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24章-1 魔の大陸-魔女への依頼
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「ナヴァル公爵夫人。このバカをちょっと貸してください」
ユーフィアに許可を取っているようで、強制的に排除するようにグレイが青狼獣人の青年の首根っこを掴む。
「おい、俺はナヴァル公爵家の嫡男だぞ!わかっているのか!」
ヴァリー青年が偉そうに身分をひけらかしているが、その首根っこを掴んでいるグレイはというと
「俺はラース公国の公子だ」
身分的をひけらかす相手を間違えていた。まさか自分より身分が上の狼獣人は父親しか存在しないと思っていたヴァリー青年からすれば寝耳に水だったのだろう。口をパカリと開けてグレイを見ている。
「お手柔らかにお願いね」
ユーフィアは息子が侵入してきた窓から連行されている姿をニコニコしながら見送ったあと、シェリーの方に向き直って申しわけなさそうな表情をした。
「ごめんなさい。いつもは良い子なのだけど、クストから何か言われたみたいで」
「師団長さんよりましなので、別にかまいませんが、人が話しているときに邪魔されるのは腹立たしいので、マリアさんに再教育してもらってください」
シェリーの中のクストの評価はかなり低いようである。
「はぁ。それでですね。その魔武器の製作者は恐らく以前話した召喚者だと思われます。ユーフィアさんがマルス帝国で残された物を解読して性能の向上をしているのではないのでしょうか」
シェリーの話にユーフィアの顔色がだんだん悪くなってきた。
「なので、その魔武器に対抗する何かを作ってもらえませんか?キョウさんは置型がいいとおっしゃっていましたが」
「キョウさんが置型に?わかりました」
ユーフィアから了承を得たところで、応接室の外側の廊下から複数の足音が鳴り響いて来た。
と同時に入室の許可を得ることもなく扉が開き、人の姿が確認できたところで、シェリーはローテーブルの上に装飾品の様に置かれていた灰皿を手に取り、扉に向かって投げつけた。
「うぉっ」
重そうな灰皿がこめかみをかすめ、廊下を挟んだ先の壁にめり込んだ様を見せつけられた人物は扉を少し開けたまま固まってしまった。その人物の後ろから、シェリーが何度か見たことがある人物のあ然とした表情で壁を見ている横顔が確認できた。
「なんで第6師団の方々がここにいるのですか?職権乱用ですか?」
顔見知りの人物はシェリーが問題を起こすたびに連行、もとい保護をしていた第6師団の兵士の一人であり、その後ろにも知っている者達がいた。
恐らくユーフィアに何かあっても直ぐにクストが駆けつけられないため、第6師団の者が常駐か駆けつけるようになっているのだろう。
しかし、駆けつけてきた第6師団の者達は一言も発せず、第6師団に不満そうな声を上げたシェリーを注視していた。そして、その表情が徐々に変わっていく。
憧れの人物が目の前にいるような、若しくは一目惚れにおちてしまったかのような高揚した表情を···。
今、グレイはここにはいない。慌ててシェリーの隣にいるカイルが外套をシェリーにまとわし、オルクスがグレイを呼びに窓から外に出ていき、リオンが第6師団の者達を部屋から追い出し、スーウェンが結界を張った。
その様子をユーフィアは何が起こったのかとオロオロしなが見ている。
「ユーフィアさん。師団長さんは職権乱用をしてこのような事をしているのですか?普通は個人的に兵士を自宅警護につかすことはできないのでは?」
「ええーと、ごめんなさい。私、クストがヴァリーに留守を頼むと言っていたのは知っていたけど、師団の人たちに警護を頼んでいたなんて知らなかったわ。知っていたら流石に止めていたわよ」
ユーフィアでもその辺りの常識はわかっていたようだ。
「そうですか。師団長さんの暴走ですか。まぁ、用件はすみましたので帰ります。あと、これを差し上げます」
そう言ってシェリーはこぶし大の赤い鉱石をローテーブルの上に出した。
『アルテリカの火』だ。
「今回の報酬です。『アルテリカの火』と呼ばれる物理攻撃も魔術攻撃も防ぐ事ができるものです。通常は粉にしたものを円状にすることで結界を張ることできるのですが、ユーフィアさんなら、別の使用方法を見いだせるかと思います」
赤い鉱石をユーフィアは手に取り、鉱石を覗き込むように翳して見る。
「こ、これは、なんて素晴らしい鉱石なのでしょう。この世界には、まだまだこの様に興味深い物がたくさんあるのですね。シェリーさん、ありがとうございます」
「今回は採取許可が下りたので特別です」
そう、とても貴重であり、ギラン共和国が国を護るためにしか使用してこなかった物だ。それもフェクトス総統とダンジョンマスターの許可が得られて初めて採取ができる『アルテリカの火』。
これはユーフィアの番であるクストの行為を無にする代物だ。
_____________
補足
クストはシェリーからユーフィアが好きそうな鉱石がダンジョンにあると上手く乗せられて、鉱石採取に行っております。クストが手土産の鉱石を持って戻ってきたとき、ユーフィアの反応は·····。
シェリーはさり気なく仕返しをした。
ユーフィアに許可を取っているようで、強制的に排除するようにグレイが青狼獣人の青年の首根っこを掴む。
「おい、俺はナヴァル公爵家の嫡男だぞ!わかっているのか!」
ヴァリー青年が偉そうに身分をひけらかしているが、その首根っこを掴んでいるグレイはというと
「俺はラース公国の公子だ」
身分的をひけらかす相手を間違えていた。まさか自分より身分が上の狼獣人は父親しか存在しないと思っていたヴァリー青年からすれば寝耳に水だったのだろう。口をパカリと開けてグレイを見ている。
「お手柔らかにお願いね」
ユーフィアは息子が侵入してきた窓から連行されている姿をニコニコしながら見送ったあと、シェリーの方に向き直って申しわけなさそうな表情をした。
「ごめんなさい。いつもは良い子なのだけど、クストから何か言われたみたいで」
「師団長さんよりましなので、別にかまいませんが、人が話しているときに邪魔されるのは腹立たしいので、マリアさんに再教育してもらってください」
シェリーの中のクストの評価はかなり低いようである。
「はぁ。それでですね。その魔武器の製作者は恐らく以前話した召喚者だと思われます。ユーフィアさんがマルス帝国で残された物を解読して性能の向上をしているのではないのでしょうか」
シェリーの話にユーフィアの顔色がだんだん悪くなってきた。
「なので、その魔武器に対抗する何かを作ってもらえませんか?キョウさんは置型がいいとおっしゃっていましたが」
「キョウさんが置型に?わかりました」
ユーフィアから了承を得たところで、応接室の外側の廊下から複数の足音が鳴り響いて来た。
と同時に入室の許可を得ることもなく扉が開き、人の姿が確認できたところで、シェリーはローテーブルの上に装飾品の様に置かれていた灰皿を手に取り、扉に向かって投げつけた。
「うぉっ」
重そうな灰皿がこめかみをかすめ、廊下を挟んだ先の壁にめり込んだ様を見せつけられた人物は扉を少し開けたまま固まってしまった。その人物の後ろから、シェリーが何度か見たことがある人物のあ然とした表情で壁を見ている横顔が確認できた。
「なんで第6師団の方々がここにいるのですか?職権乱用ですか?」
顔見知りの人物はシェリーが問題を起こすたびに連行、もとい保護をしていた第6師団の兵士の一人であり、その後ろにも知っている者達がいた。
恐らくユーフィアに何かあっても直ぐにクストが駆けつけられないため、第6師団の者が常駐か駆けつけるようになっているのだろう。
しかし、駆けつけてきた第6師団の者達は一言も発せず、第6師団に不満そうな声を上げたシェリーを注視していた。そして、その表情が徐々に変わっていく。
憧れの人物が目の前にいるような、若しくは一目惚れにおちてしまったかのような高揚した表情を···。
今、グレイはここにはいない。慌ててシェリーの隣にいるカイルが外套をシェリーにまとわし、オルクスがグレイを呼びに窓から外に出ていき、リオンが第6師団の者達を部屋から追い出し、スーウェンが結界を張った。
その様子をユーフィアは何が起こったのかとオロオロしなが見ている。
「ユーフィアさん。師団長さんは職権乱用をしてこのような事をしているのですか?普通は個人的に兵士を自宅警護につかすことはできないのでは?」
「ええーと、ごめんなさい。私、クストがヴァリーに留守を頼むと言っていたのは知っていたけど、師団の人たちに警護を頼んでいたなんて知らなかったわ。知っていたら流石に止めていたわよ」
ユーフィアでもその辺りの常識はわかっていたようだ。
「そうですか。師団長さんの暴走ですか。まぁ、用件はすみましたので帰ります。あと、これを差し上げます」
そう言ってシェリーはこぶし大の赤い鉱石をローテーブルの上に出した。
『アルテリカの火』だ。
「今回の報酬です。『アルテリカの火』と呼ばれる物理攻撃も魔術攻撃も防ぐ事ができるものです。通常は粉にしたものを円状にすることで結界を張ることできるのですが、ユーフィアさんなら、別の使用方法を見いだせるかと思います」
赤い鉱石をユーフィアは手に取り、鉱石を覗き込むように翳して見る。
「こ、これは、なんて素晴らしい鉱石なのでしょう。この世界には、まだまだこの様に興味深い物がたくさんあるのですね。シェリーさん、ありがとうございます」
「今回は採取許可が下りたので特別です」
そう、とても貴重であり、ギラン共和国が国を護るためにしか使用してこなかった物だ。それもフェクトス総統とダンジョンマスターの許可が得られて初めて採取ができる『アルテリカの火』。
これはユーフィアの番であるクストの行為を無にする代物だ。
_____________
補足
クストはシェリーからユーフィアが好きそうな鉱石がダンジョンにあると上手く乗せられて、鉱石採取に行っております。クストが手土産の鉱石を持って戻ってきたとき、ユーフィアの反応は·····。
シェリーはさり気なく仕返しをした。
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