聖痕の聖騎士〜溺愛?狂愛?私に結婚以外の選択肢はありますか?〜

白雲八鈴

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8 神父様の中はきっと悪魔だ

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「『反転の盾』!」

 六角形の盾をサッカーボールのように私を中心に囲った。やばかった。もう少しで、よくわからない穴に落ちるところだった。
 悪魔神父!頑張って生き延びるどころか、初めから殺す気満々だったじゃないか!

ヴゥゥゥゥゥゥ

 という低い唸り声のような音が耳に入ってきた。後ろを振り向くと大きな牙とその牙を伝う粘液性の液体が見える。
 巨大生物!!
 私は盾を解除し、身体強化をして一気に駆け出した。





南の森、最終訓練 side

「ヴァンウルフの討伐か。かったるいよな。シュレイン」

 ファルークスは最終訓練と言いつつもありきたりなウルフ討伐に不服のようだ。

「ああ」

 シュレインは心ここにあらずという感じでおざなりに返事をしている。

「これが丸一日だなんて、暇過ぎるよな」

「ああ」

「····あ、アンジュだ」

「何!」

「嘘だ。ちゃんと聞こえていたか。ちゃんと聞いていないとリュミエール神父に叱られるぞ」

「ファルークス!!」

 シュレインはファルークスの胸ぐらを掴んで揺さぶるが、胸ぐらを掴まれているファルークスはニヤニヤと笑っている。ここ2年ちょっとでシュレインが人らしくなってきた事が嬉しいようだ。今までなら、ファルークスに突っかかるということは絶対にしなかった。

 今は少年少女たちは待機状態で、補助として付き添いをしているシスター・マリアがヴァンウルフの居場所を探しているところだ。
 そこに駆け込んで来る者がいた。

「リュミエール様」

 金髪の大柄の人物がリュミエール神父の元に息を切らしながら、駆け込んできた。

「どうかしましたか?」

「常闇から大物が出現しました!撤退してください!」

 常闇。世界の膿であり毒が吹き出している穴のことだ。そこから、魔物が這い出てくる。そう言われる場所だ。

「イレイザーはどうしました?一緒に行動していたのでは?」

「はぐれてしまいました。ポーターとして連れてきた銀髪の子供と共に」

 銀髪。そんな髪の色を持つ子供といえば····一人しかいないだろう。その言葉を聞いたシュレインは駆け出していた。金髪の男が来た方角に向かって。

 その姿をみたリュミエール神父は微笑み。金髪の男は可哀想な子供を見るような視線を送っていた。








 ギャァァァー!!

 死ぬ!これは絶対に死ぬ!

 私は今、大型犬に追いかけられていた。ただの犬なら問題ない。後ろの犬には首が3つあるのだ。それも3メルメートルはあるのでは、ないのだろうか。
 悪魔神父が地獄の門を開いたに違いない!それも3体も!どれだけ、番犬が必要なんだ!

 くっそー!子供の体力には限界がある。反撃に出るしかないか。

 私は足を滑らせながら身を反転し、3体いる地獄の番犬に向かって放つ。

「『虐雪ぎゃくせつの舞』」

 あたり一面に猛吹雪が吹き荒れる。これはただの足止めだ。視界奪い。生き物の体温を下げ、行動を抑制するためだけだ。地獄の門番に効くとは思ってはいない。

 右端の地獄の門番に向かって行き、三つ首の後ろに飛んで回り込む。

「『神風しんぷう破刃はじん!』」

 3つの刃を作り出し、3つ同時に首を切り落とす。
 この世界の膿から生み出された強大な魔物は聖属性で倒さないと倒しきれない。これが、聖質を持つ子供が重宝される理由だ。
 膿を生み出す穴を塞げばいい話なのだが、基本的に穴は塞ぐことはできないらしい。だが、シスターから教えられた感じでは、穴を塞ぐには何か条件がありそうだ。

 神風かみかぜ、神の威徳によって吹き起こる風。聖属性を纏った刃だ。

 隣の一体に視線を向ける。まだ、凍りついている。倒れ込む番犬の背を足がかりにし、隣の地獄の番犬にもくらわす。

「『神風しんぷう破刃はじん!』」

 中央の地獄の番犬の首が落ちると同時に左端にいた、三首の獣が赤黒い炎に包まれた。
 時間切れか。

 唸り声をあげながら、私に向かって牙を向けて来る。体を捻り避けるが、そこに強靭な爪が襲ってきて、地面に叩きつけられる。
 うぐっ!

 獣の3つの口からは赤黒い炎が漏れ出ており、私を地面に繋ぎ止め、狙いを定めている。私を上から見下ろす6つの目。

「『雷神らいじんほこ』」

 三つ首の獣に雷が貫く。所詮獣だ。私の口を封じなかったのが敗因だ。
 この前足をのけてくれないかなぁ。そう思っていると、白目を向きながら三つ首の獣の頭が私の上に降ってきた。
 あ、余計に動けなくなってしまった。困ったなぁ。

「アンジュ!!」

 あ、助けが来た!この声はルディだ。声を出そうとして、あたりの空気がおかしいことに気がついた。

 なんだろう?息苦しい?圧迫感?

 私は今の私の状態をわかっていなかった。三つ首の一つの首が私の首元に喰らいついているかのようで、私は獣の重さに微動だにできない状態だった。

 そこだけ切り取れば、私が魔物に喰われているような絵面だった。


 辺りが闇に包まれた。昼間なのに暗い。何だかすごく悪寒がする。そして、地面を剥ぎ取るような衝撃。私はそれに巻き込まれるように宙に投げらされた。
 その時、私の目に映ったルディは闇の使者と言っていいような全身に闇を纏い、その目は地獄でも映しているかのように深淵を覗き込んだ色をしてた。


 私は力の暴力に贖うことができずに、ぐしゃりと地面に叩きつけられたことろで、意識を失った。





 私はそれを最後にルディを見ることがなかった。

 どうやら、ルディは聖痕を発現したらしい。私は聖痕の暴発に巻き込まれたということらしい。
 全ては悪魔神父からの言葉なので、どこまでが本当なのかはわからない。

「そういうことなので、アンジュはシュレインの聖痕の暴走に巻き込まれて死んだということになっています」

 この悪魔神父め!一番トラウマになることをしやがった。神父様は言いたいことだけ言って去っていった。
 今の私は医務室でベッドの住人となっている。まさか、死にかける原因が魔物ではなく、ルディだったなんて。

 私がため息を付いていると、疲れた顔のファルが入ってきた。

「大丈夫か?」

「私は死人なので」

 嫌味を言ってしまった。ファルに言っても仕方がないのに。

「はぁ。もう、シュレインが手に負えないんだ。このままアンジュを連れ去ったら駄目か?」

 死人の私にそのような事を言われても困る。

「ですから、私は死人です。文句は神父様に言ってください」

「いや、それは言った。リュミエール神父の言い分もわかる。わかるんだが、やっとあのシュレインが人らしくなったと思った矢先にこれだ」

 人らしく?じゃ、今までなんだったのだろう。

「ファル様。私でわかったと思いますが、るでぃ兄をきちんと見てくれる人がいれば、るでぃ兄は立ち上がれますよ」

 しかし、このままトラウマを抱えるというのは可哀想だ。

「ファル様。ナイフってお持ちですか?」

「ああ」

 ファルは懐から果物ナイフほどの大きさの刃物を取り出した。ファルの手を借りて起き上がらせてもらい。胸の下までになった髪をみつあみにして紐で縛る。そして、首元でざくりと切り落とした。

「なっ!」

 私の髪は再び短くなった。そして、みつあみにした髪に呪を掛ける。

「『養花天ようかてん甘雨かんう』」

 春の雨が桜の花を咲かすようにルディの心を成長させ、いつかは立ち上がれますように

「これをるでぃ兄に渡して、一人で立てるようになって必要なくなれば、燃やして捨ててね」

 受け取ったファルは銀髪のみつあみを凝視する。それもなにか信じられないものを見るような感じだ。

「いつも思うが、アンジュの魔術は不思議だな」

「そう?疲れたから、もう寝る」

 私は倒れ込むようにベッドに沈み込む。適当に髪を切ったから首元がチクチクするな。

「髪。切らせて悪かったな」

「いいよ。どうせそろそろ切ろうと思っていたから」

 ファルは私の短くなった髪を一撫ぜして医務室を出ていった。それから、ファルも教会を訪れることなく、会うことはなかった。








 なのに、私が全身が痛いのを我慢しているというのに、先程からうるさい!頭も痛くなってきた。

「いい加減に寝ろ!」
「寝ている間にいなくなったらどうするのです!」
「これで、動けるほうがおかしいだろう!」
「あのー。昼からの会議があるのですが」
「そんなもの出る必要性ありません!」
「それは俺が出るからあとにしろ!」

 人が痛みに耐えているところで騒ぐなんて、嫌がらせだ。

「騒ぐなら出ていけ!」

 目を開けて声がする方に視線を向けて、言い放つ。

「アンジュ!」
「起きたかアンジュ」

 黒い目と緑の目が私を見つめてきた。この二人が揃うと、成長したルディとファルということがわかる。

「アンジュ。アンジュ。アンジュ。よかった。生きてた」

 いや、生きているよ。死なないように重傷箇所は治したし。
 ルディは泣きそうな顔をして私の右手を握ってきた。

「アンジュ。シュレインに寝ろって言ってくれないか?この3日、アンジュの治療し続けて寝てないんだ」

 あ?3日?

「寝ろ」

「じゃ、一緒に寝よう」

 いや、自分の部屋に帰れ。

「自分の部屋に帰って寝てください」

 あー。痛い。まぶたが重い。再び眠りにつこうとした私の耳に衝撃的な言葉が降ってきた。

「アンジュ。ここシュレインの部屋だ」

 は?意味わからないし。

「じゃ、ファル様が私を医務室に連れて行ってください」

 目をつむったまま答えると地獄の底から響くような声が聞こえてきた。

「なぜ、そこでファルークスの名が出てくるんだ?」


 思わず目を開けると、苦笑いのファルと人を射殺しそうなほど残忍さを帯びた顔をしたルディがいた。
 くっ。これは10年経っても変わっていないってこと?何故に!

「アンジュ。俺は会議に出なければならないから、後はよろしくな」

 ファルは逃げるように部屋を出ていった。部下を思われる人を連れて。
 いや、会議は昼からって言っていたから直ぐに行かなくてもいいよね!
 この状態のルディを放置して行かないで!

「はぁ。じゃ、るでぃ兄が医務室に連れて行ってください」

「嫌だ」

 何故に!そもそも何故私をここに運んだ!
 しかし、眠い。痛いし、眠い。
 もう、考えるのが億劫だ。

「もう、私寝るから、るでぃ兄·····も··ね·」

 寝てよね。





シュレイン side

 痛々しい姿で眠った彼女の頬を撫ぜる。折れそうなほどやせ細った腕に目を落とす。
 16歳としては小柄だ。その姿に記憶の中のアンジュと重なるものは何もなかった。いや、出会った頃の姿と重なるか。




「隊長!アレって俺たちをぶっ飛ばしたヤツッスよ!」

 ティオが指し示したところには、あの月夜で聖痕の力を慣れたように使いこなしていた少女がいた。

「飛ばされたのは油断していたミレーとティオです」

 そう答えるが、頭に包帯を巻き、左腕は折れているのか吊るされている少女から目が離せない。何故か気になる。
 あのときは怪我などしていなかった。ということはここで怪我をしたことになるが、あのリュミエール神父の元にいて、こんな子供のお遊びのようなところで怪我なんてするはずは無い。

「なんで、あれだけ聖痕が使えて、ここにいるんッスかね?」

 それはティオの言うとおりだ。慣れたように聖痕の力を使っていた。慣れたように?
 くくくっ。あのリュミエール神父のところにいて、聖痕の出現を16歳になるまで隠し通していたということか。

「うわぁ。これは全く相手にならないッスね」

 少女は向かってくる者達を軽く避け、結界の外に追い出している。力の差は歴然だ。

「えげつない」

 魔術の施行中に妨害し、暴発させる。その行為は褒められたことではないが、実戦ではそんなことは言ってられない。敵は容赦なく向かってくるものだ。

「少し相手をしてきましょう」

 ティオにそう声を掛けて、少女の前に降り立った。見た目は13歳ほどに見える。灰色の髪は整えられず、伸びっぱなしという感じで目も隠れており、どこを見ているのかわからないが、こちらを警戒していることはわかる。

 力を示すようにといえば、何を言っているのか理解できないのか、目の前の少女は首を傾げている。聖痕の力を使うように言えば、ただの忠告と捉えられ去って行こうとする。

 それでは駄目だ。彼女は試されているのだ。ここで力を示さなければ、聖騎士になることは叶わない。

 やる気のない少女向かって剣を振り下ろす。やはり、身体強化はしているが、体が作られていないので、剣を往なすだけで精一杯のようだ。
 あのリュミエール神父の元にいて、これはどういうことだろう。十全に力を振るうことができない少女に何も指導をしてこなかったのだろうか。
 ふと、キラキラと輝く銀髪が脳裏にかすめる。そういえば、アンジュは戦闘教育をされずに冒険者見習いになる許可が下りたなと。もう、記憶でしか会えない幼子。

 剣を受けるのに精一杯だった少女は苛ついたように剣を投げつけてきた。ここで、武器を手放すのか?
 しかし、少女すぐさまに氷で剣を作り出し、振るってきた。氷で剣を?面白い使い方をする。まるで···いや。何でも無い。

 少女の動きが突然変化した。俺の剣撃を弾き返すようになった。身体強化だけではない。なんだ?何かの聖痕の力か?
 面白い。聖痕の力と魔術を同時に使っているのか。

 俺の聖痕の力とフラムを合わせれば?
 ほう、黒い炎が出来上がった。面白い。面白い。
 ならヴァンならどうだ?

 ああ、こんな変わった魔術の使い方をするなんてアンジュみたいだ。

「るでぃ兄だ」

 え?この拙い呼び方は。
 目の少女に視線を向ける。灰色の髪の隙間から見えるのはピンクの瞳。はにかむように笑う笑顔は記憶の中の幼子と重なる。

ドクンと心臓が高鳴った。

 その少女が黒い刃に飛ばされていく。そして、ぐしゃりと地面に落ちていった。その姿が、その光景が記憶と重なる。
 これはなんだ?何が起こっている?

 心臓の音がうるさい。目の前が真っ赤に染まっていく。

「シュレイン。このままだと、本当にアンジュは死んでしまいますよ」

 背後からリュミエール神父の声が聞こえ、振り返る。

「あの少女はアンジュなのですか?」

「おや?気が付きませんでしたか?」

 リュミエール神父はにこにことした笑顔で答える。貴方がアンジュは俺の所為で死んだと言ったのではないか!と言いたかったが、すぐさまアンジュの元に駆けつける。

 あちらこちらが傷つき血を流している。意識がないアンジュを抱きかかえ、水の癒やしの聖痕を使う。遥か昔に聖女が持っていた天使の聖痕には劣るが、傷ぐらいなら癒やすことができる。

「ああ、アンジュはそのまま聖騎士団の方に連れて行ってもらっていいですよ。あと、目を離すとふらふらと居なくなるのは変わらないので、目を離さないようにしなさいね」

 そう言って、リュミエール神父は背を向けて去っていった。結局、今も昔もあの人の手のひらの上で踊らされていたということか。


_____________

ファルークスとティオの閑話

「副隊長、あの少女のこと聞いていいっすか?」

 赤髪のティオが隣で歩いている男に問いかける。

「何をだ?」

 金髪のファルークスはご機嫌なようで、ニヤニヤと笑っている。

「あの子、普通に隊長と怪我をしたまま、やり合っていたっすけど、普通に強くないっすか?」

「ん?それはそうだろう。5歳でケルベロスを3体倒しているからな」

「は?5歳?」

 ティオは唖然として足を止めた。

「いや、なんで今まで聖騎士団の方に来なかったんすか?もう、その時点で聖騎士団に来ても問題ないっすよね。最年少は10歳で入ってますよ?」

「ああ、それな。そのうち分かると思うが、シュレインが問題だったんだ」

「ん?隊長?いや、関係ないっすよね?」

 ティオの言葉にファルークスはニヤニヤと笑いを浮かべるだけだった。


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