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炎国への旅路編
36話 寒い。死ぬ。
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それから獣人の皆さんは従順になってくださいました。そんな怯えた目で私を見ないでいただけます?ちょっと押しただけではないですか。
押しただけではそこまで飛ばない?
私は皆さんに落ち着いて欲しかっただけです。
奴隷だった28人全員の制御石を外すことができました。だから、皆さんにお伺いします。
「皆さんには2つの選択肢があります。一つはシーラン王国のメイルーン東正門前に転移されるか、もう一つはギラン共和国のミレーテ西正門前に転移されるかそのどちらかです。」
「ねぇさん。獣人のなのに転移ができるのか?」
「私は人族です。」
皆さん、なぜそこで目を背けるのです?獣人の特徴など私にはないではないですか。
「なぁ。その2つしか選択肢がないのか?」
一番始めに奴隷から解放したガーティーと呼ばれた男性が尋ねてきました。
「獣人の方を転移できるところがその2つの国しか私は登録していないのです。それ以外の国の方は申し訳ないのですが、ご自分で戻っていただくしかないのです。」
「いや、このままあんたに、付いていくという選択肢だ。」
どういうことでしょう?
「確か里にお帰りになるのでは?」
「これからは帰ろうと思えばいつでも帰れる。あんたこれから何かするつもりだろ?海のことなら俺が居たほうが便利だぞ。」
「ねぇさん。ガーティーの言うとおりだ。魚人のガーティーが居るほうが何かといい。突然魔物に襲われることなんて、よくあることだったからな。」
魚人!私、魚人の方は初めて見ました。確かに海のことは海に精通している方に居てっもらったほうがいいでしょう。
実は炎国に戻るのにどうしようかと思っていたのです。
いえ、水上バイクがあるので、海の上を走行することには問題ないと思っていますが、どちらの方向が炎国なのかさっぱりわからなかったのです。
炎国に転移の魔術登録をしておけばよかったのですが、炎国に着いてから色々ありましたので、すっかり忘れてしまっていたのです。
「それでは炎国に戻りたいのですが、方向はわかりますか?」
「良いぞ。なんだ、あんた巫女様だったのか?」
「私は巫女ではありません。」
ヒト違いです。
そうして、10人の方がシーラン王国に転移することを望み、18人の方がギラン共和国に転移することを望みました。
皆さん喜んで転移をしていきましたが、私が作り出したモノがなければ、奴隷にはならなかった方たちなのでしょう。
「ごめんなさい。」
「何か言ったか?」
「いいえ。余り時間がありませんので、舵棒を壊してここを去りましょう。」
私は先程壊したドアのところに戻り、床から突き出している舵棒を手に持ち、普段曲がらない方向に舵棒に力を加え床ごと破壊します。
「やっぱ、あんた猩々族じゃないのか?」
しつこいですね。私の何処があの討伐戦で活躍した猩々族だと思えるところがあるのですか。
そして、ガーティーさんに炎国の方角だと言われた船の端まで行って海に向かって飛び降ります。すると海から巨大な口がせり上がって来ました。
その口の中に雷狼竜の鱗さえもぐちゃぐちゃにした爆薬を放り込みます。水上バイクを亜空間収納のペンダントから取り出し、落下しながら乗り込みます。
バイクにまたがり思いっきり魔力を流し込ますと同時に下から突き上げる衝撃が襲って来ました。その衝撃を利用して船から距離をとります。これで、船員が目覚めても捕まることはないでしょう。
「あんた、めちゃくちゃだな。」
私が魔力全開で水上バイクを走行されているというのに、ガーティーさんは平気な顔をして海の中を泳いで付いて来ます。
魚人って凄いですよね。
「右の方向から魔物がくるぞ。」
ガーティーさんにそう言われ、突撃銃を構えます。今度は氷雪弾を込めます。海の中で雷撃弾はだめだと言うことは学習しましたよ。
左手で魔力を全開で注ぎ込みながら右手で銃を構えます。右方向から波が盛り上がりながら何かが近づいて来ます。
背ビレの様な物が海面から波をかき分けながら出てきました。その前方に向かって魔力を込めながら一発射ちます。
海面に向かって銃弾は飛んでいき、着弾。波飛沫を上げながら海の中にいる魔物を・・・空中に舞い上がった海水が凍りつき、苦しげに悶え海面から顔を出したヒレの付いたヘビ?も凍り付いていきます。そして、海面すらも凍りついて徐々に範囲を広げていっています。
「あんた何をしたんだ!俺たちも凍ってしまうだろ!」
う、確かにこの速さで海面が凍っていくと私達まで凍ってしまいます。おかしいですね。そこまで凍るはずはないのですが、魔弾の核に屋敷の地下で取れた鉱石を使ったので、魔物の魔石ほど刻まれた陣の効力を発揮しないはずなのです。
やはり、凍りつく海が背後まで迫ってきました。横ではガーティーさんが『寒い。死ぬ。』とか言っていますので、海の中は相当冷えているのでしょう。仕方がありません。水上バイクは一人用なので2人乗ると失速してしまいます。
私はガーティーさんに手を差し出します。
「ガーティーさん。私の手に掴まって、これに乗ってください。」
押しただけではそこまで飛ばない?
私は皆さんに落ち着いて欲しかっただけです。
奴隷だった28人全員の制御石を外すことができました。だから、皆さんにお伺いします。
「皆さんには2つの選択肢があります。一つはシーラン王国のメイルーン東正門前に転移されるか、もう一つはギラン共和国のミレーテ西正門前に転移されるかそのどちらかです。」
「ねぇさん。獣人のなのに転移ができるのか?」
「私は人族です。」
皆さん、なぜそこで目を背けるのです?獣人の特徴など私にはないではないですか。
「なぁ。その2つしか選択肢がないのか?」
一番始めに奴隷から解放したガーティーと呼ばれた男性が尋ねてきました。
「獣人の方を転移できるところがその2つの国しか私は登録していないのです。それ以外の国の方は申し訳ないのですが、ご自分で戻っていただくしかないのです。」
「いや、このままあんたに、付いていくという選択肢だ。」
どういうことでしょう?
「確か里にお帰りになるのでは?」
「これからは帰ろうと思えばいつでも帰れる。あんたこれから何かするつもりだろ?海のことなら俺が居たほうが便利だぞ。」
「ねぇさん。ガーティーの言うとおりだ。魚人のガーティーが居るほうが何かといい。突然魔物に襲われることなんて、よくあることだったからな。」
魚人!私、魚人の方は初めて見ました。確かに海のことは海に精通している方に居てっもらったほうがいいでしょう。
実は炎国に戻るのにどうしようかと思っていたのです。
いえ、水上バイクがあるので、海の上を走行することには問題ないと思っていますが、どちらの方向が炎国なのかさっぱりわからなかったのです。
炎国に転移の魔術登録をしておけばよかったのですが、炎国に着いてから色々ありましたので、すっかり忘れてしまっていたのです。
「それでは炎国に戻りたいのですが、方向はわかりますか?」
「良いぞ。なんだ、あんた巫女様だったのか?」
「私は巫女ではありません。」
ヒト違いです。
そうして、10人の方がシーラン王国に転移することを望み、18人の方がギラン共和国に転移することを望みました。
皆さん喜んで転移をしていきましたが、私が作り出したモノがなければ、奴隷にはならなかった方たちなのでしょう。
「ごめんなさい。」
「何か言ったか?」
「いいえ。余り時間がありませんので、舵棒を壊してここを去りましょう。」
私は先程壊したドアのところに戻り、床から突き出している舵棒を手に持ち、普段曲がらない方向に舵棒に力を加え床ごと破壊します。
「やっぱ、あんた猩々族じゃないのか?」
しつこいですね。私の何処があの討伐戦で活躍した猩々族だと思えるところがあるのですか。
そして、ガーティーさんに炎国の方角だと言われた船の端まで行って海に向かって飛び降ります。すると海から巨大な口がせり上がって来ました。
その口の中に雷狼竜の鱗さえもぐちゃぐちゃにした爆薬を放り込みます。水上バイクを亜空間収納のペンダントから取り出し、落下しながら乗り込みます。
バイクにまたがり思いっきり魔力を流し込ますと同時に下から突き上げる衝撃が襲って来ました。その衝撃を利用して船から距離をとります。これで、船員が目覚めても捕まることはないでしょう。
「あんた、めちゃくちゃだな。」
私が魔力全開で水上バイクを走行されているというのに、ガーティーさんは平気な顔をして海の中を泳いで付いて来ます。
魚人って凄いですよね。
「右の方向から魔物がくるぞ。」
ガーティーさんにそう言われ、突撃銃を構えます。今度は氷雪弾を込めます。海の中で雷撃弾はだめだと言うことは学習しましたよ。
左手で魔力を全開で注ぎ込みながら右手で銃を構えます。右方向から波が盛り上がりながら何かが近づいて来ます。
背ビレの様な物が海面から波をかき分けながら出てきました。その前方に向かって魔力を込めながら一発射ちます。
海面に向かって銃弾は飛んでいき、着弾。波飛沫を上げながら海の中にいる魔物を・・・空中に舞い上がった海水が凍りつき、苦しげに悶え海面から顔を出したヒレの付いたヘビ?も凍り付いていきます。そして、海面すらも凍りついて徐々に範囲を広げていっています。
「あんた何をしたんだ!俺たちも凍ってしまうだろ!」
う、確かにこの速さで海面が凍っていくと私達まで凍ってしまいます。おかしいですね。そこまで凍るはずはないのですが、魔弾の核に屋敷の地下で取れた鉱石を使ったので、魔物の魔石ほど刻まれた陣の効力を発揮しないはずなのです。
やはり、凍りつく海が背後まで迫ってきました。横ではガーティーさんが『寒い。死ぬ。』とか言っていますので、海の中は相当冷えているのでしょう。仕方がありません。水上バイクは一人用なので2人乗ると失速してしまいます。
私はガーティーさんに手を差し出します。
「ガーティーさん。私の手に掴まって、これに乗ってください。」
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