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本編
11話 何を優先させますか?
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今日はクストさんがいません。朝早くにルジオーネさんに師団の本部へ連れて行かれました。玄関までお見送りをしたのですが、馬車に詰め込まれている姿を見ますとドナドナのフレーズが頭の中に流れて来ます。最終的にクストさんは抵抗をしましたがルジオーネさんに蹴られ、きゅーんという鳴き声と共に外側の鍵が閉められました。
なんだかもの悲しくなってしまいます。ー子犬を乗せて行くー
そんな、お見送りをした後、私は作業場となる工房の部屋を初めて訪れたのです。私の注文通りにしてくれていると嬉しいのですが
部屋に入りますと、まず大きな作業台が目に飛び込んで来ました。す、素晴らしいです。今まで、このように滑らかで大きな作業台なんて見たことないです。これは石ですね。何の石か分かりませんが固そうで作業をしていても問題無さそうです。
そして書き物をする机、少し可愛すぎる気がしますが、問題無さそうです。
魔石もたくさん用意をしてくれています。これで、作業ができ・・・何かがすごい勢いで廊下を走る音が近づいてます。
バンッ
「ユーフィア!」
ドアを開けて入って来たのはクストさんでした。先程、お見送りしたはずですが、どうしたのでしょう?
「クストさん、どうしましたか?」
「ユーフィア会いたかった。」
抱きつかれて感動の再会をされても、8半刻前まで一緒にいましたが?
「今日は会議があるはずだったのでは?」
「そんなものはない!」
言い切りました。ルジオーネさんが迎えに来たときに5刻から会議だと、おっしゃっていましたから間違いはないはずですが。
「団長・・・。」
ドアの方を見ればルジオーネさんが息を切らして立っていました。きっとクストさんを追いかけて来たのでしょう。
「ちっ。なんで追いかけて来たんだ。」
「舌打ち聞こえていますよ。今日は大事な会議があると言ったではないですか。ユーフィアさん、会議をサボる団長ってどう思いますか?」
「え?それはダメだと思います。」
「そういう団長は好きですか?」
「好き嫌いと言うより、そういう上司が上にいると嫌です。」
ドサッ。
音がした足元を見ると絨毯を剥いで石のタイルを貼ってもらった床に倒れているクストさんが『嫌われた。ユーフィアに嫌われた。』と、うわ言の様に呟いていました。
「団長。嫌われたくないなら会議に行きますよ。」
「ユーフィア、ちゃんと会議に出たら好きになってくれるか?」
床から曇った声が聞こえて来ました。
「仕事をきちんとする人は好きですよ。」
クストさんはその言葉を聞くとスッと立ち上がり
「行ってくる」
と言って背を向けて尻尾を振りながら部屋を出ていきました。
ルジオーネさんが『助かりました。』と言いながらクストさんの後を追っていきました。
一体何の用事があったのでしょう?
気を取り直して、まずはルジオーネさんから頼まれていた。時計から作りましょう。まずは下準備をしましょう。
「ユーフィア。ユーフィア」
今、いいところなのに声を掛けないで欲しいです。
「ユーフィア。」
肩を揺すられ、歪んでしまった。ここまで描いて歪んでしまった。肩を揺すった本人を睨み付け
「ここまで描いて使い物にならなくなったではありませんか。」
クストさんが気まずそうな顔をしながら
「そろそろ何か食べた方がいいと思うぞ。」
「1食や2食ぐらい食べなくても、死にません。」
「ユーフィアと一緒に食べたいし」
懐中時計を見ると10刻ですか。
「わかりました。」
ダイニングにいきますと食事の用意がされていました。そうですね。10刻に夕食だと家人のみなさんに迷惑がかかるかもしれませんね。
「ユーフィアは何を作っていたんだ?」
隣で食事をしているクストさんに尋ねられました。
「ルジオーネさんに言われた時計です。」
「え?俺のはないのか。」
「先程クストさんが邪魔した分です。」
カラン。
お肉付きのフォークが落ちて行きました。お行儀が悪いですね。
今日の給仕を担当してくれている侍女が落ちたフォークを拾い、新しいカトラリーを置いていってくれました。
クストさんは『そんなぁ』と頭を抱え込んでいます。時計より食事を優先したので、仕方がないですよね。
なんだかもの悲しくなってしまいます。ー子犬を乗せて行くー
そんな、お見送りをした後、私は作業場となる工房の部屋を初めて訪れたのです。私の注文通りにしてくれていると嬉しいのですが
部屋に入りますと、まず大きな作業台が目に飛び込んで来ました。す、素晴らしいです。今まで、このように滑らかで大きな作業台なんて見たことないです。これは石ですね。何の石か分かりませんが固そうで作業をしていても問題無さそうです。
そして書き物をする机、少し可愛すぎる気がしますが、問題無さそうです。
魔石もたくさん用意をしてくれています。これで、作業ができ・・・何かがすごい勢いで廊下を走る音が近づいてます。
バンッ
「ユーフィア!」
ドアを開けて入って来たのはクストさんでした。先程、お見送りしたはずですが、どうしたのでしょう?
「クストさん、どうしましたか?」
「ユーフィア会いたかった。」
抱きつかれて感動の再会をされても、8半刻前まで一緒にいましたが?
「今日は会議があるはずだったのでは?」
「そんなものはない!」
言い切りました。ルジオーネさんが迎えに来たときに5刻から会議だと、おっしゃっていましたから間違いはないはずですが。
「団長・・・。」
ドアの方を見ればルジオーネさんが息を切らして立っていました。きっとクストさんを追いかけて来たのでしょう。
「ちっ。なんで追いかけて来たんだ。」
「舌打ち聞こえていますよ。今日は大事な会議があると言ったではないですか。ユーフィアさん、会議をサボる団長ってどう思いますか?」
「え?それはダメだと思います。」
「そういう団長は好きですか?」
「好き嫌いと言うより、そういう上司が上にいると嫌です。」
ドサッ。
音がした足元を見ると絨毯を剥いで石のタイルを貼ってもらった床に倒れているクストさんが『嫌われた。ユーフィアに嫌われた。』と、うわ言の様に呟いていました。
「団長。嫌われたくないなら会議に行きますよ。」
「ユーフィア、ちゃんと会議に出たら好きになってくれるか?」
床から曇った声が聞こえて来ました。
「仕事をきちんとする人は好きですよ。」
クストさんはその言葉を聞くとスッと立ち上がり
「行ってくる」
と言って背を向けて尻尾を振りながら部屋を出ていきました。
ルジオーネさんが『助かりました。』と言いながらクストさんの後を追っていきました。
一体何の用事があったのでしょう?
気を取り直して、まずはルジオーネさんから頼まれていた。時計から作りましょう。まずは下準備をしましょう。
「ユーフィア。ユーフィア」
今、いいところなのに声を掛けないで欲しいです。
「ユーフィア。」
肩を揺すられ、歪んでしまった。ここまで描いて歪んでしまった。肩を揺すった本人を睨み付け
「ここまで描いて使い物にならなくなったではありませんか。」
クストさんが気まずそうな顔をしながら
「そろそろ何か食べた方がいいと思うぞ。」
「1食や2食ぐらい食べなくても、死にません。」
「ユーフィアと一緒に食べたいし」
懐中時計を見ると10刻ですか。
「わかりました。」
ダイニングにいきますと食事の用意がされていました。そうですね。10刻に夕食だと家人のみなさんに迷惑がかかるかもしれませんね。
「ユーフィアは何を作っていたんだ?」
隣で食事をしているクストさんに尋ねられました。
「ルジオーネさんに言われた時計です。」
「え?俺のはないのか。」
「先程クストさんが邪魔した分です。」
カラン。
お肉付きのフォークが落ちて行きました。お行儀が悪いですね。
今日の給仕を担当してくれている侍女が落ちたフォークを拾い、新しいカトラリーを置いていってくれました。
クストさんは『そんなぁ』と頭を抱え込んでいます。時計より食事を優先したので、仕方がないですよね。
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