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240 暗闇の中の扉
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私の寝言にいちいち反応するなと言ったもののルディの機嫌が良くなることはなく。ルディがアンジュから大好きと言われたいと、言ってきたので仕方がなく。
「ルディダイスキ」
とカタコトでルディの要望を叶えたら、今朝からの不機嫌が何だったのかと言わんばかりに機嫌が良くなった。
カタコトで良かったらしい。
そして、豪華な馬車はトンネルに入ったかのように、暗闇に包まれた。
「暗い」
ボソッと言うと、向かい側のファルの座っている席から明かりが灯された。ランプ型をしているけど、中は火ではなく、丸い光源が入っているようだ。
「それが魔道具?」
「そうですよ」
神父様から肯定の言葉が出てきた。でもこれって……
「一般的な手持ち?」
「あ?普通は手持ちだろう?」
まぁ、一般的な魔道ランプも手持ちだけど、ダンジョンに潜るのに片手が塞がれるのはどうなんだろうっと思ってしまっただけだ。それに、このタイプは以前私も持っていた。
「ねぇ、今から行くダンジョンってどんなところ?」
「強いて言うなら己の闇と戦うところだな」
今度はルディが答えてくれた。己の闇?
「自分自身に向き合わされる場所ですね」
これが神父様の言う過去を見せつけられるということか。
「じゃ、魔物はいないってこと?」
「いや、居るには居るがそこまで強くない」
ファルが曖昧な言い方をした。なんだろう?普通の魔物じゃないみたい。
「身体強化使えないと、クズ以下に成り下がるけど、大丈夫?」
「は?」
「え?」
「疲れたら、抱えてあげますよ」
あれ?ルディもファルも私が常に身体強化使っているって、知らなかったってこと?それから、神父様。恐ろしい言葉が聞こえたのはきっと気の所為だよね。神父様が私を抱えてあげるだなんて……。
「自力で頑張ります」
「そうしてくださいね。第一層でふるいにかけられますから、自力で攻略してください」
神父様のその言い方だと、第一層は単独行動だと言っている?
「第一層を抜けれないと、どうなるわけ?」
「入口に戻るだけだ」
ということは、以前は何度か失敗したってことか。この三人が?単独行動で第一層を攻略できなかった?
ちょっと私には理解できなかった。ある意味チートな三人だ。彼らが攻略できない阻害物として、何が存在するのだろう。
そして、私は真っ暗闇の中に立たされた。いや、私の手には魔道ランプがある。それもこれは特注の高性能の魔道具らしい。
そのランプの光が目先1メルも照らさない。足元がギリギリ見える範囲だ。
「夜目が効く俺でもキツイな」
鬼である酒吞が言っている。そこは丸い光があり、酒吞の身体を照らしているものの、ガタイのいい彼は光が届く範囲より背が高く、その顔は私からは見ることができなかった。
「全くですね。この明かりがなければ、進むのは厳しいです」
同じく鬼である茨木も同意見らしい。
「第二層からはもう少し視界が良好になりますよ」
その様に言う神父様は既に先に進んでおり、ランプを掲げて来るように促している。
そして、背後からはムチを振るう音が聞こえ、馬車の車輪の音がガラガラと聞こえてきた。え?帰りはどうするわけ?
「迎えは5日後と言っています」
私の不安を何故か感じ取ったのか、神父様が教えてくれた。そうか5日はかかると見込んでいるわけか。だから、酒吞の荷物が大きい訳だ。
一応、私の背中にもリュックはあるけどね。
「さて、ここがダンジョンの入口の扉ですが、一人ひとりしか入れません。恐らくこれは資格が無いものを入れないためだと思われます」
ああ、王様が言っていた入る条件っていうやつね。
「入れば、何があっても惑わされずに、まっすぐ歩いてください。私が言えるのはそれだけです」
そう言って神父様は恐らくそこに入口の扉があるのだろうという場所から姿を消した。
如何せん、視界が不良のため、神父様の居た場所に扉があるのかわからない。
「じゃ、次は俺が行くか」
そう言って、酒吞が闇の中に消え、次に茨木。そして、ファルも中に入って行った。
「アンジュ。先に行け」
ルディに背中を押されて前に行く。魔道ランプをかざすと、確かに両開きの取っ手のようなモノがあった。
「アンジュ。惑わされずにまっすぐ進め」
「わかったよ」
そう言って私は取っ手を掴む。開かないけど?
「アンジュ。指輪がある方の手だ」
はっ!秘密の扉の鍵っていう指輪。左手は魔道ランプを持っていたため、右手に持ち替えて、左手で取っ手をとった。すると音もなく、すーっと扉が開きその先も闇が広がっている。
真っ直ぐだね。そう思って私は一歩を踏み出したのだった。
「ルディダイスキ」
とカタコトでルディの要望を叶えたら、今朝からの不機嫌が何だったのかと言わんばかりに機嫌が良くなった。
カタコトで良かったらしい。
そして、豪華な馬車はトンネルに入ったかのように、暗闇に包まれた。
「暗い」
ボソッと言うと、向かい側のファルの座っている席から明かりが灯された。ランプ型をしているけど、中は火ではなく、丸い光源が入っているようだ。
「それが魔道具?」
「そうですよ」
神父様から肯定の言葉が出てきた。でもこれって……
「一般的な手持ち?」
「あ?普通は手持ちだろう?」
まぁ、一般的な魔道ランプも手持ちだけど、ダンジョンに潜るのに片手が塞がれるのはどうなんだろうっと思ってしまっただけだ。それに、このタイプは以前私も持っていた。
「ねぇ、今から行くダンジョンってどんなところ?」
「強いて言うなら己の闇と戦うところだな」
今度はルディが答えてくれた。己の闇?
「自分自身に向き合わされる場所ですね」
これが神父様の言う過去を見せつけられるということか。
「じゃ、魔物はいないってこと?」
「いや、居るには居るがそこまで強くない」
ファルが曖昧な言い方をした。なんだろう?普通の魔物じゃないみたい。
「身体強化使えないと、クズ以下に成り下がるけど、大丈夫?」
「は?」
「え?」
「疲れたら、抱えてあげますよ」
あれ?ルディもファルも私が常に身体強化使っているって、知らなかったってこと?それから、神父様。恐ろしい言葉が聞こえたのはきっと気の所為だよね。神父様が私を抱えてあげるだなんて……。
「自力で頑張ります」
「そうしてくださいね。第一層でふるいにかけられますから、自力で攻略してください」
神父様のその言い方だと、第一層は単独行動だと言っている?
「第一層を抜けれないと、どうなるわけ?」
「入口に戻るだけだ」
ということは、以前は何度か失敗したってことか。この三人が?単独行動で第一層を攻略できなかった?
ちょっと私には理解できなかった。ある意味チートな三人だ。彼らが攻略できない阻害物として、何が存在するのだろう。
そして、私は真っ暗闇の中に立たされた。いや、私の手には魔道ランプがある。それもこれは特注の高性能の魔道具らしい。
そのランプの光が目先1メルも照らさない。足元がギリギリ見える範囲だ。
「夜目が効く俺でもキツイな」
鬼である酒吞が言っている。そこは丸い光があり、酒吞の身体を照らしているものの、ガタイのいい彼は光が届く範囲より背が高く、その顔は私からは見ることができなかった。
「全くですね。この明かりがなければ、進むのは厳しいです」
同じく鬼である茨木も同意見らしい。
「第二層からはもう少し視界が良好になりますよ」
その様に言う神父様は既に先に進んでおり、ランプを掲げて来るように促している。
そして、背後からはムチを振るう音が聞こえ、馬車の車輪の音がガラガラと聞こえてきた。え?帰りはどうするわけ?
「迎えは5日後と言っています」
私の不安を何故か感じ取ったのか、神父様が教えてくれた。そうか5日はかかると見込んでいるわけか。だから、酒吞の荷物が大きい訳だ。
一応、私の背中にもリュックはあるけどね。
「さて、ここがダンジョンの入口の扉ですが、一人ひとりしか入れません。恐らくこれは資格が無いものを入れないためだと思われます」
ああ、王様が言っていた入る条件っていうやつね。
「入れば、何があっても惑わされずに、まっすぐ歩いてください。私が言えるのはそれだけです」
そう言って神父様は恐らくそこに入口の扉があるのだろうという場所から姿を消した。
如何せん、視界が不良のため、神父様の居た場所に扉があるのかわからない。
「じゃ、次は俺が行くか」
そう言って、酒吞が闇の中に消え、次に茨木。そして、ファルも中に入って行った。
「アンジュ。先に行け」
ルディに背中を押されて前に行く。魔道ランプをかざすと、確かに両開きの取っ手のようなモノがあった。
「アンジュ。惑わされずにまっすぐ進め」
「わかったよ」
そう言って私は取っ手を掴む。開かないけど?
「アンジュ。指輪がある方の手だ」
はっ!秘密の扉の鍵っていう指輪。左手は魔道ランプを持っていたため、右手に持ち替えて、左手で取っ手をとった。すると音もなく、すーっと扉が開きその先も闇が広がっている。
真っ直ぐだね。そう思って私は一歩を踏み出したのだった。
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