636 / 797
26章 建国祭
623
しおりを挟む
各国の首脳(一部を除く)が自国にいながら、議会を開くことで、この大陸の国々(一部を除く)に対して情報共有する流れとなった。
イーリスクロムは通信を切る前に『またやることが、増えてしまった』と愚痴を言いながら、通信を切ったのだった。
「それで、佐々木さん。先程言っていた事の説明がされていないが?」
炎王は冷めてしまった料理に手をつけ始めたシェリーに向かって、文句を言う。そのまま流そうとしていないだろうなと。
「それですか。竜の瞳と幻視蝶の鱗粉であれば、以前多めに採取したものがあるので、問題はありません」
「違う!それは発明家のユーフィア・ナヴァル公爵夫人が必要なものであって、俺が知りたいことではない」
もちろん、シェリーは炎王が何が知りたいのかわかっていながら、ワザと別のことを言った。
「はぁ。わかっていますよ。その件は内容が濃く、話が長くなるので先に食事をいただきたいです」
そう言って、シェリーは料理に手を付ける。言われてみれば、食事を中断して話し込んでいたため、殆ど料理に手が付けられていなかったのだ。
「じゃぁ。別の事を聞いてもいいかしら?」
オーウィルディアが、別の事を聞きたいと口にした。
「なんですか?」
「大型犬になった経緯の話が聞きたいわ」
「ごほっ!」
「原因は聞いたけれど、ほら、きっかけとか普通あるじゃない?そういうもの」
「ごほっ!ごほっ!ごほっ!」
オーウィルディアの言葉にグレイがムセだした。
「大型犬とはなんのことだ?」
ミゲルロディアはグレイの獣化の姿を見てはいないので、知る由もなく。
「犬になった?」
そう言って炎王はムセている赤い三角の耳が頭から生えている人物に視線を向けている。
「さぁ?詳しくは、グレイさんかオルクスさんに聞いてください」
シェリーはその場にいなかったので、話すことは無いと食事から視線を外さずに言った。そして、オーウィルディアは自分から兄のミゲルロディアに報告をすることを諦め、本人から直接言わせようとしている。
「グレイシャル。その時の話をしてくれるかしら?」
咳き込むのが止まってグレイは涙目で、オーウィルディアの方に視線を向けるのだった。
「ふむ。ナディア様も気まぐれな方だからな」
ミゲルロディアの感想は、そんなこともあるだろうという感じだった。
ここは食堂ではなく、遊戯室と言って良い場所だった。部屋の一番奥にはバーカウンターがあり、部屋の中央には格子状に線が描かれた大きなテーブルとその上には立体的な何かを模した造形物がある。恐らく駒のような造形物を動かして勝ち負けを決める遊戯なのだろう。そして、部屋の入口付近には何人座れるのだろうかというソファーが並べられたスペースがある。
この部屋は言うならば、食事の後に気楽に楽しみながら情報交換をする部屋だ。
そこに移動して食後のお茶を出されて、くつろいでいた。
シェリーはというと、今度はリオンに捕まっており、リオンの膝の上で死んだ魚の目をしたままお茶を飲んでいた。
「それで、シェリーミディア。完全体の悪魔とダンジョンの関係性を説明してくれないか」
ミゲルロディアから今度は話をすり替えられないように、説明を求められた。
求められたシェリーは、死んだ魚のような目をミゲルロディアに向け、何度か行った完全体の悪魔の作られ方を説明をした。
そして、それを始めて知った者の反応はと言うと。
「ふむ。説明されれば、納得ができることであるな」
ミゲルロディアは納得できたようだ。そして、オーウィルディアはというと、頭を抱えていた。小言でブツブツと『ダンジョンの力って、そんなもの取り込めるの?ありえないでしょ』とか言って現実を噛み砕いで飲み込むには時間が掛りそうだった。
「それって、ヤバい力を取り込んでいるってことだよな。人は正気を保てないが、アーク族は正気を保てる。アーク族って相当ヤバいって感じだよな」
ダンジョンの力というものは普通ではないと理解している炎王は、アーク族の異常さが気になっているらしい。
「炎王はアーク族のことをどれぐらい知っているのですか?」
シェリーは炎王が普通にアーク族の事を口にしているので、気になったようだ。
「いや、殆ど知らない。シャーレン精霊王国になる前は、よくエルフ族と交流を持っていたらしいってぐらいだ。これも精霊からの情報だから、本当だろう」
精霊とは炎国にいる、炎王がアイスをよく与えている少女のことだ。
「だが、狂王とエルフの王の余波を食らってから接点は持たなくなったらしい」
「余波?」
「それはそうだろう?地形を変えてしまうほどの戦いだ。上空にも被害が及んだのだろう?」
その戦いの痕跡はギラン共和国に刻まれ続けている。地上だけかと思えば、上空に浮かんでいる空島にも被害が及んでいたのだった。
イーリスクロムは通信を切る前に『またやることが、増えてしまった』と愚痴を言いながら、通信を切ったのだった。
「それで、佐々木さん。先程言っていた事の説明がされていないが?」
炎王は冷めてしまった料理に手をつけ始めたシェリーに向かって、文句を言う。そのまま流そうとしていないだろうなと。
「それですか。竜の瞳と幻視蝶の鱗粉であれば、以前多めに採取したものがあるので、問題はありません」
「違う!それは発明家のユーフィア・ナヴァル公爵夫人が必要なものであって、俺が知りたいことではない」
もちろん、シェリーは炎王が何が知りたいのかわかっていながら、ワザと別のことを言った。
「はぁ。わかっていますよ。その件は内容が濃く、話が長くなるので先に食事をいただきたいです」
そう言って、シェリーは料理に手を付ける。言われてみれば、食事を中断して話し込んでいたため、殆ど料理に手が付けられていなかったのだ。
「じゃぁ。別の事を聞いてもいいかしら?」
オーウィルディアが、別の事を聞きたいと口にした。
「なんですか?」
「大型犬になった経緯の話が聞きたいわ」
「ごほっ!」
「原因は聞いたけれど、ほら、きっかけとか普通あるじゃない?そういうもの」
「ごほっ!ごほっ!ごほっ!」
オーウィルディアの言葉にグレイがムセだした。
「大型犬とはなんのことだ?」
ミゲルロディアはグレイの獣化の姿を見てはいないので、知る由もなく。
「犬になった?」
そう言って炎王はムセている赤い三角の耳が頭から生えている人物に視線を向けている。
「さぁ?詳しくは、グレイさんかオルクスさんに聞いてください」
シェリーはその場にいなかったので、話すことは無いと食事から視線を外さずに言った。そして、オーウィルディアは自分から兄のミゲルロディアに報告をすることを諦め、本人から直接言わせようとしている。
「グレイシャル。その時の話をしてくれるかしら?」
咳き込むのが止まってグレイは涙目で、オーウィルディアの方に視線を向けるのだった。
「ふむ。ナディア様も気まぐれな方だからな」
ミゲルロディアの感想は、そんなこともあるだろうという感じだった。
ここは食堂ではなく、遊戯室と言って良い場所だった。部屋の一番奥にはバーカウンターがあり、部屋の中央には格子状に線が描かれた大きなテーブルとその上には立体的な何かを模した造形物がある。恐らく駒のような造形物を動かして勝ち負けを決める遊戯なのだろう。そして、部屋の入口付近には何人座れるのだろうかというソファーが並べられたスペースがある。
この部屋は言うならば、食事の後に気楽に楽しみながら情報交換をする部屋だ。
そこに移動して食後のお茶を出されて、くつろいでいた。
シェリーはというと、今度はリオンに捕まっており、リオンの膝の上で死んだ魚の目をしたままお茶を飲んでいた。
「それで、シェリーミディア。完全体の悪魔とダンジョンの関係性を説明してくれないか」
ミゲルロディアから今度は話をすり替えられないように、説明を求められた。
求められたシェリーは、死んだ魚のような目をミゲルロディアに向け、何度か行った完全体の悪魔の作られ方を説明をした。
そして、それを始めて知った者の反応はと言うと。
「ふむ。説明されれば、納得ができることであるな」
ミゲルロディアは納得できたようだ。そして、オーウィルディアはというと、頭を抱えていた。小言でブツブツと『ダンジョンの力って、そんなもの取り込めるの?ありえないでしょ』とか言って現実を噛み砕いで飲み込むには時間が掛りそうだった。
「それって、ヤバい力を取り込んでいるってことだよな。人は正気を保てないが、アーク族は正気を保てる。アーク族って相当ヤバいって感じだよな」
ダンジョンの力というものは普通ではないと理解している炎王は、アーク族の異常さが気になっているらしい。
「炎王はアーク族のことをどれぐらい知っているのですか?」
シェリーは炎王が普通にアーク族の事を口にしているので、気になったようだ。
「いや、殆ど知らない。シャーレン精霊王国になる前は、よくエルフ族と交流を持っていたらしいってぐらいだ。これも精霊からの情報だから、本当だろう」
精霊とは炎国にいる、炎王がアイスをよく与えている少女のことだ。
「だが、狂王とエルフの王の余波を食らってから接点は持たなくなったらしい」
「余波?」
「それはそうだろう?地形を変えてしまうほどの戦いだ。上空にも被害が及んだのだろう?」
その戦いの痕跡はギラン共和国に刻まれ続けている。地上だけかと思えば、上空に浮かんでいる空島にも被害が及んでいたのだった。
10
お気に入りに追加
1,023
あなたにおすすめの小説

なんか、異世界行ったら愛重めの溺愛してくる奴らに囲われた
いに。
恋愛
"佐久良 麗"
これが私の名前。
名前の"麗"(れい)は綺麗に真っ直ぐ育ちますようになんて思いでつけられた、、、らしい。
両親は他界
好きなものも特にない
将来の夢なんてない
好きな人なんてもっといない
本当になにも持っていない。
0(れい)な人間。
これを見越してつけたの?なんてそんなことは言わないがそれ程になにもない人生。
そんな人生だったはずだ。
「ここ、、どこ?」
瞬きをしただけ、ただそれだけで世界が変わってしまった。
_______________....
「レイ、何をしている早くいくぞ」
「れーいちゃん!僕が抱っこしてあげよっか?」
「いや、れいちゃんは俺と手を繋ぐんだもんねー?」
「、、茶番か。あ、おいそこの段差気をつけろ」
えっと……?
なんか気づいたら周り囲まれてるんですけどなにが起こったんだろう?
※ただ主人公が愛でられる物語です
※シリアスたまにあり
※周りめちゃ愛重い溺愛ルート確です
※ど素人作品です、温かい目で見てください
どうぞよろしくお願いします。

思い出してしまったのです
月樹《つき》
恋愛
同じ姉妹なのに、私だけ愛されない。
妹のルルだけが特別なのはどうして?
婚約者のレオナルド王子も、どうして妹ばかり可愛がるの?
でもある時、鏡を見て思い出してしまったのです。
愛されないのは当然です。
だって私は…。

【完結】せっかくモブに転生したのに、まわりが濃すぎて逆に目立つんですけど
monaca
恋愛
前世で目立って嫌だったわたしは、女神に「モブに転生させて」とお願いした。
でも、なんだか周りの人間がおかしい。
どいつもこいつも、妙にキャラの濃いのが揃っている。
これ、普通にしているわたしのほうが、逆に目立ってるんじゃない?

転生したら乙女ゲームの主人公の友達になったんですが、なぜか私がモテてるんですが?
rita
恋愛
田舎に住むごく普通のアラサー社畜の私は車で帰宅中に、
飛び出してきた猫かたぬきを避けようとしてトラックにぶつかりお陀仏したらしく、
気付くと、最近ハマっていた乙女ゲームの世界の『主人公の友達』に転生していたんだけど、
まぁ、友達でも二次元女子高生になれたし、
推しキャラやイケメンキャラやイケオジも見れるし!楽しく過ごそう!と、
思ってたらなぜか主人公を押し退け、
攻略対象キャラからモテまくる事態に・・・・
ちょ、え、これどうしたらいいの!!!嬉しいけど!!!

婚約破棄はこちらからお願いしたいのですが、創造スキルの何がいけないのでしょう?
ゆずこしょう
恋愛
「本日でメレナーデ・バイヤーとは婚約破棄し、オレリー・カシスとの婚約をこの場で発表する。」
カルーア国の建国祭最終日の夜会で大事な話があると集められた貴族たちを前にミル・カルーア王太子はメレアーデにむかって婚約破棄を言い渡した。

どうして私が我慢しなきゃいけないの?!~悪役令嬢のとりまきの母でした~
涼暮 月
恋愛
目を覚ますと別人になっていたわたし。なんだか冴えない異国の女の子ね。あれ、これってもしかして異世界転生?と思ったら、乙女ゲームの悪役令嬢のとりまきのうちの一人の母…かもしれないです。とりあえず婚約者が最悪なので、婚約回避のために頑張ります!

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる