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25章-3 冬期休暇-火種は既に落とされていた
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半刻後にナヴァル家の応接室にはこの屋敷の主であるクストに番であるユーフィア。
セーラに襲撃され連れてこられ、うなだれているイーリスクロム。その後ろには近衛騎士団長であるレイモンド。
ガチガチに緊張している風の第5師団長であるヒューレクレト。
ソワソワと落ち着きがない第3師団長のツヴェーク。その横にはこの場にいていいのだろうかとい不安感が見て取れる人物。恐らく第3副師団長だろう。
お菓子を食べ終わって今は珈琲を飲んでいるクロード。
そして、シェリーとカイルとグレイが一部屋に集まっていた。
クストに呼ばれてきた第3師団長と副師団長、そして第5師団長は壁際に控え、壁と一体化するように突っ立っている。
それは勿論国王であるイーリスクロムと同じ席に着くことはできないためだ。
「それで、僕はなぜ妹に連行されてきたのかな?」
イーリスクロムは紅茶を一口飲み、シェリーに問いかけた。黒狼クロードがここに居ることを無視するようにシェリーに聞いてきたのだ。いや、無視ではない。クロードのイライラが室内に満たされているので、敢えて視線を外してシェリーに聞いたのだ。
それに対しシェリーはクストに視線を向けて一言だけ言った。
「第6師団長さん。説明をお願いします」
一応、ここの主はクストなので彼を立てたのだろうか。いや、ただ単に業務報告ぐらいなら、第6師団長であるクストからしてもらう方が一番無難だと判断したためだった。
シェリーに説明という役目を渡されたクストはシェリーを一睨みしてから、イーリスクロムの方を向いて説明を始めた。
夜中に起こった侵襲者のこと。保護をしていたエルフ族の魔力を用いいて転移ゲートが開いたこと。
そして、そこから次元の悪魔が送られてきたこと。その直後に起こった転移ゲートが閉じたことにより起こった破壊。
最後にクストが確認したわけではないが、一番不可解な次元の悪魔のクラスチェンジと、ユーフィアの作った結界による行動の停止。まだ、検証が必要な灰色の制御石の排除に寄る凶暴化。
クストが説明していく中、イーリスクロムの頭が徐々に下がっていき、両手で頭を抱えた状態で固まってしまった。それはもう頭が痛いと言わんばかりの態度だった。
「ちょっと待ってくれないかな。この話をここで僕に報告すること?ちょっと違うと思うよ。これって議会に上げるべき報告だよね」
確かに正論だ。この公爵家の中で国王であるイーリスクロムに個人的に報告するべきことではない。
「それに黒狼クロードがこの場にいる意味があるってことかな?」
イーリスクロムは視線だけを上げて、クロードの様子を伺い見る。その言葉に第5師団長のヒューレクレトがビクリと反応した。それはそうだろう。死んだとされる人物が目の前に存在しているのだ。
「それは第0師団のことで、居てもらっています」
クストは機嫌が悪くイライラ感を抑えることもしないクロードを横目で見ていった。
「クロードさん、鬱陶しいです」
余りにもイライラ感が酷いクロードに対して、シェリーが一言呟く。これのイライラはイーリスクロム達が集まる前からのことなので、シェリーはいい加減にして欲しいという意味を込めて言ったのだ。
しかし、クロードは機嫌の悪さを隠しもせずに、珈琲を飲み終わったカップをガチャンと音を立ててカップソーサーに置いた。
「おい、いくら考えてもおかしいんだが、なんでルイボスティーみたいな色をして味が珈琲なんだ?おかしすぎるだろ!」
どうやら出された珈琲に不満があるようだ。
「おかしいですか?一般的な珈琲はこの色ですよ。そうですよね?」
シェリーは目の前に座っているユーフィアに尋ねた。尋ねられたユーフィアは自分がこの場にいていいのか困惑気味の表情をしながら、縦に首を振って答える。
「はぁ?有り得ないだろ?豆を焙煎してなんで赤色っぽい色になるんだ?ふざけてるのか?」
クロードのイライラの原因は紅茶のような色を、それも赤に近い色の液体を飲んだにも関わらず、酸味のある苦味と香ばしさが口の中に広がり、見た目と味が違うことに文句を言いたかったためだった。この真面目な話をするために設けられた場で、何を言っているのかという雰囲気になってしまっている。
「なんでも『可愛らしい色になったね』と作った本人が喜んでいたようです」
「どこのどいつだ!連れて来い!」
「天津さんですが、会いたいですか?」
そう言われたクロードは若干浮かせていた腰をソファの上に戻した。ギラン共和国にいれば、水龍アマツの残した遺産があちらこちら存在するため、認めざる負えないところがある。常識をぶっ飛ばしたような物を作ったのだろうと。
「あれ?でもシェリーとオリバーが飲んでいる珈琲って黒いよね」
カイルが他で飲む珈琲とシェリーが淹れる珈琲の色の違いを指摘した。
「ああ、それですか。炎王と取引して得たものは黒ですが、ギラン共和国で栽培されている珈琲は天津さんが創造した植物から作っているので、紅茶のような色をしています」
炎王から得た珈琲は異界産だが、天津が創り上げたモノは焙煎しても黒い色素が出ないように創り上げたものだった。そう、黒は忌避される色であるが故、態と黒色にならないように創り上げたものだったのだ。
セーラに襲撃され連れてこられ、うなだれているイーリスクロム。その後ろには近衛騎士団長であるレイモンド。
ガチガチに緊張している風の第5師団長であるヒューレクレト。
ソワソワと落ち着きがない第3師団長のツヴェーク。その横にはこの場にいていいのだろうかとい不安感が見て取れる人物。恐らく第3副師団長だろう。
お菓子を食べ終わって今は珈琲を飲んでいるクロード。
そして、シェリーとカイルとグレイが一部屋に集まっていた。
クストに呼ばれてきた第3師団長と副師団長、そして第5師団長は壁際に控え、壁と一体化するように突っ立っている。
それは勿論国王であるイーリスクロムと同じ席に着くことはできないためだ。
「それで、僕はなぜ妹に連行されてきたのかな?」
イーリスクロムは紅茶を一口飲み、シェリーに問いかけた。黒狼クロードがここに居ることを無視するようにシェリーに聞いてきたのだ。いや、無視ではない。クロードのイライラが室内に満たされているので、敢えて視線を外してシェリーに聞いたのだ。
それに対しシェリーはクストに視線を向けて一言だけ言った。
「第6師団長さん。説明をお願いします」
一応、ここの主はクストなので彼を立てたのだろうか。いや、ただ単に業務報告ぐらいなら、第6師団長であるクストからしてもらう方が一番無難だと判断したためだった。
シェリーに説明という役目を渡されたクストはシェリーを一睨みしてから、イーリスクロムの方を向いて説明を始めた。
夜中に起こった侵襲者のこと。保護をしていたエルフ族の魔力を用いいて転移ゲートが開いたこと。
そして、そこから次元の悪魔が送られてきたこと。その直後に起こった転移ゲートが閉じたことにより起こった破壊。
最後にクストが確認したわけではないが、一番不可解な次元の悪魔のクラスチェンジと、ユーフィアの作った結界による行動の停止。まだ、検証が必要な灰色の制御石の排除に寄る凶暴化。
クストが説明していく中、イーリスクロムの頭が徐々に下がっていき、両手で頭を抱えた状態で固まってしまった。それはもう頭が痛いと言わんばかりの態度だった。
「ちょっと待ってくれないかな。この話をここで僕に報告すること?ちょっと違うと思うよ。これって議会に上げるべき報告だよね」
確かに正論だ。この公爵家の中で国王であるイーリスクロムに個人的に報告するべきことではない。
「それに黒狼クロードがこの場にいる意味があるってことかな?」
イーリスクロムは視線だけを上げて、クロードの様子を伺い見る。その言葉に第5師団長のヒューレクレトがビクリと反応した。それはそうだろう。死んだとされる人物が目の前に存在しているのだ。
「それは第0師団のことで、居てもらっています」
クストは機嫌が悪くイライラ感を抑えることもしないクロードを横目で見ていった。
「クロードさん、鬱陶しいです」
余りにもイライラ感が酷いクロードに対して、シェリーが一言呟く。これのイライラはイーリスクロム達が集まる前からのことなので、シェリーはいい加減にして欲しいという意味を込めて言ったのだ。
しかし、クロードは機嫌の悪さを隠しもせずに、珈琲を飲み終わったカップをガチャンと音を立ててカップソーサーに置いた。
「おい、いくら考えてもおかしいんだが、なんでルイボスティーみたいな色をして味が珈琲なんだ?おかしすぎるだろ!」
どうやら出された珈琲に不満があるようだ。
「おかしいですか?一般的な珈琲はこの色ですよ。そうですよね?」
シェリーは目の前に座っているユーフィアに尋ねた。尋ねられたユーフィアは自分がこの場にいていいのか困惑気味の表情をしながら、縦に首を振って答える。
「はぁ?有り得ないだろ?豆を焙煎してなんで赤色っぽい色になるんだ?ふざけてるのか?」
クロードのイライラの原因は紅茶のような色を、それも赤に近い色の液体を飲んだにも関わらず、酸味のある苦味と香ばしさが口の中に広がり、見た目と味が違うことに文句を言いたかったためだった。この真面目な話をするために設けられた場で、何を言っているのかという雰囲気になってしまっている。
「なんでも『可愛らしい色になったね』と作った本人が喜んでいたようです」
「どこのどいつだ!連れて来い!」
「天津さんですが、会いたいですか?」
そう言われたクロードは若干浮かせていた腰をソファの上に戻した。ギラン共和国にいれば、水龍アマツの残した遺産があちらこちら存在するため、認めざる負えないところがある。常識をぶっ飛ばしたような物を作ったのだろうと。
「あれ?でもシェリーとオリバーが飲んでいる珈琲って黒いよね」
カイルが他で飲む珈琲とシェリーが淹れる珈琲の色の違いを指摘した。
「ああ、それですか。炎王と取引して得たものは黒ですが、ギラン共和国で栽培されている珈琲は天津さんが創造した植物から作っているので、紅茶のような色をしています」
炎王から得た珈琲は異界産だが、天津が創り上げたモノは焙煎しても黒い色素が出ないように創り上げたものだった。そう、黒は忌避される色であるが故、態と黒色にならないように創り上げたものだったのだ。
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