2 / 78
本編
2話 私は関係ない
しおりを挟む
あれは、私が10歳の頃でした。私はマルス帝国のコルバート辺境伯爵家の次女として生まれ、6歳上の兄と4歳上の姉がおりました。
次女で金髪に青い目の人族にはよくある色合いです。辺境の田舎娘でしたので、貴族のマナー等は姉に任せて、やりたいことに没頭する毎日でした。
魔物を近寄らせない電気柵とか、魔物を遠距離連続狙撃するガトリングガンとか・・・はい。実はこの世界ではない記憶を持っていたりします。
この世界には魔導式というものが存在し、高純度の魔石さえあれば、子供の落書きでも簡単に再現することができるのです。
魔石などはその辺の魔物を倒せば手に入るので、試し撃ちがてら魔物を倒し魔石を獲ることができるのです。
そんな日々を過ごしている中、帝都の帝国立アールミア学園に行っているはずの兄がいきなり屋敷に駆け込んで来て助けを求めて来たのです。
なんでも、ワイバーンの襲撃を受けたというではありませんか、そのことを聞いた父上や辺境を守る兵士達が各武器を持ち出して辺境都市の外へ飛び出していきました。なぜ、学園にいる兄がここにいるのか疑問を持たずに。
私は皆が出ていった後、こそこそと裏口から立ち去ろうとしていた兄を魔獣用の網で捕らえ理由を問いただしたところ、ワイバーンを騎獣にするために、ワイバーンの卵を盗んだというではありませんか。
それも3つも。
それはさすがにワイバーンも住みかの山脈から降りてきてまで、卵を取り返えそうとするでしょう。そして、その3つは兄と、ウォルス侯爵の嫡男と第2皇子の分まであるというではないですか。
他の二人は帝都へ向かう街道沿いを戻っているらしいのです。バカですか。卵を持ったまま街道沿いを駆け抜ければ他の人が巻き添えをくらう可能性があるではないですか。
私は兄を網で簀巻きにしたまま、そこにいた家令に父に報告するようにいい。兄は地下牢にでもぶちこむように言いました。
そして、私は移動のために開発した、タイヤの無いスクーターに乗り、地上1メルの高さで飛びながら帝都に向かって爆走しました。
スクーターに乗り半刻間、上空にワイバーンの姿を捉えました。逃亡者が近いことが分かり速度を上げます。
逃亡者に追い付いたときには上空からワイバーンの襲撃を受けていました。
「ギャァァァァァ」
「どこか行け!俺を誰だと思っている。」
卵泥棒ですね。
うるさいので背後から近づきスタンガン擬きで気絶させておきます。卵が入っている袋をワイバーンが持って行ってくれることを願いながら、魔獣用の網で簀巻きにしスクーターの後ろに網の端をくくりつけ辺境都市へ連れて帰りました。少々地面に接触して擦れてしまいましたが、命あっての物種です。
父に事を説明し帝都ウランザールまで、強制送還してもらいましたが、送って行った父が戻って来たのが5日後のことでした。疲れた顔の父に事情を聞くと何でもあの三人は色々やらかしている問題児だったようです。私としてはこっちに火の粉が飛んでこなければ別に構いませんけどね。
あれから5年が経ちました。その間も兄は色々やらかしたようで、父は姉の夫に家督を譲ることに決めたようです。まあ、コルバート辺境伯爵家に生まれながら剣も使えなければ、魔術もからっきしダメな兄に当主は勤まりませんけどね。
しかし、この5年程、世界情勢が変わって来ており、魔物の凶暴化から始まり、異次元から出てくる悪魔と呼ばれるモノがこの大陸を蹂躙し始め、魔王なる存在も出てきたというではないですか。
私も皆さんのお手伝いをすべく武器の開発に勤しみ励んでいたところです。
ところが、こんなご時世の時に件のバカ兄+αがやらかしてしまったのです。
サウザール公爵家の令嬢、エルフィーア様に言葉にすることが憚られる事をやらかしやがったのです。
エルフィーア様には番となられる御方がおりまして、隣国の外交官の御方に今年嫁ぐ予定でした。もう、サウザール公爵家もエルフィーア様の番の方もそれはもうお怒りで、こんなご時世ではなければ、隣国と戦争になっていたかもしれません。
話し合いの結果、第二皇子は前戦送り、ウォルス侯爵の嫡男は極刑、兄も極刑のはずでしたが、コルバート辺境伯爵家から様々な魔道具や魔武器を開発・提供をしているということで極刑ではなく、前戦送りとなったのです。いやそれは、私の功績だから!
それを聞いて慌てたのがウォルス侯爵様でした。跡継ぎが問題児の彼しかおらず、皇帝陛下と父にどうにかならないかと頼みに行ったそうです。
そして、出された結論は開発した本人である、次女の私を娶ることで恩情を貰おうということでした。いや、私は関係ないから!
次女で金髪に青い目の人族にはよくある色合いです。辺境の田舎娘でしたので、貴族のマナー等は姉に任せて、やりたいことに没頭する毎日でした。
魔物を近寄らせない電気柵とか、魔物を遠距離連続狙撃するガトリングガンとか・・・はい。実はこの世界ではない記憶を持っていたりします。
この世界には魔導式というものが存在し、高純度の魔石さえあれば、子供の落書きでも簡単に再現することができるのです。
魔石などはその辺の魔物を倒せば手に入るので、試し撃ちがてら魔物を倒し魔石を獲ることができるのです。
そんな日々を過ごしている中、帝都の帝国立アールミア学園に行っているはずの兄がいきなり屋敷に駆け込んで来て助けを求めて来たのです。
なんでも、ワイバーンの襲撃を受けたというではありませんか、そのことを聞いた父上や辺境を守る兵士達が各武器を持ち出して辺境都市の外へ飛び出していきました。なぜ、学園にいる兄がここにいるのか疑問を持たずに。
私は皆が出ていった後、こそこそと裏口から立ち去ろうとしていた兄を魔獣用の網で捕らえ理由を問いただしたところ、ワイバーンを騎獣にするために、ワイバーンの卵を盗んだというではありませんか。
それも3つも。
それはさすがにワイバーンも住みかの山脈から降りてきてまで、卵を取り返えそうとするでしょう。そして、その3つは兄と、ウォルス侯爵の嫡男と第2皇子の分まであるというではないですか。
他の二人は帝都へ向かう街道沿いを戻っているらしいのです。バカですか。卵を持ったまま街道沿いを駆け抜ければ他の人が巻き添えをくらう可能性があるではないですか。
私は兄を網で簀巻きにしたまま、そこにいた家令に父に報告するようにいい。兄は地下牢にでもぶちこむように言いました。
そして、私は移動のために開発した、タイヤの無いスクーターに乗り、地上1メルの高さで飛びながら帝都に向かって爆走しました。
スクーターに乗り半刻間、上空にワイバーンの姿を捉えました。逃亡者が近いことが分かり速度を上げます。
逃亡者に追い付いたときには上空からワイバーンの襲撃を受けていました。
「ギャァァァァァ」
「どこか行け!俺を誰だと思っている。」
卵泥棒ですね。
うるさいので背後から近づきスタンガン擬きで気絶させておきます。卵が入っている袋をワイバーンが持って行ってくれることを願いながら、魔獣用の網で簀巻きにしスクーターの後ろに網の端をくくりつけ辺境都市へ連れて帰りました。少々地面に接触して擦れてしまいましたが、命あっての物種です。
父に事を説明し帝都ウランザールまで、強制送還してもらいましたが、送って行った父が戻って来たのが5日後のことでした。疲れた顔の父に事情を聞くと何でもあの三人は色々やらかしている問題児だったようです。私としてはこっちに火の粉が飛んでこなければ別に構いませんけどね。
あれから5年が経ちました。その間も兄は色々やらかしたようで、父は姉の夫に家督を譲ることに決めたようです。まあ、コルバート辺境伯爵家に生まれながら剣も使えなければ、魔術もからっきしダメな兄に当主は勤まりませんけどね。
しかし、この5年程、世界情勢が変わって来ており、魔物の凶暴化から始まり、異次元から出てくる悪魔と呼ばれるモノがこの大陸を蹂躙し始め、魔王なる存在も出てきたというではないですか。
私も皆さんのお手伝いをすべく武器の開発に勤しみ励んでいたところです。
ところが、こんなご時世の時に件のバカ兄+αがやらかしてしまったのです。
サウザール公爵家の令嬢、エルフィーア様に言葉にすることが憚られる事をやらかしやがったのです。
エルフィーア様には番となられる御方がおりまして、隣国の外交官の御方に今年嫁ぐ予定でした。もう、サウザール公爵家もエルフィーア様の番の方もそれはもうお怒りで、こんなご時世ではなければ、隣国と戦争になっていたかもしれません。
話し合いの結果、第二皇子は前戦送り、ウォルス侯爵の嫡男は極刑、兄も極刑のはずでしたが、コルバート辺境伯爵家から様々な魔道具や魔武器を開発・提供をしているということで極刑ではなく、前戦送りとなったのです。いやそれは、私の功績だから!
それを聞いて慌てたのがウォルス侯爵様でした。跡継ぎが問題児の彼しかおらず、皇帝陛下と父にどうにかならないかと頼みに行ったそうです。
そして、出された結論は開発した本人である、次女の私を娶ることで恩情を貰おうということでした。いや、私は関係ないから!
481
お気に入りに追加
3,893
あなたにおすすめの小説

夫のかつての婚約者が現れて、離縁を求めて来ました──。
Nao*
恋愛
結婚し一年が経った頃……私、エリザベスの元を一人の女性が訪ねて来る。
彼女は夫ダミアンの元婚約者で、ミラージュと名乗った。
そして彼女は戸惑う私に対し、夫と別れるよう要求する。
この事を夫に話せば、彼女とはもう終わって居る……俺の妻はこの先もお前だけだと言ってくれるが、私の心は大きく乱れたままだった。
その後、この件で自身の身を案じた私は護衛を付ける事にするが……これによって夫と彼女、それぞれの思いを知る事となり──?
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります)

立派な王太子妃~妃の幸せは誰が考えるのか~
矢野りと
恋愛
ある日王太子妃は夫である王太子の不貞の現場を目撃してしまう。愛している夫の裏切りに傷つきながらも、やり直したいと周りに助言を求めるが‥‥。
隠れて不貞を続ける夫を見続けていくうちに壊れていく妻。
周りが気づいた時は何もかも手遅れだった…。
※設定はゆるいです。
子持ちの私は、夫に駆け落ちされました
月山 歩
恋愛
産まれたばかりの赤子を抱いた私は、砦に働きに行ったきり、帰って来ない夫を心配して、鍛錬場を訪れた。すると、夫の上司は夫が仕事中に駆け落ちしていなくなったことを教えてくれた。食べる物がなく、フラフラだった私は、その場で意識を失った。赤子を抱いた私を気の毒に思った公爵家でお世話になることに。

溺愛されている妹がお父様の子ではないと密告したら立場が逆転しました。ただお父様の溺愛なんて私には必要ありません。
木山楽斗
恋愛
伯爵令嬢であるレフティアの日常は、父親の再婚によって大きく変わることになった。
妾だった継母やその娘である妹は、レフティアのことを疎んでおり、父親はそんな二人を贔屓していた。故にレフティアは、苦しい生活を送ることになったのである。
しかし彼女は、ある時とある事実を知ることになった。
父親が溺愛している妹が、彼と血が繋がっていなかったのである。
レフティアは、その事実を父親に密告した。すると調査が行われて、それが事実であることが判明したのである。
その結果、父親は継母と妹を排斥して、レフティアに愛情を注ぐようになった。
だが、レフティアにとってそんなものは必要なかった。継母や妹ともに自分を虐げていた父親も、彼女にとっては排除するべき対象だったのである。
あなたが選んだのは私ではありませんでした 裏切られた私、ひっそり姿を消します
矢野りと
恋愛
旧題:贖罪〜あなたが選んだのは私ではありませんでした〜
言葉にして結婚を約束していたわけではないけれど、そうなると思っていた。
お互いに気持ちは同じだと信じていたから。
それなのに恋人は別れの言葉を私に告げてくる。
『すまない、別れて欲しい。これからは俺がサーシャを守っていこうと思っているんだ…』
サーシャとは、彼の亡くなった同僚騎士の婚約者だった人。
愛している人から捨てられる形となった私は、誰にも告げずに彼らの前から姿を消すことを選んだ。
君は妾の子だから、次男がちょうどいい
月山 歩
恋愛
侯爵家のマリアは婚約中だが、彼は王都に住み、彼女は片田舎で遠いため会ったことはなかった。でもある時、マリアは妾の子であると知られる。そんな娘は大事な子息とは結婚させられないと、病気療養中の次男との婚約に一方的に変えさせられる。そして次の日には、迎えの馬車がやって来た。
妹と旦那様に子供ができたので、離縁して隣国に嫁ぎます
冬月光輝
恋愛
私がベルモンド公爵家に嫁いで3年の間、夫婦に子供は出来ませんでした。
そんな中、夫のファルマンは裏切り行為を働きます。
しかも相手は妹のレナ。
最初は夫を叱っていた義両親でしたが、レナに子供が出来たと知ると私を責めだしました。
夫も婚約中から私からの愛は感じていないと口にしており、あの頃に婚約破棄していればと謝罪すらしません。
最後には、二人と子供の幸せを害する権利はないと言われて離縁させられてしまいます。
それからまもなくして、隣国の王子であるレオン殿下が我が家に現れました。
「約束どおり、私の妻になってもらうぞ」
確かにそんな約束をした覚えがあるような気がしますが、殿下はまだ5歳だったような……。
言われるがままに、隣国へ向かった私。
その頃になって、子供が出来ない理由は元旦那にあることが発覚して――。
ベルモンド公爵家ではひと悶着起こりそうらしいのですが、もう私には関係ありません。
※ざまぁパートは第16話〜です
お飾り王妃の愛と献身
石河 翠
恋愛
エスターは、お飾りの王妃だ。初夜どころか結婚式もない、王国存続の生贄のような結婚は、父親である宰相によって調えられた。国王は身分の低い平民に溺れ、公務を放棄している。
けれどエスターは白い結婚を隠しもせずに、王の代わりに執務を続けている。彼女にとって大切なものは国であり、夫の愛情など必要としていなかったのだ。
ところがある日、暗愚だが無害だった国王の独断により、隣国への侵攻が始まる。それをきっかけに国内では革命が起き……。
国のために恋を捨て、人生を捧げてきたヒロインと、王妃を密かに愛し、彼女を手に入れるために国を変えることを決意した一途なヒーローの恋物語。
ハッピーエンドです。
この作品は他サイトにも投稿しております。
表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品(写真ID:24963620)をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる