29 / 78
謎の少女襲来編
4話 4半刻の時間
しおりを挟む
クストが付いて来る?
「独り善がりで決定事項にしないでもらえますか?貴女の仕出かしたことに対する対応は、わたしには関係ないのですけど?時間の無駄程無意味なものはありません。」
確かにその事は少女には関係がないです。しかし、未だにマルス帝国に対して、サウザール公爵に対して恐怖心を持つ私にはこのようなことがなければ、マルス帝国の地に足を向けようとは思えませんでした。
「半刻いいえ4半刻時間を下さい。すぐに準備をします。」
少女は服のポケットから、懐中時計を取り出し
「今が8刻半と4半刻ですので、丁度9刻ですか。それぐらいなら良いですよ。わたしも準備がありますので、4半刻後にまた伺いましょう。そうそう、そこの団長さんの治療費はこの魔時計でいいですよ。これでもいいのですが、見馴れた24時間用の時計がいいですね。」
少女は言いたいことを言って、その場から消えて行きました。転移で準備をするために戻ったのでしょう。
「治療費とるのかよ。」
隣でクストが突っ込んでいますが、24時間用の時計が見慣れているのですか、やはり彼女は・・・そんなことより、あと4半刻しかありません。急ぎませんと。
「私は準備をするために工房に籠ります。」
そうクストに言って部屋を後にしました。
クストside
「団長。まんまと彼女の術に捕まりましたよね。」
ルジオーネが声を掛けてきた。あの問題児がユーフィアに用があるということで頭に血が昇ってしまい、あの少女の言うことを聞いてしまっていた。いくらなんでも普通あんな毒々しい物を口にしようとは思わない。
「ああ、すまん。」
「まあ、あの討伐戦経験者を連れて来て正解でした。そうでなければどうなっていたことか。はぁ。」
ルジオーネにため息をつかれてしまった。
「マジやばかったっす。あんな幼いのに、あのオーウィルディア氏並みに凄かったっす。あれで無意識って本気を出されたら、対処できないっすよ。」
そう言っている彼は遊撃隊で彼女と同じ能力を持つオーウィルディアと共に戦った隊員だ。確かに対処ができない。
「あれですよ。彼女の弟に手を出さなければ、こちらに矛先を向けることはないでしょう。」
「副師団長、知っている俺たちはルークちゃんに手は出しませんよ。しかしですね。どうみてもあのルークちゃんの美貌は癒しの聖女様と麗しの魔導師様の血「「「しー。それ以上、口にするな!」」」」
いらないことを言ったヤツが他の者達に袋叩きにあっている。それ以上恐ろしいことを口にしないでほしい。
「お前達には手間をかけさせてすまなかった。俺はこれからユーフィアと共にマルス帝国へ行く。」
「団長自ら他国に行くのは勧められません。が、番のこととなると仕方がないのかもしれませんね。統括師団長閣下にはご自分で今から報告に行って来てくださいね。」
「そ、それは事後報告ではだめか?」
「ダメです。9刻までに戻ってこないと置いて行かれるかもしれませんね。」
ルジオーネは意地悪だ。仕方がなく師団本部へ向かうことにした。
ユーフィアside
早足で工房に向かい、マルス帝国で作った物の資料を隣接している倉庫から引っ張り出す。サウザール公爵に言われ作った物は厳重に封印をしています。それは、二度と目にしたくなかったからです。
引っ張り出し、封印された箱を作業台の上に逆さにしてひっくり返します。バサバサと出された資料の中から病と薬に関する資料を取り出し、中を確認をします。
パラパラと中身を確認すれば、あの時作らされた私の心情がそのまま写し出された内容になっていました。今、思い返せば私は全てのモノに対して否定的であり、その心を写したこの薬は呪いと化したのかもしれないです。
あのとき、使用した基盤を元に術式の解除を盛り込んだ物に描き直おしていきます。時間がなく失敗はゆるされないので慎重に、そして素早く一定の魔力を流しながら金属板に描き込んでいきます。でき上がった物に粘土を押し当てて魔力を流せば出来上がりです。時間を確認すると、間に合った。
「ユーフィア様。」
いつの間にかマリアがドアの横に控えていました。
「まだ、時間がごさいますので動きやすい服装に着替えましょう。」
マリアは全て聞いて準備をしてくれていたようです。
「ユーフィア様、申し訳ございません。」
マリアは着替えを手伝いながら謝ってきました。何を謝ることがあるのでしょう。
「あの少女からユーフィア様をお守りすること出来なくて申し訳ございませんでした。あの時、隣の部屋に控えていたのです。しかし、あの少女が恐ろしく、ドアを開けようとしたのですが、手が震えて開けることができませんでした。私にできたのは、ルジオーネ様に助けを求めることだけでした。」
「マリアはルジオーネさんを呼んで来てくれたではないですか。それだけで、助かりましたよ。さあ、時間になります。行きましょう。」
そして、私は再びマルス帝国の地を足で踏むことになりました。
「独り善がりで決定事項にしないでもらえますか?貴女の仕出かしたことに対する対応は、わたしには関係ないのですけど?時間の無駄程無意味なものはありません。」
確かにその事は少女には関係がないです。しかし、未だにマルス帝国に対して、サウザール公爵に対して恐怖心を持つ私にはこのようなことがなければ、マルス帝国の地に足を向けようとは思えませんでした。
「半刻いいえ4半刻時間を下さい。すぐに準備をします。」
少女は服のポケットから、懐中時計を取り出し
「今が8刻半と4半刻ですので、丁度9刻ですか。それぐらいなら良いですよ。わたしも準備がありますので、4半刻後にまた伺いましょう。そうそう、そこの団長さんの治療費はこの魔時計でいいですよ。これでもいいのですが、見馴れた24時間用の時計がいいですね。」
少女は言いたいことを言って、その場から消えて行きました。転移で準備をするために戻ったのでしょう。
「治療費とるのかよ。」
隣でクストが突っ込んでいますが、24時間用の時計が見慣れているのですか、やはり彼女は・・・そんなことより、あと4半刻しかありません。急ぎませんと。
「私は準備をするために工房に籠ります。」
そうクストに言って部屋を後にしました。
クストside
「団長。まんまと彼女の術に捕まりましたよね。」
ルジオーネが声を掛けてきた。あの問題児がユーフィアに用があるということで頭に血が昇ってしまい、あの少女の言うことを聞いてしまっていた。いくらなんでも普通あんな毒々しい物を口にしようとは思わない。
「ああ、すまん。」
「まあ、あの討伐戦経験者を連れて来て正解でした。そうでなければどうなっていたことか。はぁ。」
ルジオーネにため息をつかれてしまった。
「マジやばかったっす。あんな幼いのに、あのオーウィルディア氏並みに凄かったっす。あれで無意識って本気を出されたら、対処できないっすよ。」
そう言っている彼は遊撃隊で彼女と同じ能力を持つオーウィルディアと共に戦った隊員だ。確かに対処ができない。
「あれですよ。彼女の弟に手を出さなければ、こちらに矛先を向けることはないでしょう。」
「副師団長、知っている俺たちはルークちゃんに手は出しませんよ。しかしですね。どうみてもあのルークちゃんの美貌は癒しの聖女様と麗しの魔導師様の血「「「しー。それ以上、口にするな!」」」」
いらないことを言ったヤツが他の者達に袋叩きにあっている。それ以上恐ろしいことを口にしないでほしい。
「お前達には手間をかけさせてすまなかった。俺はこれからユーフィアと共にマルス帝国へ行く。」
「団長自ら他国に行くのは勧められません。が、番のこととなると仕方がないのかもしれませんね。統括師団長閣下にはご自分で今から報告に行って来てくださいね。」
「そ、それは事後報告ではだめか?」
「ダメです。9刻までに戻ってこないと置いて行かれるかもしれませんね。」
ルジオーネは意地悪だ。仕方がなく師団本部へ向かうことにした。
ユーフィアside
早足で工房に向かい、マルス帝国で作った物の資料を隣接している倉庫から引っ張り出す。サウザール公爵に言われ作った物は厳重に封印をしています。それは、二度と目にしたくなかったからです。
引っ張り出し、封印された箱を作業台の上に逆さにしてひっくり返します。バサバサと出された資料の中から病と薬に関する資料を取り出し、中を確認をします。
パラパラと中身を確認すれば、あの時作らされた私の心情がそのまま写し出された内容になっていました。今、思い返せば私は全てのモノに対して否定的であり、その心を写したこの薬は呪いと化したのかもしれないです。
あのとき、使用した基盤を元に術式の解除を盛り込んだ物に描き直おしていきます。時間がなく失敗はゆるされないので慎重に、そして素早く一定の魔力を流しながら金属板に描き込んでいきます。でき上がった物に粘土を押し当てて魔力を流せば出来上がりです。時間を確認すると、間に合った。
「ユーフィア様。」
いつの間にかマリアがドアの横に控えていました。
「まだ、時間がごさいますので動きやすい服装に着替えましょう。」
マリアは全て聞いて準備をしてくれていたようです。
「ユーフィア様、申し訳ございません。」
マリアは着替えを手伝いながら謝ってきました。何を謝ることがあるのでしょう。
「あの少女からユーフィア様をお守りすること出来なくて申し訳ございませんでした。あの時、隣の部屋に控えていたのです。しかし、あの少女が恐ろしく、ドアを開けようとしたのですが、手が震えて開けることができませんでした。私にできたのは、ルジオーネ様に助けを求めることだけでした。」
「マリアはルジオーネさんを呼んで来てくれたではないですか。それだけで、助かりましたよ。さあ、時間になります。行きましょう。」
そして、私は再びマルス帝国の地を足で踏むことになりました。
109
お気に入りに追加
3,893
あなたにおすすめの小説

夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。
Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。
彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。
そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。
この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。
その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

成人したのであなたから卒業させていただきます。
ぽんぽこ狸
恋愛
フィオナはデビュタント用に仕立てた可愛いドレスを婚約者であるメルヴィンに見せた。
すると彼は、とても怒った顔をしてフィオナのドレスを引き裂いた。
メルヴィンは自由に仕立てていいとは言ったが、それは流行にのっとった範囲でなのだから、こんなドレスは着させられないという事を言う。
しかしフィオナから見れば若い令嬢たちは皆愛らしい色合いのドレスに身を包んでいるし、彼の言葉に正当性を感じない。
それでも子供なのだから言う事を聞けと年上の彼に言われてしまうとこれ以上文句も言えない、そんな鬱屈とした気持ちを抱えていた。
そんな中、ある日、王宮でのお茶会で変わり者の王子に出会い、その素直な言葉に、フィオナの価値観はがらりと変わっていくのだった。
変わり者の王子と大人になりたい主人公のお話です。
あなたが選んだのは私ではありませんでした 裏切られた私、ひっそり姿を消します
矢野りと
恋愛
旧題:贖罪〜あなたが選んだのは私ではありませんでした〜
言葉にして結婚を約束していたわけではないけれど、そうなると思っていた。
お互いに気持ちは同じだと信じていたから。
それなのに恋人は別れの言葉を私に告げてくる。
『すまない、別れて欲しい。これからは俺がサーシャを守っていこうと思っているんだ…』
サーシャとは、彼の亡くなった同僚騎士の婚約者だった人。
愛している人から捨てられる形となった私は、誰にも告げずに彼らの前から姿を消すことを選んだ。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる