
今度はエリニュスが手加減しないかどうか見張るようで、緋苗の居心地は最悪だろう。
やがて顔が歪むほど力を入れると、エリニュスがその結果を言った。
「三〇! さすが緋苗さん、わたしよりもお強いですね!」
「あう……か弱き乙女になりたかった……」
三〇というのはそれほど力強い数値なのだろうか?
ちなみに俺は四五だった。何気に平和部に入ることを意識して体を鍛えてしまったおかげかな。
「……緋苗さん、まずは握力勝負、してみません?」
「……うん、いいよ」
今回初めて出会うであろうエリニュスに、緋苗は落ち着いて対応する。
彼女の人格は、俺と二人の時以外には隠していたのだが、どうやら譲れない何かがあるらしく表に出てきている。
正直このエリニュスはフリアエよりも好感が持てる。エリニュスの色々な表情、喜怒哀楽は誰よりも少女らしく、若さ故の魅力があるのだ。
「それではまず、普通に計りましょうか」
エリニュスは適当に置かれた握力計を手に取り、計れるように操作した後手に力を入れた。
これは普通の握力計であり、ワールドだとかウルカヌスだとかのようなミーザ専用ではない。
結果は可愛らしいものだ。
「ふ、一七です。緋苗さんもどうぞ?」
「ええ、そうするね」
緋苗もそれを手に取ると、少し周りを確認した後に力を入れた。
数値を確認すると何故か嬉しそうになるが「一八ですよ」と答えたので、一体何が嬉しいのかよく分からなかった。
「緋苗さん! 本気でやってませんでしたよね?」
「え、あ、いや本気だよ? 本気の本番でこれなんだよ?」
「わたしは本気でしたが、緋苗さんは全く本気ではなかったです! もう一度お願いします」
うう……と困った反応を返し、再び緋苗は握力を計ることになる。
今度はエリニュスが手加減しないかどうか見張るようで、緋苗の居心地は最悪だろう。
やがて顔が歪むほど力を入れると、エリニュスがその結果を言った。
「三〇! さすが緋苗さん、わたしよりもお強いですね!」
「あう……か弱き乙女になりたかった……」
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ちなみに俺は四五だった。何気に平和部に入ることを意識して体を鍛えてしまったおかげかな。
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