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4 黒髪の男性と黒髪の少年

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 一回戦が終わり二回戦の5~8番のカードを持つ者達が呼ばれた。闘技場に向かうために移動すれば、背後から多くの視線が突き刺さった。
 はぁ。これは、けが人をさっさと退場させようとターゲットにされているのか?

 まぁ。私にとってはどちらでも構わない。これぐらいの者達がどれほどかかってこようが、訓練にもならないお遊び程度だ。

 外に出ると太陽に光に思わず目を細める。6番のフィールドは何処だ?空中に6と書かれた大きなプレートが目に入ったので、そちらに進んでいく。

 大きなプレートにクジで引いたプレートを近づけると、大きなプレートの方に吸い込まれていき、このフィールドに入ることができるようになっている。

 そう、フィールド。バトルロイヤルが行うことができる範囲だ。このフィールドの役目というのは、中で戦ってできた傷はなかったことになるという不思議な空間だ。
 だから、致命傷を与える攻撃も禁止はされておらず。魔術の施行も禁止はされていない。
 これは、生徒の力を最大限にいかしたいということだが、恐らく本来の意味は生命を奪う行為に罪悪感を無くすことではないのだろうかと考えている。普通の騎士団という組織は人を相手に剣を向ける者達なのだ。最悪、戦にもかり出される。生命を奪う行為に罪悪感を感じないように。
 本当に組織と言うものは腐っている。


 次々に少年少女らがフィールド内に入っていく。私はそれを横目にフィールドのギリギリ端に立っている。
 そして、刃の潰された剣を軽く振って重さを確認する。他の者達の剣の刃は綺麗に研がれているというのに、私に渡された剣の刃は切れないように潰されている。もう、苦笑いしか浮かばない。しかし、そんなことは表情には出さないけれど。

 おおよそ50人ほどがフィールド内に収まった。その内の十数人が私を獲物として決めたようだ。見た目はひょろひょろでその上怪我もしている。一番に切り捨てるにはいい標的なのかもしれない。

『第2回戦開始!』

 その言葉と共にそれぞれが、それぞれの標的に向かって駆けていく。私の方にも剣を抜いて向かってくる者達がいる。

「やー!!」

 はぁ。そんなに大きく上段に構えたら、脇に隙きができるとは思わないのだろうか。向かってくる者に対し斜めに体をずらし、足を引っ掛ける。そのまま前のめりに倒れていき、フィールドの外にスライディングヘッドをかましている。
 その間にも向かってくる者達を次々にフィールドの外に追い出していく。
 戦わずにフィールドの外に追い出されるとは、なんと屈辱的なことなのだろう。

 ふん!誰がまともに戦うか!こっちはけが人だぞ!

 フィールドの縁に沿って移動しながら、次々に外に追い出していく。残りは5人。その5人の視線は私に向けられ、ボソボソと話している。口の動きからすると共闘の相談のようだ。

 その内の一人の魔力が動き、魔術を施行する呪文を唱えだす。その者の背後に瞬時に回り込み、身体強化で右手一本で外に投げ捨てる。施行中の魔術を途中で止めてしまうということは勿論、暴発する。それも結界の外で。

 本当に同じぐらいの年頃の者達が通う教育機関だと思えない。あんなに堂々と魔術の呪文を唱えるなんて、自分を狙ってくれと言うものだ。普通は呪文破棄ぐらいするよね。
 背後から爆発する音を聞きながら、他の4人に視線を向けると怯えたような目を向けられ、自らフィールドの外に出ていった。

 え?あれぐらいで、なんで怖気づいてしまうのか、わからないのだけど?
 ここは残り4人全員で向かってくるところじゃないの?

 立っているのが私だけとなり、フィールドの結界が解かれた。そして、私の目の前に一枚のカードが出現する。これが私の次の番号のカーd····殺気を感じ大きく背後に飛び殺気に元をたどった。

 いや、たどるまでもなく目の前にいた。目を引く白い隊服に黒髪の長身の男が剣を抜いて立っていた。

 こ、これはどういうこと?男は私の方に剣を抜いたまま近づいてくる。

「なぜ、聖痕の力を使わないのですか?」

 聖痕?ああ、目の前の男は私が聖痕の力を使える事を知っているのはあたりまえか。
 あの夜、私が腹いせにぶっ飛ばしてしまった人物の一人だということは、見た瞬間にわかってしまった。
 先程から、冷や汗が止まらない。これは仕返しにきたのだろうか。思わず、一歩後ろに下がる。

「なぜ、使わないのですか?」

 男は同じ質問を繰り返す。答えるまで、質問を繰り返すなんて、神父様みたいで嫌だな。

「相手に使う必要がないからです」

 別に私の手に武器がないわけでもなく、強敵に生命を狙われているわけでもなく、ただのクソガキのお遊びに付き合っているだけだからだ。

「貴女の力を示さないと、認められませんよ」

 ん?私の力?ああそういう事。医務室の先生が言っていたことはこれか。

『うーん。普通は止めるのだけど、貴女にはいい機会でしょう?貴女の力を示してくれればいいと思うわ』

 これは聖痕の力を見せろってことだったのか。わかりにくいなぁ。

「わざわざ、ご忠告ありがとうございます。午後からはそのようにさせてもらいます」

 頭を下げお礼をいっていると、空気が動いた。反射的に体を半分ずらすと、男が私が居た所に剣を突きつけて立っていた。

「今直ぐに示しなさい」

 え?それは貴方を相手にしろってことでしょうか?これは聞いていませんよ。

 と、聞いてもいいだろうか。ただ、私は声を出すことはできなかった。

 黒髪の男からの猛攻撃を刃の潰れた剣で受け続けている。くっ!一撃、一撃が重い。
 適当に選んだ剣だから、余計に分が悪い。私に合った剣ならもう少し動けるのに!

 それに!私、怪我人なんですけど!!

 手加減しろよ!

 いや、わかるよ。足がもげようが、腕がもげようが敵は容赦なく襲ってくるって。でもさぁ、今は学生同士でヤり合う大会!

 それに胡散臭い笑顔で攻撃してくる目の前の男を見ていると、クソ神父を思い出す。こいつ絶対にキルクス出身者だろ!!この容赦ない剣技も先輩たちやシスターたちにそっくりだ。

 クソ!扱いにくい!

 私は自分に合っていない剣を胡散臭い笑顔を浮かべている男の顔面に向けて投げつける。そして、すぐさま足で地面を踏み鳴らす。

「『氷結グラキ』」

 氷属性の魔術の施行だ。これは攻撃性がないただの氷を作り出すだけの単純な魔術だ。
 足元から氷の剣を作り出し、右手で取り足に力を込める。重力の聖痕と身体強化の魔術を併用する。

 聖痕と魔術は何が違うか。普通は何かを得るためには対価が必要だ。食べ物が欲しければ、金を対価にして得る。金を得るためには己の労力を対価にして得る。
 そのような感じで、魔術の施行には呪と魔力を対価にして力を得ているが、聖痕に必要なのは呪のみだ。

 身体強化は既に使用しているので、聖痕のみを発動する。

「『操り人形ファント』」

 ガリガリにやせ細った体全体に魔力をまとわし、重力という物から解放する。魔術と聖痕の併用により相乗効果が現れ、人のという生物から逸脱する。

 自分で自分の体を操る。

 何を当たり前の事を言っているのだと思うだろうが、筋力という体の内側の力で動くのではなく。与えられた力をまとって外部のからの力で体を動かす。

 体の力を抜き、地面から少し浮きながら構え、氷剣で攻撃を受け止め、弾き返す。やせ細った私が身体強化しようが、限度はある。その限度枠を超え、重い攻撃を弾き返し、折れた腕さえも使うことができる。

 折れた左腕にも氷剣を握り、剣を振るう。しかし、簡単に往なされてしまった。くぅー!折れた骨に響く。
 体勢を低くし、瞬時に背後に周りこみ首を狙うも受け止められる。やはり、これぐらいの速さでは駄目か。

 もっと速度を上げる。もっと、もっと。
 そして、小声で呟く。

「『茨の鎖カテアンカーティ』」

 地面から生えた私の茨が男の腕と剣に絡みつき、動きを止めた。私の攻撃に集中しすぎたね。
 動きを止めた男に向けて氷剣を振るう。これで決着だ!

 しかし、私の氷剣は男に届く前にかき消えてしまった。いや、正確には溶けて無くなってしまった。黒い炎に包まれ私の茨と共に無くなった。
 唖然とする私に男は胡散臭い笑顔ではなく、さもこの状況が楽しいと言わんばかりに歪んだ笑みを向けてきた。

 あ····。思い出した。

 黒い炎が私に襲いかかる。距離を取り、さけようとすれば、黒い炎が形を変え、風の刃となって向かってくる。この私の施行している魔術を分析して自分に合った方法で再現をする人物なんて一人しかいない。

「るでぃにぃだ」

 私は黒い刃を受け、闘技場と観客席を隔てる壁に叩きつけられる。
 くぅー!!意識が飛びそうー。直ぐに体の状態を確認する。肋骨が肺に刺さっているな。左手は当分の間は使い物にならないか。あー。横腹がざっくりいっているな。

 折れた肋骨と肺と腸がはみ出そうな横腹は直ぐに治癒をしておく。あとはまぁ、なんとか我慢できるか。

「ゴホッ」

 肺に溜まっていた血を吐き出す。ふと、視線を上げると···なんか見てはいけない者を見てしまった。
 これはヤバいと体を動かそうとすれば、壁にめり込んでしまっているのか、なかなか動かない。左足を瓦礫からなんとか抜け出させ、思いっきり後ろに蹴り壁から剥がれることはできたものの、ぐしゃりと地面に前のめりに落ちてしまった。

 あーこれは絶対にヤバい。けれど、私の体はもう限界だ。なんとかできるものはないかと視界を巡らす。ん?クソ神父のムカつく顔が見えた。こんな時でも胡散臭い笑顔するなよ!けれど、まぁ、あとは神父様に任せればいいか。

 そして、私の意識は深い闇の中に沈んでいった。


 深く。
 深く。






 私はアンジュ。
 ここでは、この世界ではその名を与えられた。けれど、私には誰にも言っていない秘密がある。ここではない別の世界の記憶を持っている。いわゆる前世の記憶持ちだ。

 と言っても、サラリーマンの平凡な家庭に生まれて、家族に愛されて育って、社会に出てOLとして十数年働いていた記憶を持っいるだけだ。
 だけだったけれど、この記憶には凄く助けられた。

 この世界で生まれてから数年間は前世の記憶が鮮明で、ああこれが異世界転生というものかとは思ってはいた。
 この世界での家族というものは貧しい村で10人もの人がいる家庭だった。ただ、その家族の中で私だけが異質だった。家族の人たちの髪は金髪か明るい茶色の色を持っていた。その中でただ一人私は銀髪だった。

 この世界では時々、そういう者達が生まれるらしい。家族とは全く違う色を持って生まれる子供が。

【神の子】

 そのように呼ばれる子供。神の子と呼ばれる子供たちは必ずと言っていいほど『聖質』を持って生まれてくる。その容姿は神に祝福されていると言っていいほど整っている。

 そして、私のような貧しい家の子供は3歳になると教会に売られるのだ。3歳というのは、そういう決まりがあるらしい。
 3年間育てた恩賞として多額の金が両親に払われるというものだ。だから、私は籠の鳥のように育てられた。
 いい意味ではない。ある一定の距離をとられ、最低限の食事を与えられるという生活だ。子供だからわからないと両親と兄弟たちは思っていたかもしれないが、前世の記憶がある私からすれば、これは育児放棄に近い状態だった。

 そして、3歳になれば直ぐに教会に売られてしまった。教会に来るまでは、本当に買ってくれるのかと不安気だった両親も帰りには大金を手にして、ご機嫌で帰っていく姿を私は見つめていたが、これと言って何も感情は浮かばなかった。


 数日間、買われた教会で過ごしていて、ここは異常だということは直ぐにわかった。いや、私にある記憶が平和な国の常識しかもっていないので、この世界では普通なのかもしれない。

 子供を差別化し、楽をして生活できる者と常に腹をすかせて生きることもままならない者を存在させ、幼い頃から武器を持たし教育をする。どこぞの暗殺集団かと最初は疑ってしまった。

 迷子のふりをして逃げ出そうとしたが、いつの間には眠ってしまい私のベッドに戻っていたことが何度かあった。何処かに見張りがいるのだろうと調べてみれば、今の私に許された行動範囲というものも見えてきた。
 教会の中とその周りの施設と教会の裏にある森の中腹あたりまでだと。教会の表側から外に出ようとすると、神父様やシスターに止められてしまったので、街の方には行けないことだとも理解した。

 3ヶ月教会というところで暮らしてきて、大体のことを把握した頃に出会ったのが、ルディ兄だった。本当の名は覚えていないが、3歳の私が覚えて言える名が『ルディ兄』だけだったという事なんだけど。

 その日も3歳児には盛り込みすぎだろうという教育を終え、夕闇の中、空腹を紛らわすための食べ物を探しに教会の裏の森を歩いていると、何かに足を取られ、盛大にコケてしまった。いや、足がつまずき倒れ込む前に、誰かが私を支えた。
 よく見ると、地面に横たわっている人物が支えてくれたみたい。

「ありがとうございます」

「ちっ!」

 お礼を言ったのに舌打ちをされてしまった。
 しかし、日が暮れてしまった時間にこんな森の中で寝ているなんて、風邪を引いてしまうんじゃないのかな?

「お兄さん、ここで寝ていると風邪を引いちゃうから、早く戻った方がいいよ」

 そう言って、森の奥に行こうとすれば、腕を捕まれ引き止められてしまった。何か用があるのだろうかと、首をかしげ振り返ると少年は立ち上がって私を見下ろしていた。

「そっちは教会じゃない」

 ああ、私が森の奥の方に行こうとしているのを方向音痴と思って引き止めたのか。

「知ってる。でも、お腹が空いたから食べられるものを探しにいくの」

「ん?夕食はこれからだろ?」

 そうか、この少年は金持ちの家の子供だったのか。まぁ、知らないのは当たり前か、女子棟でもお金を払ってここに来ている者と売られてきた子供の住む場所は分けられているのだから。

「普通はそうかも知らないけれど、私のように売られてきた子供の食事は一日に一回だからお腹が空くの」

「売られてきた?何だそれは」

 本当に何も知らないのだろう。知らないのなら別に構わない。少年には関係のない話。

 私は少年の手を振り払い、森の奥に足を進めようとしたけど、後ろから捕獲された。

 足がぷらーんとさせながら後ろを睨みつける。所詮3歳児に12,3歳と思われる少年に抵抗するすべはない。

「売られるってなんだ?」

 はぁ。面倒くさい。お腹が空きすぎてイライラしてくる。

「それにこの髪は何だ?お前が切ったのか?」

 あ゛?!私の髪がどんな感じでも関係ないじゃないか!

「お兄さんには関係のないことだよね」

 私がそう言うと、少年の雰囲気がガラリと変わる。先程までは私を森の奥に行かせまいと面倒くさいながらも引き止めていた感じだったが、私を見下すように高圧的な態度になった。

「関係ないだぁ?ふらふらしているチビが居たら宿舎に連れ戻すっていう決まりがあるんだ。お前、見たことないから最近入ってきたばかりだろ?さっさと戻れ!」

「私はお腹が空いてるって言っているよね!それから私を知らないって、私は3ヶ月前からいるけど?私はお兄さんを知っているよ?遅くまで訓練場に居ることも、髪の色で虐められていることも」

 そう、この少年を私は毎日のように目にしていた。日が暮れてからも訓練を続けている姿を見ていたし、大人の目につかないところで、殴られたり蹴られたりしている姿も見ていた。それも黒い髪の色を穢れをまとっていると言われ集団で暴力を受けていた。

 穢れそれは世界の膿であり、毒と言われているものだ。



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