161 / 358
161 私は責任取れないよ
しおりを挟む
「あ!アンジュ!」
私が叫んでしまったことで、ロゼに私がここにいることが、わかってしまったようだ。私を巻き込まないでほしい。
そして、私に向かって鎧が手を振ってくる。その鎧が白いマントを纏いサーコートに第12部隊の紋様が刻まれているしか、見た目ではわからないので、私には声でしかロゼだと判断つける材料がない。あと、背格好ぐらいかな?
「あ……」
しかし、私の隣の目立つ鎧に視線が行き、おずおずと手を下げて、そのまま敬礼のポーズを取るロゼ。きっと隣に居るのが、神父様だと気がついたのだろう。
そして、つられるようにリザ姉と恐らく第12部隊長さんも同じく敬礼のポーズをとった。残りの鎧は声を発していないので、恐らく強制参加の第12部隊長さんかなぁとしかわからない。
「アンジュ。どうしますか?」
再び神父様から同じ言葉が出てきた。聞かれたけれど私にはあの王様に逆らう気はない。
「神父様。私は王様の命令を覆そうとは思わないですよ。謹慎を解く理由が今のところみられないですから」
「そうですが、あの者は有力な情報を持っていると豪語していましたね。しかし、その情報を話すことはありませんでしたが」
これはあの後、聖女の彼女から侍従が何かしらの聞き取りをしたのだろう。その時に神父様もいたと。
しかし、この神父様の言い方は私に情報を引き出せと言っているのだろうか。だけど、ここで時間を無駄にするわけにはいかない。それに、彼女がワイバーンの飛行に耐えきれるとは思えない。なぜなら、今までの移動は最初に王都に来た時以外、全て転移陣での移動だったのだから。
「神父様。聖女様は今回の強行的な移動に耐えれるとは思えません。それに彼女は虚偽を言って混乱に陥れたという理由で謹慎を受けたのであれば、それを払拭する理由が必要でしょう」
「そうでしょうね。聖女シェーン。貴女を連れて行くには理由が足りないようですね」
すると彼女はこちらの方を見て、胸を張って言い切った。
「私がその場にいることに意味があるのよ!」
う……うん。何かな?偶像者としてかな?確かに聖女がいることで士気が高くなるかもしれない。
「ワイバーンの8時間の飛行に耐えきれるとも思えないのだけど」
「そうですね。一度上空に上がればどこかに立ち寄ることはありませんよ。騎獣の背に乗り続けることができるのですか?」
私の言ったことに神父様が彼女に問いかけてくれる。しかし、それが気に入らなかったのだろう。
「ちょっとそこの貴女!言いたいことがあるのなら、直接言いなさいよ!」
彼女は私に指を差しながら言ってきた。
えー。あまり関わりたくないのになぁ。私は大きくため息を吐き出す。
「この度の事は緊急の要請で辺境に向かうため、今までのように聖女様待遇はできません。我々は一刻も早く現地に向かわなければなりません。ですから、途中で何処かに立ち寄りたいと言われてもできかねます」
すると、彼女は私の方にカツカツと踵を鳴らしながら近寄ってきた。聖女らしい純白のドレスを纏いその裾を揺らしながら憤りを隠しもせずにだ。
「貴女、以前も私のことを邪魔した人よね。私の婚約者であるシュレイン様に馴れ馴れしく近づいていた」
偽物の王様に婚約者のことを否定されたのに、未だに彼女の中ではルディの婚約者でいるらしい。あ、確か手の甲を刺されて聞いていなかったのか。その刺された手の甲を見てみると綺麗になっていることから、誰かに治してもらったのだろう。
「そして、昨日も何か告げ口をしたでしょう!あの後夜遅くまで色々聞かれたのよ!あの侍従フリーデンハイドに!」
告げ口じゃなくて、報告と予想ね。しかし、私が色々邪魔しているように見えているみたいだけど、私は邪魔をしているわけではなく、嫌々ながらルディを止めに入ったり、興味津々で後を付けていただけだから、彼女の行動に何かしらの阻害をしているわけではない。
だけど、今回は途中で騒がれても嫌だから、彼女にはここで留守番をして欲しい。
しかし、自称婚約者であるルディの前で猫を被らなくても良かったのだろうか。あ、いや。気がついていないだけか。未だにルディは一言も発してはいない。
「キャンキャン子犬みてぇーにうっせーなぁ」
後ろからうんざりとした感じの酒吞の声が聞こえてきた。
「本当に弱い犬ほどよく吠えるといいますからね。行きたいと言うなら連れて行けばよろしいのではないのですか?アンジュ様」
この状況に嫌気が差したのだろうか。茨木が連れて行けばいいと言い出した。連れて行っても面倒が増えるだけだと思うけど?
「ご主人さま。この者に己の無力さを突きつければよろしいのではないのですか?そうすれば、少しは大人しくなるかと愚考致します」
朧までおかしなことを言いだした。えー連れて行くの?私は責任取れないよ。
私が叫んでしまったことで、ロゼに私がここにいることが、わかってしまったようだ。私を巻き込まないでほしい。
そして、私に向かって鎧が手を振ってくる。その鎧が白いマントを纏いサーコートに第12部隊の紋様が刻まれているしか、見た目ではわからないので、私には声でしかロゼだと判断つける材料がない。あと、背格好ぐらいかな?
「あ……」
しかし、私の隣の目立つ鎧に視線が行き、おずおずと手を下げて、そのまま敬礼のポーズを取るロゼ。きっと隣に居るのが、神父様だと気がついたのだろう。
そして、つられるようにリザ姉と恐らく第12部隊長さんも同じく敬礼のポーズをとった。残りの鎧は声を発していないので、恐らく強制参加の第12部隊長さんかなぁとしかわからない。
「アンジュ。どうしますか?」
再び神父様から同じ言葉が出てきた。聞かれたけれど私にはあの王様に逆らう気はない。
「神父様。私は王様の命令を覆そうとは思わないですよ。謹慎を解く理由が今のところみられないですから」
「そうですが、あの者は有力な情報を持っていると豪語していましたね。しかし、その情報を話すことはありませんでしたが」
これはあの後、聖女の彼女から侍従が何かしらの聞き取りをしたのだろう。その時に神父様もいたと。
しかし、この神父様の言い方は私に情報を引き出せと言っているのだろうか。だけど、ここで時間を無駄にするわけにはいかない。それに、彼女がワイバーンの飛行に耐えきれるとは思えない。なぜなら、今までの移動は最初に王都に来た時以外、全て転移陣での移動だったのだから。
「神父様。聖女様は今回の強行的な移動に耐えれるとは思えません。それに彼女は虚偽を言って混乱に陥れたという理由で謹慎を受けたのであれば、それを払拭する理由が必要でしょう」
「そうでしょうね。聖女シェーン。貴女を連れて行くには理由が足りないようですね」
すると彼女はこちらの方を見て、胸を張って言い切った。
「私がその場にいることに意味があるのよ!」
う……うん。何かな?偶像者としてかな?確かに聖女がいることで士気が高くなるかもしれない。
「ワイバーンの8時間の飛行に耐えきれるとも思えないのだけど」
「そうですね。一度上空に上がればどこかに立ち寄ることはありませんよ。騎獣の背に乗り続けることができるのですか?」
私の言ったことに神父様が彼女に問いかけてくれる。しかし、それが気に入らなかったのだろう。
「ちょっとそこの貴女!言いたいことがあるのなら、直接言いなさいよ!」
彼女は私に指を差しながら言ってきた。
えー。あまり関わりたくないのになぁ。私は大きくため息を吐き出す。
「この度の事は緊急の要請で辺境に向かうため、今までのように聖女様待遇はできません。我々は一刻も早く現地に向かわなければなりません。ですから、途中で何処かに立ち寄りたいと言われてもできかねます」
すると、彼女は私の方にカツカツと踵を鳴らしながら近寄ってきた。聖女らしい純白のドレスを纏いその裾を揺らしながら憤りを隠しもせずにだ。
「貴女、以前も私のことを邪魔した人よね。私の婚約者であるシュレイン様に馴れ馴れしく近づいていた」
偽物の王様に婚約者のことを否定されたのに、未だに彼女の中ではルディの婚約者でいるらしい。あ、確か手の甲を刺されて聞いていなかったのか。その刺された手の甲を見てみると綺麗になっていることから、誰かに治してもらったのだろう。
「そして、昨日も何か告げ口をしたでしょう!あの後夜遅くまで色々聞かれたのよ!あの侍従フリーデンハイドに!」
告げ口じゃなくて、報告と予想ね。しかし、私が色々邪魔しているように見えているみたいだけど、私は邪魔をしているわけではなく、嫌々ながらルディを止めに入ったり、興味津々で後を付けていただけだから、彼女の行動に何かしらの阻害をしているわけではない。
だけど、今回は途中で騒がれても嫌だから、彼女にはここで留守番をして欲しい。
しかし、自称婚約者であるルディの前で猫を被らなくても良かったのだろうか。あ、いや。気がついていないだけか。未だにルディは一言も発してはいない。
「キャンキャン子犬みてぇーにうっせーなぁ」
後ろからうんざりとした感じの酒吞の声が聞こえてきた。
「本当に弱い犬ほどよく吠えるといいますからね。行きたいと言うなら連れて行けばよろしいのではないのですか?アンジュ様」
この状況に嫌気が差したのだろうか。茨木が連れて行けばいいと言い出した。連れて行っても面倒が増えるだけだと思うけど?
「ご主人さま。この者に己の無力さを突きつければよろしいのではないのですか?そうすれば、少しは大人しくなるかと愚考致します」
朧までおかしなことを言いだした。えー連れて行くの?私は責任取れないよ。
10
お気に入りに追加
518
あなたにおすすめの小説
もう長くは生きられないので好きに行動したら、大好きな公爵令息に溺愛されました
Karamimi
恋愛
伯爵令嬢のユリアは、8歳の時に両親を亡くして以降、叔父に引き取られたものの、厄介者として虐げられて生きてきた。さらにこの世界では命を削る魔法と言われている、治癒魔法も長年強要され続けてきた。
そのせいで体はボロボロ、髪も真っ白になり、老婆の様な見た目になってしまったユリア。家の外にも出してもらえず、メイド以下の生活を強いられてきた。まさに、この世の地獄を味わっているユリアだが、“どんな時でも笑顔を忘れないで”という亡き母の言葉を胸に、どんなに辛くても笑顔を絶やすことはない。
そんな辛い生活の中、15歳になったユリアは貴族学院に入学する日を心待ちにしていた。なぜなら、昔自分を助けてくれた公爵令息、ブラックに会えるからだ。
「どうせもう私は長くは生きられない。それなら、ブラック様との思い出を作りたい」
そんな思いで、意気揚々と貴族学院の入学式に向かったユリア。そこで久しぶりに、ブラックとの再会を果たした。相変わらず自分に優しくしてくれるブラックに、ユリアはどんどん惹かれていく。
かつての友人達とも再開し、楽しい学院生活をスタートさせたかのように見えたのだが…
※虐げられてきたユリアが、幸せを掴むまでのお話しです。
ザ・王道シンデレラストーリーが書きたくて書いてみました。
よろしくお願いしますm(__)m
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢
岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか?
「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」
「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」
マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
【完結】実は白い結婚でしたの。元悪役令嬢は未亡人になったので今度こそ推しを見守りたい。
氷雨そら
恋愛
悪役令嬢だと気がついたのは、断罪直後。
私は、五十も年上の辺境伯に嫁いだのだった。
「でも、白い結婚だったのよね……」
奥様を愛していた辺境伯に、孫のように可愛がられた私は、彼の亡き後、王都へと戻ってきていた。
全ては、乙女ゲームの推しを遠くから眺めるため。
一途な年下枠ヒーローに、元悪役令嬢は溺愛される。
断罪に引き続き、私に拒否権はない……たぶん。
【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?
氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。
しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。
夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。
小説家なろうにも投稿中
【完結】きみの騎士
*
恋愛
村で出逢った貴族の男の子ルフィスを守るために男装して騎士になった平民の女の子が、おひめさまにきゃあきゃあ言われたり、男装がばれて王太子に抱きしめられたり、当て馬で舞踏会に出たりしながら、ずっとすきだったルフィスとしあわせになるお話です。
愛することをやめたら、怒る必要もなくなりました。今さら私を愛する振りなんて、していただかなくても大丈夫です。
石河 翠
恋愛
貴族令嬢でありながら、家族に虐げられて育ったアイビー。彼女は社交界でも人気者の恋多き侯爵エリックに望まれて、彼の妻となった。
ひとなみに愛される生活を夢見たものの、彼が欲していたのは、夫に従順で、家の中を取り仕切る女主人のみ。先妻の子どもと仲良くできない彼女をエリックは疎み、なじる。
それでもエリックを愛し、結婚生活にしがみついていたアイビーだが、彼の子どもに言われたたった一言で心が折れてしまう。ところが、愛することを止めてしまえばその生活は以前よりも穏やかで心地いいものになっていて……。
愛することをやめた途端に愛を囁くようになったヒーローと、その愛をやんわりと拒むヒロインのお話。
この作品は他サイトにも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID 179331)をお借りしております。
【完結】長い眠りのその後で
maruko
恋愛
伯爵令嬢のアディルは王宮魔術師団の副団長サンディル・メイナードと結婚しました。
でも婚約してから婚姻まで一度も会えず、婚姻式でも、新居に向かう馬車の中でも目も合わせない旦那様。
いくら政略結婚でも幸せになりたいって思ってもいいでしょう?
このまま幸せになれるのかしらと思ってたら⋯⋯アレッ?旦那様が2人!!
どうして旦那様はずっと眠ってるの?
唖然としたけど強制的に旦那様の為に動かないと行けないみたい。
しょうがないアディル頑張りまーす!!
複雑な家庭環境で育って、醒めた目で世間を見ているアディルが幸せになるまでの物語です
全50話(2話分は登場人物と時系列の整理含む)
※他サイトでも投稿しております
ご都合主義、誤字脱字、未熟者ですが優しい目線で読んで頂けますと幸いです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる