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324 守り石の魔石は選別すべきだった
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「そうですね。今日はオボロは別の監視をしてもらいたいですからね」
ただ一人、まだこの場に来ていなかった銀色のフルプレートアーマーが偉そうな青色のマントをまとい、ワイバーンを引きつれてやってきた。
重役出勤の神父様だ。いや、丁度2300になったところだ。
「今回は王都の側ということで、黒狼たちに監視の目になってもらわないと、一般人が被害に遭っては大変ですからね」
一般人と言ったことは、他の騎士団の人が被害に遭ってもそれは、預かり知らないと……。どれだけ仲が悪いのだろう。
「さて行きましょうか」
フルフェイスを被っていて表情はわからないけど、胡散臭い笑顔を浮かべているんだろうなという神父様から作戦開始の合図がされた。
「リュミエール神父様。では、ここから北の森を覆う結界を張ればいいのですか?」
ロゼが早速結界を張ろうとする。王都の北側に広がる広大な場所を結界で覆おうとしているのだ。結界は人が入って来ないようにという意味がある。だから、朧たち黒狼は森の外で待機しているのだろう。
「何を言っているのですか?ロゼの弓は何の為にあるのですか?敵が別の方向に移動しだしたらワイバーンから撃って誘導するのですよ」
聖騎士には珍しく遠距離攻撃の武器を持っておりロゼは別の役目があるため、結界役から外されたようだ。
ということは、結界は神父様が張ってくれると言うことだね。
「結界はアンジュが張りなさい」
「え?私?」
張れなくもないけど、結界って私にとってあまりメリットがないから、使わないんだよね。
「発動の文言ってなんだっけ?」
「普通に結界だけど?たまには普通の魔術も使ったほうがいいよ」
ロゼが教えてくれたけど、この世界の結界って簡単に言うと、魔力で作った蜘蛛の巣みたいなものなんだよ。
その糸の強固さで、結界の強度が決まってくる。だから微妙に隙間がある。
ロゼの結界はその糸の強固さと密度のバランスがいい。
私はその結界の使い勝手がいいとは思わなかっただけのこと。結界とは面だ。これが私の考え方。
多分、神父様の空間を断絶する結界の考え方に近いと思う。
「アンジュ。盾の方の結界です」
「え?そっち?」
「今日は風が強いですよね。その風が邪魔だとは思いませんか?」
悪魔神父。いったいどこから私達の話を聞いていたんだ?ただでさえ気配を感じない神父様に、空間断絶の結界を使われたら、こっちは全く感知できないと思う。
「それから、私にもその盾の構成を説明して欲しいですね」
絶対に初めから潜んでいたよね!この悪魔神父!
「それは森の中心に行ってからするよ。結界を張るのもね」
私はそう言って、ルディのワイバーンに向って行く。何度かルディに私専用のワイバーンが欲しいと言ったけど、却下され続けているのだった。
そして、ワイバーンで降り立ったところは、開けた場所。いや、日がある内に見回って複数体のワイバーンが降り立てる場所は一つしかなかった。
そう、茨木が見つけた黒い泉のようにモヤが穴の中に漂っている場所だ。そこは激しい戦闘の跡で木々がなぎ倒され、一番広い場所だったのだ。
「いい夜になりそうですね」
暗闇の場所には位置がわかるように周りの木々に魔道ランプが括り付けられている。その魔道ランプに照らされた茨木が、私達の到着を待っていた。
「酒吞も合図があり次第、始めるとのことですよ」
今日は月の光がないので、上空からだと目的地の判別ができないため、茨木に目印をつけてくれるように頼んでいたのだ。そして、酒吞は夜叉の行動を見張ってくれているはずだ。
こちらが準備でき次第、ここに夜叉を誘導して……くれるのは無理だと思うので、好きなだけ暴れて夜叉を弱らせてくれればいいと言っている。
夜叉と酒吞をこちらの方に誘導してくれるのは、茨木とファル、上空からロゼが行い。補助とこちらへの通信役でリザ姉がついて行く作戦だ。
そして、こちらに誘導された夜叉に対して、隊長クラスであるルディと第十二部隊長さんと神父様が、タコ殴り……総攻撃を行うことが決められた。
まぁ、これは所詮机上の空論なので、実際は臨機応変に対処することになるだろう。
え?私?私は……指揮官だ。何故に私が指揮官なのかわからないけど、全体の指揮をとるように神父様から言われたのだ。
いや、そのまま神父様が指揮をとればいいと思うのだけど?
「茨木。こちらも準備ができ次第、始めるよ。茨木は、ファル様とリザ姉を案内してあげて」
「アンジュ様もこのいい夜を楽しんでください。では、参りましょう」
茨木も見た目ではわからなかったけど、酒吞と同じように、この戦いが楽しみだったようだ。
「本当に俺とリザネイエ第十二副部隊長だけで行くのか?」
ファルは不安を滲み出しているけど、直接戦うのは酒吞と茨木で、ファルはえげつない魔術を出す聖剣で応戦してくれたらいいだけだよ。それに……
「守り石を渡したから、一度死ぬぐらいの攻撃は肩代わりしてくれると思う。まぁ、外したときの反動もそれなりにあるけどね」
「それ絶対に欠陥品じゃないか!」
「大丈夫。白銀の王様に渡したやつより、全く効果はないから」
神父様以外には今日倒して回収した幻狼の魔石で作った守り石を渡してある。王様に渡したドラゴンほどの力はないけど、程々に効果はある。だけど、外したときの反動はそれなりにある。
けれど、それも神父様の守り石ほどじゃない。
神父様に作った守り石。あの元の石は精霊石とか言っていた。
私は絶対に視界に入れないようにしていたけど、神父様の肩に止まっている赤い色の羽を持つ鳥には誰も触れないでいる。
悪魔神父は使い魔を得てしまった。
そして、それを見てしまった魔王様の背後が歪んでいるのも、誰も触れないのだった。
ただ一人、まだこの場に来ていなかった銀色のフルプレートアーマーが偉そうな青色のマントをまとい、ワイバーンを引きつれてやってきた。
重役出勤の神父様だ。いや、丁度2300になったところだ。
「今回は王都の側ということで、黒狼たちに監視の目になってもらわないと、一般人が被害に遭っては大変ですからね」
一般人と言ったことは、他の騎士団の人が被害に遭ってもそれは、預かり知らないと……。どれだけ仲が悪いのだろう。
「さて行きましょうか」
フルフェイスを被っていて表情はわからないけど、胡散臭い笑顔を浮かべているんだろうなという神父様から作戦開始の合図がされた。
「リュミエール神父様。では、ここから北の森を覆う結界を張ればいいのですか?」
ロゼが早速結界を張ろうとする。王都の北側に広がる広大な場所を結界で覆おうとしているのだ。結界は人が入って来ないようにという意味がある。だから、朧たち黒狼は森の外で待機しているのだろう。
「何を言っているのですか?ロゼの弓は何の為にあるのですか?敵が別の方向に移動しだしたらワイバーンから撃って誘導するのですよ」
聖騎士には珍しく遠距離攻撃の武器を持っておりロゼは別の役目があるため、結界役から外されたようだ。
ということは、結界は神父様が張ってくれると言うことだね。
「結界はアンジュが張りなさい」
「え?私?」
張れなくもないけど、結界って私にとってあまりメリットがないから、使わないんだよね。
「発動の文言ってなんだっけ?」
「普通に結界だけど?たまには普通の魔術も使ったほうがいいよ」
ロゼが教えてくれたけど、この世界の結界って簡単に言うと、魔力で作った蜘蛛の巣みたいなものなんだよ。
その糸の強固さで、結界の強度が決まってくる。だから微妙に隙間がある。
ロゼの結界はその糸の強固さと密度のバランスがいい。
私はその結界の使い勝手がいいとは思わなかっただけのこと。結界とは面だ。これが私の考え方。
多分、神父様の空間を断絶する結界の考え方に近いと思う。
「アンジュ。盾の方の結界です」
「え?そっち?」
「今日は風が強いですよね。その風が邪魔だとは思いませんか?」
悪魔神父。いったいどこから私達の話を聞いていたんだ?ただでさえ気配を感じない神父様に、空間断絶の結界を使われたら、こっちは全く感知できないと思う。
「それから、私にもその盾の構成を説明して欲しいですね」
絶対に初めから潜んでいたよね!この悪魔神父!
「それは森の中心に行ってからするよ。結界を張るのもね」
私はそう言って、ルディのワイバーンに向って行く。何度かルディに私専用のワイバーンが欲しいと言ったけど、却下され続けているのだった。
そして、ワイバーンで降り立ったところは、開けた場所。いや、日がある内に見回って複数体のワイバーンが降り立てる場所は一つしかなかった。
そう、茨木が見つけた黒い泉のようにモヤが穴の中に漂っている場所だ。そこは激しい戦闘の跡で木々がなぎ倒され、一番広い場所だったのだ。
「いい夜になりそうですね」
暗闇の場所には位置がわかるように周りの木々に魔道ランプが括り付けられている。その魔道ランプに照らされた茨木が、私達の到着を待っていた。
「酒吞も合図があり次第、始めるとのことですよ」
今日は月の光がないので、上空からだと目的地の判別ができないため、茨木に目印をつけてくれるように頼んでいたのだ。そして、酒吞は夜叉の行動を見張ってくれているはずだ。
こちらが準備でき次第、ここに夜叉を誘導して……くれるのは無理だと思うので、好きなだけ暴れて夜叉を弱らせてくれればいいと言っている。
夜叉と酒吞をこちらの方に誘導してくれるのは、茨木とファル、上空からロゼが行い。補助とこちらへの通信役でリザ姉がついて行く作戦だ。
そして、こちらに誘導された夜叉に対して、隊長クラスであるルディと第十二部隊長さんと神父様が、タコ殴り……総攻撃を行うことが決められた。
まぁ、これは所詮机上の空論なので、実際は臨機応変に対処することになるだろう。
え?私?私は……指揮官だ。何故に私が指揮官なのかわからないけど、全体の指揮をとるように神父様から言われたのだ。
いや、そのまま神父様が指揮をとればいいと思うのだけど?
「茨木。こちらも準備ができ次第、始めるよ。茨木は、ファル様とリザ姉を案内してあげて」
「アンジュ様もこのいい夜を楽しんでください。では、参りましょう」
茨木も見た目ではわからなかったけど、酒吞と同じように、この戦いが楽しみだったようだ。
「本当に俺とリザネイエ第十二副部隊長だけで行くのか?」
ファルは不安を滲み出しているけど、直接戦うのは酒吞と茨木で、ファルはえげつない魔術を出す聖剣で応戦してくれたらいいだけだよ。それに……
「守り石を渡したから、一度死ぬぐらいの攻撃は肩代わりしてくれると思う。まぁ、外したときの反動もそれなりにあるけどね」
「それ絶対に欠陥品じゃないか!」
「大丈夫。白銀の王様に渡したやつより、全く効果はないから」
神父様以外には今日倒して回収した幻狼の魔石で作った守り石を渡してある。王様に渡したドラゴンほどの力はないけど、程々に効果はある。だけど、外したときの反動はそれなりにある。
けれど、それも神父様の守り石ほどじゃない。
神父様に作った守り石。あの元の石は精霊石とか言っていた。
私は絶対に視界に入れないようにしていたけど、神父様の肩に止まっている赤い色の羽を持つ鳥には誰も触れないでいる。
悪魔神父は使い魔を得てしまった。
そして、それを見てしまった魔王様の背後が歪んでいるのも、誰も触れないのだった。
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