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27章 魔人と神人
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今まで核の破壊まではすることができなかったが、無意識だったからか、始末が面倒な核を斬っていたのだ。
「あ……斬るつもりはなかったのに、斬ってしまった」
違う。本当は次元の悪魔に剣が通るようになった時点で、核も斬れるようになっていたのだろう。
それで次元の悪魔が倒せればいいのではないのだろうか。
討伐戦を戦い抜いてきた者たちの中で、核を破壊することができるものは存在する。
現に王都メイルーンが次元の悪魔に襲撃されたときは、第五師団と第六師団の精鋭たちが、次元の悪魔の核を破壊していたのだ。
わざわざ浄化なんて、まどろっこしいことはしない。
だが、シェリーは斬ってしまったという言葉を口にする。まるで、その行為が悪かったかのように。
いや、聖女の役目は世界の浄化だ。それは人の悪心の浄化。つまりはだ。次元の悪魔が元は何かという問題なのだ。
元はこの世界の人である者であった次元の悪魔。具現化した悪の心の塊は、世界をも変質させるものだ。
それを放置すると周りに多大なる影響を与える。そして、壊せば悪心は再び世界に広がり、また新たに世界に影響を及ぼす悪心の塊になるのだ。
だから、壊すことはその場での対応策であり、根本的な解決策にはならない。
ただ、これを聖女の浄化に頼らない方法で対処できるものがある。『陰火の業』というものだ。
ギラン共和国の裏の王と言っていいユールクスが言っていたものだ。まるで悪魔の魔核を処分するためにあるようなものの言い方だった。
その裏には白き神を恨んでいた黒エルフの存在がちらついているが、彼女の目は未来を見るため、ユールクスには必要になるものだろうと与えたのだろう。
そして、シェリーは斬ってしまったものは仕方がないと深い穴に向っていく残骸を見送る。
そもそもだ、次元の悪魔の核を壊さずに戦っているのはカイルのみ。モルテ王は影のような黒いものを操って、次元の悪魔を切り刻んでおり、シュロスに至っては、衝撃波かっこいいとか叫びながら刀を振るっている。
これは何も言っていなかったシェリー自身が悪かったと、ため息を吐きながら、次の獲物を視界に捉え、向って行ったのだった。
そして、50体の次元の悪魔を倒し終わったシェリーは、地面だったところ一面に敷いた『最小の盾』の上に立っていた。そこには抱えるほどの大きさの黒く丸い物体が20個ほど転がっている。
それも巨体の残骸に交じっているので、分別するのも大変そうだ。
すると、シェリーは右手の人差し指を立てて、自分の方に折り曲げる動作を繰り返した。何をしているのか見当がつかない。
「で、結局これはなんだったんだ?」
シュロスは透明な板の上に転がっている残骸を興味深げに観察している。きっとシュロスの頭の中ではゲーム的な要素を思い浮かべているに違いない。
そんな観察している黒い残骸がピクリと動いた。
「うぉ!まだ生きているのか!」
「生きていませんから、切らないでください」
条件反射のように刀を抜こうとしたシュロスに、シェリーは切るなと言葉にする。そして、シュロスが見ていた残骸から、丸い塊がボコっとこぼれ出てきた。それがシェリーの方向に向っていっている。
「こわっ!」
何もしていないのに、勝手に移動しているのだ。だが、周りを見渡すと、次々と丸い大きな玉が勝手に移動していっている。
「この結界。こういう使い方もできるの?凄いね」
カイルが関心したようにい言う。それはシェリーが足場として作り出した六角形の透明な板が斜めに傾いて、黒い玉を送り出すように移動させていたからだ。
「別にこういう使い方の想定はしていませんが、いろんな使い方ができる創りにはしています」
戦う為に創った『最小の盾』だ。それを攻撃として使うシェリーにとって、このような使い方は、褒められるようなことではないと、ため息を吐いている。
「それを集めてどうするのだ?」
モルテ王としては気になるのだろう。わざわざ魔核を残して集める理由をだ。
「これを浄化します。最初に言うべきでしたが、核を斬っても粉々にしても、無くなることはありません。世界を巡って再び塊を成して、世界に悪影響を与えるだけです」
「壊しても駄目なのか?」
「駄目ですね。そうですね。マリートゥヴァ様が魔人になった元と言えばわかりやすいですか?」
するとシェリーの言葉にモルテ王は驚いた顔をする。
「ラフテリア様が使命としていた浄化とは、このようなものを浄化するという意味だったのですよ」
ラフテリアからはそのような話は聞いていただろうが、実際にどういうものを浄化するのか見たことがなかったのだろう。
そう、この場には心というものに形を与えたシュロス王と、初代の聖女に浄化の使命を行わせなかったモルテ王がいる。なんとも偶然な組み合わせだった。いや、これもまた必然なのだろう。
「あ……斬るつもりはなかったのに、斬ってしまった」
違う。本当は次元の悪魔に剣が通るようになった時点で、核も斬れるようになっていたのだろう。
それで次元の悪魔が倒せればいいのではないのだろうか。
討伐戦を戦い抜いてきた者たちの中で、核を破壊することができるものは存在する。
現に王都メイルーンが次元の悪魔に襲撃されたときは、第五師団と第六師団の精鋭たちが、次元の悪魔の核を破壊していたのだ。
わざわざ浄化なんて、まどろっこしいことはしない。
だが、シェリーは斬ってしまったという言葉を口にする。まるで、その行為が悪かったかのように。
いや、聖女の役目は世界の浄化だ。それは人の悪心の浄化。つまりはだ。次元の悪魔が元は何かという問題なのだ。
元はこの世界の人である者であった次元の悪魔。具現化した悪の心の塊は、世界をも変質させるものだ。
それを放置すると周りに多大なる影響を与える。そして、壊せば悪心は再び世界に広がり、また新たに世界に影響を及ぼす悪心の塊になるのだ。
だから、壊すことはその場での対応策であり、根本的な解決策にはならない。
ただ、これを聖女の浄化に頼らない方法で対処できるものがある。『陰火の業』というものだ。
ギラン共和国の裏の王と言っていいユールクスが言っていたものだ。まるで悪魔の魔核を処分するためにあるようなものの言い方だった。
その裏には白き神を恨んでいた黒エルフの存在がちらついているが、彼女の目は未来を見るため、ユールクスには必要になるものだろうと与えたのだろう。
そして、シェリーは斬ってしまったものは仕方がないと深い穴に向っていく残骸を見送る。
そもそもだ、次元の悪魔の核を壊さずに戦っているのはカイルのみ。モルテ王は影のような黒いものを操って、次元の悪魔を切り刻んでおり、シュロスに至っては、衝撃波かっこいいとか叫びながら刀を振るっている。
これは何も言っていなかったシェリー自身が悪かったと、ため息を吐きながら、次の獲物を視界に捉え、向って行ったのだった。
そして、50体の次元の悪魔を倒し終わったシェリーは、地面だったところ一面に敷いた『最小の盾』の上に立っていた。そこには抱えるほどの大きさの黒く丸い物体が20個ほど転がっている。
それも巨体の残骸に交じっているので、分別するのも大変そうだ。
すると、シェリーは右手の人差し指を立てて、自分の方に折り曲げる動作を繰り返した。何をしているのか見当がつかない。
「で、結局これはなんだったんだ?」
シュロスは透明な板の上に転がっている残骸を興味深げに観察している。きっとシュロスの頭の中ではゲーム的な要素を思い浮かべているに違いない。
そんな観察している黒い残骸がピクリと動いた。
「うぉ!まだ生きているのか!」
「生きていませんから、切らないでください」
条件反射のように刀を抜こうとしたシュロスに、シェリーは切るなと言葉にする。そして、シュロスが見ていた残骸から、丸い塊がボコっとこぼれ出てきた。それがシェリーの方向に向っていっている。
「こわっ!」
何もしていないのに、勝手に移動しているのだ。だが、周りを見渡すと、次々と丸い大きな玉が勝手に移動していっている。
「この結界。こういう使い方もできるの?凄いね」
カイルが関心したようにい言う。それはシェリーが足場として作り出した六角形の透明な板が斜めに傾いて、黒い玉を送り出すように移動させていたからだ。
「別にこういう使い方の想定はしていませんが、いろんな使い方ができる創りにはしています」
戦う為に創った『最小の盾』だ。それを攻撃として使うシェリーにとって、このような使い方は、褒められるようなことではないと、ため息を吐いている。
「それを集めてどうするのだ?」
モルテ王としては気になるのだろう。わざわざ魔核を残して集める理由をだ。
「これを浄化します。最初に言うべきでしたが、核を斬っても粉々にしても、無くなることはありません。世界を巡って再び塊を成して、世界に悪影響を与えるだけです」
「壊しても駄目なのか?」
「駄目ですね。そうですね。マリートゥヴァ様が魔人になった元と言えばわかりやすいですか?」
するとシェリーの言葉にモルテ王は驚いた顔をする。
「ラフテリア様が使命としていた浄化とは、このようなものを浄化するという意味だったのですよ」
ラフテリアからはそのような話は聞いていただろうが、実際にどういうものを浄化するのか見たことがなかったのだろう。
そう、この場には心というものに形を与えたシュロス王と、初代の聖女に浄化の使命を行わせなかったモルテ王がいる。なんとも偶然な組み合わせだった。いや、これもまた必然なのだろう。
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