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22章 獣人たちの騒がしい大祭
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「そういえば、オルクスはまだこの国にいますよね。明後日の決勝には出てくれますよね」
フェクトス総統はふと思い出したかのように、オルクスに話しかける。
「いや、俺は出ない」
「それは困りますね。決勝の相手が居なくなってしまうではないですか。ねぇ、シェリーさん」
フェクトス総統はシェリーに同意を求めるが、シェリーはどうでもいいと言うように
「オルクスさんの好きにすればいいと思います」
と答えるが、オルクスは直ぐ様否定をする。
「駄目だ。それ絶対に置いていかれるヤツじゃないか!」
「爺様、聞きたいんだが、なんで決勝でオルクスが出ることが決まっているんだ?」
グレイは先程のフェクトス総統の言葉が気になっただろう。長椅子に項垂れるように座っているシド総帥に尋ねる。
「あ゛?決勝は前回優勝者への挑戦だ。」
何故か機嫌の悪いシド総帥が答える。
「だからですね。オルクスが出ないと決勝戦が無くなってしまうのですよ」
「いや、出ないって言っているし」
フェクトス総統はオルクスを武闘大会に出したいようだが、オルクスは拒否をしている。二人の意見は平行線だ。
「シェリー。特に急ぐ用がないのなら、ここの裏ダンジョンに潜りたいんだけど」
突然、カイルがシェリーにダンジョンに潜りたいと言ってきた。それも裏ダンジョンにだ。
「どうぞご自由に」
行きたいのなら勝手にすれば良いというシェリーの態度にカイルはニコリと笑い。
「シェリーが一人になると色々大変だから、一緒に来てくれないかな?」
「は?」
「一日で50階層攻略に付いてきてほしいな。そうすれば、明後日までのいい時間つぶしになると思うんだけど?」
一日掛けてダンジョンを攻略すれば、フェクトス総統の希望を叶え、この国の人々のこの祭りに対する思いを汲むことができる。
カイルはシェリーにこの国で過ごすための妥協案を提示してきたのだ。
「それ、私に何の利益にもなりませんが?仕事としてなら請負ますが、時間つぶしに裏ダンジョンになんて行きたくないです」
しかし、それでもシェリーは否定する。すると、フェクトス総統は『それはいい』と立ち上がって、一枚のカードをシェリーの前に差し出す。
「特殊緊急依頼です。裏ダンジョンの32階層にあるアルテリカの火を取ってきてほしいです」
「特殊緊急依頼ですか」
シェリーは目の前のテーブルに出された黒い一枚のカードを見る。初めてみたが、ニールから説明を受けたことはある。
Sランクの冒険者個人に対して出される国の危機的状況に際し緊急的に依頼される特殊緊急依頼を提示する黒いカード。
シェリーは呆れた目でフェクトス総統を見る。
「何処が国の危機的状況なのですか?それに私はSランクではありません」
シェリーの言葉にフェクトス総統はテーブルにバンと両手を付いて真剣な顔をして答える。
「危機的状況です。一年に一度の祭りは全国民が待ちわびているのです。そして、その決勝戦は一番盛り上がるところなのですよ。この武闘大会が始まった当初は彼の英雄に挑める唯一の場でしたが、今は現在の英雄を決める場なのです。英雄達が作った国としてはこれ程大事なことはありません」
まぁ、言いたいことはわかる。英雄の存在が国をまとめる要因の一つであると言っているのだろう。
しかし、決勝戦にオルクスが出たとして、その結果は決まっていると言っていい。前回の優勝者であるオルクスは更にレベルをあげ、レベル90の壁を超えているのだから。
それに、アルテリカの火·····別に緊急的に必要とは思えない。火といっても燃えている炎ことではない。
物としては赤い鉱石だ。使い方としては赤い石を粉々にし、円を作るように撒くだけ、それだけで赤い炎ような結界が作られるのだ。使用目的としては、街を魔物という外敵から護る為に使われる。
しかし、この国でそれが必要かといえば、必要ではない。この国そのモノと言っていいユーリウスが存在しているのだから。
何か別の使用目的でもあるのだろうか。ふと、シェリーは気になり口に漏らす。
「都市防衛戦。ではその逆は·····それはいいかもしれない」
「なに恐ろしい事を考えているのですか。アルテリカの火は決勝戦で使用するためです。今のオルクスが戦うなら必要ですよね」
フェクトス総統は今のオルクスの実力がわかっているかのように言う。
アルテリカの火は結界だ。効力が続く限り外からも中からも出入りができない結界。それは物や人だけでなく、ありとあらゆるモノを阻む。例え魔術でさえも
「まぁ。いいでしょう」
そう言って、シェリーは立ち上がり、黒いカードを手にする。
「以前ブヒブヒと鳴くブタを逃してしまったので、結界で帝都ごと囲ってしまえば逃げられないですよね。いい事を教えてくださったので、この依頼受けますよ。報酬はアルテリカの火を好きなだけ採っていいと言うことで」
そう言ってシェリーは席を離れ出口に向かって行った。
フェクトス総統はふと思い出したかのように、オルクスに話しかける。
「いや、俺は出ない」
「それは困りますね。決勝の相手が居なくなってしまうではないですか。ねぇ、シェリーさん」
フェクトス総統はシェリーに同意を求めるが、シェリーはどうでもいいと言うように
「オルクスさんの好きにすればいいと思います」
と答えるが、オルクスは直ぐ様否定をする。
「駄目だ。それ絶対に置いていかれるヤツじゃないか!」
「爺様、聞きたいんだが、なんで決勝でオルクスが出ることが決まっているんだ?」
グレイは先程のフェクトス総統の言葉が気になっただろう。長椅子に項垂れるように座っているシド総帥に尋ねる。
「あ゛?決勝は前回優勝者への挑戦だ。」
何故か機嫌の悪いシド総帥が答える。
「だからですね。オルクスが出ないと決勝戦が無くなってしまうのですよ」
「いや、出ないって言っているし」
フェクトス総統はオルクスを武闘大会に出したいようだが、オルクスは拒否をしている。二人の意見は平行線だ。
「シェリー。特に急ぐ用がないのなら、ここの裏ダンジョンに潜りたいんだけど」
突然、カイルがシェリーにダンジョンに潜りたいと言ってきた。それも裏ダンジョンにだ。
「どうぞご自由に」
行きたいのなら勝手にすれば良いというシェリーの態度にカイルはニコリと笑い。
「シェリーが一人になると色々大変だから、一緒に来てくれないかな?」
「は?」
「一日で50階層攻略に付いてきてほしいな。そうすれば、明後日までのいい時間つぶしになると思うんだけど?」
一日掛けてダンジョンを攻略すれば、フェクトス総統の希望を叶え、この国の人々のこの祭りに対する思いを汲むことができる。
カイルはシェリーにこの国で過ごすための妥協案を提示してきたのだ。
「それ、私に何の利益にもなりませんが?仕事としてなら請負ますが、時間つぶしに裏ダンジョンになんて行きたくないです」
しかし、それでもシェリーは否定する。すると、フェクトス総統は『それはいい』と立ち上がって、一枚のカードをシェリーの前に差し出す。
「特殊緊急依頼です。裏ダンジョンの32階層にあるアルテリカの火を取ってきてほしいです」
「特殊緊急依頼ですか」
シェリーは目の前のテーブルに出された黒い一枚のカードを見る。初めてみたが、ニールから説明を受けたことはある。
Sランクの冒険者個人に対して出される国の危機的状況に際し緊急的に依頼される特殊緊急依頼を提示する黒いカード。
シェリーは呆れた目でフェクトス総統を見る。
「何処が国の危機的状況なのですか?それに私はSランクではありません」
シェリーの言葉にフェクトス総統はテーブルにバンと両手を付いて真剣な顔をして答える。
「危機的状況です。一年に一度の祭りは全国民が待ちわびているのです。そして、その決勝戦は一番盛り上がるところなのですよ。この武闘大会が始まった当初は彼の英雄に挑める唯一の場でしたが、今は現在の英雄を決める場なのです。英雄達が作った国としてはこれ程大事なことはありません」
まぁ、言いたいことはわかる。英雄の存在が国をまとめる要因の一つであると言っているのだろう。
しかし、決勝戦にオルクスが出たとして、その結果は決まっていると言っていい。前回の優勝者であるオルクスは更にレベルをあげ、レベル90の壁を超えているのだから。
それに、アルテリカの火·····別に緊急的に必要とは思えない。火といっても燃えている炎ことではない。
物としては赤い鉱石だ。使い方としては赤い石を粉々にし、円を作るように撒くだけ、それだけで赤い炎ような結界が作られるのだ。使用目的としては、街を魔物という外敵から護る為に使われる。
しかし、この国でそれが必要かといえば、必要ではない。この国そのモノと言っていいユーリウスが存在しているのだから。
何か別の使用目的でもあるのだろうか。ふと、シェリーは気になり口に漏らす。
「都市防衛戦。ではその逆は·····それはいいかもしれない」
「なに恐ろしい事を考えているのですか。アルテリカの火は決勝戦で使用するためです。今のオルクスが戦うなら必要ですよね」
フェクトス総統は今のオルクスの実力がわかっているかのように言う。
アルテリカの火は結界だ。効力が続く限り外からも中からも出入りができない結界。それは物や人だけでなく、ありとあらゆるモノを阻む。例え魔術でさえも
「まぁ。いいでしょう」
そう言って、シェリーは立ち上がり、黒いカードを手にする。
「以前ブヒブヒと鳴くブタを逃してしまったので、結界で帝都ごと囲ってしまえば逃げられないですよね。いい事を教えてくださったので、この依頼受けますよ。報酬はアルテリカの火を好きなだけ採っていいと言うことで」
そう言ってシェリーは席を離れ出口に向かって行った。
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