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25章-1 冬期休暇-辺境から忍び寄る影
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辺境都市モルディール。何も特産もなく、国境を防御する必要もなく。ただ、旅人を受け入れ、送り出す。ただ国の出入りを管理するだけの街だ。
今、その街に出入りする人は見られない。人の賑わいというものも見られない。とてもとても静かなものだ。ゴーストタウンと言っていいだろう。
その街に近づいていくモノたちがいる。
そのモノたちがガシャガシャと音を立てながら街に近づいていっている。その姿は骨だ。人族。獣人族。魔物。多種多様の骨がガシャガシャと音を立てながらひしめき合い街に向かって行っているのだ。
それは勿論シェリーのスキルで作り出したモノたちだ。
スキル『亡者の強襲』
さまざまな骸骨の亡者=ドールがさまざまな武器を持ち寄り四方八方から攻撃をしてくる。倒しても経験値は入らない。
どういう状況か確認できないため、取り敢えず人形であるモノたちを向かわせ、様子を見ようとしたのだ。
師団の半分を制した者達だ。これぐらいだと瞬殺で済んでしまうかもしれないが、何者がいるかは知ることができるだろう。
シェリーとカイルは街からかなり離れたところでその様子を見守っていた。
しかし、ここで意外な事が起きる。シェリーが見ていたマップで動いたのは赤いピンではなく、灰色のピンの集団だった。それが一斉に町の外に向かって移動し始めたのだ。
そう、街に侵入してこようとしている異形なるモノたちに対して行動を起こしたのは街の住人であろう人たちだった。
その街の人たちが、街の外に出てきた。その姿は大人もいれば子供もいる。老人もいれば軍人もいる。
それも着の身着のままという感じで、防具も武器も何も持っていない。
フラフラと歩いて異形なるモノたちに向かっている様は正にゾンビと言っていいかもしれない。
ただ、シェリーはこの状況に不快感を示す。これはまるで『ラースの魔眼』で操られた姿ではないのかと。しかし、今現在ラースの魔眼を持つものは6人。ここまで強力に人を操る魔眼を持つ者はミゲルロディア、シェリーにルークの3人だけだ。
なら、この状況はなんだ?
シェリーは遠見でフラフラと歩く者達を見た。見た目ではおかしい所はない。ただ目が虚ろということだろうか。いや、額に灰色の石が埋め込まれている。しずく型の濁った灰色の石だ。
これと似たような物は見た覚えがある。
ユーフィアが作り出した奴隷の制御石だ。ただ色は灰色ではなく青色ではあったが。
面倒だ。これはとても面倒な事が起きている。
「最悪」
そう。思ってもみない最悪なことがモルディールで起こっていた。それは軍の者たちも躊躇するだろう。自分たちに向かって攻撃してくる者達がモルディールの街の住人なのだから。そして、灰色の集団に取り込まれたと。
シェリーは地面に簡易的な地図を書き始めた。モルディールの街の簡易的なな地図だ。
「カイルさん。ここに街の人達を操っている人がいるようなので、捕獲してくれませんか?」
「え?シェリーは?」
カイルはシェリーから、一人でここにいる人たちを確保してほしいと言われ、別行動をすることに戸惑いを顕にする。
「どうやら、マルス帝国の奴隷の制御石の劣化したものを街の人達がつけられているようなので、それを解除します」
シェリーは街の人全員と師団の半分を一人で相手にすると言っているのだ。それにはカイルも反対をする。
「一人じゃ駄目だよ。俺も一緒に「カイルさん」」
カイルの言葉をシェリーは遮る。
「私の·····私のルーちゃんと一緒に過ごす時間を奪った人たちを目の前にすると、瞬殺しますけど、いいですか?でも、それだとこの事件の原因がわからないままになりますので駄目ですよね。ぶっ殺していいのでしたら、ぶっ殺します。ええ、なんの躊躇もなく骨一本も残さずに」
シェリーは怒っていた。ルークが帰ってくるのを楽しみで楽しみで仕方がなかったところを、国の尻拭いという形で依頼を受けるはめになり、その原因がマルス帝国だとわかると、シェリーの殺意は沸々と湧き出ていた。それも、人を奴隷化というよりも人を操ろうとしているのだ。
しかし、同じことが起こっては対処ができないだろうから、犯人を捉えて調べてもらわないといけないという常識も一応持ち合わせてはいた。
隣でシェリーの溢れる怒りを感じたカイルは迷っていた。番であるシェリーを一人にはしたくない。しかし、シェリーが言いたいこともわかる。でも、しかし。
「はぁ。わかったよ。本当はシェリーを一人にしたくないんだ。でも、奴隷の制御石を解除できるのもシェリーしかいないものわかる。無理はしないでほしい。犯人を捉えたら直ぐに戻って来るからね」
そう言って、カイルはその場から姿を消した。赤い印があるところに向かって行ってくれたのだろう。
シェリーは視線を異形なモノたちと街の人たちがいる方向に向けた。そして、一気にその場に駆けていきスキルを解除する。
街の外にはシェリーと1万は越えているだろう操られている人たちが存在していた。
今、その街に出入りする人は見られない。人の賑わいというものも見られない。とてもとても静かなものだ。ゴーストタウンと言っていいだろう。
その街に近づいていくモノたちがいる。
そのモノたちがガシャガシャと音を立てながら街に近づいていっている。その姿は骨だ。人族。獣人族。魔物。多種多様の骨がガシャガシャと音を立てながらひしめき合い街に向かって行っているのだ。
それは勿論シェリーのスキルで作り出したモノたちだ。
スキル『亡者の強襲』
さまざまな骸骨の亡者=ドールがさまざまな武器を持ち寄り四方八方から攻撃をしてくる。倒しても経験値は入らない。
どういう状況か確認できないため、取り敢えず人形であるモノたちを向かわせ、様子を見ようとしたのだ。
師団の半分を制した者達だ。これぐらいだと瞬殺で済んでしまうかもしれないが、何者がいるかは知ることができるだろう。
シェリーとカイルは街からかなり離れたところでその様子を見守っていた。
しかし、ここで意外な事が起きる。シェリーが見ていたマップで動いたのは赤いピンではなく、灰色のピンの集団だった。それが一斉に町の外に向かって移動し始めたのだ。
そう、街に侵入してこようとしている異形なるモノたちに対して行動を起こしたのは街の住人であろう人たちだった。
その街の人たちが、街の外に出てきた。その姿は大人もいれば子供もいる。老人もいれば軍人もいる。
それも着の身着のままという感じで、防具も武器も何も持っていない。
フラフラと歩いて異形なるモノたちに向かっている様は正にゾンビと言っていいかもしれない。
ただ、シェリーはこの状況に不快感を示す。これはまるで『ラースの魔眼』で操られた姿ではないのかと。しかし、今現在ラースの魔眼を持つものは6人。ここまで強力に人を操る魔眼を持つ者はミゲルロディア、シェリーにルークの3人だけだ。
なら、この状況はなんだ?
シェリーは遠見でフラフラと歩く者達を見た。見た目ではおかしい所はない。ただ目が虚ろということだろうか。いや、額に灰色の石が埋め込まれている。しずく型の濁った灰色の石だ。
これと似たような物は見た覚えがある。
ユーフィアが作り出した奴隷の制御石だ。ただ色は灰色ではなく青色ではあったが。
面倒だ。これはとても面倒な事が起きている。
「最悪」
そう。思ってもみない最悪なことがモルディールで起こっていた。それは軍の者たちも躊躇するだろう。自分たちに向かって攻撃してくる者達がモルディールの街の住人なのだから。そして、灰色の集団に取り込まれたと。
シェリーは地面に簡易的な地図を書き始めた。モルディールの街の簡易的なな地図だ。
「カイルさん。ここに街の人達を操っている人がいるようなので、捕獲してくれませんか?」
「え?シェリーは?」
カイルはシェリーから、一人でここにいる人たちを確保してほしいと言われ、別行動をすることに戸惑いを顕にする。
「どうやら、マルス帝国の奴隷の制御石の劣化したものを街の人達がつけられているようなので、それを解除します」
シェリーは街の人全員と師団の半分を一人で相手にすると言っているのだ。それにはカイルも反対をする。
「一人じゃ駄目だよ。俺も一緒に「カイルさん」」
カイルの言葉をシェリーは遮る。
「私の·····私のルーちゃんと一緒に過ごす時間を奪った人たちを目の前にすると、瞬殺しますけど、いいですか?でも、それだとこの事件の原因がわからないままになりますので駄目ですよね。ぶっ殺していいのでしたら、ぶっ殺します。ええ、なんの躊躇もなく骨一本も残さずに」
シェリーは怒っていた。ルークが帰ってくるのを楽しみで楽しみで仕方がなかったところを、国の尻拭いという形で依頼を受けるはめになり、その原因がマルス帝国だとわかると、シェリーの殺意は沸々と湧き出ていた。それも、人を奴隷化というよりも人を操ろうとしているのだ。
しかし、同じことが起こっては対処ができないだろうから、犯人を捉えて調べてもらわないといけないという常識も一応持ち合わせてはいた。
隣でシェリーの溢れる怒りを感じたカイルは迷っていた。番であるシェリーを一人にはしたくない。しかし、シェリーが言いたいこともわかる。でも、しかし。
「はぁ。わかったよ。本当はシェリーを一人にしたくないんだ。でも、奴隷の制御石を解除できるのもシェリーしかいないものわかる。無理はしないでほしい。犯人を捉えたら直ぐに戻って来るからね」
そう言って、カイルはその場から姿を消した。赤い印があるところに向かって行ってくれたのだろう。
シェリーは視線を異形なモノたちと街の人たちがいる方向に向けた。そして、一気にその場に駆けていきスキルを解除する。
街の外にはシェリーと1万は越えているだろう操られている人たちが存在していた。
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