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27章 魔人と神人
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「ぷっ! あ……悪い」
「誰です!」
「どこにいる!」
耐えきれなくなったモルテ王が、吹き出してしまったようだ。そもそも、モルテ王にとっては様子見で、辺り一帯を闇で覆っていたが、あまりにもの馬鹿馬鹿しさに隠れる必要もないと思ったのだろう。
いや、彼ら自身を見て警戒する程ではないとなったのだ。
そして、闇の中から聞こえてきた笑い声に、警戒感を顕にする完全体の悪魔たち。
辺りを見渡す二体の完全体の悪魔たちだが、モルテ王が作り出した闇に視界が遮られ、どこから笑い声が聞こえてきたのかわからないようだ。
「もう、だいたいわかったから、ぶっ倒していいよな」
モルテ王は元がアーク族とわかっている完全体の悪魔を、そのまま帰す気などなかったようだ。
更に辺りの闇が一段と濃くなっている。
「お好きにどうぞ」
空中に視線を留めたままのシェリーが答える。今のシェリーでは、一撃を与えても致命傷にはならないからだ。
その言葉にモルテ王は空中の闇を掴み取る。そして闇を掴んだ手を思いっきり振り上げた。
闇を掴んだ手には、無骨な剣が握られている。柄も剣身も真っ黒な金属でできている直剣で、モルテ王が肩に担いて持っていることで、それなりの重量があるように思える。
その勢いでモルテ王は駆け出し、二体の悪魔の前に飛び出していった。
「いったいどこから!」
「貴様!何者!」
突然現れたモルテ王に、二体の悪魔も戦闘体勢なったのだろうか?身体全体に血管のように巡っている青い紋様の光が強くなっている。
振り上げられた無骨な黒い直剣を受け止めるように、一体の悪魔が前面に魔術の陣を展開させた。
だが、その魔術の陣を叩き切るように、モルテ王は剣を振り下ろす。
振り下ろされた無骨な剣は、魔術の陣どころか、その陣を展開していた悪魔ごと真っ二つに叩き切った。
「なんだ?言うほどではないな」
無骨な剣についた血と肉片を払うように振るい、もう一体の悪魔に視線を向けた。
「ひっ!」
突如現れた闇と死の化身のような存在に、恐怖を感じる完全体の悪魔。この姿に討伐戦を戦った者たちから聞く完全体の悪魔の姿とは乖離があることに、疑問が湧いてくる。
「すっげ~! かっけ~!」
そこに陽気な声が聞こえてきた。
「口を開かない約束です」
その声にシェリーの冷たい声が突き刺さる。
「いや、俺もあの剣が欲しい!どのクエストを攻略すれば手に入るんだ?」
『ガンッ!』
口を開くなと言われているにも関わらず、話しだしたモノから金属が叩かれたような音が聞こえてくる。
だが、闇が深く詳細がわからない。
まだ、仲間がいると感じた完全体の悪魔は、声とも言えない叫び声を上げだす。まるで、鳥が仲間に危険を知らせるような、叫び声だ。
その声に反応するように、この丘を取り囲むように力の渦が沸き起こる。
「お前たちが何者か知らないが、お前たちがここから出ることはできない!」
そう言って、完全体の悪魔は自ら己の胸に右手を突き刺した。自死といって良い行為だが、異様に血管のように巡っている青い紋様が異様に光っているのが気になる。
「モルテ王!こちらに!」
シェリーはモルテ王に戻ってくるように声を上げる。そのモルテ王は鼻を鳴らし、無骨な剣を横に振り切り、己の心臓を右手で貫いている悪魔の胴体を両断した。
だが、紋様の光が収まることはなく、段々と強まっていっている。
「なんだ?これは?自爆ではなくて、囮か?」
「モルテ王!丘の周りに三つ力の塊がありますので、ここを中心に巨大な術が発動するのではと予想できます」
「あ。これ知っている。天の火だ。ほらラピュ……『ガンッ』」
シェリーは何か知っていると言ったモノの言葉を強制的に止めた。そして、早くモルテ王に戻ってくるように促す。
「はぁ。どこかのバカが創った、神の天罰を模した術が発動しそうですので、結界を張りますので来てください」
シェリーのため息を聞きながら、モルテ王は無骨な剣を闇に戻した。するとこの空間に満ちて、視界の邪魔をしていた闇が晴れ、青色に満ちた空間が現れた。
死しても青い輝きを放つ悪魔の身体の紋様の光を反射する青い壁と天井。
モルテ王は二体の悪魔の死体を一瞥したあと、シェリーの方にゆっくりと歩いて戻っていく。
その背後ではモルテ王から伸びた長い影から悪魔の身体を捕食するように、何かの手や獣の牙を持つモノ、目が複数あるモノ、触手を持つモノが出てきて取り込んでいっている。
この姿を見ると、彼が人と呼ばれる存在ではないことが窺えた。
そして、モルテ王の視界には竜人のカイルに肩を抱かれた黒の聖女の姿が映り、その横には人が纏うには細すぎる白い甲冑が立っている。
そう、これが先程から勝手に話していた者の正体だった。
「誰です!」
「どこにいる!」
耐えきれなくなったモルテ王が、吹き出してしまったようだ。そもそも、モルテ王にとっては様子見で、辺り一帯を闇で覆っていたが、あまりにもの馬鹿馬鹿しさに隠れる必要もないと思ったのだろう。
いや、彼ら自身を見て警戒する程ではないとなったのだ。
そして、闇の中から聞こえてきた笑い声に、警戒感を顕にする完全体の悪魔たち。
辺りを見渡す二体の完全体の悪魔たちだが、モルテ王が作り出した闇に視界が遮られ、どこから笑い声が聞こえてきたのかわからないようだ。
「もう、だいたいわかったから、ぶっ倒していいよな」
モルテ王は元がアーク族とわかっている完全体の悪魔を、そのまま帰す気などなかったようだ。
更に辺りの闇が一段と濃くなっている。
「お好きにどうぞ」
空中に視線を留めたままのシェリーが答える。今のシェリーでは、一撃を与えても致命傷にはならないからだ。
その言葉にモルテ王は空中の闇を掴み取る。そして闇を掴んだ手を思いっきり振り上げた。
闇を掴んだ手には、無骨な剣が握られている。柄も剣身も真っ黒な金属でできている直剣で、モルテ王が肩に担いて持っていることで、それなりの重量があるように思える。
その勢いでモルテ王は駆け出し、二体の悪魔の前に飛び出していった。
「いったいどこから!」
「貴様!何者!」
突然現れたモルテ王に、二体の悪魔も戦闘体勢なったのだろうか?身体全体に血管のように巡っている青い紋様の光が強くなっている。
振り上げられた無骨な黒い直剣を受け止めるように、一体の悪魔が前面に魔術の陣を展開させた。
だが、その魔術の陣を叩き切るように、モルテ王は剣を振り下ろす。
振り下ろされた無骨な剣は、魔術の陣どころか、その陣を展開していた悪魔ごと真っ二つに叩き切った。
「なんだ?言うほどではないな」
無骨な剣についた血と肉片を払うように振るい、もう一体の悪魔に視線を向けた。
「ひっ!」
突如現れた闇と死の化身のような存在に、恐怖を感じる完全体の悪魔。この姿に討伐戦を戦った者たちから聞く完全体の悪魔の姿とは乖離があることに、疑問が湧いてくる。
「すっげ~! かっけ~!」
そこに陽気な声が聞こえてきた。
「口を開かない約束です」
その声にシェリーの冷たい声が突き刺さる。
「いや、俺もあの剣が欲しい!どのクエストを攻略すれば手に入るんだ?」
『ガンッ!』
口を開くなと言われているにも関わらず、話しだしたモノから金属が叩かれたような音が聞こえてくる。
だが、闇が深く詳細がわからない。
まだ、仲間がいると感じた完全体の悪魔は、声とも言えない叫び声を上げだす。まるで、鳥が仲間に危険を知らせるような、叫び声だ。
その声に反応するように、この丘を取り囲むように力の渦が沸き起こる。
「お前たちが何者か知らないが、お前たちがここから出ることはできない!」
そう言って、完全体の悪魔は自ら己の胸に右手を突き刺した。自死といって良い行為だが、異様に血管のように巡っている青い紋様が異様に光っているのが気になる。
「モルテ王!こちらに!」
シェリーはモルテ王に戻ってくるように声を上げる。そのモルテ王は鼻を鳴らし、無骨な剣を横に振り切り、己の心臓を右手で貫いている悪魔の胴体を両断した。
だが、紋様の光が収まることはなく、段々と強まっていっている。
「なんだ?これは?自爆ではなくて、囮か?」
「モルテ王!丘の周りに三つ力の塊がありますので、ここを中心に巨大な術が発動するのではと予想できます」
「あ。これ知っている。天の火だ。ほらラピュ……『ガンッ』」
シェリーは何か知っていると言ったモノの言葉を強制的に止めた。そして、早くモルテ王に戻ってくるように促す。
「はぁ。どこかのバカが創った、神の天罰を模した術が発動しそうですので、結界を張りますので来てください」
シェリーのため息を聞きながら、モルテ王は無骨な剣を闇に戻した。するとこの空間に満ちて、視界の邪魔をしていた闇が晴れ、青色に満ちた空間が現れた。
死しても青い輝きを放つ悪魔の身体の紋様の光を反射する青い壁と天井。
モルテ王は二体の悪魔の死体を一瞥したあと、シェリーの方にゆっくりと歩いて戻っていく。
その背後ではモルテ王から伸びた長い影から悪魔の身体を捕食するように、何かの手や獣の牙を持つモノ、目が複数あるモノ、触手を持つモノが出てきて取り込んでいっている。
この姿を見ると、彼が人と呼ばれる存在ではないことが窺えた。
そして、モルテ王の視界には竜人のカイルに肩を抱かれた黒の聖女の姿が映り、その横には人が纏うには細すぎる白い甲冑が立っている。
そう、これが先程から勝手に話していた者の正体だった。
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