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25章-2 冬期休暇-旅行先の不穏な空気
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「だけど、教えてもらわないとそんなことわからないじゃないか!」
ルークの言い分は当たり前の事だ。知識とは他者から与えられるものだ。
「では、君は知識を手に入れる為にどういう行動を起こしたのだ?」
「え?」
「自分にはないモノを手に入れる為に、行動を起こしたのかと聞いている」
はっきり言ってカイルの質問は13歳のルークにするには意地悪な質問だ。13歳でしかない、まだ成人もしておらず親の庇護下にいるべき少年に言う言葉ではない。
「そんなこと、まだ学生の僕に言われても」
「子供から、できないと?」
その言葉にルークはカッとなり、カイルに食って掛かる。
「当たり前ではないですか!僕に何ができたと言うのです。父さんと姉さんに僕に隠している事を教えて欲しいと言えばよかったのですか!」
与えられてきたモノをそのまま受け入れ、それ以上のモノを求めては来なかった者の言い分だ。いや、父親は地下の己の部屋から殆ど出てこず、5つ離れた姉が家の事を一人で仕切っており、迷惑を掛けないようにと、わがままを言わなかったルークの優しさであった。
だが、カイルはそんなルークを否定する。
「行動を起こさなかった結果がこれだ」
家族の事を知らなかったと、教えてもらえなかったと、勝手に拗ねて癇癪を起こしている子供のわがままだと。
「君はシェリーの人脈がどれほどのものか知っているか?」
唐突にカイルは全く違う話をしだした。シェリーの人脈と言われてもルークに知るすべはない。
「俺がシェリーと出逢ったのは、シェリーが今の君と同じ歳ぐらいだったか?出逢った頃にはシェリーはラースの大公閣下、ギランの総統閣下、炎国の初代王という各国の要人と顔つなぎをしていたのではないのか?」
カイルにそう問われてもルークはその場にいたわけではないのでわからない。
確かに、ラース公国のミゲルロディアとは直接会っていた。その後、騎獣に乗ってではあるが、マルス帝国を横断しギラン共和国にたどり着き、ルークの剣の指導をしてもらう『ライターリエーレ・ヴァーリシク』の住まいに突撃し、師になってくれるようにシェリーがお願いたのだ。
その時、剣術の適正を見るからとひと月ほどルークはライターの元で剣の基礎を学んでいたが、その一ヶ月の間、ルークの側にシェリーの姿は無かったのだ。
だから、その一ヶ月の間、シェリーが何をしていたのかルークは知らなかった。
その間に金狼族の長であり傭兵団をまとめる総帥を脅し、ギラン共和国の総統閣下との面会とユールクスのダンジョンの入る許可をもぎ取り、シェリーのツガイであるオルクスに通行人のふりをして近づき、ツガイであることを認識出来ないことを確認していた。
そして、炎国行きの船が出るまでダンジョンで時間つぶしをし、炎国に渡れば、食材を買い漁り、リオンの居場所を突き止め遠目で見ていると、アフィーリアに見つかり、炎王に見つかり、リオンに捕獲され、リオンの態度に疑問に思いつつもツガイとは認識をしていないと結論付けて、転移でギラン共和国にいたルークの元に戻ってきたことなんて、ルークには知り得ることは出来なかった。
カイルのいう人脈も元をたどれば、シェリーがツガイという者に捉えられたくないが為に行動を起こした結果だと言えるが、そもそも普通はそこまではしない。これは、シェリーがツガイという者たちを心底警戒し、ツガイという呪いを断ち切ろうとした行動だ。
しかし、結論からいえば、神というどうしようもない力の強制力によって、シェリーはツガイ達に捕まってしまったことによりシェリーの行動は無に返ってしまったのだったが、各国の要人である彼らとの縁は今もあり、それはシェリーとって有益なものとなっているのも確かだ。
「君は学生だからというが、ではシェリーはどうなんだ?シェリーは知識を学ぶべき場所に行っていたか?」
その言葉に今更ながらルークは気付かされた。姉であるシェリーは学校というものには行っていないと。殆ど家におり、時より家を開けることもあるが、長期間居なくなることはなかったと。
ただ、それがルークにとっては当たり前だったのだ。お腹が空いたといえば食事を出してくれ、怪我をして泣いていると直ぐに駆けつけ治療をしてくれる。
「だが、シェリーは自分の得た知識と行動力で各国の要人と交渉の末、目的を達したのではないのか?」
カイルはそうは言っているが、シェリーはある意味『俺Tueeee』を再現した超チート能力の塊だ。
そもそも知識を得たところからおかしい。神々からの祝福という名の雑談を聞かされたときの知識であり、あとはこの世界の転換点を作り出したラフテリアとロビンとマリートゥヴァからであり、最後に、シェリーを育てたマルゴからであった。
このことからシェリーは真実というこの世界が歩んできた歴史には詳しいが、一般常識というものが欠落していた。
__________
ここまで読んでいただきましてありがとうございます。
今回は長々とした説明文になっております。
13歳のシェリーがオーウィルディアと出会い、意気消沈のクストを脅してライターの名を聞き出し、ラース公国の大公の継承権の辞退とライターに会いに行くのに半年掛けて旅をした時の概要になります。
(『番とは~』はシェリーが18歳からの話になっておりますので、この頃の話は『6年後~』に少し被ってきています。が、読まなくても問題ありません。)
その旅から帰って来た後に、カイルと出逢っているので、カイルが言っているように13歳でラース、ギラン、炎の要人と出逢っていることになっています。
ルークの言い分は当たり前の事だ。知識とは他者から与えられるものだ。
「では、君は知識を手に入れる為にどういう行動を起こしたのだ?」
「え?」
「自分にはないモノを手に入れる為に、行動を起こしたのかと聞いている」
はっきり言ってカイルの質問は13歳のルークにするには意地悪な質問だ。13歳でしかない、まだ成人もしておらず親の庇護下にいるべき少年に言う言葉ではない。
「そんなこと、まだ学生の僕に言われても」
「子供から、できないと?」
その言葉にルークはカッとなり、カイルに食って掛かる。
「当たり前ではないですか!僕に何ができたと言うのです。父さんと姉さんに僕に隠している事を教えて欲しいと言えばよかったのですか!」
与えられてきたモノをそのまま受け入れ、それ以上のモノを求めては来なかった者の言い分だ。いや、父親は地下の己の部屋から殆ど出てこず、5つ離れた姉が家の事を一人で仕切っており、迷惑を掛けないようにと、わがままを言わなかったルークの優しさであった。
だが、カイルはそんなルークを否定する。
「行動を起こさなかった結果がこれだ」
家族の事を知らなかったと、教えてもらえなかったと、勝手に拗ねて癇癪を起こしている子供のわがままだと。
「君はシェリーの人脈がどれほどのものか知っているか?」
唐突にカイルは全く違う話をしだした。シェリーの人脈と言われてもルークに知るすべはない。
「俺がシェリーと出逢ったのは、シェリーが今の君と同じ歳ぐらいだったか?出逢った頃にはシェリーはラースの大公閣下、ギランの総統閣下、炎国の初代王という各国の要人と顔つなぎをしていたのではないのか?」
カイルにそう問われてもルークはその場にいたわけではないのでわからない。
確かに、ラース公国のミゲルロディアとは直接会っていた。その後、騎獣に乗ってではあるが、マルス帝国を横断しギラン共和国にたどり着き、ルークの剣の指導をしてもらう『ライターリエーレ・ヴァーリシク』の住まいに突撃し、師になってくれるようにシェリーがお願いたのだ。
その時、剣術の適正を見るからとひと月ほどルークはライターの元で剣の基礎を学んでいたが、その一ヶ月の間、ルークの側にシェリーの姿は無かったのだ。
だから、その一ヶ月の間、シェリーが何をしていたのかルークは知らなかった。
その間に金狼族の長であり傭兵団をまとめる総帥を脅し、ギラン共和国の総統閣下との面会とユールクスのダンジョンの入る許可をもぎ取り、シェリーのツガイであるオルクスに通行人のふりをして近づき、ツガイであることを認識出来ないことを確認していた。
そして、炎国行きの船が出るまでダンジョンで時間つぶしをし、炎国に渡れば、食材を買い漁り、リオンの居場所を突き止め遠目で見ていると、アフィーリアに見つかり、炎王に見つかり、リオンに捕獲され、リオンの態度に疑問に思いつつもツガイとは認識をしていないと結論付けて、転移でギラン共和国にいたルークの元に戻ってきたことなんて、ルークには知り得ることは出来なかった。
カイルのいう人脈も元をたどれば、シェリーがツガイという者に捉えられたくないが為に行動を起こした結果だと言えるが、そもそも普通はそこまではしない。これは、シェリーがツガイという者たちを心底警戒し、ツガイという呪いを断ち切ろうとした行動だ。
しかし、結論からいえば、神というどうしようもない力の強制力によって、シェリーはツガイ達に捕まってしまったことによりシェリーの行動は無に返ってしまったのだったが、各国の要人である彼らとの縁は今もあり、それはシェリーとって有益なものとなっているのも確かだ。
「君は学生だからというが、ではシェリーはどうなんだ?シェリーは知識を学ぶべき場所に行っていたか?」
その言葉に今更ながらルークは気付かされた。姉であるシェリーは学校というものには行っていないと。殆ど家におり、時より家を開けることもあるが、長期間居なくなることはなかったと。
ただ、それがルークにとっては当たり前だったのだ。お腹が空いたといえば食事を出してくれ、怪我をして泣いていると直ぐに駆けつけ治療をしてくれる。
「だが、シェリーは自分の得た知識と行動力で各国の要人と交渉の末、目的を達したのではないのか?」
カイルはそうは言っているが、シェリーはある意味『俺Tueeee』を再現した超チート能力の塊だ。
そもそも知識を得たところからおかしい。神々からの祝福という名の雑談を聞かされたときの知識であり、あとはこの世界の転換点を作り出したラフテリアとロビンとマリートゥヴァからであり、最後に、シェリーを育てたマルゴからであった。
このことからシェリーは真実というこの世界が歩んできた歴史には詳しいが、一般常識というものが欠落していた。
__________
ここまで読んでいただきましてありがとうございます。
今回は長々とした説明文になっております。
13歳のシェリーがオーウィルディアと出会い、意気消沈のクストを脅してライターの名を聞き出し、ラース公国の大公の継承権の辞退とライターに会いに行くのに半年掛けて旅をした時の概要になります。
(『番とは~』はシェリーが18歳からの話になっておりますので、この頃の話は『6年後~』に少し被ってきています。が、読まなくても問題ありません。)
その旅から帰って来た後に、カイルと出逢っているので、カイルが言っているように13歳でラース、ギラン、炎の要人と出逢っていることになっています。
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