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229 結構の人誑し……?
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「それは組織として問題ですね」
団長ぐらい、そこにいるだけで圧迫感がある厳つい人なら、団長を知らなくても、逆らったらいけない人っていう感じがする。だけど、侍従って裏方って感じがするから、逆らったら駄目な人という印象はない。
「アンジュ。アンジュはシュレインの所為で無かったが、騎士の剣の授与は、団長からで、侍従フリーデンハイドはその傍らにいるからな」
ファルが私の言葉を否定してきた。普通なら侍従は団長と共に行動する偉い人という印象がつけられると。
でもそれって、この状況で役に立つ情報だと思われない。
「ファル様。確かに、ここには半分程の騎士が来ていないけれど、恐らく従騎士も集まるように命令されてたのでしょ?」
第12部隊だけが異様に人数が多かったのは、王都に今いる第12部隊に所属している者たちを集合させたからだ。それは詰め所として一棟分の建物が充てがわれるよねという人数だった。正確には数えられなかったけれど、150人ぐらいはいたと思われる。
それは一部隊だけ大人数にもなるよね。
「私はここに来て、まだ半年も経っていないけど、会議室と王様がいた部屋ぐらいしか団長と会ったことないよ」
きっと私が将校という地位につかなければ、会うことの無かった人物だ。
「それに侍従は暇な王様がここに来なければ、頻繁には会わなかったと思う」
「アンジュ!陛下は暇ではない!」
王様大好きファルが怒ってきたけど、あの王様は絶対に暇だと思う。
「というぐらい上官に会うことがない」
「そうですね。他の上層部の者もほどんど顔を出しませんからね」
ん?他に人がいたんだ。あ……確かに副団長の地位があるのは習ったけど、それらしき人物を見たことがない。
それはきっと侍従の立ち位置が普通とは異なっているから、団長と一緒に行動するのが侍従になっているのか。
「なので、侍従のことを『誰こいつ』って思う人はいると思います」
「アンジュ。言っておきますが、階級章というものがあるので、それで判断できない時点でアウトです」
はっ!聖騎士団に入る予定がなかったので、襟の飾りのような紋様の階級章があることをすっかり忘れていた。隊服の襟のところには各部隊を現した紋様と、階級を現した紋様がついているけど、パッと見た目は襟飾りにしか見えない。
「では私はアウトなので、ここを……」
去っていいかと言おうとしたら、背後から怪しい気配が感じられた。
「アンジュ。誓約書にサインしたのを忘れているのか?」
地の底を這うような声が、頭上から降ってきた。も……もちろん、わわわ……忘れてはいないよ。あ、あれだね。私がルディと結婚しないと手首が落ちるっていうやつ。
「覚えているよ」
「覚えているというのに、よくその先を言おうと思ったよな」
はっきり言って、あの誓約は私を縛り付けるには少し弱い。恐らくルディもそのことはわかっているはず。
「ルディ。この世界にはまだまだ美味しいものがあるはず!美味しいものを探す旅は諦めきれないよね!」
「ぶはっ!結局そこなのか!」
ファルの笑い上戸が発動してしまった。最近はそんなことないと思っていたけど、ヒィーヒィーっと言ってお腹を抱えている。そこまで面白いことは言っていない。
「旅に出る時は声をかけろよ。アマテラス」
「面白そうなので、お供をいたしますよ。アンジュ様」
鬼の二人は面白そうという一点のみで、私に付いてきたいと言っている。
「私を置いていかないでいただきたいです。御主人様」
うおっ!いつのまにか朧が直ぐ側にいた。今まで姿を消していたのだろうけど、気配も何も無かったところから、突然現れないでほしい。
「昔からアンジュはよくモテますね」
シスター・マリアがおかしなことを言ってきた。
昔からいじめられて来たことは事実だ。だから、モテたことは一切ない。……幼女に依存したルディ以外はと付け加えておくけど。
「シスター・マリア。そのことは後ほど詳しく聞きたいですね」
「まぁ、シュレイン。聞きたいの?アンジュは結構人誑しだから、たくさんいますよ」
「知っていますよ」
ルディは背後から私の両肩に手を置いて、ミシミシと骨が鳴るほど力を入れてきた。私は人誑しじゃないからね!
「それはシスター・マリアの勘違いだと思う」
「そうでもないですよ。ほら、アンジュによくつかかっていたゼクトデュナミスもその一人ですよ」
……ない。それは絶対にない。顔を合わせる度に、何かとグチグチと言ってきたヤツだ。ゼクトなんたらかんたらから、モテているということは死んでもない。
これはシスター・マリアの目が悪い説が出てきた。
「シスター・マリア。老眼になったのなら治してあげましょうか?」
「私は聖書もはっきりと読めます。リュミエール神父と同類にしないように」
そうか。神父様は老眼なのか。怖くてそちらの方に視線を向けられないけどね。
団長ぐらい、そこにいるだけで圧迫感がある厳つい人なら、団長を知らなくても、逆らったらいけない人っていう感じがする。だけど、侍従って裏方って感じがするから、逆らったら駄目な人という印象はない。
「アンジュ。アンジュはシュレインの所為で無かったが、騎士の剣の授与は、団長からで、侍従フリーデンハイドはその傍らにいるからな」
ファルが私の言葉を否定してきた。普通なら侍従は団長と共に行動する偉い人という印象がつけられると。
でもそれって、この状況で役に立つ情報だと思われない。
「ファル様。確かに、ここには半分程の騎士が来ていないけれど、恐らく従騎士も集まるように命令されてたのでしょ?」
第12部隊だけが異様に人数が多かったのは、王都に今いる第12部隊に所属している者たちを集合させたからだ。それは詰め所として一棟分の建物が充てがわれるよねという人数だった。正確には数えられなかったけれど、150人ぐらいはいたと思われる。
それは一部隊だけ大人数にもなるよね。
「私はここに来て、まだ半年も経っていないけど、会議室と王様がいた部屋ぐらいしか団長と会ったことないよ」
きっと私が将校という地位につかなければ、会うことの無かった人物だ。
「それに侍従は暇な王様がここに来なければ、頻繁には会わなかったと思う」
「アンジュ!陛下は暇ではない!」
王様大好きファルが怒ってきたけど、あの王様は絶対に暇だと思う。
「というぐらい上官に会うことがない」
「そうですね。他の上層部の者もほどんど顔を出しませんからね」
ん?他に人がいたんだ。あ……確かに副団長の地位があるのは習ったけど、それらしき人物を見たことがない。
それはきっと侍従の立ち位置が普通とは異なっているから、団長と一緒に行動するのが侍従になっているのか。
「なので、侍従のことを『誰こいつ』って思う人はいると思います」
「アンジュ。言っておきますが、階級章というものがあるので、それで判断できない時点でアウトです」
はっ!聖騎士団に入る予定がなかったので、襟の飾りのような紋様の階級章があることをすっかり忘れていた。隊服の襟のところには各部隊を現した紋様と、階級を現した紋様がついているけど、パッと見た目は襟飾りにしか見えない。
「では私はアウトなので、ここを……」
去っていいかと言おうとしたら、背後から怪しい気配が感じられた。
「アンジュ。誓約書にサインしたのを忘れているのか?」
地の底を這うような声が、頭上から降ってきた。も……もちろん、わわわ……忘れてはいないよ。あ、あれだね。私がルディと結婚しないと手首が落ちるっていうやつ。
「覚えているよ」
「覚えているというのに、よくその先を言おうと思ったよな」
はっきり言って、あの誓約は私を縛り付けるには少し弱い。恐らくルディもそのことはわかっているはず。
「ルディ。この世界にはまだまだ美味しいものがあるはず!美味しいものを探す旅は諦めきれないよね!」
「ぶはっ!結局そこなのか!」
ファルの笑い上戸が発動してしまった。最近はそんなことないと思っていたけど、ヒィーヒィーっと言ってお腹を抱えている。そこまで面白いことは言っていない。
「旅に出る時は声をかけろよ。アマテラス」
「面白そうなので、お供をいたしますよ。アンジュ様」
鬼の二人は面白そうという一点のみで、私に付いてきたいと言っている。
「私を置いていかないでいただきたいです。御主人様」
うおっ!いつのまにか朧が直ぐ側にいた。今まで姿を消していたのだろうけど、気配も何も無かったところから、突然現れないでほしい。
「昔からアンジュはよくモテますね」
シスター・マリアがおかしなことを言ってきた。
昔からいじめられて来たことは事実だ。だから、モテたことは一切ない。……幼女に依存したルディ以外はと付け加えておくけど。
「シスター・マリア。そのことは後ほど詳しく聞きたいですね」
「まぁ、シュレイン。聞きたいの?アンジュは結構人誑しだから、たくさんいますよ」
「知っていますよ」
ルディは背後から私の両肩に手を置いて、ミシミシと骨が鳴るほど力を入れてきた。私は人誑しじゃないからね!
「それはシスター・マリアの勘違いだと思う」
「そうでもないですよ。ほら、アンジュによくつかかっていたゼクトデュナミスもその一人ですよ」
……ない。それは絶対にない。顔を合わせる度に、何かとグチグチと言ってきたヤツだ。ゼクトなんたらかんたらから、モテているということは死んでもない。
これはシスター・マリアの目が悪い説が出てきた。
「シスター・マリア。老眼になったのなら治してあげましょうか?」
「私は聖書もはっきりと読めます。リュミエール神父と同類にしないように」
そうか。神父様は老眼なのか。怖くてそちらの方に視線を向けられないけどね。
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