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25章-3 冬期休暇-火種は既に落とされていた
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しおりを挟む「そうですか。思っていたより酷い物のようですね」
シェリーは今回用いれられた魔道具が正規に採用されたものではなく、ユーフィアが作り上げることを諦めたものだったことに驚いた。建物が破壊されたのは、次元の悪魔の出現が原因かと思えば···いや、その一端は担っていたかもしれないが、空間を長時間固定していた反動により、破壊されたのだった。
「その魔道具の特徴的な質というか、発する何かないのですか?」
シェリーはその魔道具は体外的にわかる特徴は無いのかと問うてみる。しかし、返ってきた言葉は否定的な答えだった。
「普通の魔道具ですので、何も他の物と変わりません。ただ、高魔力者にしか使用できないということに関しては特徴的だと言えます」
高魔力者ということは、使用者が限られてくるということだ。エルフ族並みとなれば、獣人の国であるシーラン王国では人材確保は厳しいだろう。だからエルフ族を奴隷として必要だった?
シェリーはふとその考えが過ぎってしまった。スーウェンは白き神が手を出したために、今現在シェリーの元にはいるが、そうでなければ、どうであったのだろう。
そもそも人の出入りが規制されているシャーレン精霊王国で大胆に奴隷を作り上げる事を成して、バレたときにどうなるか考えなかったのだろうか。いや、エルフ共はユーフィアによる制裁と勇者ナオフミによる搾取によって、弱っているのは事実だろう。だから、大胆な行動に出ても問題ないと考えたのだろうか。
「いったい、どれほどのエルフ族の奴隷を抱えているのでしょうか。いっそのこと、エルフ族の出入りを禁じます?」
「それは教会側が黙っていないだろう」
クストが無理な事を言うなと、シェリーに釘を刺す。エルフ族は長年の大陸の支配により、各国に深く信仰を根付かせてしまったために、排除が難しい状態である。エルフ族だけを国に入れないようにすることは難しいだろう。
「じゃ、奴隷を入れないようにすればどうなんだ?」
今まで黙っていたグレイが口を出してきた。その言葉にユーフィアが両手を打ち鳴らす。
「それなら、判別可能です!実はアレは制御を行う為に特殊な電磁波を発生させているのですよ!」
制御。それは主に歯向かわないようにするためのものだ。
「しかし、国単位は難しいな。調べてみたんだが、今回問題を起こしたマルス帝国の者たちが国境近くの検問所を通った記録がないのだ。恐らくトーセイではなく、山脈越えをして入ってきたのだろう。山脈を越えられると近くの街によらない限り、検問は行われないからなぁ」
ユーフィアの奴隷であれば区別がつくという言葉に対し、クストは国の検問所でまかないきれない難しさを口にした。確かに国境はマルス帝国と接してはいるが、4千メル級の山々を越えなければならず、そこで入国の検問を行うことはできない。だから、辺境都市がその役割を担っているのだ。その辺境都市によらなければ、入国したという記録は残らない。
なので、山脈を越えてきたオルクスが入国したという記録は残っていない。オルクスはそのまま王都メイルーンまで突っ走って来たのだから。
「その辺りは、国で話し合って決めてください。今回のことを国王陛下に報告すると思いますが、まずは早急にマルス帝国の者がどれほど入り込んでいるか調べるように言っておいてください。かなり前から色々やっているようなので、第0師団を動かすのもいいかもしれません」
人と獣人とは行動も違えば考え方も違う。人族ばかりで構成された第0師団であれば、人がとる行動を予測することができるであろうと。
「ああ、それも問題だった。流石に第3師団の半分は引き抜きすぎだろう。第3師団長と第3副師団長がもめているらしい」
「普段、仕事がない師団なのでいいのでは?」
「いや、あるからな。色々アイツラも仕事がある」
シェリーは普段どのような事をしているのか伺い知れない第3師団、別名魔術師団を暇だと言ってはいるが、彼らも軍に所属しているため、仕事はある。獣人は魔力が少ないため、力技では解決できない物事を仕事として充てられているのだ。
「そうですか。でもどちらを優先させるべきか、師団長さんもわかっているのではないのですか?」
シェリーは通常の業務とこの突発的に起こった事件···いや、長期間に及ぶ帝国による実験台にされた事件のどちらが優先すべきことかわかっているだろうとクストに問う。
「わかってはいるが、師団が違うから、俺が命令すことはできないからな」
この事で命令を下すことができるのはイーリスクロム国王陛下か統括師団長閣下ぐらいだろう。クストからイーリスクロムや統括師団長閣下から命令という言葉を引き出すには、承認というものが必要になり、議会を通す必要が出てくるだろう。
だから、イーリスクロムは勅命としてシェリーに第0師団の人選をませたのだ。議会を通すと時間がかかるのが、わかりきったことだからだ。
シェリーの後ろに勇者ナオフミがいることがわかれば、文句を言うものもいないだろうと、姑息な考えがイーリスクロムの中にあったことは、シェリーのあずかり知らぬことだった。
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