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炎国への旅路編
24話 炎国の事を教えてください
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「奥様、なぜそれを知っているのです。この話はフィーディスとガレーネにしか伝わっていないことです。」
え?やっぱり殺されたのですか。
「シャーレン精霊王国に行ったときに聞かされた話に似ていると思ったのです。」
「そうですか。龍人の方の思いを、この国を作った人達の思いを、英雄を慕って集まった人達の思いを形作った国がギラン共和国なのです。エルフの王に屈服し続けた民達にとって王は必要ないのです。」
エルフの王?長ではなく王。またしても初めて聞く言葉です。
コンコンコンコン。
ドアをノックする音でマリアは話をするのを止め、ドアの方に行き訪ねて来た人と話をしています。
「旦那様。ザックが訪ねて来ました。」
ザックさんが来たのですか?どうしたのでしょう。船の航行はいいのでしょうか?
「何の用だ。」
「何の用だって酷いな。この船の説明に来たんだ。」
そう言ってザックさんが部屋に入ってきました。でも先程キョウさんに説明をされましたよ。船の構造の話はとても面白かったです。
「まずは食事の時間だが、3刻、6刻、9刻だ。食堂で食べるか、取りに来るかは好きにしてくれたらいい。」
あ、そういうことですか。
「甲板には出てもいいが、日があるうちだけにしてくれ、日が落ちてから甲板に行って海に落ちても対処ができないからな。あと、船室から出るなと言われたら絶対に出ないでくれ、邪魔だからな。」
何があるのでしょう。セーラが言っていたウネウネの手が出てくるのですか?気になるので聞いてみます。
「それは何故ですか?」
「一つは嵐になってから彷徨かれて、海に投げされても責任はとれん。もう一つは海賊の襲撃されたときにウロウロされたら邪魔だ。」
海賊!海賊がいるのですか。あ、でも。
「私、武器を持ってきているのでお手伝いできますよ。」
「奥様だっけ?あんた海での戦闘経験あるのか?波に揺れて足場が不安定なところで戦ったことあるのか?そうじゃないのなら大人しくしておいてくれ、バランスを崩して俺達に攻撃されるのは困るからな。」
う。確かに揺れる船の上では戦ったことはないです。
「ないなら、部屋に居てくれ。俺たちの役目は商品を無事に届けることだ。ただそれだけだ。それだけに全力を注ぐのが、俺達の仕事だ。」
それだけ言ってザックさんは部屋を出ていこうとしていきます。
「待ってください。」
「何だ。奥様、まだなんかあるのか?」
「炎国の事について教えてください。」
「は?だから俺は仕事中だって、この船の客に説明するもの仕事に入っているから、ここに来ただけで、俺は暇じゃない。」
確かに仕事の邪魔をするわけにはいきませんが、炎国の事をもう少し知っておかないとダメなのです。
「では、この3日間で何処か私にお時間をください。」
「はぁ。」
ため息を吐かれてしまいました。無理は承知です。
「今はまだ湾内を航行しているから、甲板に向かう間ならいい。」
ザックさんは背を向けて部屋を出ていってしましました。私は慌ててザックさんの後を追いかけます。私の後ろからクストとマリアも付いてきました。
早足でザックさんに追いつき、尋ねます。
「炎国で注意することは何ですか?」
「何だって?今更それを聞くのか?」
「う。でも、私何も知らないのです。」
「だろうな。普通は炎国に行きたいなんて思わないからな。はぁ。本当に連れて行って大丈夫なのか。」
またしても、ため息を吐かれてしましました。
「炎国は鬼の国だ。だから、鬼族を絶対に怒らすな。何をしに行くのか知らないが、中央区は王族がいるから間違っても行くな。時々、山の精霊様が町に降りてきてウロウロしていることもあるが、見かけても声をかけるな怒らせると辺り一帯に被害が出てしまうからな。」
精霊様?精霊という種族は見たことがないのですが、見た目でわかるのでしょうか?
「精霊様とはどのような姿をしているのですか?」
「少女の姿でよく空を飛んでいらっしゃるからすぐにわかる。」
それはわかりそうです。
甲板に出てきました。青い空が眩しくて目を細めてしまいます。周りを見渡しますと青い海に囲まれ陸地は大分遠くに見えるところまで来ていました。
前方の船首のところには斑の髪の猫獣人が立っています。キョウさんです。あそこで何をしているのでしょう?
「ザックさん、キョウさんはあそこで何をしていらっしゃるのですか?」
「見張りだ。キョウは先見の目を持っているからな。」
え?やっぱり殺されたのですか。
「シャーレン精霊王国に行ったときに聞かされた話に似ていると思ったのです。」
「そうですか。龍人の方の思いを、この国を作った人達の思いを、英雄を慕って集まった人達の思いを形作った国がギラン共和国なのです。エルフの王に屈服し続けた民達にとって王は必要ないのです。」
エルフの王?長ではなく王。またしても初めて聞く言葉です。
コンコンコンコン。
ドアをノックする音でマリアは話をするのを止め、ドアの方に行き訪ねて来た人と話をしています。
「旦那様。ザックが訪ねて来ました。」
ザックさんが来たのですか?どうしたのでしょう。船の航行はいいのでしょうか?
「何の用だ。」
「何の用だって酷いな。この船の説明に来たんだ。」
そう言ってザックさんが部屋に入ってきました。でも先程キョウさんに説明をされましたよ。船の構造の話はとても面白かったです。
「まずは食事の時間だが、3刻、6刻、9刻だ。食堂で食べるか、取りに来るかは好きにしてくれたらいい。」
あ、そういうことですか。
「甲板には出てもいいが、日があるうちだけにしてくれ、日が落ちてから甲板に行って海に落ちても対処ができないからな。あと、船室から出るなと言われたら絶対に出ないでくれ、邪魔だからな。」
何があるのでしょう。セーラが言っていたウネウネの手が出てくるのですか?気になるので聞いてみます。
「それは何故ですか?」
「一つは嵐になってから彷徨かれて、海に投げされても責任はとれん。もう一つは海賊の襲撃されたときにウロウロされたら邪魔だ。」
海賊!海賊がいるのですか。あ、でも。
「私、武器を持ってきているのでお手伝いできますよ。」
「奥様だっけ?あんた海での戦闘経験あるのか?波に揺れて足場が不安定なところで戦ったことあるのか?そうじゃないのなら大人しくしておいてくれ、バランスを崩して俺達に攻撃されるのは困るからな。」
う。確かに揺れる船の上では戦ったことはないです。
「ないなら、部屋に居てくれ。俺たちの役目は商品を無事に届けることだ。ただそれだけだ。それだけに全力を注ぐのが、俺達の仕事だ。」
それだけ言ってザックさんは部屋を出ていこうとしていきます。
「待ってください。」
「何だ。奥様、まだなんかあるのか?」
「炎国の事について教えてください。」
「は?だから俺は仕事中だって、この船の客に説明するもの仕事に入っているから、ここに来ただけで、俺は暇じゃない。」
確かに仕事の邪魔をするわけにはいきませんが、炎国の事をもう少し知っておかないとダメなのです。
「では、この3日間で何処か私にお時間をください。」
「はぁ。」
ため息を吐かれてしまいました。無理は承知です。
「今はまだ湾内を航行しているから、甲板に向かう間ならいい。」
ザックさんは背を向けて部屋を出ていってしましました。私は慌ててザックさんの後を追いかけます。私の後ろからクストとマリアも付いてきました。
早足でザックさんに追いつき、尋ねます。
「炎国で注意することは何ですか?」
「何だって?今更それを聞くのか?」
「う。でも、私何も知らないのです。」
「だろうな。普通は炎国に行きたいなんて思わないからな。はぁ。本当に連れて行って大丈夫なのか。」
またしても、ため息を吐かれてしましました。
「炎国は鬼の国だ。だから、鬼族を絶対に怒らすな。何をしに行くのか知らないが、中央区は王族がいるから間違っても行くな。時々、山の精霊様が町に降りてきてウロウロしていることもあるが、見かけても声をかけるな怒らせると辺り一帯に被害が出てしまうからな。」
精霊様?精霊という種族は見たことがないのですが、見た目でわかるのでしょうか?
「精霊様とはどのような姿をしているのですか?」
「少女の姿でよく空を飛んでいらっしゃるからすぐにわかる。」
それはわかりそうです。
甲板に出てきました。青い空が眩しくて目を細めてしまいます。周りを見渡しますと青い海に囲まれ陸地は大分遠くに見えるところまで来ていました。
前方の船首のところには斑の髪の猫獣人が立っています。キョウさんです。あそこで何をしているのでしょう?
「ザックさん、キョウさんはあそこで何をしていらっしゃるのですか?」
「見張りだ。キョウは先見の目を持っているからな。」
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