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25章-4 冬期休暇-悪魔という存在
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時間にすればほんの1・2分という短い時間だっただろう。しかし、この場にいる者たちにとってはとても長い時間に感じた。
そこにシェリーの苛ついた声が響く。
「夕食前に暴れないでもらえますか」
ルーク専用の料理をトレイの上に乗せたシェリーがダイニングに居るものたちに向かって言った。しかし、この場で暴れている者などいない。
ただ、シェリーの目は誰にも焦点を合わせてはおらず。どこを見ているのかわからなかった。そこに幼い子供の声が響き渡る。
『隙ありなのじゃ!』
炎王の視界の端に亜麻色の髪が通り抜け、持っていたはずの一升瓶が奪われていった。
『ははは!異界の酒はアルマちゃんがもらったのじゃ!』
そう言って炎王が持っていたはずの一升瓶を奪っていた者の姿は、亜麻色の髪をツインテールに結いピンク色のドレスを身にまとった5歳ほどの幼女だった。どうみてもお酒を飲むことを勧められない年齢に見える。
『おぬしらは、地べたに這いつくばっておくとよい』
とても機嫌良さそうな幼女は誰もない空間にビシッと指をさして、笑い声を上げている。
突然、現れた幼女に炎王は理解不能な者を見るような目を向けているが、シェリーは大きなため息を吐いて、ルーク用の夕食をダイニングテーブルに置いた。
ただ、この場にいる他の三人……グレイにオルクス、リオンといえば、姿を確認することができない。いや、床に跪いて頭を垂れている。
そう、この幼子もまた神々に名を連ねる存在だ。
「武神アルマ様お久しぶりです」
シェリーはオルクスを納得させるためだけの炎王がしかけた茶番に関わることはしたくなかったが、この場に顕れた神には敬意を払わざる得ない。
『久しいのぅ。6番目の聖女』
シェリーから武神アルマと呼ばれた幼女はニカリと笑みを浮かべる。
『息災のようで何よりじゃ』
「武神アルマ様。勝者の報酬である酒を受け取られたのであれば、お帰りいただいて結構です」
シェリーは丁寧な言い方をしているが、要は酒を受け取ったのでれば、さっさと神界に帰れと言っているのだ。炎王は対価として酒を差し出したのだが、それすらもシェリーは無視をしている。
『まぁ、そう急くでない。誰だったかのぅ』
武神アルマは仰々しい名とかけ離れた可愛らしい幼女の姿で辺りを見渡し、己に向かって頭を下げている者たちに視線を向けた。だが、個人的に誰かとは行き着かなかったようで、『ふむ』とうなずきながら、炎王の方に視線を向けた。
『この酒はエン。そなたから差し出された物じゃからのぅ。そなたに加護をと言うなればわからなくもない』
確かに加護を願うのであれば、本人から神に願いを口にすべきことだろう。
『じゃから、今回は誰にも加護を与えぬが、言葉を与えよう』
武神アルマはそう言って、跪く3人の方に視線を再び向けた。
『ナディアのように酔狂であれば、簡単に加護を与えるのかもしれぬ。フォルテは普段であれば、脅されて加護を与えるような者ではない。神である我々にも矜持というものがあるでのぅ。加護を与える者の条件は各神によって条件はさまざまじゃ』
これはオルクスがグレイに対して愚痴っていたことに対しての言葉だ。女神ナディアのことを酔狂と言っているが、他の神々からすれば、人という存在に恋をした事自体が酔狂なのかもしれない。
『その条件を飛び越えて加護を与えることは普通はせぬ。誰じゃったか、加護が欲しいと言っておったが、お前たちは何一つ我らを満足させてはいない。6番目の聖女を見てみるがよいであろう。この者のように血のにじむ努力をしたというのか?』
武神アルマはシェリーを引き合いに出したきた。
『してないであろう?地道な努力もせずに力だけが欲しいとは、余りにも身勝手な言い分ではないのか』
そして、小声でポソリと呟く。
『それに、どうして妾を崇めぬ者に加護を与えようと思うというのじゃ』
恐らく小声で呟いた言葉が本音だ。信仰心がない者に誰が力を分け与えるというのだろう。
『ふん!我々の加護が欲しいというなれば、力をしめすとよい』
そう言って、武神アルマは空間に溶けるように姿を消していった。
恐らく今回のことは苦言を呈する為に、武神アルマが顕れたと思われる。他の神々が炎王の差し出したお酒を巡って争っている中で、武神アルマが横から強奪し、オルクスが気軽に加護を欲しいと言ったことに対して、物申したかったに違いない。
己を崇め奉らない者にどうして加護を与えようとする心境になるというのか、と。
そこにシェリーの苛ついた声が響く。
「夕食前に暴れないでもらえますか」
ルーク専用の料理をトレイの上に乗せたシェリーがダイニングに居るものたちに向かって言った。しかし、この場で暴れている者などいない。
ただ、シェリーの目は誰にも焦点を合わせてはおらず。どこを見ているのかわからなかった。そこに幼い子供の声が響き渡る。
『隙ありなのじゃ!』
炎王の視界の端に亜麻色の髪が通り抜け、持っていたはずの一升瓶が奪われていった。
『ははは!異界の酒はアルマちゃんがもらったのじゃ!』
そう言って炎王が持っていたはずの一升瓶を奪っていた者の姿は、亜麻色の髪をツインテールに結いピンク色のドレスを身にまとった5歳ほどの幼女だった。どうみてもお酒を飲むことを勧められない年齢に見える。
『おぬしらは、地べたに這いつくばっておくとよい』
とても機嫌良さそうな幼女は誰もない空間にビシッと指をさして、笑い声を上げている。
突然、現れた幼女に炎王は理解不能な者を見るような目を向けているが、シェリーは大きなため息を吐いて、ルーク用の夕食をダイニングテーブルに置いた。
ただ、この場にいる他の三人……グレイにオルクス、リオンといえば、姿を確認することができない。いや、床に跪いて頭を垂れている。
そう、この幼子もまた神々に名を連ねる存在だ。
「武神アルマ様お久しぶりです」
シェリーはオルクスを納得させるためだけの炎王がしかけた茶番に関わることはしたくなかったが、この場に顕れた神には敬意を払わざる得ない。
『久しいのぅ。6番目の聖女』
シェリーから武神アルマと呼ばれた幼女はニカリと笑みを浮かべる。
『息災のようで何よりじゃ』
「武神アルマ様。勝者の報酬である酒を受け取られたのであれば、お帰りいただいて結構です」
シェリーは丁寧な言い方をしているが、要は酒を受け取ったのでれば、さっさと神界に帰れと言っているのだ。炎王は対価として酒を差し出したのだが、それすらもシェリーは無視をしている。
『まぁ、そう急くでない。誰だったかのぅ』
武神アルマは仰々しい名とかけ離れた可愛らしい幼女の姿で辺りを見渡し、己に向かって頭を下げている者たちに視線を向けた。だが、個人的に誰かとは行き着かなかったようで、『ふむ』とうなずきながら、炎王の方に視線を向けた。
『この酒はエン。そなたから差し出された物じゃからのぅ。そなたに加護をと言うなればわからなくもない』
確かに加護を願うのであれば、本人から神に願いを口にすべきことだろう。
『じゃから、今回は誰にも加護を与えぬが、言葉を与えよう』
武神アルマはそう言って、跪く3人の方に視線を再び向けた。
『ナディアのように酔狂であれば、簡単に加護を与えるのかもしれぬ。フォルテは普段であれば、脅されて加護を与えるような者ではない。神である我々にも矜持というものがあるでのぅ。加護を与える者の条件は各神によって条件はさまざまじゃ』
これはオルクスがグレイに対して愚痴っていたことに対しての言葉だ。女神ナディアのことを酔狂と言っているが、他の神々からすれば、人という存在に恋をした事自体が酔狂なのかもしれない。
『その条件を飛び越えて加護を与えることは普通はせぬ。誰じゃったか、加護が欲しいと言っておったが、お前たちは何一つ我らを満足させてはいない。6番目の聖女を見てみるがよいであろう。この者のように血のにじむ努力をしたというのか?』
武神アルマはシェリーを引き合いに出したきた。
『してないであろう?地道な努力もせずに力だけが欲しいとは、余りにも身勝手な言い分ではないのか』
そして、小声でポソリと呟く。
『それに、どうして妾を崇めぬ者に加護を与えようと思うというのじゃ』
恐らく小声で呟いた言葉が本音だ。信仰心がない者に誰が力を分け与えるというのだろう。
『ふん!我々の加護が欲しいというなれば、力をしめすとよい』
そう言って、武神アルマは空間に溶けるように姿を消していった。
恐らく今回のことは苦言を呈する為に、武神アルマが顕れたと思われる。他の神々が炎王の差し出したお酒を巡って争っている中で、武神アルマが横から強奪し、オルクスが気軽に加護を欲しいと言ったことに対して、物申したかったに違いない。
己を崇め奉らない者にどうして加護を与えようとする心境になるというのか、と。
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