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43 疲れがとれるもの?
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お昼は結局ルディの要望を聞いて、カレーになった。昨日の残りのカレーにひき肉とひよこ豆を足してドライカレー風にした。一晩置いたことで、スパイスの辛味が抑えられ、肉の油で旨味と甘味が足されたので、少しピリ辛のドライカレーになった。
お米は風の魔術を駆使して精米をして····3回ほど玄米粉が出来上がるという失態を犯したが、4回目でなんとか精米までこぎつけ、白いご飯を炊き上げることができた。
失敗してできた玄米粉は糠を想像力という魔法で排除し、米粉とした。そして、米粉と小麦粉と混ぜてお湯と食用油とこねこねして、円状に伸ばしてフライパンで焼いてトルティーヤ風の生地を作ってみた。
これにドライカレーを包めば、片手で食べられるラップサンドの出来上がりだ。これと飲み物を添えて一人頑張っているファルのところに届けてもらった。失敗しても食材は無駄にはしないよ。
「で、これが家畜の飼料からできたものか?」
白いお米にドライカレーが掛けられた物をガン見しているルディからのお言葉だ。私は聞いたよ。パンと一緒に食べるか白いごはんと一緒に食べるかと。
「嫌なら食べなくていいよ」
私はひき肉増々のドライカレーと白く光っているご飯をスプーンですくい、一口目。
香辛料の香りが一晩置いたことで、物足りなくなってしまっているけど、ひき肉とカレーの調和が絶妙だ。この肉美味しい。流石におじさんが勧めてくれたことはある。いい部位だけど、端切れで商品にならないからとただでくれたのだ。
うん。やっぱり日本人はカレーにはご飯だよね。日本人じゃないけれど。
横目でルディを伺うと黙々と食べている。まぁ、眉間にシワがよっていないから不味くはないらしい。
今日の私のやることはルディの機嫌を損ねないことなので、これで良かったのだろう。
監禁されるのは勘弁だ。
昼食を食べ終わって、食後のお茶を飲んでいるところに、ファル以外が入って来ないだろうダイニングの部屋の扉が開けられた。あ、うん。ファルだった。
くたびれた様子で戻ってくると思っていたけれど、なんだか怒っているような感じがする。ドライカレーが口に合わなかったのだろうか。
「アンジュ!お前何をしたんだ?」
ファルが何を言いたいのかわからないので、首を傾げる。
「この飲み物に何を入れた?」
ファルは携帯用の筒状の液体入れる容器を手に持って言った。
「てへっ」
やっぱり気が付かれてしまったか。気が付かれないように、かなり薄めてみたのだけど。
「アンジュ!」
「疲れがとれるもの?」
言うなれば栄養ドリンクみたいなものだ。私の毒の聖痕で作り出した疲労回復薬もどきだ。薬は使いようによっては毒にもなる。逆に毒は使いようによっては薬にもなる。
かなり薄めてみたけど、ファルにわかってしまうなんて、もう少し薄めれば良かった。
「アンジュ。それだけじゃないだろ?」
ん?私は回復薬を作ってかなり薄めたから回復しかしないはずだけど?
「何か駄目だった?」
「あと、3日はかかるはずだったものが、一瞬にして終わった」
別に問題ないのでは?じーっとファルを見てみる。うーん。ん?ああ、そうか。
「ファル様。魔脈の凝りが解消されてる」
「「は?」」
人には血液が流れる管である血管のように、魔力が流れる魔脈というものがある。血管も老廃物が溜まると詰まるように、魔脈も魔力を循環させなければ、詰まっていくのだ。
私は前世の小説の知識から魔法がこの世界にあると知ってから、魔力循環をしていたけれど、この世界の人達はあまりそのようなことをしていないようだった。
だから、この世界の人たちの魔力の使い方はこの様なものだと思い、放置していたのだけど、やっぱり魔脈の凝りがあると、うまく魔力が流れず十全の力が出せないようだ。
「私は意識して魔力を循環させるようにしているのだけど、みんなしていないよね。やっぱり使っていないと魔脈が詰まっていくみたい。それが、ファル様は解消されているから、今の状態が万全の状態?だから魔力はつかわないけど、聖痕の力も上手く引き出せるようになったのかな?」
「これが本来の俺の力···いや、しかし、これだと」
ファルが戸惑ったようにオロオロしだし、何かを考えだした。
そうか、回復薬ってことはあるべき状態に戻すってことなのか。これも多用しないほうがいいよね。
「アンジュ。俺はどうなんだ?」
ルディの魔脈ってこと?ルディはね···これって本人に言っていいものなのだろうか。
「えっと。ルディは魔力が多すぎて、詰まるどころじゃない」
ぶっちゃけ、溢れている。ん?魔力が溢れている?
「ルディ。魔力って抑えられる?」
「これでも魔道具で抑えているが」
これでも抑えられている!もしかして、これが原因か!
ルディの魔力の多さは圧迫感を感じるほどだ。怒っている時は特に感じることなんだけど、機嫌が悪いときは、鋒を眉間に突きつけられているような感じがするのだ。
私でさえこうなのだから、普段のルディの魔力でも他の第13部隊の彼らかすれば、針のむしろの上に座らされている感覚なのかもしれない。
ただ、ファルの魔力は包容力というかルディの魔力を遮るという感じがする。恐らくファルがルディに話し相手という感じで側にいるようになった経緯がこの辺りにあるのではないのだろうか。
もし、ルディが魔力を完璧に抑えられるようになれば?よし!
「ルディ。魔力循環してみようか」
お米は風の魔術を駆使して精米をして····3回ほど玄米粉が出来上がるという失態を犯したが、4回目でなんとか精米までこぎつけ、白いご飯を炊き上げることができた。
失敗してできた玄米粉は糠を想像力という魔法で排除し、米粉とした。そして、米粉と小麦粉と混ぜてお湯と食用油とこねこねして、円状に伸ばしてフライパンで焼いてトルティーヤ風の生地を作ってみた。
これにドライカレーを包めば、片手で食べられるラップサンドの出来上がりだ。これと飲み物を添えて一人頑張っているファルのところに届けてもらった。失敗しても食材は無駄にはしないよ。
「で、これが家畜の飼料からできたものか?」
白いお米にドライカレーが掛けられた物をガン見しているルディからのお言葉だ。私は聞いたよ。パンと一緒に食べるか白いごはんと一緒に食べるかと。
「嫌なら食べなくていいよ」
私はひき肉増々のドライカレーと白く光っているご飯をスプーンですくい、一口目。
香辛料の香りが一晩置いたことで、物足りなくなってしまっているけど、ひき肉とカレーの調和が絶妙だ。この肉美味しい。流石におじさんが勧めてくれたことはある。いい部位だけど、端切れで商品にならないからとただでくれたのだ。
うん。やっぱり日本人はカレーにはご飯だよね。日本人じゃないけれど。
横目でルディを伺うと黙々と食べている。まぁ、眉間にシワがよっていないから不味くはないらしい。
今日の私のやることはルディの機嫌を損ねないことなので、これで良かったのだろう。
監禁されるのは勘弁だ。
昼食を食べ終わって、食後のお茶を飲んでいるところに、ファル以外が入って来ないだろうダイニングの部屋の扉が開けられた。あ、うん。ファルだった。
くたびれた様子で戻ってくると思っていたけれど、なんだか怒っているような感じがする。ドライカレーが口に合わなかったのだろうか。
「アンジュ!お前何をしたんだ?」
ファルが何を言いたいのかわからないので、首を傾げる。
「この飲み物に何を入れた?」
ファルは携帯用の筒状の液体入れる容器を手に持って言った。
「てへっ」
やっぱり気が付かれてしまったか。気が付かれないように、かなり薄めてみたのだけど。
「アンジュ!」
「疲れがとれるもの?」
言うなれば栄養ドリンクみたいなものだ。私の毒の聖痕で作り出した疲労回復薬もどきだ。薬は使いようによっては毒にもなる。逆に毒は使いようによっては薬にもなる。
かなり薄めてみたけど、ファルにわかってしまうなんて、もう少し薄めれば良かった。
「アンジュ。それだけじゃないだろ?」
ん?私は回復薬を作ってかなり薄めたから回復しかしないはずだけど?
「何か駄目だった?」
「あと、3日はかかるはずだったものが、一瞬にして終わった」
別に問題ないのでは?じーっとファルを見てみる。うーん。ん?ああ、そうか。
「ファル様。魔脈の凝りが解消されてる」
「「は?」」
人には血液が流れる管である血管のように、魔力が流れる魔脈というものがある。血管も老廃物が溜まると詰まるように、魔脈も魔力を循環させなければ、詰まっていくのだ。
私は前世の小説の知識から魔法がこの世界にあると知ってから、魔力循環をしていたけれど、この世界の人達はあまりそのようなことをしていないようだった。
だから、この世界の人たちの魔力の使い方はこの様なものだと思い、放置していたのだけど、やっぱり魔脈の凝りがあると、うまく魔力が流れず十全の力が出せないようだ。
「私は意識して魔力を循環させるようにしているのだけど、みんなしていないよね。やっぱり使っていないと魔脈が詰まっていくみたい。それが、ファル様は解消されているから、今の状態が万全の状態?だから魔力はつかわないけど、聖痕の力も上手く引き出せるようになったのかな?」
「これが本来の俺の力···いや、しかし、これだと」
ファルが戸惑ったようにオロオロしだし、何かを考えだした。
そうか、回復薬ってことはあるべき状態に戻すってことなのか。これも多用しないほうがいいよね。
「アンジュ。俺はどうなんだ?」
ルディの魔脈ってこと?ルディはね···これって本人に言っていいものなのだろうか。
「えっと。ルディは魔力が多すぎて、詰まるどころじゃない」
ぶっちゃけ、溢れている。ん?魔力が溢れている?
「ルディ。魔力って抑えられる?」
「これでも魔道具で抑えているが」
これでも抑えられている!もしかして、これが原因か!
ルディの魔力の多さは圧迫感を感じるほどだ。怒っている時は特に感じることなんだけど、機嫌が悪いときは、鋒を眉間に突きつけられているような感じがするのだ。
私でさえこうなのだから、普段のルディの魔力でも他の第13部隊の彼らかすれば、針のむしろの上に座らされている感覚なのかもしれない。
ただ、ファルの魔力は包容力というかルディの魔力を遮るという感じがする。恐らくファルがルディに話し相手という感じで側にいるようになった経緯がこの辺りにあるのではないのだろうか。
もし、ルディが魔力を完璧に抑えられるようになれば?よし!
「ルディ。魔力循環してみようか」
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