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24章-1 魔の大陸-魔女への依頼
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シェリーが部屋の中に入ると、一番に目に入ったのはグレイの机に突っ伏した頭だった。その横には積み上がった書類の塔が存在している。
突っ伏していながらも、ペンは動いているようなので、少しずつでも進んではいるようだ。
しかし、積み上がっている書類からいくと一日では終わらなさそうなペースではある。だから、シェリーはスーウェンに向かって言った。
「スーウェンさん、私だけでいいので魔の大陸に転移させてもらえませんか?」
シェリーは自分のツガイたちを残して魔の大陸に行こうとしている。その言葉に一番に反応したのが、机の上で突っ伏していながらもペンを動かしていたグレイである。
「シェリー!それは駄目だ!俺も行くからな!」
椅子を後ろにひっくり返しながら立ち上がり、シェリーのところに駆けていくグレイ。
「ご主人様。行くときは皆さんが揃ってからですよ」
シェリーの手を取ってニコリと笑うスーウェン。
「ちっ!グレイさんのそれ今日中に終わらないですよね?クソ勇者と会う確率の高いこの城に長居はしたくないのですが?」
シェリーは舌打ちをし、不満を顕にする。ナオフミはまだ黒の魔物の討伐から戻ってきていないようなので、このヴァンジェオ城の中には居ない。しかし、いつ戻ってきてもおかしくはない状況のため、シェリーはすぐにでも魔の大陸に行きたいのだ。
勇者との遭遇より、魔人と会うほうがいいとは、他人が聞けば頭がおかしいと言われてしまう事柄だ。
「うっ」
シェリーに指摘され、ピンと立った三角の耳をへにょんとさせ、グレイは落ち込む。
「いや、なんというか、叔父上のやり方に文句はないんだけど、以前と色々違っていて、戸惑うというか、これで良いのかって思うことがあって····」
数ヶ月、公務を離れていたグレイでさえ、何かしら思う事がるようだ。
「兄上が居てくれたのなら、確認することもできたんだけど、俺が国を出てから兄上も国を出てしまったようで聞けないし」
第1公子のギルバートは第1夫人の子ではあったが、ラースの血は引き継いでいなかった為、早々に国を出たのだろう。
と言うことは直系で公務に関わっていた者達が存在せずにオーウィルディアに引き継がれたと推測される。
仕える者達にとってラースであり直系であるオーウィルディアは絶対だ。苦言を呈することはあるかもしれないが、強く言える立場ではない。
そのオーウィルディアは手探り状態で大公代理という立場に立ち、慣れない公務にここ最近はストレスも多く溜まってきているのだろう。シェリーが部屋に通された時からピリピリと空気が刺さっていた。
空気が良くないな。まるで爆弾を抱えた職場のようだとシェリーは感じてしまった。
その時、廊下の方が騒がしくなり、それが段々こちらの方に近づいてきた。
「カイル達が戻って来たのか。俺、置いてけぼりはイヤだ」
グレイが項垂れながら言っているので、他の3人が戻って来たのだろう。廊下側からノックがされ、入ってきたのは先程シェリーをここまで案内をしてくれたセルヴァンだった。
「失礼します。シェリーミディア様お連れ様をお連れいたしました。グレイシャル様、書類はできたところまでで宜しいですよ。オーウィルディア様も意地が悪いですね」
そう言っているセルヴァンの後ろからは、にこにことご機嫌のカイルが部屋に入ってきており、カイルと正反対に草臥れた感じでディスタが後に付いてきてた。
オルクスとリオンは二人で何かを話しながら、カイルとディスタの後に入って来た。
「シェリーミディア様。滞在をされるのであれば、部屋をご用意いたしますが、どうされますか?」
セルヴァンがヴァンジェオ城に滞在するかと問うてきたが、勿論シェリーの答えは
「直ぐに出発します」
だった。その答えにセルヴァンは苦笑いを浮かべる。
「以前も直ぐに用が済めばお帰りになられましたが、我々からすれば、もう少しゆっくりとしていただきたいのです。勇者ナオフミ様はまだお戻りではないですが、駄目でございましょうか?」
ラースに仕える者からすれば、この国から出ていってしまったシェリーのことが心配なのだろうか。しかし、シェリーはセルヴァンに向かって言葉を放つ。
「私はミゲルロディア大公閣下ではありませんよ」
その言葉にセルヴァンは目を見開く。以前、オーウィルディアが言っていた。『シェリーちゃんの魔眼の威力を見ていると兄上を思い出すわ』と。『兄上が目の前に立てば、もう頭を地べたにつけて許しを請いたいぐらいなのよ』とも言っていた。
シェリーの魔眼の力も魔力も普通のラースの一族から見れば、神如き存在なのだ。
そして、セルヴァンは先程シェリーに大公に立てと言っていたのだ。恐らく己の敬愛するミゲルロディアと重ねて言った言葉だったのだろう。
突っ伏していながらも、ペンは動いているようなので、少しずつでも進んではいるようだ。
しかし、積み上がっている書類からいくと一日では終わらなさそうなペースではある。だから、シェリーはスーウェンに向かって言った。
「スーウェンさん、私だけでいいので魔の大陸に転移させてもらえませんか?」
シェリーは自分のツガイたちを残して魔の大陸に行こうとしている。その言葉に一番に反応したのが、机の上で突っ伏していながらもペンを動かしていたグレイである。
「シェリー!それは駄目だ!俺も行くからな!」
椅子を後ろにひっくり返しながら立ち上がり、シェリーのところに駆けていくグレイ。
「ご主人様。行くときは皆さんが揃ってからですよ」
シェリーの手を取ってニコリと笑うスーウェン。
「ちっ!グレイさんのそれ今日中に終わらないですよね?クソ勇者と会う確率の高いこの城に長居はしたくないのですが?」
シェリーは舌打ちをし、不満を顕にする。ナオフミはまだ黒の魔物の討伐から戻ってきていないようなので、このヴァンジェオ城の中には居ない。しかし、いつ戻ってきてもおかしくはない状況のため、シェリーはすぐにでも魔の大陸に行きたいのだ。
勇者との遭遇より、魔人と会うほうがいいとは、他人が聞けば頭がおかしいと言われてしまう事柄だ。
「うっ」
シェリーに指摘され、ピンと立った三角の耳をへにょんとさせ、グレイは落ち込む。
「いや、なんというか、叔父上のやり方に文句はないんだけど、以前と色々違っていて、戸惑うというか、これで良いのかって思うことがあって····」
数ヶ月、公務を離れていたグレイでさえ、何かしら思う事がるようだ。
「兄上が居てくれたのなら、確認することもできたんだけど、俺が国を出てから兄上も国を出てしまったようで聞けないし」
第1公子のギルバートは第1夫人の子ではあったが、ラースの血は引き継いでいなかった為、早々に国を出たのだろう。
と言うことは直系で公務に関わっていた者達が存在せずにオーウィルディアに引き継がれたと推測される。
仕える者達にとってラースであり直系であるオーウィルディアは絶対だ。苦言を呈することはあるかもしれないが、強く言える立場ではない。
そのオーウィルディアは手探り状態で大公代理という立場に立ち、慣れない公務にここ最近はストレスも多く溜まってきているのだろう。シェリーが部屋に通された時からピリピリと空気が刺さっていた。
空気が良くないな。まるで爆弾を抱えた職場のようだとシェリーは感じてしまった。
その時、廊下の方が騒がしくなり、それが段々こちらの方に近づいてきた。
「カイル達が戻って来たのか。俺、置いてけぼりはイヤだ」
グレイが項垂れながら言っているので、他の3人が戻って来たのだろう。廊下側からノックがされ、入ってきたのは先程シェリーをここまで案内をしてくれたセルヴァンだった。
「失礼します。シェリーミディア様お連れ様をお連れいたしました。グレイシャル様、書類はできたところまでで宜しいですよ。オーウィルディア様も意地が悪いですね」
そう言っているセルヴァンの後ろからは、にこにことご機嫌のカイルが部屋に入ってきており、カイルと正反対に草臥れた感じでディスタが後に付いてきてた。
オルクスとリオンは二人で何かを話しながら、カイルとディスタの後に入って来た。
「シェリーミディア様。滞在をされるのであれば、部屋をご用意いたしますが、どうされますか?」
セルヴァンがヴァンジェオ城に滞在するかと問うてきたが、勿論シェリーの答えは
「直ぐに出発します」
だった。その答えにセルヴァンは苦笑いを浮かべる。
「以前も直ぐに用が済めばお帰りになられましたが、我々からすれば、もう少しゆっくりとしていただきたいのです。勇者ナオフミ様はまだお戻りではないですが、駄目でございましょうか?」
ラースに仕える者からすれば、この国から出ていってしまったシェリーのことが心配なのだろうか。しかし、シェリーはセルヴァンに向かって言葉を放つ。
「私はミゲルロディア大公閣下ではありませんよ」
その言葉にセルヴァンは目を見開く。以前、オーウィルディアが言っていた。『シェリーちゃんの魔眼の威力を見ていると兄上を思い出すわ』と。『兄上が目の前に立てば、もう頭を地べたにつけて許しを請いたいぐらいなのよ』とも言っていた。
シェリーの魔眼の力も魔力も普通のラースの一族から見れば、神如き存在なのだ。
そして、セルヴァンは先程シェリーに大公に立てと言っていたのだ。恐らく己の敬愛するミゲルロディアと重ねて言った言葉だったのだろう。
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