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27章 魔人と神人
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「この辺りはエリザベートから詳しくは聞かなかったけれど、意見の相違が起こったのだと思う。エリザベートは婚約者に裏切られたと言っていたけど、世間的にはエリザベートは死んだことにされていたんだよ。だって、リアがあの教皇以外を殺したのだから」
ロビンはかなり教皇のことを嫌っているようだ。これは己を殺したというより、己の番であるラフテリアを良いように使おうとしたことに対して、気に食わないという感じだ。そして、生かしてしまったことへの憤りだろう。
「ただ、変な噂が流れていたようだったけど、何だったかな?忘れちゃったな」
変な噂と聞いてシェリーはふと思い出した。確かにおかしな話を炎国で聞いた。
「炎国に住む妖精がおかしな噂話をしていました。虐殺を行った花嫁と逃げた大公の姪がいたと」
「ああ、そんな感じだね」
これは炎王の側にいる妖精様と言われている、人と同じ姿をした女性が言っていたことだ。その時代から生きていたのであれば、妖精としてもかなり上位クラスだと思われる。そんな妖精からの言葉だ。この噂が流れていたのは本当のことだったのだろう。
「ということは、その現場を見ていた人が生きていたということですか?」
「そんなもの、あの教皇に決まっている。ラフテリアを貶めて敵国を貶める。いいきっかけだったのだろうね」
真実を知るのはただ唯一生き残った教皇のみ、残りは物言わぬ死体の山。事実は虚実へと変化したのだ。
「そんなことで、色々誤解が生まれたのだろうね。でも、護り手の僕から言わせれば、大切な人から否定されてしまえば、今まで維持してきたものなんて、どうでも良くなると思うんだよ。今まで築いてきた地位も名誉もどうでもよくなる」
エリザベートは女神ナディアの愛し子。ならば、愛し子を護るべき存在を一族として側におくのは当然のこと。
「恐らく婚約者の彼はエリザベートの護り手だったんじゃないのかな?すべてを否定したエリザベートに、赤き女神を否定したエリザベートに、多くの神々を崇める国を作り、居場所を与えようとしたんじゃないのかな?僕はリアの為にこの安寧の地を作り上げたのだから」
そのアレクという人物は、多くの神々を崇めるグローリア国を築いた。栄光をその名に掲げた国をだ。全てはエリザベートのためだったとすれば?王族に必要な条件に髪と目の色を指定したのは、アレク自身の色ではなかったのだろうか。
いつかたどり着くだろうエリザベートに、居場所を与える為に一国を築いたのであれば、その愛はなんて重いのだろう。
しかし、結果として何千年経った後に大魔女エリザベートはグローリア国にたどりつき、その生命に終止符を打った。
それはアレクという人物の行動に間違いはなかったと、歴史は証明しているのだった。
「安寧の地ですか?」
シェリーはこの家を見て確かに安寧の地と言われればそうだろうと、納得をする。何千年経とうが、まるで新築のような室内。それは人という枠組みを外れ、永劫と言って良い時を生きる二人には必要な場所だ。
「そう、この大陸に上陸するには北の浜辺ただ一箇所のみ。それ以外の場所から上陸しようとすれば、エリザベートが空島から持ち出した魔導兵から攻撃されるんだよ」
「え?」
「シェリーの言っていたとおりだったね。すごいね。」
カイルはシェリーの言っていた、北の海辺以外に転移すると排除対象になるということは、流石に大げさだと内心思っていたが、ロビンの言葉に流石はシェリーだと、嬉しそうにシェリーを褒めた。
しかし、シェリーはまさか本当に排除対象になるとは思っておらず、驚きの言葉を上げた。いや聞き慣れない空島の魔導兵というものが気になったのだろう。
「ロビン様。魔導兵とはどのようなものなのですか?」
「ん?今の時代は魔導兵は降って来ないのかな?」
とても恐ろしい言葉が聞こえてきた。空から魔導兵が降ってくる?
「空島から何かが降ってくるということは……」
空島から何かが降ってくることはないと否定しようとしたシェリーは、悪魔という存在は空島から降ってきたと言っていいのだろうかと、言いどもってしまった。
「今、詳細がわからないことがあるので言及は控えます」
「そうなんだね。昔はね。北側に魔導兵が降ってくることがあったんだよ。まぁ、落ちてきた衝撃で壊れているんだけどね」
空島の高度から落ちた経験があるシェリーはそれは壊れるだろうと納得する。いや、壊れるとはどういうことだろうか。
「魔導兵とは人ではないのですか?」
「それって、上空を旋回する魔道具に攻撃性をもたせたものかな?」
シェリーの疑問にカイルが質問を上書きをした。どうやら、カイルには心当たりがあるようだった。
ロビンはかなり教皇のことを嫌っているようだ。これは己を殺したというより、己の番であるラフテリアを良いように使おうとしたことに対して、気に食わないという感じだ。そして、生かしてしまったことへの憤りだろう。
「ただ、変な噂が流れていたようだったけど、何だったかな?忘れちゃったな」
変な噂と聞いてシェリーはふと思い出した。確かにおかしな話を炎国で聞いた。
「炎国に住む妖精がおかしな噂話をしていました。虐殺を行った花嫁と逃げた大公の姪がいたと」
「ああ、そんな感じだね」
これは炎王の側にいる妖精様と言われている、人と同じ姿をした女性が言っていたことだ。その時代から生きていたのであれば、妖精としてもかなり上位クラスだと思われる。そんな妖精からの言葉だ。この噂が流れていたのは本当のことだったのだろう。
「ということは、その現場を見ていた人が生きていたということですか?」
「そんなもの、あの教皇に決まっている。ラフテリアを貶めて敵国を貶める。いいきっかけだったのだろうね」
真実を知るのはただ唯一生き残った教皇のみ、残りは物言わぬ死体の山。事実は虚実へと変化したのだ。
「そんなことで、色々誤解が生まれたのだろうね。でも、護り手の僕から言わせれば、大切な人から否定されてしまえば、今まで維持してきたものなんて、どうでも良くなると思うんだよ。今まで築いてきた地位も名誉もどうでもよくなる」
エリザベートは女神ナディアの愛し子。ならば、愛し子を護るべき存在を一族として側におくのは当然のこと。
「恐らく婚約者の彼はエリザベートの護り手だったんじゃないのかな?すべてを否定したエリザベートに、赤き女神を否定したエリザベートに、多くの神々を崇める国を作り、居場所を与えようとしたんじゃないのかな?僕はリアの為にこの安寧の地を作り上げたのだから」
そのアレクという人物は、多くの神々を崇めるグローリア国を築いた。栄光をその名に掲げた国をだ。全てはエリザベートのためだったとすれば?王族に必要な条件に髪と目の色を指定したのは、アレク自身の色ではなかったのだろうか。
いつかたどり着くだろうエリザベートに、居場所を与える為に一国を築いたのであれば、その愛はなんて重いのだろう。
しかし、結果として何千年経った後に大魔女エリザベートはグローリア国にたどりつき、その生命に終止符を打った。
それはアレクという人物の行動に間違いはなかったと、歴史は証明しているのだった。
「安寧の地ですか?」
シェリーはこの家を見て確かに安寧の地と言われればそうだろうと、納得をする。何千年経とうが、まるで新築のような室内。それは人という枠組みを外れ、永劫と言って良い時を生きる二人には必要な場所だ。
「そう、この大陸に上陸するには北の浜辺ただ一箇所のみ。それ以外の場所から上陸しようとすれば、エリザベートが空島から持ち出した魔導兵から攻撃されるんだよ」
「え?」
「シェリーの言っていたとおりだったね。すごいね。」
カイルはシェリーの言っていた、北の海辺以外に転移すると排除対象になるということは、流石に大げさだと内心思っていたが、ロビンの言葉に流石はシェリーだと、嬉しそうにシェリーを褒めた。
しかし、シェリーはまさか本当に排除対象になるとは思っておらず、驚きの言葉を上げた。いや聞き慣れない空島の魔導兵というものが気になったのだろう。
「ロビン様。魔導兵とはどのようなものなのですか?」
「ん?今の時代は魔導兵は降って来ないのかな?」
とても恐ろしい言葉が聞こえてきた。空から魔導兵が降ってくる?
「空島から何かが降ってくるということは……」
空島から何かが降ってくることはないと否定しようとしたシェリーは、悪魔という存在は空島から降ってきたと言っていいのだろうかと、言いどもってしまった。
「今、詳細がわからないことがあるので言及は控えます」
「そうなんだね。昔はね。北側に魔導兵が降ってくることがあったんだよ。まぁ、落ちてきた衝撃で壊れているんだけどね」
空島の高度から落ちた経験があるシェリーはそれは壊れるだろうと納得する。いや、壊れるとはどういうことだろうか。
「魔導兵とは人ではないのですか?」
「それって、上空を旋回する魔道具に攻撃性をもたせたものかな?」
シェリーの疑問にカイルが質問を上書きをした。どうやら、カイルには心当たりがあるようだった。
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