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219 攻撃は最大の防御。では……
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「リュミエール神父様。そもそもアンジュちゃんより、強くなるのは無理だと思いますわ」
リザ姉が先程神父様が言っていた“聖女より弱い聖騎士は必要か”という言葉に反論しているのだろう。
「強くなる必要はありません」
あれ?神父様の言っていることが矛盾している。聖女より弱くない=聖女より強いということではないと言っている?
「しかし、アンジュの意を汲める者がどれほどいますか?」
私の意?それが何が関係するのだろう。
「私は今までアンジュに指揮をとらせていましたが、今回のことではっきりとわかったでしょう」
確かに神父様は私に何かと意見を求めてきた。嫌がらせかと思っていたけど、そうではなかったらしい。でも、指揮権はいらないよ。
「そこの異形たちは己のやるべきことを、きちんと理解していました。アンジュの行先の露払いをすることです。そして、他の異形に対する情報も的確に報告していましたね」
情報に関しては主に茨木からだけどね。酒呑は思いっきり暴れていただけ、今は朝食が全然足りないと文句を言って、何処からか酒瓶を調達して飲んだくれている。あのお酒は、どこにあったものだろう。
「しかし君たちはどうだったですかね。特にリザネイエとロゼ」
名を呼ばれたリザ姉とロゼの体がビクっと揺れた。名指しされるのは嫌だよね。
「君たちの剣は何の為にあるのですかね」
これは雪女に剣を向けるのを躊躇したことと、龍神の女将さんと玄武の戦いに参加しなかったことを言っているのだと思う。だけど、神が相手とわかると足が竦んでしまうのは仕方がないことじゃないかな。
「し……しかし、リュミエールしし神父様」
あっ、ロゼが声を震わせながら神父様に意見しようとしている。
「私はそそそもそも、防御特化ででですので、本格的なたた戦いとなれば、役に立てません」
そうだよね。ロゼは剣術は普通より少し上という感じだよね。可もなく不可もないといえる。だけど結界の強固さで言えば中々なものだと思う。
「はぁ、そうやって決めつけているところが未熟者なのですよ。ではアンジュは、結界しか使えないと制限かければ、どうしますか?」
え?私に振られてしまった。私は気配を殺して空気のように立っていたのに……。
でも、結界だけという制限か……。
私は未だに足元に展開していた二枚の『反転の盾』から下りて、六角形の透明な板を蹴り上げて両手に持つ。それを神父様に向けて手裏剣のように投げつけた。
投げられた六角形の透明な板は回転しながら、一直線に神父様に向かっていき、神父様に当たろうという瞬間、神父様が動いた。右手を出して二本の指で六角形の透明な板を挟むように受け止め、その透明な板でもう一つを弾いた。
弾かれた六角形の透明な板は食堂のテーブルや椅子を破壊しながら進んで行き、壁を破壊して消えてしまった。
方や神父様が持っている透明な板は、神父様がそのまま握り込んで潰してしまった。だから、私の魔力が一番強いとか嘘だよね。
「どうですか?ロゼ。アンジュは結界を防御としてではなく、武器として扱った。これは理に適っていると思いませんか?」
理に適っていると言われてみても、普通はこのように使わないと思う。
よく言われるのが攻撃は最大の防御だと。しかし、最大の防御もまた攻撃になり得るのではないのかという発想しただけのこと。
「はぁ。アンジュらしい奇想天外な攻撃だね」
ロゼの感想はそれに留まったらしい。しかし、それは神父様の求める答えでは無かったようで、唐突に神父様が右手を上から下に振り下ろした。
すると、風を切る音と共にロゼのローズ色の髪をかすめるように何かが飛んでいった。
「将校として、君は未熟ですね。騎士から出直しますか?そう言えば、訓練をサボっていたと言っていましたし、その方がいいかもしれませんね」
神父様がニコニコと人の良さそうな笑顔を浮かべながら、鬼畜な言葉を言っている。将校から騎士に降格だなんて、普通ではあり得ない。
「リュミエール神父様!そそそれだけは……集団部屋も嫌だし、トイレとシャワーが共同というのも嫌だし、朝食がパンとスープとサラダだけの教会と同じメニューに戻るのは絶っ対にイヤです!」
あれ?私は知らなかったけど、もしかして将校と騎士の待遇って違っていたの?
ロゼの力強い否定に、恐らく教会で過ごした日々が思い出される、生活スタイルの拒否感の表れなのだろう。全身で嫌だというオーラが醸し出されている。
「まぁ、それは王都に戻ってから、実力測定をして決めますよ。将校に残れると良いですね」
悪魔神父の言葉に、ロゼは頭を抱えて叫び声を上げている。
「そもそも、アンジュの行動に付いて行けるヤツって、シュレインぐらいだろう」
ロゼの悲鳴に交じるように、ため息を吐きながらファルが言っている声が聞こえて来た。
失礼だね。私はそこまでおかしな行動は取っていないよ!
リザ姉が先程神父様が言っていた“聖女より弱い聖騎士は必要か”という言葉に反論しているのだろう。
「強くなる必要はありません」
あれ?神父様の言っていることが矛盾している。聖女より弱くない=聖女より強いということではないと言っている?
「しかし、アンジュの意を汲める者がどれほどいますか?」
私の意?それが何が関係するのだろう。
「私は今までアンジュに指揮をとらせていましたが、今回のことではっきりとわかったでしょう」
確かに神父様は私に何かと意見を求めてきた。嫌がらせかと思っていたけど、そうではなかったらしい。でも、指揮権はいらないよ。
「そこの異形たちは己のやるべきことを、きちんと理解していました。アンジュの行先の露払いをすることです。そして、他の異形に対する情報も的確に報告していましたね」
情報に関しては主に茨木からだけどね。酒呑は思いっきり暴れていただけ、今は朝食が全然足りないと文句を言って、何処からか酒瓶を調達して飲んだくれている。あのお酒は、どこにあったものだろう。
「しかし君たちはどうだったですかね。特にリザネイエとロゼ」
名を呼ばれたリザ姉とロゼの体がビクっと揺れた。名指しされるのは嫌だよね。
「君たちの剣は何の為にあるのですかね」
これは雪女に剣を向けるのを躊躇したことと、龍神の女将さんと玄武の戦いに参加しなかったことを言っているのだと思う。だけど、神が相手とわかると足が竦んでしまうのは仕方がないことじゃないかな。
「し……しかし、リュミエールしし神父様」
あっ、ロゼが声を震わせながら神父様に意見しようとしている。
「私はそそそもそも、防御特化ででですので、本格的なたた戦いとなれば、役に立てません」
そうだよね。ロゼは剣術は普通より少し上という感じだよね。可もなく不可もないといえる。だけど結界の強固さで言えば中々なものだと思う。
「はぁ、そうやって決めつけているところが未熟者なのですよ。ではアンジュは、結界しか使えないと制限かければ、どうしますか?」
え?私に振られてしまった。私は気配を殺して空気のように立っていたのに……。
でも、結界だけという制限か……。
私は未だに足元に展開していた二枚の『反転の盾』から下りて、六角形の透明な板を蹴り上げて両手に持つ。それを神父様に向けて手裏剣のように投げつけた。
投げられた六角形の透明な板は回転しながら、一直線に神父様に向かっていき、神父様に当たろうという瞬間、神父様が動いた。右手を出して二本の指で六角形の透明な板を挟むように受け止め、その透明な板でもう一つを弾いた。
弾かれた六角形の透明な板は食堂のテーブルや椅子を破壊しながら進んで行き、壁を破壊して消えてしまった。
方や神父様が持っている透明な板は、神父様がそのまま握り込んで潰してしまった。だから、私の魔力が一番強いとか嘘だよね。
「どうですか?ロゼ。アンジュは結界を防御としてではなく、武器として扱った。これは理に適っていると思いませんか?」
理に適っていると言われてみても、普通はこのように使わないと思う。
よく言われるのが攻撃は最大の防御だと。しかし、最大の防御もまた攻撃になり得るのではないのかという発想しただけのこと。
「はぁ。アンジュらしい奇想天外な攻撃だね」
ロゼの感想はそれに留まったらしい。しかし、それは神父様の求める答えでは無かったようで、唐突に神父様が右手を上から下に振り下ろした。
すると、風を切る音と共にロゼのローズ色の髪をかすめるように何かが飛んでいった。
「将校として、君は未熟ですね。騎士から出直しますか?そう言えば、訓練をサボっていたと言っていましたし、その方がいいかもしれませんね」
神父様がニコニコと人の良さそうな笑顔を浮かべながら、鬼畜な言葉を言っている。将校から騎士に降格だなんて、普通ではあり得ない。
「リュミエール神父様!そそそれだけは……集団部屋も嫌だし、トイレとシャワーが共同というのも嫌だし、朝食がパンとスープとサラダだけの教会と同じメニューに戻るのは絶っ対にイヤです!」
あれ?私は知らなかったけど、もしかして将校と騎士の待遇って違っていたの?
ロゼの力強い否定に、恐らく教会で過ごした日々が思い出される、生活スタイルの拒否感の表れなのだろう。全身で嫌だというオーラが醸し出されている。
「まぁ、それは王都に戻ってから、実力測定をして決めますよ。将校に残れると良いですね」
悪魔神父の言葉に、ロゼは頭を抱えて叫び声を上げている。
「そもそも、アンジュの行動に付いて行けるヤツって、シュレインぐらいだろう」
ロゼの悲鳴に交じるように、ため息を吐きながらファルが言っている声が聞こえて来た。
失礼だね。私はそこまでおかしな行動は取っていないよ!
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