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204 作戦練り直し!
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私達は酒吞と茨木の案内で、問題の場所まできた。林だと思われるが、ほとんどの木々は雪の下に埋もれ、ところどころに雨に打たれて、木の枝の上の方が見えているだけ。いったいどれ程の雪が積もっているのだろう。
そして、遠目にぽっかりと空いたように見える空間の中央に、曇天を写しながら、波紋を立てている水溜まりの中央に、黒髪の女性が衣裳と思われる白い装束を身につけて、水溜りの中を見るようにうつむいている。
なんていうか。凄く怖い。見た目が貞○。それに私は恐ろしいことに気がついてしまった。ここは地面から高いところまで雪が積もっているというのに、龍神の女性がいる場所にだけ水溜りが存在しているということは、その下には木の高さ程の水に満たされているということだ。
あと、玄武というモノがいるはずなのに、姿が見えない。精霊砲を撃つ亀のように手乗りサイズなのだろうか。
「茨木。玄武の姿が見えないけど、どこにいるわけ?」
「ほら、いるではないですか」
茨木は衣裳を着た黒髪の女性を指した。
あれ?私はそっちが龍神の女将さんだと思ったのだけど?違った?
「玄武は亀じゃなかった!」
「アマテラス。何を言っているんだ?足元を見ろ」
酒吞が同じ様に黒髪の女性を指している。足元?水溜りの上に立っているように見えるけど、微妙に水面から地面が出ているところに立っている。地面?あれ?地面……ま…まさか……。
「あの足元から下が玄武とか言わないよね」
「いや、どう見ても玄武だろう」
どう見てもって、酒吞。甲羅の一部しか見えてないよ。予想外過ぎた。これどうやって戦うわけ?
「ちょっと、作戦練り直し!予想外過ぎ!」
「アンジュ。あれを見ても戦う気があるのが、凄いよ。私、手がもう震えているんだけど?」
ロゼが自分の右手を左手で押さえるように握っている。だけど、そこまで震えることはないと思うけど?
「そうね。なんていうか。空気が痛いという感じかしら?」
リザ姉は顔を青くして、自分の身体を抱きしめるように強く腕を掴んでいる。
そんな二人に神父様の冷たい声が降って来た。
「足手まといは必要ありませんよ」
「結界には自信があるので任せてください!」
「補助は任せてください」
二人は直接戦わない宣言をした。正直でいいよ。
さて、問題を上げてみよう。一番は雪。おおよそ、10メルは積もっていそうだ。
あと、この先の雪の下には水が溜まっていそうなので、おいそれとは近づけない。そして、ぽっかりと異様に空いた泉の大きさイコール玄武の大きさだとすれば……縦横の長さは500メルほどになりそう。
500メルの存在に対して、結界が1000メルだと空間が狭すぎる。これでは思うように戦えない。
「ヒュー様、アスト様。結界を倍の大きさにしてくれません?」
私は双子の二人にもう少し結界を大きくできないか聞いてみる。すると二人はお互いに見合せ、困惑の顔色をする。
「出来なくもないけれどね」
アストが歯切れ悪く口を開いた。
「確かに倍ぐらいの大きさにはできるが」
ヒューも出来るとは言っているものの、できれば避けたいというオーラを醸している。
「「それだと結界の維持で精一杯になる」」
ああ、それ程の結界を維持するのに全神経を使うので、無防備になるということだね。それぐらいなら問題にならない。
「それならロゼ姉の結界の中に入ればいいよ。3時間ぐらいなら私の攻撃に耐えきったから」
「え?アンジュ。あの時かなり私は必死だったのだけど?結局、私の結界は浸蝕されて壊れたんだよ」
あのときは、新しい魔術を試す為に攻撃をしながら、じわじわと結界同士を接触させてどうなるか試したかっただけなんだよね。そう、結界が張ってあるところに、結界を張ったまま侵入できるかというものだ。
「「浸蝕?」」
双子が聞いてきたけど、結果はロゼが言ったように、ロゼの結界が壊れて終わった。うん。浸蝕ではなくて、同化して侵入すべきだった。
「まぁ、それは気にしない。ということで、ファル様頑張ってね」
「ちょっと待て、今のどこに俺の名前が出てきたんだ?」
ファルが慌てて私に詰め寄ってきた。だから私は龍神の女将さんを指す。そして、にこりと笑みを浮かべて言い切った。
「ほら。この状況。もうファル様が頑張るしかないっていう感じがありありとわかるよね?」
「全然わからん」
ばっさりと、否定されてしまった。
そして、遠目にぽっかりと空いたように見える空間の中央に、曇天を写しながら、波紋を立てている水溜まりの中央に、黒髪の女性が衣裳と思われる白い装束を身につけて、水溜りの中を見るようにうつむいている。
なんていうか。凄く怖い。見た目が貞○。それに私は恐ろしいことに気がついてしまった。ここは地面から高いところまで雪が積もっているというのに、龍神の女性がいる場所にだけ水溜りが存在しているということは、その下には木の高さ程の水に満たされているということだ。
あと、玄武というモノがいるはずなのに、姿が見えない。精霊砲を撃つ亀のように手乗りサイズなのだろうか。
「茨木。玄武の姿が見えないけど、どこにいるわけ?」
「ほら、いるではないですか」
茨木は衣裳を着た黒髪の女性を指した。
あれ?私はそっちが龍神の女将さんだと思ったのだけど?違った?
「玄武は亀じゃなかった!」
「アマテラス。何を言っているんだ?足元を見ろ」
酒吞が同じ様に黒髪の女性を指している。足元?水溜りの上に立っているように見えるけど、微妙に水面から地面が出ているところに立っている。地面?あれ?地面……ま…まさか……。
「あの足元から下が玄武とか言わないよね」
「いや、どう見ても玄武だろう」
どう見てもって、酒吞。甲羅の一部しか見えてないよ。予想外過ぎた。これどうやって戦うわけ?
「ちょっと、作戦練り直し!予想外過ぎ!」
「アンジュ。あれを見ても戦う気があるのが、凄いよ。私、手がもう震えているんだけど?」
ロゼが自分の右手を左手で押さえるように握っている。だけど、そこまで震えることはないと思うけど?
「そうね。なんていうか。空気が痛いという感じかしら?」
リザ姉は顔を青くして、自分の身体を抱きしめるように強く腕を掴んでいる。
そんな二人に神父様の冷たい声が降って来た。
「足手まといは必要ありませんよ」
「結界には自信があるので任せてください!」
「補助は任せてください」
二人は直接戦わない宣言をした。正直でいいよ。
さて、問題を上げてみよう。一番は雪。おおよそ、10メルは積もっていそうだ。
あと、この先の雪の下には水が溜まっていそうなので、おいそれとは近づけない。そして、ぽっかりと異様に空いた泉の大きさイコール玄武の大きさだとすれば……縦横の長さは500メルほどになりそう。
500メルの存在に対して、結界が1000メルだと空間が狭すぎる。これでは思うように戦えない。
「ヒュー様、アスト様。結界を倍の大きさにしてくれません?」
私は双子の二人にもう少し結界を大きくできないか聞いてみる。すると二人はお互いに見合せ、困惑の顔色をする。
「出来なくもないけれどね」
アストが歯切れ悪く口を開いた。
「確かに倍ぐらいの大きさにはできるが」
ヒューも出来るとは言っているものの、できれば避けたいというオーラを醸している。
「「それだと結界の維持で精一杯になる」」
ああ、それ程の結界を維持するのに全神経を使うので、無防備になるということだね。それぐらいなら問題にならない。
「それならロゼ姉の結界の中に入ればいいよ。3時間ぐらいなら私の攻撃に耐えきったから」
「え?アンジュ。あの時かなり私は必死だったのだけど?結局、私の結界は浸蝕されて壊れたんだよ」
あのときは、新しい魔術を試す為に攻撃をしながら、じわじわと結界同士を接触させてどうなるか試したかっただけなんだよね。そう、結界が張ってあるところに、結界を張ったまま侵入できるかというものだ。
「「浸蝕?」」
双子が聞いてきたけど、結果はロゼが言ったように、ロゼの結界が壊れて終わった。うん。浸蝕ではなくて、同化して侵入すべきだった。
「まぁ、それは気にしない。ということで、ファル様頑張ってね」
「ちょっと待て、今のどこに俺の名前が出てきたんだ?」
ファルが慌てて私に詰め寄ってきた。だから私は龍神の女将さんを指す。そして、にこりと笑みを浮かべて言い切った。
「ほら。この状況。もうファル様が頑張るしかないっていう感じがありありとわかるよね?」
「全然わからん」
ばっさりと、否定されてしまった。
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