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213 騙された!
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「何か騙された感が半端ない」
庶民が貴族と関わると碌なことはないというのは、教会に居たときから理解していた。
しかし、騙し討ちされるように聖騎士に成ってからというもの、王族を関わる頻度があがった。
実質、聖騎士団は団長が一番トップというより、王弟の立場にいる侍従がその地位にいると言っていい。
それから、物凄く暇なのか白銀の王様と偽物の王様がよく聖騎士団に顔を出している。いや、色々ヤりすぎてしまった白銀の王様が表に出られなくなってしまっただけだけど。
そして、思いもよらなかった神父様の経歴。今は存在しない地位である大将校だったことも意外過ぎだし、本来は王に立つ立場の人物だったということも寝耳に水だった。
そもそも最初からルディに騙されていた。貴族だと思っていたのにまさかの王族。王族ならブタ貴族から守ってもらえると頷いた私も駄目だったのかもしれないけれど。
あのル婚約の契約書にそんな意味合いが含まれていたなんて……いや、あのときはまだ私が天使の聖痕を持っているとは気がついていなかったので、婚約または婚姻をすると必然的に相手が聖騎士として誓約されるということになるのだろう。
というか、聖女の聖騎士に成る方法が多種多様化しすぎていないだろうか。私達が一般的に知っているのは、第12部隊長が行った聖騎士の誓いを聖女に向かって行うということだ。
何故にそんなに聖女の聖騎士に成る方法があるのだろう。これはあれか。聖女を護る為に聖女が拒否しても聖騎士となる方法を多様化させたという感じかな。
大人は汚いね。
「アンジュ。別に騙してはいない。必然だというだけだ」
わかるけど。わかるけど。私の知らないことが多すぎる!私の知識は教会から与えられた知識が元になっているということを考慮して欲しい。
「さて、アンジュ。そろそろ日が沈むから完全に夜になる前に駐屯地の方に戻ろう」
ルディはそう言って私を抱き寄せた。完全に夜になる前に戻るのは賛成だけど、まだみんな戻って来ていないよ。
仕方がないな。
「『そろそろ帰るよー』」
私は響声を使って、辺りに声を響かせた。これはもちろん、木の枝を拾いに行ったファルたちと残っている異形を倒しに行った酒吞たちに伝えるためだ。
「その遠足から帰るような号令は何だ?」
「アンジュらしいと言えばらしいけど」
「まぁ、いいのではないのかしら?」
ファルが太い木の枝を一本肩に担いで戻ってきた。思っていたよりいい木材が残っていたらしい。そして、ロゼは抱えるほどの木の枝を大量に持っているし、リザ姉は少し太めの木の枝を数本持っている。その大量の木の枝をどうするつもりなのだろう。ファルが担いでいる幹と言って良い太い枝があれば、鞘は十分作れると思うのだけど?
そして、ロゼが私に駆け寄って来て、足元に大量の木の枝を置いた。いや、私は焚き火するつもりはないから、木の枝はいらなよ。それも湿気っているし。
「アンジュ! 私とリザ姉にこの枝の中から『これ良いんじゃない』というの選んでよ」
「え? なんで?」
ロゼがよくわからないことを言い出した。ただ木の枝だし、どれも一緒だし。
「神樹っていい枝じゃない、何か作るのにいいと思って」
ああ、御守り的な何かをこの木の枝で作ろうってことだね。
ロゼとリザ姉にかぁ……足元の転がっている木の枝に何も違いはありもしない。ただの木の枝だ。
うーん。適当でいいかな?これとこれ。
「はい、どうぞ。何かを作ったら見せてね」
「ぐふっ。アンジュ、ありがとう」
「アンジュちゃんはいい子ね」
ロゼは含み笑いをしながら受け取り、リザ姉は私の頭を撫でてから、受け取った。
二人の態度が分からず首を捻っていると、二人が手に持った木の枝が変化する。
ロゼが手にした木の枝は弓の弓柄に変化した。弦も矢も存在しない。どうやって矢を放つのだろうというものだ。
リザ姉の木の枝は身の丈ほどの槍に変化した。剣ではなくヤリだ。
っていうか、なんで武器に変化しているわけ?ロゼは手にした弓柄を持って第12部隊長の元に駆け寄っている。
「隊長! 私は弓です! 弓! 流石、神樹の武器ですね。私の得意な武器をよく知っています。今まで剣しか使わせて貰えなかった聖騎士団と違いますね!」
「文句は聖騎士団を作った者に言え、それに私は将校ロゼの武器に関して文句を言った覚えはない」
そんな会話を聞き流しながらリザ姉はニコニコと笑みを浮かべて言う。
「アンジュちゃんから下賜された聖武器を手に、我々は御身に尽くします」
「騙されたー!!」
まさか私から木の枝を渡すと聖騎士を生産できるなんて聞いてないよ!
庶民が貴族と関わると碌なことはないというのは、教会に居たときから理解していた。
しかし、騙し討ちされるように聖騎士に成ってからというもの、王族を関わる頻度があがった。
実質、聖騎士団は団長が一番トップというより、王弟の立場にいる侍従がその地位にいると言っていい。
それから、物凄く暇なのか白銀の王様と偽物の王様がよく聖騎士団に顔を出している。いや、色々ヤりすぎてしまった白銀の王様が表に出られなくなってしまっただけだけど。
そして、思いもよらなかった神父様の経歴。今は存在しない地位である大将校だったことも意外過ぎだし、本来は王に立つ立場の人物だったということも寝耳に水だった。
そもそも最初からルディに騙されていた。貴族だと思っていたのにまさかの王族。王族ならブタ貴族から守ってもらえると頷いた私も駄目だったのかもしれないけれど。
あのル婚約の契約書にそんな意味合いが含まれていたなんて……いや、あのときはまだ私が天使の聖痕を持っているとは気がついていなかったので、婚約または婚姻をすると必然的に相手が聖騎士として誓約されるということになるのだろう。
というか、聖女の聖騎士に成る方法が多種多様化しすぎていないだろうか。私達が一般的に知っているのは、第12部隊長が行った聖騎士の誓いを聖女に向かって行うということだ。
何故にそんなに聖女の聖騎士に成る方法があるのだろう。これはあれか。聖女を護る為に聖女が拒否しても聖騎士となる方法を多様化させたという感じかな。
大人は汚いね。
「アンジュ。別に騙してはいない。必然だというだけだ」
わかるけど。わかるけど。私の知らないことが多すぎる!私の知識は教会から与えられた知識が元になっているということを考慮して欲しい。
「さて、アンジュ。そろそろ日が沈むから完全に夜になる前に駐屯地の方に戻ろう」
ルディはそう言って私を抱き寄せた。完全に夜になる前に戻るのは賛成だけど、まだみんな戻って来ていないよ。
仕方がないな。
「『そろそろ帰るよー』」
私は響声を使って、辺りに声を響かせた。これはもちろん、木の枝を拾いに行ったファルたちと残っている異形を倒しに行った酒吞たちに伝えるためだ。
「その遠足から帰るような号令は何だ?」
「アンジュらしいと言えばらしいけど」
「まぁ、いいのではないのかしら?」
ファルが太い木の枝を一本肩に担いで戻ってきた。思っていたよりいい木材が残っていたらしい。そして、ロゼは抱えるほどの木の枝を大量に持っているし、リザ姉は少し太めの木の枝を数本持っている。その大量の木の枝をどうするつもりなのだろう。ファルが担いでいる幹と言って良い太い枝があれば、鞘は十分作れると思うのだけど?
そして、ロゼが私に駆け寄って来て、足元に大量の木の枝を置いた。いや、私は焚き火するつもりはないから、木の枝はいらなよ。それも湿気っているし。
「アンジュ! 私とリザ姉にこの枝の中から『これ良いんじゃない』というの選んでよ」
「え? なんで?」
ロゼがよくわからないことを言い出した。ただ木の枝だし、どれも一緒だし。
「神樹っていい枝じゃない、何か作るのにいいと思って」
ああ、御守り的な何かをこの木の枝で作ろうってことだね。
ロゼとリザ姉にかぁ……足元の転がっている木の枝に何も違いはありもしない。ただの木の枝だ。
うーん。適当でいいかな?これとこれ。
「はい、どうぞ。何かを作ったら見せてね」
「ぐふっ。アンジュ、ありがとう」
「アンジュちゃんはいい子ね」
ロゼは含み笑いをしながら受け取り、リザ姉は私の頭を撫でてから、受け取った。
二人の態度が分からず首を捻っていると、二人が手に持った木の枝が変化する。
ロゼが手にした木の枝は弓の弓柄に変化した。弦も矢も存在しない。どうやって矢を放つのだろうというものだ。
リザ姉の木の枝は身の丈ほどの槍に変化した。剣ではなくヤリだ。
っていうか、なんで武器に変化しているわけ?ロゼは手にした弓柄を持って第12部隊長の元に駆け寄っている。
「隊長! 私は弓です! 弓! 流石、神樹の武器ですね。私の得意な武器をよく知っています。今まで剣しか使わせて貰えなかった聖騎士団と違いますね!」
「文句は聖騎士団を作った者に言え、それに私は将校ロゼの武器に関して文句を言った覚えはない」
そんな会話を聞き流しながらリザ姉はニコニコと笑みを浮かべて言う。
「アンジュちゃんから下賜された聖武器を手に、我々は御身に尽くします」
「騙されたー!!」
まさか私から木の枝を渡すと聖騎士を生産できるなんて聞いてないよ!
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