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196 それは大げさ過ぎる
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こうして私は第13部隊のぽつんと一軒家までルディに傘を差されて連行されて戻ってきたのだ。朧にはヒューとアストに来て欲しいと連絡を入れてもらうために別行動だったので、かなり居心地が悪かったのは付け加えておく。
「それで勝手な行動をとった理由はなんだ?アンジュ」
激おこのルディの前に立たされて尋問を受けているのは私で、ファルは俺関係ないしという感じで温かいお茶を飲んでおり、4人の騎士の姿は無く。酒吞はニヤニヤとして、職務中にも関わらず酒を飲んでおり、茨木は暖炉の火を強める為に薪木を足している。
そう、気温が下がって少し冷えてきている。
「聖女の彼女に確認をしたかったからだね」
「何を?」
「この状況を打破するヒント。だけど、この話をするのはヒュー様とアスト様が来てから」
「何故ヒューゲルボルカとアストヴィエントなんだ?」
「それも二人が来てからだね。ちょっと難しい話だから」
私が理由を話さないことにルディはため息を吐いて、廊下側の出入口を見た。
「ヒューゲルボルカ。アストヴィエント。入ってこい」
すると扉が開き、金髪金目のそっくりな双子の兄弟が姿を見せた。ヒューとアストだ。
「アンジュ。また、怒られているのか?」
「シュレインはアンジュの自由行動をもう少し認めてあげればいいのに」
「ヒュー様。職務時間中に来ていただいてありがとうございます。それから、またとか言わないでください。アスト様もありがとうございます。アスト様も思いますよね。自由行動はあってもいいと」
「また、ではなかったな。いつもだったな」
「うんうん。締め付けられると余計に自由を求めるものだからね」
双子はそう言いながら私の頭を撫ぜてきた。すると、二人の手を払い除け、私の腰を抱えて元の位置に戻ったルディが彼らに座るように促す。
いつもは4人がファルの前に立つため退けられて壁際にあった3人掛けのソファが暖炉の前に背を向けて置かれていた。そこにヒューとアストが腰を下す。
「さて、アンジュは何を聞いてきたのですか?」
「ぶふっ!」
優雅に一人温かい紅茶を飲んでいたファルの横にいつの間にか神父様が座っていた。そのことに声を掛けられるまで気が付かなかったファルが思いっきり紅茶を吹き出したのだった。
「ファルークス。お行儀が悪いですよ。それから油断し過ぎです」
いや、ファルは悪くないと思う。いきなり存在している神父様が悪いと思う。
ファルは慌てて布巾で吹き出したものを拭いている。これが公爵様だとは誰が思うだろうか。
そして、カチャカチャと食器がぶつかる音が聞こえてきたと思えば、青い顔をしてガタガタと震えているヴィオが人数分の紅茶を運んでいた。
これは、ヴィオが転ぶ方が先かティーカップがトレイから落ちるほうが先か心配する光景だった。
私は慌ててヴィオの元に行ってトレイを受け取って、涙目のヴィオに戻っていいと言うと、ヴィオは足をもつれさせながらダイニングの方に去っていった。どうやら、他の4人はダイニングの方に逃げ込んでいるらしい。
私はローテーブルの上に酒吞以外の紅茶を並べ、そっとダイニングの方に消えようとすれば、ルディに捕まって膝の上に座らされてしまった。
逃げられなかった。
「聞きに行ったことは彼女が今回の異形を知っているかということ」
「それは以前フリーデンハイドが聞き出したと言っていましたが、意味がわからなかったようですよ」
神父様は一度侍従が聞き出したと言ったものの、朧が半分も理解できなかったということは、侍従も彼女の言葉が理解できなかったのだろう。
「聞き方が悪かったのでは?今回の雨を降らしている原因は“龍神”と答えてくれましたよ」
「リュージンとはなんですか?」
あれ?そこから?私は左手を振って二匹に出てくるように促す。そして、出てきた青い蛇と黒い蛇を指して答える。
「これが神格化したものです」
「それは今回の相手は神だと言っているのですか?」
「そうですね。茨木、その神の名前って何だった?」
私は茨木に神の名を尋ねた。私は“おかみ”しか聞き取れなかった。それから私の中では“女将さん”になってしまったので口外できないのだった。
「龗神ですよ」
いつも通り酒吞の背後に控えるように立っている茨木から神の名が発言された。
「それで酒吞と茨木が神殺しはヤバいって言うから、聖女の彼女の知識を借りようと思ったのです」
「神殺しだってよ。アスト」
「ヒューゲル、怖いね。そんな言葉を普通に話すアンジュが」
私!!アスト!それはどういうことなの!
気を取り直して続きを話す。
「まず彼女は龍神を今回の敵として上げました。しかし、そこから猶予が無いことが発覚しました。私が豪雨が続いていると言えば、そこに玄武の名も出して、残り3日で王都が水に沈むと言ったのです」
「え?アンジュそれは大げさ過ぎるだろう?」
ファルが王都が水没するとは言いすぎたと言ってきた。しかし、私の言葉を肯定する意見も同時に出てきたのだった。
「ああそれは納得できます。水龍と玄武が力を奮えば都など、一瞬で水面に消えていくでしょう」
「それで勝手な行動をとった理由はなんだ?アンジュ」
激おこのルディの前に立たされて尋問を受けているのは私で、ファルは俺関係ないしという感じで温かいお茶を飲んでおり、4人の騎士の姿は無く。酒吞はニヤニヤとして、職務中にも関わらず酒を飲んでおり、茨木は暖炉の火を強める為に薪木を足している。
そう、気温が下がって少し冷えてきている。
「聖女の彼女に確認をしたかったからだね」
「何を?」
「この状況を打破するヒント。だけど、この話をするのはヒュー様とアスト様が来てから」
「何故ヒューゲルボルカとアストヴィエントなんだ?」
「それも二人が来てからだね。ちょっと難しい話だから」
私が理由を話さないことにルディはため息を吐いて、廊下側の出入口を見た。
「ヒューゲルボルカ。アストヴィエント。入ってこい」
すると扉が開き、金髪金目のそっくりな双子の兄弟が姿を見せた。ヒューとアストだ。
「アンジュ。また、怒られているのか?」
「シュレインはアンジュの自由行動をもう少し認めてあげればいいのに」
「ヒュー様。職務時間中に来ていただいてありがとうございます。それから、またとか言わないでください。アスト様もありがとうございます。アスト様も思いますよね。自由行動はあってもいいと」
「また、ではなかったな。いつもだったな」
「うんうん。締め付けられると余計に自由を求めるものだからね」
双子はそう言いながら私の頭を撫ぜてきた。すると、二人の手を払い除け、私の腰を抱えて元の位置に戻ったルディが彼らに座るように促す。
いつもは4人がファルの前に立つため退けられて壁際にあった3人掛けのソファが暖炉の前に背を向けて置かれていた。そこにヒューとアストが腰を下す。
「さて、アンジュは何を聞いてきたのですか?」
「ぶふっ!」
優雅に一人温かい紅茶を飲んでいたファルの横にいつの間にか神父様が座っていた。そのことに声を掛けられるまで気が付かなかったファルが思いっきり紅茶を吹き出したのだった。
「ファルークス。お行儀が悪いですよ。それから油断し過ぎです」
いや、ファルは悪くないと思う。いきなり存在している神父様が悪いと思う。
ファルは慌てて布巾で吹き出したものを拭いている。これが公爵様だとは誰が思うだろうか。
そして、カチャカチャと食器がぶつかる音が聞こえてきたと思えば、青い顔をしてガタガタと震えているヴィオが人数分の紅茶を運んでいた。
これは、ヴィオが転ぶ方が先かティーカップがトレイから落ちるほうが先か心配する光景だった。
私は慌ててヴィオの元に行ってトレイを受け取って、涙目のヴィオに戻っていいと言うと、ヴィオは足をもつれさせながらダイニングの方に去っていった。どうやら、他の4人はダイニングの方に逃げ込んでいるらしい。
私はローテーブルの上に酒吞以外の紅茶を並べ、そっとダイニングの方に消えようとすれば、ルディに捕まって膝の上に座らされてしまった。
逃げられなかった。
「聞きに行ったことは彼女が今回の異形を知っているかということ」
「それは以前フリーデンハイドが聞き出したと言っていましたが、意味がわからなかったようですよ」
神父様は一度侍従が聞き出したと言ったものの、朧が半分も理解できなかったということは、侍従も彼女の言葉が理解できなかったのだろう。
「聞き方が悪かったのでは?今回の雨を降らしている原因は“龍神”と答えてくれましたよ」
「リュージンとはなんですか?」
あれ?そこから?私は左手を振って二匹に出てくるように促す。そして、出てきた青い蛇と黒い蛇を指して答える。
「これが神格化したものです」
「それは今回の相手は神だと言っているのですか?」
「そうですね。茨木、その神の名前って何だった?」
私は茨木に神の名を尋ねた。私は“おかみ”しか聞き取れなかった。それから私の中では“女将さん”になってしまったので口外できないのだった。
「龗神ですよ」
いつも通り酒吞の背後に控えるように立っている茨木から神の名が発言された。
「それで酒吞と茨木が神殺しはヤバいって言うから、聖女の彼女の知識を借りようと思ったのです」
「神殺しだってよ。アスト」
「ヒューゲル、怖いね。そんな言葉を普通に話すアンジュが」
私!!アスト!それはどういうことなの!
気を取り直して続きを話す。
「まず彼女は龍神を今回の敵として上げました。しかし、そこから猶予が無いことが発覚しました。私が豪雨が続いていると言えば、そこに玄武の名も出して、残り3日で王都が水に沈むと言ったのです」
「え?アンジュそれは大げさ過ぎるだろう?」
ファルが王都が水没するとは言いすぎたと言ってきた。しかし、私の言葉を肯定する意見も同時に出てきたのだった。
「ああそれは納得できます。水龍と玄武が力を奮えば都など、一瞬で水面に消えていくでしょう」
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