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203 1里は何歩?
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「ルディ。視界が悪いからフードをもう少し上げていい?」
「それで、アンジュが前に出て戦うつもりか?」
機嫌が悪いルディの声が降ってきた。神父様からお菓子をもらってから、その機嫌の悪さが戻らない。お菓子に罪はない。それに早く食べないと傷んでしまうじゃない。
「いや、私も優先度が高い事が何かはわかっているから、そんなことはしないよ。敵がどんなものか知りたいだけ」
すると、雨が当たらない程度にフードを上げてくれた。少し、視界がひらけたけど、前方と周りに違和感を感じた。雨で足場が悪くなっているはずの雪が凍っている。その凍っている地面から棘のような物が生えていた。
いや、どこからか氷柱のような物が飛んできて、凍った地面に突き刺さっているのだ。
氷柱か。雪女のたぐいかなぁ。
「火に弱いよ」
確か、嫌がる女を風呂に入れると溶けたっていう話があったよね。私がそう言葉を言うと、同意する言葉が被さってきた。
「その通りだ!」
『ギヤァァァァ』
酒吞の声に続いて響き渡る悲鳴。視界を巡らすと、赤い色を発見した。そして白い衣服だけになったモノに黒い鎖が絡みつこうとしているが、獲物は既に姿を保っていなかった。
「雪女共はその容姿で人を惑わすと聞きますから、外見に惑わされるようでは駄目ですよ」
今度は茨木の声が聞こえ、声が聞こえた方に視線を向けると、刀で突き刺している白い衣服をまとったモノを刀から勢いよく抜くように酒吞の方に投げつけ、炎をまとった酒吞の拳によって、粉砕されている。そして、氷が溶けるように崩れていった。
「ああ、こういうことでしたか。第1部隊と第7部隊が何に手間取っているのかと思えば、女子供の姿をしているから、倒せなかっただけだったとは、本当に聖騎士団は軟弱な者の集まりに成り下がりましたね」
そして、神父様は炎をまとわせた剣で何かを貫いていたけれど、既に原型は留めていなかった。
「これは本当に一度、聖騎士の在り方を叩き込まなければなりませんね」
神父様がなんか恐ろしい事を言っている。
「それで君たちが戻ってきたということは、何かわかったことでもあるのですか?」
神父様が、酒吞と茨木にここに戻ってきた理由を聞いた。私が彼らに頼んだことは、私が落とした鳥っぽい何かの状態と、龍神と玄武の居場所の特定だ。
「ああ、いるにはいたが、ありゃ近づけねぇな」
「アンジュ様が落としたモノもその場に居たのですが、近づけなかったので、詳しい状態確認ができませんでしたね」
鬼の二人が近づけないなんてどういう状況なのだろうか。雨が強すぎて近づけないっていうこと?
「なんで近づけないの?」
近づけないという理由で、この異常気象を引き起こしているモノたちをどうにかしないということにはできない。
「龍神だぞ。泉のど真ん中にいられたら、攻撃の意志を見せた途端に泉の中に引きずり込まれるか、水で身動きがとれなくなるだろう」
ああ、相手は見通しのいい泉のど真ん中にいると。だから、隠れる場所もないので、不意打ちのしようがないということなのだろう。
相手は神だ。あなどってはいけない。
どうすべきか。雨。空から降る雨。水蒸気。上空の冷気。この量をどうこうするのは無理。
これ以上は時間は掛けられられない。時間?
時間の隔離。次元の隔離。それだ!
「ヒュー様、アスト様。以前私に掛けた結界ってどれぐらいの広さまでいけるのかな?それから今度は時間遅延じゃなくて時間加速を使える?」
私に尋問する為に使った空間を切り取って隔離した上に時間遅延まで使った結界だった。それで、時間加速を使えば、体感的には1時間でも、結界の外は1分に満たないかったりする。これで時間の心配は多少軽減するだろう。
「いけて1平方キロメルほどだろうな。時間加速もできる」
1キロメートルということはかなり広いこれぐらいならいけるはず。
「酒吞。泉の大きさはどれぐらいの大きさだった?」
「ん?1里ほどじゃないのか?」
1里!え?1里ってことは4キロメートルも?それは泉じゃなくて湖と言っていいし、端から端まで目視できないんじゃない?
「アンジュ様、1里ということは300歩ですよ」
私が不可解な顔をしているからか、別の換算単位を茨木が教えてくれたけれど、“ホ”って何?私初めて聞いたけれど?
確か尺貫法って1里36町ってならったけど、300ほ……歩!300歩!え?1里300歩?
ちょっと落ち着こうか私。これは私の認識と酒吞と茨木の認識の相違が起きている。尺貫法っということは法律が制定されたってことだから、明治に作られている。彼らが生きた時代より大分先の未来の話だ。
うん。人が300歩で歩ける距離なんだね。ということは1キロメートルだったら、すっぽり入るよね。うん。これでいこう。
結界を張って、雨を降らせるのをやめさせるために、神をボコる。よし、決まった。
補足
1里の概念は平安時代の物を使用しています。多分。
「それで、アンジュが前に出て戦うつもりか?」
機嫌が悪いルディの声が降ってきた。神父様からお菓子をもらってから、その機嫌の悪さが戻らない。お菓子に罪はない。それに早く食べないと傷んでしまうじゃない。
「いや、私も優先度が高い事が何かはわかっているから、そんなことはしないよ。敵がどんなものか知りたいだけ」
すると、雨が当たらない程度にフードを上げてくれた。少し、視界がひらけたけど、前方と周りに違和感を感じた。雨で足場が悪くなっているはずの雪が凍っている。その凍っている地面から棘のような物が生えていた。
いや、どこからか氷柱のような物が飛んできて、凍った地面に突き刺さっているのだ。
氷柱か。雪女のたぐいかなぁ。
「火に弱いよ」
確か、嫌がる女を風呂に入れると溶けたっていう話があったよね。私がそう言葉を言うと、同意する言葉が被さってきた。
「その通りだ!」
『ギヤァァァァ』
酒吞の声に続いて響き渡る悲鳴。視界を巡らすと、赤い色を発見した。そして白い衣服だけになったモノに黒い鎖が絡みつこうとしているが、獲物は既に姿を保っていなかった。
「雪女共はその容姿で人を惑わすと聞きますから、外見に惑わされるようでは駄目ですよ」
今度は茨木の声が聞こえ、声が聞こえた方に視線を向けると、刀で突き刺している白い衣服をまとったモノを刀から勢いよく抜くように酒吞の方に投げつけ、炎をまとった酒吞の拳によって、粉砕されている。そして、氷が溶けるように崩れていった。
「ああ、こういうことでしたか。第1部隊と第7部隊が何に手間取っているのかと思えば、女子供の姿をしているから、倒せなかっただけだったとは、本当に聖騎士団は軟弱な者の集まりに成り下がりましたね」
そして、神父様は炎をまとわせた剣で何かを貫いていたけれど、既に原型は留めていなかった。
「これは本当に一度、聖騎士の在り方を叩き込まなければなりませんね」
神父様がなんか恐ろしい事を言っている。
「それで君たちが戻ってきたということは、何かわかったことでもあるのですか?」
神父様が、酒吞と茨木にここに戻ってきた理由を聞いた。私が彼らに頼んだことは、私が落とした鳥っぽい何かの状態と、龍神と玄武の居場所の特定だ。
「ああ、いるにはいたが、ありゃ近づけねぇな」
「アンジュ様が落としたモノもその場に居たのですが、近づけなかったので、詳しい状態確認ができませんでしたね」
鬼の二人が近づけないなんてどういう状況なのだろうか。雨が強すぎて近づけないっていうこと?
「なんで近づけないの?」
近づけないという理由で、この異常気象を引き起こしているモノたちをどうにかしないということにはできない。
「龍神だぞ。泉のど真ん中にいられたら、攻撃の意志を見せた途端に泉の中に引きずり込まれるか、水で身動きがとれなくなるだろう」
ああ、相手は見通しのいい泉のど真ん中にいると。だから、隠れる場所もないので、不意打ちのしようがないということなのだろう。
相手は神だ。あなどってはいけない。
どうすべきか。雨。空から降る雨。水蒸気。上空の冷気。この量をどうこうするのは無理。
これ以上は時間は掛けられられない。時間?
時間の隔離。次元の隔離。それだ!
「ヒュー様、アスト様。以前私に掛けた結界ってどれぐらいの広さまでいけるのかな?それから今度は時間遅延じゃなくて時間加速を使える?」
私に尋問する為に使った空間を切り取って隔離した上に時間遅延まで使った結界だった。それで、時間加速を使えば、体感的には1時間でも、結界の外は1分に満たないかったりする。これで時間の心配は多少軽減するだろう。
「いけて1平方キロメルほどだろうな。時間加速もできる」
1キロメートルということはかなり広いこれぐらいならいけるはず。
「酒吞。泉の大きさはどれぐらいの大きさだった?」
「ん?1里ほどじゃないのか?」
1里!え?1里ってことは4キロメートルも?それは泉じゃなくて湖と言っていいし、端から端まで目視できないんじゃない?
「アンジュ様、1里ということは300歩ですよ」
私が不可解な顔をしているからか、別の換算単位を茨木が教えてくれたけれど、“ホ”って何?私初めて聞いたけれど?
確か尺貫法って1里36町ってならったけど、300ほ……歩!300歩!え?1里300歩?
ちょっと落ち着こうか私。これは私の認識と酒吞と茨木の認識の相違が起きている。尺貫法っということは法律が制定されたってことだから、明治に作られている。彼らが生きた時代より大分先の未来の話だ。
うん。人が300歩で歩ける距離なんだね。ということは1キロメートルだったら、すっぽり入るよね。うん。これでいこう。
結界を張って、雨を降らせるのをやめさせるために、神をボコる。よし、決まった。
補足
1里の概念は平安時代の物を使用しています。多分。
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