13 / 368
13 天使の聖痕の力を甘く見ていた
しおりを挟む帰りは行きとは違い皆がバラバラで戻ることになってしまった。しかし、ファルのワイバーンを置いていっているが、いいのだろうか。
私は立ち上がって、土を払う。
「アンジュ。大丈夫なのか?」
「え?さっきも言ったけど、ただの痺れる毒でしょ?それぐらい解毒できるし」
「確かに脈も安定しているから、大丈夫なのだろうが、あまり無茶はしないでくれ」
ルディは脈を取っていた手を引っ張り私を引き寄せ、抱きしめるが、チェーンメイルがガツッと頭にぶつかって痛い。自分が何を着ているか理解をしていないのか!
私はルディとの間に手を差し込み、距離を開ける。そして、へらりと笑ってお願いをしてみた。
「ちょっと散歩してきてもいい?」
「あ゛?一人でか?」
「一人で」
「また、ふらふらと何処かに行こうというのか?俺を置いて何処かに行こうというのか?」
散歩ぐらいで、なぜルディを置いていくことになるんだ!
うーん、困った。ルディを置いて行きたい。はっ!置いていっている!
まぁ、それはいいとして、ルディには言った方がいいのか。いや、でも、しかし····。困った。
はぁ、人を信用しきれない私が悪いのだ。ルディは恐らく私を裏切らない。だけど、裏切られたときが怖い。私の未来は真っ暗になってしまう。
「あのね。お願いがあるのだけど」
「なんだ?」
「あ、いや、やっぱりいい」
今度一人で来ればいいか。いや。まて、そんな事は可能だろうか。なんだか以前のように、···以前以上にルディが私につきまとっている気がする。
「アンジュは何が気になるんだ?言ってくれないとわからない」
そう言ってくるルディを見る。優しい言葉をかけているようで、獲物を逃さないという視線を向けてくるルディを見る。なんだか一人でここに来るは無理そう。そして、ギリギリと体を締め付けられる。私はチェーンメイルにプレスされないように、必死に抵抗しながら、お願いを口にする。
「これから起こる事を見なかった事にして欲しい」
「なんだ?そんな事か。いいぞ」
やっと、ルディの力が緩んだので、距離を一歩取る。
「常闇の穴のところに行くから」
そう言って、ファル達が消えていった方向とは別の方向に足を進める。ここからでも、黒いモヤは見える。かなり巨大な常闇の穴だ。
しかし、ルディに捕獲された。
「危ないから、ワイバーンで行こう」
いや、直ぐそこだし。歩いてもしれている。
ルディは私を抱えたままワイバーンの背に乗ってしまった。そして、がっしりと私を捕まえている。
「るでぃ兄。内臓が出そうだから、もう少し緩めて欲しい」
「手を離したら、アンジュは飛んでいってしまうだろ?」
それはまるで私が風に飛ばされるような言い方だけど、そういうことじゃないよね。はぁ、自由に動く状態のほうが私としてはいいのだけど。
「地面に降りるまで立たないから、緩めて欲しい」
そう言ってやっと緩めてもらえた。本当になぜこのような状態になってしまったのか。
ワイバーンが低空飛行しながら、木々の上空を滑空して、黒いモヤのヘリに降り立った。数分の空の旅と言っていいほど短い時間でたどり着いた。
黒いモヤが全体像が見えないほど広がっている。それはそうだろう。大きな山を遠くで見るのと近くで見るのとの違いだ。
その大きく遠くに広がった黒いモヤの前に立つ。
できる。あの話が本当ならできるはず。
ただ、イメージをする。黒いモヤを穴の中央に渦を巻きながら戻すように。
黒いモヤがつむじ風が起こる前兆のようにざわざわと動き出す。このまま海の渦潮のように回転させる。
すると勢いよく黒いモヤが横に動き出す。上から見ればきっと渦状になっていることだろう。
それを穴の中に落とす。
黒いモヤが無くなった風景は、黒い底が見えない強大な穴が森の中に空いていた。
なんだか、薄ら寒くなってきた。
でも、なんとなくわかった。いや、わかってしまった。
私は両手を底が見えない穴に向かって突き出す。そして、空間を捻じ曲げるように回転させながら、閉じるようにする。くっ!何かが引っかかっているように、空間を捻じ曲げられない。
力が足りない。全く足りない。
右目が熱くなってきた。何かが頬を伝う。あ、そういうこと。天使の聖痕が体に埋め込まれないのは、普通の聖痕とは違うからだ。
ここで止めるわけにはいかない。右目の聖痕を外に出す。誰かが息を飲む音が聞こえたが、私はそれどころじゃない。
一気に力を放出する。回転が強まり、空間の歪みが一気に加速した。だが、異物がある感覚が残る。なんだ?何かがいる?
私は渦を巻きながら歪んでいる黒い穴を目を凝らして見る。なに?赤い塊?
赤い肉の塊にいくつもの目がこちらを見ている。あ····あれは、まさか!!やばいやばい。空間の歪みに反して出てこようとしている?
今の私にあの赤い肉の塊を押し込める余裕なんてない。
「るでぃ兄!」
私が焦ってルディに声をかける。
「どうした?」
私の斜め後ろから声が聞こえる。
「黒い穴の中の赤い肉の塊は見える?」
「ああ、なんだか気味が悪いやつな」
良かった見えているらしい。私しか見えないのであれば最悪だった。
「あれを穴の奥底に落とすことはできる?」
「倒すのではなく?」
「あれは死なないから、落とすだけでいい」
「····わかった」
ルディが了承の言葉を言ったと同時に、私の横から黒い矢が複数飛んでいき、赤い肉の塊に突き刺さっていき、奥へを押し込めていく。そして、つっかえが取れたかのように空間の歪みが加速し、パシュンという音と共に黒い穴が閉じた。
開く予兆はあるかと少し構えてはみたものの、どうやら完璧に閉じたようだ。
「はぁ」
疲れた。まさか、天使の聖痕にこんな落とし穴があるだなんて。地面にポツポツと赤い液体が落ちている。本来の力をだそうとすれば、灼熱のような熱を帯びるなんて知らなかった。
私は右目に手を置く。····あ、なんだか俺の右目が疼くみたいなポースになってしまった。
そのまま治療し、頭の上の輪を左手で掴む。熱くはない。それを右目の中に再びしまう。
これで元通りだ。
「····!····ュ!アンジュ!」
肩を揺さぶられ、ルディから呼ばれていることに気がついた。
「なに?」
「何じゃない!怪我をしたのか!」
「自業自得ってやつ、もう治したからどうもない」
「本当に治したのか?」
「本当、本当。るでぃ兄。終わったから帰ろう。言ったとおり他言無用だからね!私は祀り上げられるのは御免だから!」
再びワイバーンに乗せられ、来た空を戻っていく。ルディは聞きたいことがあるのだろうが、何も聞いてこない。聞いてこないのならそれでいい。
冷たい風を頬に受けながら今回の事について考える。私はあの常闇の正体が何となく、わかってしまった。
恐らく次元を繋ぐ穴だ。穴が小さいうちはいい。この世界の何処かにいる魔物を吐き出しているだけだ。だから、この世界の人達の常識で対処可能なのだ。
だが、穴が大きくなると他の世界と繋がってしまうのではないのだろうか。あの餓者髑髏。多数の骨でできたモノという知識が無ければ対処は難しい。
そして、赤い肉の塊。あれは太歳だと思われる。地中の中を移動する厄災。外に出れば死を撒き散らすという恐ろしいモノ。対処は元の地中に戻すってことのみ。ムチを打つといいとい話もあるらしいが、72人中1人しか助からなかった方法なんて試す気にもならない。
これが穴が大きくなると異次元のモノが出てくるという真相なのだろう。
やはり聖女というのは、世界の調整者の役割があるのではないのだろうか。
はぁー。こんなのやってられないよね。ぶっちゃけ、タダ働きに近いんじゃない?この国だけで、どれだけの穴が開いているか知らないけど、聖女が多数いるならまだしも、他の国もって言われたら、これはもう死ぬまで扱き使われる運命しか見えてこない。
誰か、聖女になってくれる人はいないのかなぁ。
眠い。疲れた。ああ、太歳の肉を食べると不老不死になるという噂は本当だったのかなぁ。
____________
シュレイン side
アンジュが眠ってしまった。本来なら騎獣に乗ったまま寝るなと怒るところだが、怒る気も失せてしまった。
リュミエール神父の言うとおりだ。目を離すといなくなってしまうと。
元からアンジュは変わった子供だった。姿と言動が合っていない。チグハグな子供だった。考え方も普通ではなかった。
騎獣がいれば自力で空を駆ける、そんな発想は起きないはずだ。だが、盾を足場にして空を駆ける。そして、何かの術を使って、自由に空を飛んでいく。
空を飛ぶワイバーンから飛び立ったアンジュの背中を見て、焦った。とても焦った。
アンジュを失ってしまうという焦りだ。
それもワイバーンよりも速い速度で、ミレーの雷でも倒しきれなかった巨大な骨に向かって行っているのだ。慌てて追いかけるも俺の目に映った光景は意に反して、崩れ去る骨。その骨を足場にして地面に落ちていくアンジュ。
その姿に安堵とともに不安と怒りが心を占めた。
そして、とどめが常闇の穴を閉じたアンジュの姿だ。
ファルークスとは、そうかも知れないと話してはいたが、実際に目にしてしまえば、理解せざるおえなかった。
アンジュは聖女様だと。王宮の奥の聖女の間に飾られている200年前の聖女様の絵姿と重なった。
だが、アンジュはそれを見なかったことにしろと言った。アンジュは聖女にはなりたくないということなのだろう。
聖女はこの世界に必要だ。しかし、アンジュが聖女となれば、俺だけのアンジュでは無くなる。
俺は迷っていた。この世界には聖女様が必要だ。アンジュが聖女だと報告しなければならない。しなければならないが、そうすれば、二度と俺の手に届かない存在にアンジュはなってしまうだろう。
このまま寝ているアンジュの首に手をかければ、俺だけのアンジュでいてくれるだろうか。
*
あれから5日経ったが、何事もなく過ごしている。何事もなくというか。ほとんどルディがくっついているのも変わらない。
ルディは何も聞いてこなかった。そして、本当に誰にも言ってはいないようだ。もし、上層部に報告していれば、今頃、私はどこぞかに軟禁でもされていただろう。
この5日間は、朝起きて、森の中のぽつんと一軒家に出社して、特に何もせずに宿舎に戻るということを繰り返した5日間だった。
他の部隊がどのような事をしているかわからないが、この13部隊は日々隊員は自分の好きな事をして過ごしている。そして、気まぐれのように討伐命令が下りてきて、それに数人が駆り出されるという具合だ。
先日のように全員が出撃するのは珍しいらしい。
隊員が何をして過ごしているかといえば、ファルは何かと書類に目を通してはいるが、ちらっと見てみたが、どう見ても13部隊のことに関しての書類ではなく、個人的な貴族が管理している領地に関する書類だった。微妙に計算が合っていなかったところを発見してしまったが、黙っておいた。ファルの仕事に口出すことではない。
ルディは私を膝の上に乗せて、本を読んでいることが多い。私はそこにいる必要はないような気がする。
ティオは足が折れているので、医務室でベッドの上の住人となっているので、ここには居ない。
ミレーはシャールとゲームをしている事が多い。カードであったり、ボードであったり、ビリヤードであったり、まぁ暇だということだ。
ヴィオは部屋の隅で怪しいものをブツブツと言いながらかき混ぜている。ファル曰く、新しい毒を開発しているらしい。1ヶ月ぐらいはあの状態だそうだ。
そして、私はと言うと····やることがない。今までは午前中は早朝から聖水作りに訓練があり、午後からは小銭稼ぎに街に出て、色んな仕事をして夕方の門限までに戻ってくるという忙しい日々を送ってきたので、何もすることがないとなると困った状態になってしまう。
仕方がないので、増産品を私の手に合った剣を改造してみようか。私は5日目にして暇に耐えきれずに刀を創り出そうとしていた。
火が入っていない暖炉の前に座る。その横には勿論ルディが本を片手に座っている。
黒いすすがついた暖炉の中に剣先を入れる。そして、炎の魔術で鉄剣を焼く。
私の手にあった鉄剣とは長めの幅のある剣だ。いわゆる大剣。小柄な私が使うには違和感がある大きさだ。だが、普通の剣だと重力の聖痕に耐えきれないのだ。3本ほど壊したところで、神父様から大剣の鉄剣を勧められ、それから剣を壊すことはなかった。
赤く熱したところで、不純物を飛ばすために叩くそうだが、形を形成させながら、不純物を落とすようにする。
『魔法とは想像力だ!』
正にそのとおりだ。
形が出来上がったところで、水の魔術を使って冷やす。なかなかいい感じだ。それを風の魔術で片刃に沿わすように研いでいく。本当は波紋を入れたいところだけど、あれは特殊な土で焼きを入れるらしいとしか知識にないので、無理そうなので諦めた。
「ふふふ」
大太刀とまではいかないが、反りが強い太刀の形でおおよそ刃渡りは80セルメルぐらい。魔物を斬るにはいい感じに出来上がった。
何か試し斬りができるものはないかと、後ろを振り向けば、8つの目が私を後ろから見ていた。ルディは横にいるので、そこには入らない。ということは、ティオ以外の全員が私のお遊びのような作業を見ていたのだ。
「暇なので、魔物で試し斬りをしてきていいですか?」
「気になるからいいですよ。一緒に行きましょう」
お、珍しい。ルディからOKが出た。
「あら、でも何処にいきます?近場だと北の森でしょうか?」
「でも、あそこは緑の奴らの管轄だよね。揉めたら、面倒だよ」
「で、では、東のモ··モルド山はどでしょう?」
「いや、あそこは最近、数頭のドラゴンが巣を作ったという報告が来ているから止めたほうがいい」
ああ、皆さん暇だと。
しかし、ただの試し斬りなので、近場でいいのだけど。
「魔物がいる近場だとどこですか?冒険者たちが依頼を受けるような浅瀬でいいのです」
「なら、北の森でいいでしょう。このまま森を抜ければ、外壁越しに隣接していますからね」
あ、このまま森を抜けると外に出られるわけか。そして、皆がいそいそと外に出る準備を始めた。本当にこの第13部隊って何なのだろう。あまりにも自由すぎる。
そして、私はルディに恋人つなぎで手を握られ、森の中を歩いている。傍から見れば森の散策を楽しんでいる恋人に見えるかもしれなが、私の左手には抜身の太刀もどきが握っている。その前にはヴィオが出来上がった毒の自慢話をたどたどしくしている。その話をミレーとシャールがワインにでも混ぜてみる?なんて恐ろしい話をしていた。
「で、なんで剣を作っていたんだ?」
ルディの横を歩いているファルから質問された。なぜって?それは勿論。
「暇だったから」
それ以外の何物でもない。
14
お気に入りに追加
527
あなたにおすすめの小説

結婚30年、契約満了したので離婚しませんか?
おもちのかたまり
恋愛
恋愛・小説 11位になりました!
皆様ありがとうございます。
「私、旦那様とお付き合いも甘いやり取りもしたことが無いから…ごめんなさい、ちょっと他人事なのかも。もちろん、貴方達の事は心から愛しているし、命より大事よ。」
眉根を下げて笑う母様に、一発じゃあ足りないなこれは。と確信した。幸い僕も姉さん達も祝福持ちだ。父様のような力極振りではないけれど、三対一なら勝ち目はある。
「じゃあ母様は、父様が嫌で離婚するわけではないんですか?」
ケーキを幸せそうに頬張っている母様は、僕の言葉にきょとん。と目を見開いて。…もしかすると、母様にとって父様は、関心を向ける程の相手ではないのかもしれない。嫌な予感に、今日一番の寒気がする。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇
20年前に攻略対象だった父親と、悪役令嬢の取り巻きだった母親の現在のお話。
ハッピーエンド・バットエンド・メリーバットエンド・女性軽視・女性蔑視
上記に当てはまりますので、苦手な方、ご不快に感じる方はお気を付けください。
十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。
「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。
そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。
死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。
どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。
その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない!
そして死なない!!
そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、
何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?!
「殿下!私、死にたくありません!」
✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼
※他サイトより転載した作品です。

家出したとある辺境夫人の話
あゆみノワ@書籍『完全別居の契約婚〜』
恋愛
『突然ではございますが、私はあなたと離縁し、このお屋敷を去ることにいたしました』
これは、一通の置き手紙からはじまった一組の心通わぬ夫婦のお語。
※ちゃんとハッピーエンドです。ただし、主人公にとっては。
※他サイトでも掲載します。

今夜で忘れる。
豆狸
恋愛
「……今夜で忘れます」
そう言って、私はジョアキン殿下を見つめました。
黄金の髪に緑色の瞳、鼻筋の通った端正な顔を持つ、我がソアレス王国の第二王子。大陸最大の図書館がそびえる学術都市として名高いソアレスの王都にある大学を卒業するまでは、侯爵令嬢の私の婚約者だった方です。
今はお互いに別の方と婚約しています。
「忘れると誓います。ですから、幼いころからの想いに決着をつけるため、どうか私にジョアキン殿下との一夜をくださいませ」
なろう様でも公開中です。

【完結】何回も告白されて断っていますが、(周りが応援?) 私婚約者がいますの。
BBやっこ
恋愛
ある日、学園のカフェでのんびりお茶と本を読みながら過ごしていると。
男性が近づいてきました。突然、私にプロポーズしてくる知らない男。
いえ、知った顔ではありました。学園の制服を着ています。
私はドレスですが、同級生の平民でした。
困ります。

婚約者を奪い返そうとしたらいきなり溺愛されました
宵闇 月
恋愛
異世界に転生したらスマホゲームの悪役令嬢でした。
しかも前世の推し且つ今世の婚約者は既にヒロインに攻略された後でした。
断罪まであと一年と少し。
だったら断罪回避より今から全力で奪い返してみせますわ。
と意気込んだはいいけど
あれ?
婚約者様の様子がおかしいのだけど…
※ 4/26
内容とタイトルが合ってないない気がするのでタイトル変更しました。

出生の秘密は墓場まで
しゃーりん
恋愛
20歳で公爵になったエスメラルダには13歳離れた弟ザフィーロがいる。
だが実はザフィーロはエスメラルダが産んだ子。この事実を知っている者は墓場まで口を噤むことになっている。
ザフィーロに跡を継がせるつもりだったが、特殊な性癖があるのではないかという恐れから、もう一人子供を産むためにエスメラルダは25歳で結婚する。
3年後、出産したばかりのエスメラルダに自分の出生についてザフィーロが確認するというお話です。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる