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281 無敵モードになった
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「うわぁ。凶悪過ぎる」
私達は再び神父様の結界に覆われて、私の重力の聖痕の力で移動することになった。
そして、ファルはまだ意識が戻らず、眠ったままだ。きっと目を覚ましたら絶叫しているだろう。
「なんだ!これは―!」
ってな感じで……どうやら目を覚ましたようだ。
「ファル様。おはよう。二十四階層だよ」
一応、次の階層に行ったことを伝えておく。
「いやいやいや。ちょっと待て!その前にこれはなんだ!」
なんだと言われても……私を抱えているルディをチラ見する。満足そうな顔をしていた。
「幻影が凄く歪んでいるぞ!」
そう歪んでいる。どう歪んでいるかといえば、大したことはない。私達の周りにある神父様の空間断絶の結界の外にルディの空間侵食の膜が広がり、結界から1メル程の空間が切り取られたかのように何も映さなくなったのだ。その影響で、その周りの映像が乱れている。
ルディの聖痕はとても凶悪だった。しかしお陰で、地面すれすれを移動すれば、そのうち地下に続く階段が、幻影に邪魔をされずに発見できることになった。
流石に聖痕を三種類かけ合わせると、無敵モードになってしまった。
そして問題の二十四階層と言えば、暗闇の凍りついた世界になっていた。真っ白な雪が吹雪いている世界が、私達の周りだけ、吹雪く雪が歪み、続いて何もない空間になっている。
ここまでされると、流石に幻影だと思わされる。
だけど、もしこれを結界なしで進むとすれば、行倒れていた可能性がある。
吹雪だよ。今着ている服って、ただの隊服だよ。
絶対に凍え死んでいたね。
それで今回の追いかける対象人物は、雪の中を歩く獅子の獣人。聖王だ。
一人。ただ一人雪の中を歩いて、魔物と戦っている。彼に付き従う者は誰も居なかった。暗闇の中、己が手にもつ松明だけが頼りで進み、己の命を守り、唯一の明かりを守るように戦っていた。
「何を探しているのでしょうね?」
神父様がおかしなことを言った。
探している?この吹雪の中で?
「ここってどの辺りなんだろう?」
何かを探すにしても、こんな吹雪いているところなんて、見つかるものも見つからないよ。
「そうですねー」
神父様も周りを見渡しているけど、暗闇の中こんなに吹雪いていると、めぼしい風景は見つけられないようだ。
「おい! あっちで何か光ったぞ」
酒吞が何かを見つけたらしい。こんな吹雪の中で光る物ってなんだろう?
目を凝らすと、吹雪の中で赤く光る物が見える。それも高い位置にだ。
「火山ですね」
茨木が言い切る。確かに位置的に高い場所で赤く光っているのがかすかに見える。だけど、私の目にはそれが火山かどうかの確証はできない。
「ということは、再び南に来たということですね」
神父様の言葉に、普通なら見える王都とキルクスを隔てる高い山脈を探してみるけど、私の目には吹雪しか映らなかった。
だけど、獅子の聖王の向かっている先に巨大な影が見えてくる。
あの緑の手をもつ女性が命と引き換えに、創り出した巨大樹の姿だ。
そして、獅子の聖王はその大樹の根本にたどり着く。そこには松明を掲げた数人の見張りの人が、これ以上聖王を進ませないように、武器を構えていた。
『∑ηπρΑΑΔ‼』
『ψΗωχηουΔθ』
『ζΕοχχφπΓπ!』
『πιφξνΕΖροοξΘχυ‼』
遠すぎるのと、吹雪の所為で何を言っているのかさっぱりわからない。
何を言っているかはわからないけど、多分近づくなとか去れみたいなことを見張りの人が言って、獅子の聖王は敵意はないと武器を置いたものの、見張りは聞く耳は持たないという感じだ。
あ……聖王がボコられ始めた。私からみれば、こうなることはわかっていたよ。今まで虐げていた人たちに、話し合いか何かをしたかったようだけど、無駄だよね。
そして、ぼろぼろになった聖王は見張りの人に遠くに連れて行かれて、置いていかれた。
……これ見せられたからってなに?意味がわからないのだけど?
「これでどうしろって言うわけ?」
「この場合は聖王を助けると次の道が開くのではないのですか?」
「ないよねー」
私は次の階層に続く道を探すために、神父様の結界を地面に下ろす。そして、白い雪の地面に近づくと、映像が歪み始め、石の床が見えた。
「おお、流石ルディ。これ凄いよ」
私は面倒なことをさせられずに進めることを、ルディに感謝する。
「さっき。凶悪って言っているのを聞こえたが?」
「え?それはダンジョンのヌシにとってだね」
一応褒め言葉だと言っておく。けれど、普通は空間を断絶することも、干渉することも出来ないからね。
そして、聖王が血だらけで倒れている近くにくると、黒い闇の床の端が見えてきた。やはり、聖王の近くだったか。
すると唸り声が耳に入ってくる。
なに?死にかけの聖王の唸り声かな?
そう思った瞬間、雪の上に倒れていた聖王の身体が消え、すぐ近くに爪をむき出しにして腕を振り下ろしてくる獅子王の姿があった。
最悪だ。
私達は再び神父様の結界に覆われて、私の重力の聖痕の力で移動することになった。
そして、ファルはまだ意識が戻らず、眠ったままだ。きっと目を覚ましたら絶叫しているだろう。
「なんだ!これは―!」
ってな感じで……どうやら目を覚ましたようだ。
「ファル様。おはよう。二十四階層だよ」
一応、次の階層に行ったことを伝えておく。
「いやいやいや。ちょっと待て!その前にこれはなんだ!」
なんだと言われても……私を抱えているルディをチラ見する。満足そうな顔をしていた。
「幻影が凄く歪んでいるぞ!」
そう歪んでいる。どう歪んでいるかといえば、大したことはない。私達の周りにある神父様の空間断絶の結界の外にルディの空間侵食の膜が広がり、結界から1メル程の空間が切り取られたかのように何も映さなくなったのだ。その影響で、その周りの映像が乱れている。
ルディの聖痕はとても凶悪だった。しかしお陰で、地面すれすれを移動すれば、そのうち地下に続く階段が、幻影に邪魔をされずに発見できることになった。
流石に聖痕を三種類かけ合わせると、無敵モードになってしまった。
そして問題の二十四階層と言えば、暗闇の凍りついた世界になっていた。真っ白な雪が吹雪いている世界が、私達の周りだけ、吹雪く雪が歪み、続いて何もない空間になっている。
ここまでされると、流石に幻影だと思わされる。
だけど、もしこれを結界なしで進むとすれば、行倒れていた可能性がある。
吹雪だよ。今着ている服って、ただの隊服だよ。
絶対に凍え死んでいたね。
それで今回の追いかける対象人物は、雪の中を歩く獅子の獣人。聖王だ。
一人。ただ一人雪の中を歩いて、魔物と戦っている。彼に付き従う者は誰も居なかった。暗闇の中、己が手にもつ松明だけが頼りで進み、己の命を守り、唯一の明かりを守るように戦っていた。
「何を探しているのでしょうね?」
神父様がおかしなことを言った。
探している?この吹雪の中で?
「ここってどの辺りなんだろう?」
何かを探すにしても、こんな吹雪いているところなんて、見つかるものも見つからないよ。
「そうですねー」
神父様も周りを見渡しているけど、暗闇の中こんなに吹雪いていると、めぼしい風景は見つけられないようだ。
「おい! あっちで何か光ったぞ」
酒吞が何かを見つけたらしい。こんな吹雪の中で光る物ってなんだろう?
目を凝らすと、吹雪の中で赤く光る物が見える。それも高い位置にだ。
「火山ですね」
茨木が言い切る。確かに位置的に高い場所で赤く光っているのがかすかに見える。だけど、私の目にはそれが火山かどうかの確証はできない。
「ということは、再び南に来たということですね」
神父様の言葉に、普通なら見える王都とキルクスを隔てる高い山脈を探してみるけど、私の目には吹雪しか映らなかった。
だけど、獅子の聖王の向かっている先に巨大な影が見えてくる。
あの緑の手をもつ女性が命と引き換えに、創り出した巨大樹の姿だ。
そして、獅子の聖王はその大樹の根本にたどり着く。そこには松明を掲げた数人の見張りの人が、これ以上聖王を進ませないように、武器を構えていた。
『∑ηπρΑΑΔ‼』
『ψΗωχηουΔθ』
『ζΕοχχφπΓπ!』
『πιφξνΕΖροοξΘχυ‼』
遠すぎるのと、吹雪の所為で何を言っているのかさっぱりわからない。
何を言っているかはわからないけど、多分近づくなとか去れみたいなことを見張りの人が言って、獅子の聖王は敵意はないと武器を置いたものの、見張りは聞く耳は持たないという感じだ。
あ……聖王がボコられ始めた。私からみれば、こうなることはわかっていたよ。今まで虐げていた人たちに、話し合いか何かをしたかったようだけど、無駄だよね。
そして、ぼろぼろになった聖王は見張りの人に遠くに連れて行かれて、置いていかれた。
……これ見せられたからってなに?意味がわからないのだけど?
「これでどうしろって言うわけ?」
「この場合は聖王を助けると次の道が開くのではないのですか?」
「ないよねー」
私は次の階層に続く道を探すために、神父様の結界を地面に下ろす。そして、白い雪の地面に近づくと、映像が歪み始め、石の床が見えた。
「おお、流石ルディ。これ凄いよ」
私は面倒なことをさせられずに進めることを、ルディに感謝する。
「さっき。凶悪って言っているのを聞こえたが?」
「え?それはダンジョンのヌシにとってだね」
一応褒め言葉だと言っておく。けれど、普通は空間を断絶することも、干渉することも出来ないからね。
そして、聖王が血だらけで倒れている近くにくると、黒い闇の床の端が見えてきた。やはり、聖王の近くだったか。
すると唸り声が耳に入ってくる。
なに?死にかけの聖王の唸り声かな?
そう思った瞬間、雪の上に倒れていた聖王の身体が消え、すぐ近くに爪をむき出しにして腕を振り下ろしてくる獅子王の姿があった。
最悪だ。
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