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53 明け方前に起こされた理由は
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夜が明ける前にルディに起こされた。朝早くに出発言われていたが、今はまだ夜中の3時だ。早すぎだ!
まだ覚醒していないまま、私の部屋のクローゼットの前に連れてこられ、この服を着るようにと言われた。
それはもう眠気が飛んでいってしまった。
「は?ルディ。お仕事に行くんだよね」
私の目には銀をベースに青い装飾が施された、胸の下で切り替えがある、ゴスロリのワンピースが見える。それも子供用なので、膝までの長さしかない。
「着るのは隊服だよね」
「今日はジジェルクで一泊するから、これでいい」
ジジェル?うーん?確か王都の西にある中核都市の名前だ。近くに大きな淡水湖があって、夏の避暑地として有名だったような?
いや、でもこの服を着る必要はないよね。
意味がわからないと、ルディをジト目で見ていると、ルディはいつもの胡散臭い笑顔ではない微笑みを浮かべ言った。
「自由にはどこでも連れて行ってやれないが、仕事という理由があれば、ある程度自由にできる。早めに出れば、昼過ぎにはジジェルクに着けるからデートしよう」
あ。覚えていたんだ。私が言っていた言葉。
『この広い世界を見てみたいって思っていることが駄目なの?色んなところに行ってみたいって思うことが、そんなに駄目なの?』
私は全ての柵を取り払って、自由になりたかった。しかし、それは叶わない願いだったけれど。
「ありがとう」
仕事となれば監視はつかない。だから、行動の自由がその間は認められる。
「ありがとう!ルディ、大好き!」
そう言って、私はルディに抱きつく。抱きついた私を抱えたルディはゴスロリワンピースを指して言った。
「じゃ、コレを着てくれるよな」
「それとこれとは別だよね」
いや、今からワイバーンに乗って空を飛ぶのにその服装はないよね。
結局、銀のゴスロリワンピースに白いストッキングにパンプス。その上から外套を羽織るという格好になってしまった。
まだ、月が空に浮かぶ中、大荷物を持って騎獣舎まで項垂れながら行き、ルディはワイバーンを外に連れ出した。
そして、大荷物をワイバーンに括りくける。大荷物。その中身の大半はチェーンメイルだ。魔物の討伐に行くのだから、鎧は身を守るためには必要だが、ぶっちゃけ、動きの阻害をするチェーンメイルは私は必要ないと思うのが本音だ。だけど、聖騎士団に所属すれば、着なければならない。だから、嵩張るけれど、持っていかねばならぬのだ。
ルディに抱えられ、そのままワイバーンの背に乗り、横向きに抱えられる。膝までの丈のワンピースで跨って乗るわけにもいかず、諦めの境地でルディに体を預ける。
そして、星が瞬く夜空に向かってワイバーンは飛び立った。
太陽が中天に差し掛かる頃、眼下に大きな湖とそれに隣接した巨大な街が見えてきた。本当に昼ぐらいに西の中核都市にたどり着いたようだ。
しかし、流石に日が昇っていない上空は寒かった。そのため、結界を施し快適空間をつくり、私は爆睡した。夜中の3時は早すぎだ!
そう言えば
「何処に降りるの?」
これだけ大きなワイバーンだと、降りる場所も困るし、泊まる場所もこまるだろう。
「ここは第10部隊の駐屯地の一つがある。そこに降りる」
そうか。ここまで大きな街だと、聖騎士団の駐屯地があるのか。
「あと、青竜騎士団の駐屯地もあるから、揉め事は起こさないように」
ん?普通の騎士団の駐屯地もあるってこと?しかし、その言い方だと私が問題児であるかのように言われていない?
ワイバーンは滑空するように、高度を下げていく。今更だけど疑問が。
「ねぇ。私の騎獣って支給されないの?」
「それは断った」
「は?いや、いるでしょ」
「アンジュは俺と離れなれないから必要ないだろ?」
言い方!!呪いの腕輪を付けた本人が何を言っている。聖騎士団の敷地程の距離なら呪いの腕輪が発動しないのなら、騎獣に乗っていても大丈夫のはず。
「いると思う」
「俺のアンジュと一緒にいるという楽しみを奪うつもりか?」
いや、殆ど一緒にいるから、多少離れてもいいと思う。
「ルディ。この一ヶ月、飽きるほど一緒にいると思うけど?」
「アンジュといて、飽きるなんてことはない」
その言葉に私は遠い目になる。本当に殆ど一緒にいるんだけど、今までルディが会議だといって離れる時以外、長時間ルディと離れて過ごすことはなかったぐらいだ。飽きてもいいと思うよ。
「それに、アンジュが他の奴と一緒にいると思うとぶち殺したくなる」
誰を!もしかして私を!!
まだ命は惜しい。私は思わずぶるりと震える。
「そうだ。この前俺がいない間にアンジュと一緒に遊んでいた奴ら」
ん?誰のこと?
「殆どの奴らは殴って骨を折るだけにしておいたが、アンジュに火の粉をかぶせたヤツは同じ様に火だるまにして、アンジュとの骨を折ったヤツは斬り刻んでおいたからな。それから、雇い主は首をすげ替えておいた」
な、なんだって!!バニーとイスラは生きているの?あ、ファルがなんとか生きているって、もしかしてこういうことだったの?
その雇い主が誰か知らないけれど、首をすげ替えたって、どこぞかの貴族の当主が代替わりしたってこと?権力怖っ!
「ルディ。私、遊んでいたわけじゃないよ」
ここはきちんと訂正しておかないといけない。戻ったら、バニーとイスラの居場所を聞き出して、お見舞いに行こう。
まだ覚醒していないまま、私の部屋のクローゼットの前に連れてこられ、この服を着るようにと言われた。
それはもう眠気が飛んでいってしまった。
「は?ルディ。お仕事に行くんだよね」
私の目には銀をベースに青い装飾が施された、胸の下で切り替えがある、ゴスロリのワンピースが見える。それも子供用なので、膝までの長さしかない。
「着るのは隊服だよね」
「今日はジジェルクで一泊するから、これでいい」
ジジェル?うーん?確か王都の西にある中核都市の名前だ。近くに大きな淡水湖があって、夏の避暑地として有名だったような?
いや、でもこの服を着る必要はないよね。
意味がわからないと、ルディをジト目で見ていると、ルディはいつもの胡散臭い笑顔ではない微笑みを浮かべ言った。
「自由にはどこでも連れて行ってやれないが、仕事という理由があれば、ある程度自由にできる。早めに出れば、昼過ぎにはジジェルクに着けるからデートしよう」
あ。覚えていたんだ。私が言っていた言葉。
『この広い世界を見てみたいって思っていることが駄目なの?色んなところに行ってみたいって思うことが、そんなに駄目なの?』
私は全ての柵を取り払って、自由になりたかった。しかし、それは叶わない願いだったけれど。
「ありがとう」
仕事となれば監視はつかない。だから、行動の自由がその間は認められる。
「ありがとう!ルディ、大好き!」
そう言って、私はルディに抱きつく。抱きついた私を抱えたルディはゴスロリワンピースを指して言った。
「じゃ、コレを着てくれるよな」
「それとこれとは別だよね」
いや、今からワイバーンに乗って空を飛ぶのにその服装はないよね。
結局、銀のゴスロリワンピースに白いストッキングにパンプス。その上から外套を羽織るという格好になってしまった。
まだ、月が空に浮かぶ中、大荷物を持って騎獣舎まで項垂れながら行き、ルディはワイバーンを外に連れ出した。
そして、大荷物をワイバーンに括りくける。大荷物。その中身の大半はチェーンメイルだ。魔物の討伐に行くのだから、鎧は身を守るためには必要だが、ぶっちゃけ、動きの阻害をするチェーンメイルは私は必要ないと思うのが本音だ。だけど、聖騎士団に所属すれば、着なければならない。だから、嵩張るけれど、持っていかねばならぬのだ。
ルディに抱えられ、そのままワイバーンの背に乗り、横向きに抱えられる。膝までの丈のワンピースで跨って乗るわけにもいかず、諦めの境地でルディに体を預ける。
そして、星が瞬く夜空に向かってワイバーンは飛び立った。
太陽が中天に差し掛かる頃、眼下に大きな湖とそれに隣接した巨大な街が見えてきた。本当に昼ぐらいに西の中核都市にたどり着いたようだ。
しかし、流石に日が昇っていない上空は寒かった。そのため、結界を施し快適空間をつくり、私は爆睡した。夜中の3時は早すぎだ!
そう言えば
「何処に降りるの?」
これだけ大きなワイバーンだと、降りる場所も困るし、泊まる場所もこまるだろう。
「ここは第10部隊の駐屯地の一つがある。そこに降りる」
そうか。ここまで大きな街だと、聖騎士団の駐屯地があるのか。
「あと、青竜騎士団の駐屯地もあるから、揉め事は起こさないように」
ん?普通の騎士団の駐屯地もあるってこと?しかし、その言い方だと私が問題児であるかのように言われていない?
ワイバーンは滑空するように、高度を下げていく。今更だけど疑問が。
「ねぇ。私の騎獣って支給されないの?」
「それは断った」
「は?いや、いるでしょ」
「アンジュは俺と離れなれないから必要ないだろ?」
言い方!!呪いの腕輪を付けた本人が何を言っている。聖騎士団の敷地程の距離なら呪いの腕輪が発動しないのなら、騎獣に乗っていても大丈夫のはず。
「いると思う」
「俺のアンジュと一緒にいるという楽しみを奪うつもりか?」
いや、殆ど一緒にいるから、多少離れてもいいと思う。
「ルディ。この一ヶ月、飽きるほど一緒にいると思うけど?」
「アンジュといて、飽きるなんてことはない」
その言葉に私は遠い目になる。本当に殆ど一緒にいるんだけど、今までルディが会議だといって離れる時以外、長時間ルディと離れて過ごすことはなかったぐらいだ。飽きてもいいと思うよ。
「それに、アンジュが他の奴と一緒にいると思うとぶち殺したくなる」
誰を!もしかして私を!!
まだ命は惜しい。私は思わずぶるりと震える。
「そうだ。この前俺がいない間にアンジュと一緒に遊んでいた奴ら」
ん?誰のこと?
「殆どの奴らは殴って骨を折るだけにしておいたが、アンジュに火の粉をかぶせたヤツは同じ様に火だるまにして、アンジュとの骨を折ったヤツは斬り刻んでおいたからな。それから、雇い主は首をすげ替えておいた」
な、なんだって!!バニーとイスラは生きているの?あ、ファルがなんとか生きているって、もしかしてこういうことだったの?
その雇い主が誰か知らないけれど、首をすげ替えたって、どこぞかの貴族の当主が代替わりしたってこと?権力怖っ!
「ルディ。私、遊んでいたわけじゃないよ」
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