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205 さて、始めよう
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「ということで、ファル様よろしく」
私がファルにやって欲しいことを言うと、頭を抱えて“無理だ”ブツブツとファルが呟いているけど、ファルにやってもらわないと誰がやるというのだろう。
そして、もう一つ疑問に思っていたことを酒吞と茨木に尋ねる。
「それで、私が撃ち落とした丸い鳥みたいなのはどこにいるの?」
あのとき茨木は龍神の女将さんの近くに居たので近づけなかったと言っていたのに、ここからは姿も形も確認できない。
「ああ、それは多分あの龍神の視線の先じゃないのか?」
あ、それであの龍神の女将さんはずっと水の中を見ているわけね。
「我々が見た時は水の上で羽ばたこうとバタバタとしておりましたが、飛べないようでした」
「おい、茨木。あれは羽ばたこうとしていたんじゃなくて、逆さになって溺れていたんじゃないのか?」
茨木は飛べないようだったといい、酒吞は逆さになって溺れていたという。
「さぁ。私にはどちらが上か下かはわかりませんでしたので、溺れようが飛べない鳥だろうが変わりはないでしょう」
二人が私が落とした鳥モドキの詳しい状態を確認できなかったというのは、息はあったけれど、飛べないのか溺れているのか、物体がまるまると太っていて分からなかったということか。
これはあの好戦的な首だけの武士が、見えない鎖に絡まれてもがいていたように、まるまる太った鳥も黒い鎖に絡まれてもがいていた可能性がある。しかし、まだ生きているのだろう。聖女の彼女が言うには、世界は異形を食らう為に常闇をその場に出現されるらしいのだから。
「よし!ヒュー様とアスト様。よろしくお願いします」
「待て、アンジュ。何が“よし”だ。俺は了承していない」
ファルが文句を言ってきたけれど、無視だ。ここで全力でファルに頑張ってもらわないと、攻撃を当てることができない。
「ファルークス。アンジュの言っている事は理に適っている」
「いや、シュレイン。滅茶苦茶だ。俺がどうこうできる許容を超えている」
ルディは私を擁護してくれているけどファルは、無理•出来ないの一点張りだ。出来ないじゃなくて、するの!
「ファル様。ファル様がここで駄々をこねた分だけ人々の命が危機に瀕しているし、王都が水没する未来も近づいていっている。それで、どうする?」
「アンジュ。酷い脅し方だな。そんなもの、“やる”しか選択肢ないだろうが!」
逆ギレされた。
「そんな難しいこと言っていないよ?ファル様ならできる!私も検証実験してない思いつきのヤツ使うからお互い様だね!」
「アンジュ。その思いつきは何をするつもりだ?」
私がポロッと口から漏らしてしまったことをルディが拾ってしまった。そこは聞き流して欲しかったな。
「雪をどうにかしないと戦えないからね。雪を無くすだけ。だから、そんなにおかしなことはしないよ」
そう言いながら私はへろりと笑う。うん、さっきのような爆発とかはしないから、安心していいと思う。多分。
「時間もあまり掛けていられないから、お願いします!」
「私は後方で結界を張るので、何かあれば、後方に下がって来てください」
ロゼはそう言って結界を張った。そして、リザ姉は皆に身体強化を掛けていく。
「その都度補助はしますね。大怪我でなければ、治癒はできますから、任せてくださいね」
王都に第12部隊長さんとリザ姉とロゼがいつもいるなと思えば、恐らくこれが第12部隊の戦い方なのかもしれない。
第12部隊長さんと共闘できる人は恐らくいないのだろう。だから戦闘要員ではなく、後方を守るロゼと全体の指揮と補助をリザ姉が行う。
全員が何かしらの特化型の第13部隊とは違い、チームとしては完璧に出来上がっていた。
「2キロメルか。どれぐらい持つだろうか」
「これほどのメンバーがいるから案外直に終わるんじゃないのかな?」
ヒューとアストには一番頑張ってもらわないといけない。はっきり言って無理を言っているのは私もわかっている。
「ヒュー様、アスト様、結界を張ったら異形に対する否定も乗せるのを忘れないでくださいね」
「「アンジュは、難しいことを簡単に言ってくれる」」
難しいかもしれないけれど、敵が未知数過ぎて、使えるものは全部使うべきだと思う。
「「まぁ、それがアンジュなんだろうけど、それでは始めよう『我らの遊び場に不要なものは存在せず、家も国も空も地も時さえも、我らが世界の中心だ!!』」」
え?その呪文ヤバ過ぎるのだけど、恐らく双子が幼い子どものときに作ったのだと思う。でも、これ思いっきり世界に干渉している結界だ。
太陽の王と月の王妃ほどじゃないけど、世界の理を一定の空間だけ捻じ曲げて、存在させている。だから、あまり保たない。世界からの強制解除が入る可能性がある。
見た目は何も変わったようには思えないけれど、もう結界は出来上がっているのだろう。
双子の兄弟はロゼの背後に陣取ったので、神父様を手招きをして呼び寄せる。……ルディ、私の手を握りつぶさんばかりに、手招きしている手を握らないで欲しい。
私がファルにやって欲しいことを言うと、頭を抱えて“無理だ”ブツブツとファルが呟いているけど、ファルにやってもらわないと誰がやるというのだろう。
そして、もう一つ疑問に思っていたことを酒吞と茨木に尋ねる。
「それで、私が撃ち落とした丸い鳥みたいなのはどこにいるの?」
あのとき茨木は龍神の女将さんの近くに居たので近づけなかったと言っていたのに、ここからは姿も形も確認できない。
「ああ、それは多分あの龍神の視線の先じゃないのか?」
あ、それであの龍神の女将さんはずっと水の中を見ているわけね。
「我々が見た時は水の上で羽ばたこうとバタバタとしておりましたが、飛べないようでした」
「おい、茨木。あれは羽ばたこうとしていたんじゃなくて、逆さになって溺れていたんじゃないのか?」
茨木は飛べないようだったといい、酒吞は逆さになって溺れていたという。
「さぁ。私にはどちらが上か下かはわかりませんでしたので、溺れようが飛べない鳥だろうが変わりはないでしょう」
二人が私が落とした鳥モドキの詳しい状態を確認できなかったというのは、息はあったけれど、飛べないのか溺れているのか、物体がまるまると太っていて分からなかったということか。
これはあの好戦的な首だけの武士が、見えない鎖に絡まれてもがいていたように、まるまる太った鳥も黒い鎖に絡まれてもがいていた可能性がある。しかし、まだ生きているのだろう。聖女の彼女が言うには、世界は異形を食らう為に常闇をその場に出現されるらしいのだから。
「よし!ヒュー様とアスト様。よろしくお願いします」
「待て、アンジュ。何が“よし”だ。俺は了承していない」
ファルが文句を言ってきたけれど、無視だ。ここで全力でファルに頑張ってもらわないと、攻撃を当てることができない。
「ファルークス。アンジュの言っている事は理に適っている」
「いや、シュレイン。滅茶苦茶だ。俺がどうこうできる許容を超えている」
ルディは私を擁護してくれているけどファルは、無理•出来ないの一点張りだ。出来ないじゃなくて、するの!
「ファル様。ファル様がここで駄々をこねた分だけ人々の命が危機に瀕しているし、王都が水没する未来も近づいていっている。それで、どうする?」
「アンジュ。酷い脅し方だな。そんなもの、“やる”しか選択肢ないだろうが!」
逆ギレされた。
「そんな難しいこと言っていないよ?ファル様ならできる!私も検証実験してない思いつきのヤツ使うからお互い様だね!」
「アンジュ。その思いつきは何をするつもりだ?」
私がポロッと口から漏らしてしまったことをルディが拾ってしまった。そこは聞き流して欲しかったな。
「雪をどうにかしないと戦えないからね。雪を無くすだけ。だから、そんなにおかしなことはしないよ」
そう言いながら私はへろりと笑う。うん、さっきのような爆発とかはしないから、安心していいと思う。多分。
「時間もあまり掛けていられないから、お願いします!」
「私は後方で結界を張るので、何かあれば、後方に下がって来てください」
ロゼはそう言って結界を張った。そして、リザ姉は皆に身体強化を掛けていく。
「その都度補助はしますね。大怪我でなければ、治癒はできますから、任せてくださいね」
王都に第12部隊長さんとリザ姉とロゼがいつもいるなと思えば、恐らくこれが第12部隊の戦い方なのかもしれない。
第12部隊長さんと共闘できる人は恐らくいないのだろう。だから戦闘要員ではなく、後方を守るロゼと全体の指揮と補助をリザ姉が行う。
全員が何かしらの特化型の第13部隊とは違い、チームとしては完璧に出来上がっていた。
「2キロメルか。どれぐらい持つだろうか」
「これほどのメンバーがいるから案外直に終わるんじゃないのかな?」
ヒューとアストには一番頑張ってもらわないといけない。はっきり言って無理を言っているのは私もわかっている。
「ヒュー様、アスト様、結界を張ったら異形に対する否定も乗せるのを忘れないでくださいね」
「「アンジュは、難しいことを簡単に言ってくれる」」
難しいかもしれないけれど、敵が未知数過ぎて、使えるものは全部使うべきだと思う。
「「まぁ、それがアンジュなんだろうけど、それでは始めよう『我らの遊び場に不要なものは存在せず、家も国も空も地も時さえも、我らが世界の中心だ!!』」」
え?その呪文ヤバ過ぎるのだけど、恐らく双子が幼い子どものときに作ったのだと思う。でも、これ思いっきり世界に干渉している結界だ。
太陽の王と月の王妃ほどじゃないけど、世界の理を一定の空間だけ捻じ曲げて、存在させている。だから、あまり保たない。世界からの強制解除が入る可能性がある。
見た目は何も変わったようには思えないけれど、もう結界は出来上がっているのだろう。
双子の兄弟はロゼの背後に陣取ったので、神父様を手招きをして呼び寄せる。……ルディ、私の手を握りつぶさんばかりに、手招きしている手を握らないで欲しい。
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