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25章-4 冬期休暇-悪魔という存在
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「オルクス!」
グレイはオルクスの名を叫んだ。だが、逆にその声が黒い球体の中にいたモノの気を引いてしまった。
オルクスが切り裂いた黒い殻の隙間から血のような真っ赤な瞳がグレイの姿を捉える。
その視線にグレイは若干足を引いてしまったが、踏みとどまった。だが、得体のしれない者に畏怖を感じてしまったのは事実。
黒い殻の隙間から、白い指が出てきて、その縁を掴み広げている。その姿にグレイは疑問に感じた。黒い腕が出てきたと思ったが、それは気の所為だったのかと。しかし、オルクスの剣を止めた存在に変わりはない。
双剣を握る手に力を込めた。そして、オルクスを一撃で伏せた存在をグレイは見定めるように視線を向ける。白い手が黒い殻を壊すように押し広げ、その姿が顕わになった。
鳥人のような翼が一対背中から生えている。しかし、片翼は純白に輝いているが、もう片翼は光を全て吸い込んでしまったような漆黒の翼だった。白と黒とがまだらに入り混じった長い髪の隙間から血のような赤い目がグレイを見ている。
そして、一枚の布を巻き付けたような衣服を身に着けていた。顔と右腕は白い素肌だが、左腕と足元は漆黒の皮膚をしており、青い血管のような紋様が浮き出ていた。
その姿にグレイは内心どうしたらいいものかと迷っていた。この剣を奮うべきか、オルクスを助け出して逃げるべきか。
グレイは目の前に現れた存在に若干逃げ腰になってしまっていた。それは、相手の姿が異様だったからではなく。どうみても、女性の姿だったからだ。
そうグレイの目の前に現れた不完全な悪魔は体つきから女性とわかる姿だったのだ。
『ーー!!ーーーーー!』
その不完全な悪魔から怒りを訴えるような声が聞こえるが、言葉としては理解できず、ただ叫ぶような声が辺り一帯に響き渡る。
そして、白と黒の翼を大きく広げ、水面を滑るようにグレイに向かってきた。だが、その行手を水柱が高く立ち上り遮る。突如として湧き立った水に不完全な悪魔は高く舞い、直撃を避けた。
「あー!外した!」
その水柱の中からオルクスが飛び出てきて、空中で方向転換をし、水面に着地をしてグレイがいる陸地に戻ってきた。
「アレはなんだ?」
初めて見る存在にオルクスはグレイに確認した。しかし、グレイも初めて見る存在のため、わからないと首を横に振る。
「ただ、わからないけど、あの紋様はヨーコさんのダンジョンで見せられた幻影のやつと似ている」
「確かに言われて見れば、似ているかもしれないけどなぁ。禍々しさは感じないぞ」
水滴で地面を濡らしているオルクスが額に張り付いた前髪が鬱陶しいと言わんばかりにかき上げながら、答える。
禍々しさ。陽子のダンジョンで、シェリーと炎王とオリバーの力を使って再現した完全体の悪魔は、炎王すらもその禍々しさを感じるほど完璧な術で再現されたものだった。それに比べれば、目の前で空中で浮遊している存在は、同じモノとは思えないほど劣化していた。いや、だから不完全な悪魔なのだ。
その存在が奇声を上げながら、グレイとオルクスに向かって滑空してきた。そして、黒い左手から鋭い長い爪を生やし、グレイに向かって振るってきたが、身体を斜めにして避けたところに、一太刀を浴びせようと、死角になる斜め下から双剣の片割れを奮うも、空に逃げられ距離を取られしまった。
「なぁ、あれズルくないか?」
空に逃げた存在に指を差していう。
はっきり言えば、グレイとオルクスの方が、分が悪い。彼らは獣人のため、空は飛べない。となると、空に逃げられれば、手足もでないということだ。
「オルクス。ズルいという表現はおかしくないか?」
グレイはというとどう戦うべきかと考えをめぐらせていた。そして、オルクスはというと、少し膝を折り上空で浮遊するものに狙いを定めている。助走を付けずに跳躍し、空中に浮遊するものに向かって剣を振るうも、身体を傾けられ簡単に避けられてしまった。
空中で方向転換が適わないオルクスの剣は空を切るのみ、多少身体をひねったぐらいでは、剣の間合いに浮遊する存在はいないのだ。
落ちていくしかないオルクスを見ていたグレイはふとシェリーの言葉を思い出す。
魔力があるのに、どうしてそれを使った戦い方をしないのだと。
そして、黒狼クロードの戦いをよく見ておくようにと。
その黒狼クロードの理解不能な言葉。『うーん?こうギュッとして、ブワってなってズドーンって感じか』
そのクロードは1対4でグレイたちを相手にしたときに様々な技を見せてくれた。その一つが空を駆ける獣の姿だ。
身体を獣化させるには、何が必要なのか。グレイの記憶の中で一番トラウマになっている映像が浮かんできた。ラース魔眼によりケモノ化した獣人の姿だ。その力は力に振り回されるケモノそのモノ。
英雄ソルラファールを祖とする金狼の力。
ラースの一族が持つ膨大な魔力と女神ナディアの血。
これはグレイシャル・ラースしか持っていない力の根源だった。
________
読んでいただきましてありがとうございます。
1月頑張りすぎて、長編の方がおろそかになってしまっている白雲です。日曜日サボったツケを食らっておりまして、日々書き書きしなければならない状況に陥ってしまいました。
いつもの時間に投稿が無かったら、寝落ちしたなと思ってください。
なるべくその日の内には上げる努力をします。
誤字脱字のチェックもれは後日訂正します。新しい物を書きたい衝動を押さえられなかった白雲が悪いのです。すみません。
ぐふっ!もう駄目です。
次はグレイかー……ぐー……はっ!寝てた?
うーん……ぐー……はっ!寝てた。
をこの二時間ほど繰り返したので、10日11時投稿を断念します。できるだけ、その日の内に上げます。
流石に連日3時間睡眠はきついようです。……また意識が……ぐー。
代わりに近況ボードでSSSを投稿しておきます。討伐戦時代のグローリア国の青年が悪魔から逃げる話です。近況ボードの『SSS投稿予告』であらすじを書いています。……ぐー。
グレイはオルクスの名を叫んだ。だが、逆にその声が黒い球体の中にいたモノの気を引いてしまった。
オルクスが切り裂いた黒い殻の隙間から血のような真っ赤な瞳がグレイの姿を捉える。
その視線にグレイは若干足を引いてしまったが、踏みとどまった。だが、得体のしれない者に畏怖を感じてしまったのは事実。
黒い殻の隙間から、白い指が出てきて、その縁を掴み広げている。その姿にグレイは疑問に感じた。黒い腕が出てきたと思ったが、それは気の所為だったのかと。しかし、オルクスの剣を止めた存在に変わりはない。
双剣を握る手に力を込めた。そして、オルクスを一撃で伏せた存在をグレイは見定めるように視線を向ける。白い手が黒い殻を壊すように押し広げ、その姿が顕わになった。
鳥人のような翼が一対背中から生えている。しかし、片翼は純白に輝いているが、もう片翼は光を全て吸い込んでしまったような漆黒の翼だった。白と黒とがまだらに入り混じった長い髪の隙間から血のような赤い目がグレイを見ている。
そして、一枚の布を巻き付けたような衣服を身に着けていた。顔と右腕は白い素肌だが、左腕と足元は漆黒の皮膚をしており、青い血管のような紋様が浮き出ていた。
その姿にグレイは内心どうしたらいいものかと迷っていた。この剣を奮うべきか、オルクスを助け出して逃げるべきか。
グレイは目の前に現れた存在に若干逃げ腰になってしまっていた。それは、相手の姿が異様だったからではなく。どうみても、女性の姿だったからだ。
そうグレイの目の前に現れた不完全な悪魔は体つきから女性とわかる姿だったのだ。
『ーー!!ーーーーー!』
その不完全な悪魔から怒りを訴えるような声が聞こえるが、言葉としては理解できず、ただ叫ぶような声が辺り一帯に響き渡る。
そして、白と黒の翼を大きく広げ、水面を滑るようにグレイに向かってきた。だが、その行手を水柱が高く立ち上り遮る。突如として湧き立った水に不完全な悪魔は高く舞い、直撃を避けた。
「あー!外した!」
その水柱の中からオルクスが飛び出てきて、空中で方向転換をし、水面に着地をしてグレイがいる陸地に戻ってきた。
「アレはなんだ?」
初めて見る存在にオルクスはグレイに確認した。しかし、グレイも初めて見る存在のため、わからないと首を横に振る。
「ただ、わからないけど、あの紋様はヨーコさんのダンジョンで見せられた幻影のやつと似ている」
「確かに言われて見れば、似ているかもしれないけどなぁ。禍々しさは感じないぞ」
水滴で地面を濡らしているオルクスが額に張り付いた前髪が鬱陶しいと言わんばかりにかき上げながら、答える。
禍々しさ。陽子のダンジョンで、シェリーと炎王とオリバーの力を使って再現した完全体の悪魔は、炎王すらもその禍々しさを感じるほど完璧な術で再現されたものだった。それに比べれば、目の前で空中で浮遊している存在は、同じモノとは思えないほど劣化していた。いや、だから不完全な悪魔なのだ。
その存在が奇声を上げながら、グレイとオルクスに向かって滑空してきた。そして、黒い左手から鋭い長い爪を生やし、グレイに向かって振るってきたが、身体を斜めにして避けたところに、一太刀を浴びせようと、死角になる斜め下から双剣の片割れを奮うも、空に逃げられ距離を取られしまった。
「なぁ、あれズルくないか?」
空に逃げた存在に指を差していう。
はっきり言えば、グレイとオルクスの方が、分が悪い。彼らは獣人のため、空は飛べない。となると、空に逃げられれば、手足もでないということだ。
「オルクス。ズルいという表現はおかしくないか?」
グレイはというとどう戦うべきかと考えをめぐらせていた。そして、オルクスはというと、少し膝を折り上空で浮遊するものに狙いを定めている。助走を付けずに跳躍し、空中に浮遊するものに向かって剣を振るうも、身体を傾けられ簡単に避けられてしまった。
空中で方向転換が適わないオルクスの剣は空を切るのみ、多少身体をひねったぐらいでは、剣の間合いに浮遊する存在はいないのだ。
落ちていくしかないオルクスを見ていたグレイはふとシェリーの言葉を思い出す。
魔力があるのに、どうしてそれを使った戦い方をしないのだと。
そして、黒狼クロードの戦いをよく見ておくようにと。
その黒狼クロードの理解不能な言葉。『うーん?こうギュッとして、ブワってなってズドーンって感じか』
そのクロードは1対4でグレイたちを相手にしたときに様々な技を見せてくれた。その一つが空を駆ける獣の姿だ。
身体を獣化させるには、何が必要なのか。グレイの記憶の中で一番トラウマになっている映像が浮かんできた。ラース魔眼によりケモノ化した獣人の姿だ。その力は力に振り回されるケモノそのモノ。
英雄ソルラファールを祖とする金狼の力。
ラースの一族が持つ膨大な魔力と女神ナディアの血。
これはグレイシャル・ラースしか持っていない力の根源だった。
________
読んでいただきましてありがとうございます。
1月頑張りすぎて、長編の方がおろそかになってしまっている白雲です。日曜日サボったツケを食らっておりまして、日々書き書きしなければならない状況に陥ってしまいました。
いつもの時間に投稿が無かったら、寝落ちしたなと思ってください。
なるべくその日の内には上げる努力をします。
誤字脱字のチェックもれは後日訂正します。新しい物を書きたい衝動を押さえられなかった白雲が悪いのです。すみません。
ぐふっ!もう駄目です。
次はグレイかー……ぐー……はっ!寝てた?
うーん……ぐー……はっ!寝てた。
をこの二時間ほど繰り返したので、10日11時投稿を断念します。できるだけ、その日の内に上げます。
流石に連日3時間睡眠はきついようです。……また意識が……ぐー。
代わりに近況ボードでSSSを投稿しておきます。討伐戦時代のグローリア国の青年が悪魔から逃げる話です。近況ボードの『SSS投稿予告』であらすじを書いています。……ぐー。
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