執着心が強い皇帝に捕まってしまった私の話〜あのさぁ、平民が皇帝と結婚できるわけないって馬鹿でもわかるよね〜

白雲八鈴

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第8話 捕まってしまったよー!

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 第三王女は私の手を取った。それは死にたくない、というだけなのかもしれない。だけど、彼女は選択肢をした。
 これが、のちのちこの国の希望になるだろう。ただ、私が連れ去るということは、王族という籍は捨ててもらう。身分は邪魔でしかない。


 私は次に怪盗のように王女はいただいて行ったとメッセージを残しにいくのだ。どこに残すのがいいのか思ったけど、怪盗〇〇〇のように空中にひらひらとメッセージが落ちてくるのがいいじゃないかと思った。思ってしまった。

 で、何が起こったかといえば……

「リィ。捕まえた」

 そう、変なこだわりを持ってしまったがために、レオンに捕まって、捕獲されてしまったのだ。

 いや、これは私が失敗したわけじゃない。
 無生物の転移はできない。いや、できないわけではないが、大抵の生き物は魔力をまとっているため、転移で起こる強制移動の強大な魔力移動に耐えきれる。だけど無生物は己を守る魔力がない。
 私の魔力で覆ってみたものの、私の魔力ですら凶器になるらしく、木っ端微塵で転移先に現れたのだ。

 それを完璧にしようとすれば、古代魔法の複数併用で何とかなることが理解できたけど、そこまでして、物を運ぶ必要性が感じられなかったので、私は無生物の転移はあきらめた。

 ということで、私はレオンに直接届けることになった。
 え? 意味が分からないって?
 天井裏からメッセージを落とせばいいという考えだった。今思うと私は自分の隠密行動に自信を持っていたんだ。だって、あの魑魅魍魎が跋扈する皇城で色々情報収集をして、レオンの周りを固めてきたのだ。しかし、今回の盲点は相手がレオンだったということだ。

 天井裏で気配を消して、魔力も抑えて行動していたにも関わらず、天井が落ちたのだ。
 一瞬何が起こったかわからなかったけど、私の目に赤い瞳が映って理解したよ。

 失敗したってね。

「カルア君が別行動だから、いけると思ったのだけどなぁ」

 あの忠犬のカルアの鼻はよく利くからね。私の行動を諫めるのはカルアの役目みたいなところがあった。
 今、カルアはこの国の王妃の監視についているので、レオンの側にはいない。だから、メッセージを落とすぐらいいけると思ったのに、失敗してしまった。

「リィ。一緒に帰ろう」

 そう言って、レオンは私を痛いぐらいに抱きしめてくる。
 一つ言おう。見た目が12歳の少年を抱きしめている皇帝の図柄はよろしくはない。

「無理かな?」
「なぜだ? 身分がという理由は聞かないぞ。そんなものどうとでもなる」

 皇帝だからね。鶴の一声でなんとでもなるよね。

「そうだね。レオンとは友達だからかなぁ?」
「俺はリィの事をこの世の全てを捨ててもいいほど愛している」
「……12歳のクソガキに言う言葉じゃないね。重すぎる」

 やっぱり、未だに私への依存が抜けていないのか? あれだけ、人材を引っ張って来て、私がいなくても大丈夫なぐらいにして去っていったのに?

「レオンもわかっていると思うけど、帝国の戦いはここでは終わらないよ。私がダメだって言った道をレオンは選んでしまったのだから」
「そんなことは、全て承知の上だ。だからリィ。俺の側にいてくれ」

 はぁ、私の中で迷いが生じている。だからレオンに会いたくなかったんだ。

 レオンの事は嫌いじゃない。今まで努力している姿を見て来ている。ただ、レオンの取り巻く環境が悪かった。これが第三皇子の立場だったら、私はレオンの側にそのままいたかもしれない。
 
 だけど、レオンはじぃの子という立場を公にはできない。これは本人すら知らないだろう。もし、これを公表すれば、属国は手を引く可能性がある。
 しかし、この流れはじぃの思惑から外れる。そう、私をわざわざ拾ってきた理由だ。

 私は迷いが生じていた瞳を瞬きで抑え込み、レオンを見上げる。

「レオンが皇帝という立場で戦うのであれば、私は私の力で戦地の死を救いに行く。これが太上皇帝陛下の思惑だ。だから、じぃの口車に乗ることはダメだって言ったのに……はぁ」
「今でも太上皇帝陛下の手の平の上で転がされているということか?」

 じぃは長年この帝国を治めていた皇帝だ。息子に譲ったとしてもその権力は衰えることは無かった。そう、死ぬまで。いや、死んでからもだ。

 私はため息を吐きながら答える。

「レオンの道はレオンだけのものだ。だけど、じぃはレオンを皇帝として立てるために最善の道を示した。それだけだ。私は友達だからね。レオンが最善の道を歩めるように、陰から支えている。それだけだ。そう、それだけの話だ」
「リィは太上皇帝陛下から何かを聞かされたのか?」
「色々だね。だけど、これは口外しないよ」

 レオンは私の言葉に私を抱きしめていた力を緩める。私を引き留めることができないと理解してくれたのだろう。やはり、じぃの名前は絶大だ。なんだか幻聴で『フォッフォッフォッフォッ』って笑い声が聞こえてきた。ヤバいな。

 私を解放したレオンの首元に抱きつく。もう、会うことはない。私の決意が揺らいでしまうから。

「レオン。私はレオンの側にいないけど、ずっと友達だ。だから、陰から支えていける……あと第三王女はもらって行く」
「は?」

 レオンが何を言っているんだという顔を見て、私はニヤリと笑った。そのまま手を離してレオンから距離を取る。そして、メッセージカードをレオンの方に投げて、私は転移でその場を去った。

 リィっと名前を叫ばれたけど、もらって行った後だからね。確認しに行っても無駄だからね。



「ここはてめぇの家じゃあねぇぞ」

 ボスが殺人現場で、偉そうにソファーに座って煙草を吹かしている。
 何でこのような状態になったかはわからないけど、ボスも有名になり過ぎたから、刺客に襲われるようになったのだろう。どう見てもその辺りの荒くれの姿ではなく、その道の玄人の姿をしている。

「だってさぁ、私の家ってないんだよ。それにお金もそこまでもってないんだよ」

 一般的に言えば私はスラム出身者の家がない孤児と言っていい立場だ。宿に泊まってもいいのだけど、ずっと泊まっていられるほどお金を稼いでいるわけじゃない。
 私の収入は戦場から戦場を移動する町や村で治療して得た収入なので、そこまで大金を稼がないのだ。

「あと、契約満了に近づいて来たっていうのと、いくつか情報をあげるから、欲しいものがあるんだ」
「それは、そこのおキレイなお嬢様が関係するのかぁ?」

 私の後ろには意識を失った姫様を抱えたオッサンがいる。別にオッサンに抱えられて気絶したわけではなくて、転移をしたところにボスから飛ばされた人だったモノが私の結界にあたって飛び散ってしまったのを目の当たりにして気絶したのだ。

「そうだね。ミルガレッド国の王太子の第三王女だね」
「おまっ! 馬鹿じゃねぇのか! おい! てめぇらぁ! なぜ、この悪魔を止めなかったんだ!」

 馬鹿と言われてしまった。いや。彼女は必要なのだ。

「ボス。ただの人でしかない我々に悪魔に敵うとでも思いでしょうか?」
「……無理だな」

 ボス! なぜそこで納得するんだ!

「で、そのおひぃさんをどうするつもりだ?」

 流石ボス、話が早いね。私が頼みたいのは彼女のことだ。私のことは、自分自身でなにもかもできるからね。

「まずは、次はフラーネリア王国が動き出す。ちょうどミルガレッド国と正反対の位置だ。皇帝が不在だと情報を得て、背後を突こうとしている。皇帝の犬もミルガレッド国に入っているから好機だと捉えたらしい」
「それぐらいはこっちも情報を得ている」

 おっ! ボスも情報網を確立したようだ。ならば、私はボスから手を引こう。私がボスに提供できるのは情報だけだからね。

「えー。そうなのかぁ。じゃあ、どれがいいかなぁ」
「俺じゃ入れなかったグランシャリオはどうだ?」

 グランシャリオ国か。あそこはしたたかだ。直ぐには行動は起こさないだろう。

「まだ動かない。動くとしたら、どこかの国に共闘を申し込んでからだ。今それの調整中。色々もめているよ」
「くっ! 流石だな。そうやって、直ぐに情報が出てくるのは。それで、この俺に何を頼みたいんだ?」

 情報があるのは治療師として色々やってきたからだ。色々なところに盗聴の魔法陣を仕込んできたからだ。

「まずは、14歳ぐらいの戸籍が欲しい。私に戸籍はないけど、彼女には必要だからね」

 じぃに与えられそうになったけど、きっぱりと断った。枷は要らないと。

「それから、彼女のドレスを細分化して売って、そのお金を彼女に渡して欲しい。あ、あと平民の服と。それから……」
「まだあるのか?」

 なぜか呆られたような声で問われてしまった。あるよ。一番大事なことだ。

「ボス。この前の奴隷の女性たちに仕事を与えていたよね。その下働きをさせて一般常識をつけさせて欲しい。身の回りのことを全てできるように」
「あ? 蝶よ花よと育てられたおひぃさんが、耐えきれるとは思えないけどなぁ?」

 最初は耐えきれないだろうね。だからこそ、私は選択肢をさせたのだ。自分で選んだ道なら歯を食いしばって生きていくようにと。

「だったら、言ってあげればいい、自分がどれだけ優遇されていたか。こんなものはつらいなんて言う物じゃないって、死んだらつらいなんて感じないってね」
「そういう言葉を平然とこのおひぃさんに吐くやつは、本当の悪魔だ」
「ふん! 誰だって楽しいことして生きたいと思っても、それだけじゃ生きていけないよ。だから彼女をボスが助けた女性たちに預けるんだ。私は死が振り撒かれている戦場にいつづけるからね。彼女に必要なことは教えてあげられない」

 そして、私は振り返ってヒューとオッサンを見る。
 ここで、彼らともお別れだ。短い間だったけど、彼らとの旅も楽しかった。……だいたい戦場巡りだったけどね。

「ヒュー。オッサン。二人がいてくれて色々助かったし、楽しかった。ありがとう」
「貴女の中にありがとう、という言葉が存在したのですか?」

 ヒューはいつまでも失礼だね。私も感謝の言葉ぐらい言うよ。

「まぁ、色々規格外の貴女について行くのは大変でしたね。もし今度誰かと共に行動することがあるなら、自重するように。特に転移は場所を選びなさい」
「一応、肝に銘じておくけど、転移の場所はボス指定だったから、その文句はボスにいうべきだね」

 私は悪くない。何故かいつもボスが血なまぐさいことをしているんだ。

「俺の所為にするんじゃねぇ。てめぇの転移のタイミングの問題だ」

 ボスも私が悪いというわけ? ボスの都合だなんて私は知らないよ。

「リカルド。俺はお前が何をしたいのかさっぱりわかんねぇが、お前のやりたいことが叶うことを応援しているからな」
「オッサン。ありがとう」
「それから、俺はオッサンが名前じゃねぇからな」
「わかっている。サルトス。私のやるべきことを手伝ってくれてありがとう。ヒューゲルもね」

 死んだ目をして手伝ってくれたからね。二人には感謝しているよ。そうだね。私からは対価を支払っていなかった。
 私は二人の上に魔法陣を展開させる。

「『空は輝く光に満たされ、風は幸福を運び、恵みの雨は大地に命の息吹をもたらす。神は汝らに祝福を与えたもう』」

 これは一人一人に祝福のギフトを与える古代魔法の一つだ。ただ、何の祝福が与えられるかわからない。

「ヤバい死ぬかと思った」
「いきなり何をするのですか!」

 オッサンはお姫様を抱えたまま床に座り込んでしまった。
 ヒューは私に怒ってきた。いや、祝福を与えただけだよ。

「これは古代魔法の祝福を与える魔法なんだからね! 普通は祝福なんて与えられないよ」

 するとヒューは頭をかかえてしまった。

「悪魔から祝福とはどんな恐ろしいことになるのですか」
「俺の死期は近いかもしれねぇ」

 二人して本当に失礼だね。でもそれがヒューとオッサンだ。私に媚びを売るわけでもなく恐れるわけでもなく。適当にあしらってくれる。ボスはいい人選をしてくれたということだ。

 私は振り返ってボスを見る。

「ボスも祝福いる?」
「ぜってぇにやめろ」

 はははは。遠慮はしなくていいよ。


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