251 / 774
20章 趣味と実用性を兼ね備えたモノは奇怪な存在
240
しおりを挟む
「どの辺が駄目なんだ?」
「駄目って事は無いが、ピンと来るものが足りない?」
「はぁ?」
「なぁ。どうやったら獣化ってヤツになれるんだ?」
「うーん?こうギュッとして、ブワってなってズドーンって感じか」
先程から、聞こえてくるクロードの説明が説明になっていない。擬音が多くて全く意味がわからなかった。
「説明が下手。もう少し、まともに説明できないのですか?」
ここまでシェリーがお膳立てをしたのに、肝心なクロードの説明が全く意味をなさないものだったなんて、使えない。
「そう言われてもなぁ。感覚的にこうすれば出来るってわかるからそうしているだけだ。」
これはあれだ。こうあろうと考えれば、そこまでの道筋が見えてしまうのだろう。これではグレイにもオルクスにも役に立たたない。
まあいい。クストとクロードの戦いを見ることで何か参考になることはあったはずだ。
「そうですか。これ以上ここに居ても役に立たなそうなので、還しますね。」
「お前さ自分勝手って言われな「解除」・・・」
シェリーはまだ話している途中のクロードを世界の記憶の海へ戻した。
「シェリー。まだ聞きたいことがあったんだけど・・・。」
グレイが名残惜しそうにクロードがいた場所を見ていた。しかし、シェリーはそんなグレイに周りの見るように言う。
「グレイさん、そろそろ邪魔になりそうですよ。」
訓練場には殆ど人がいなくなり、居るのはルジオーネに命令され、ここを整備するように言われた者たちだけだった。
軍の敷地内から出ようとしていると、前方から第2師団長のアンディウムがこちらに向かって来ていた。
そのアンディウムがシェリーの前で立ち止まった。かなりの距離を空けて
「シェリーさん。今日はどうされたのですか?」
アンディウムがそうシェリーに話しかけるもシェリーは距離を縮めていく。しかし、アンディウムもその分距離を取っていく。
「クソ狐、いい加減に学習というものをしないのですか?」
「いやいや。君とは距離を取ることを覚えたよ。」
クソ狐と呼ばれたアンディウムは軽い口調で答えていく。だが、姿に変わりはない。
「君がここに来たと報告を受けてね。ついでに連絡をしておこうと思って」
なんのついでかは分からないが、シェリーに用があったらしい。
「ああ、魔剣を運んでくれたらしいね。ウィルの報告のおかげでこちらも色々対応しなければならない事が増えたから、ついでに辺境の方にも運んでくれないかな?」
「お断りします。もっと軍が働けばいいと思います。おかげで、王都の冒険者が辺境の依頼を受けることになっているのですが?」
シェリーの言葉にアンディウム(仮)は肩をすくめる。冒険者のことに軍は関係ないと言わんばかりに。そして、アンディウム(仮)はシェリーの後ろにいる人物に視線を向け、再びシェリーに視線を戻しながら言う。
「しかし、君は本当に困ったものだね。この国を乗っ取るつもりなのかな?」
「なぜ、そのような面倒なことをしなければならないのですか。」
「面倒か。ああ、5日後もう一度話し合いの為に訪ねて来てくれ。今度は教会を交えて行うからね。時間は追って知らせるよ。」
「教会には行きませんよ。しかし、5日後とは早急ですね。」
「あれはもう懲り懲りだから場所は王宮で行うから」
アンディウム(仮)は困ったような表情をして、スーウェンを伺い見る。
「早急と言うか、エルフの方がこの話に興味を持っていてね。聖女を確認したいそうだよ。エルフというのはこういう話を持っていくと否が応でも強引だね。」
本当は今ここに聖女を呼び出せと言わんばかりの態度だったのだろう。しかし、シェリーに連絡が取れるのが、いつになるか分からない為、これでも引き伸ばした方ではないのだろうか。
「そう言えば先程、懐かしい感じがしたのだけどね。一体なにがあったのかな?君が何かしたのだろう?」
「懐かしい?」
「雷牙の黒狼。彼の力を感じてね。軍の上層部では大騒ぎなんだけど、知らない?」
「雷牙の黒狼と言う人を知りません。」
シェリーはシレッと知らないと言う。別に嘘を付いているわけではない。そのような名前の人物を初めて聞いたのだ。シェリーのその答えに呆れたような視線をアンディウム(仮)は向ける。
「そんな常識もないようなことをするのは君ぐらいだと思うんだけど?まぁいいよ。君がここに居たと言えば、皆納得してくれるだろう。」
そう言って、アンディウム(仮)は踵を返してもと来た道を戻って行った。本当にシェリーに用があっただけらしい。しかし、一国の王がフラフラと部下に命令をすればいいことを自分で行っていることに問題があると思われた。
「駄目って事は無いが、ピンと来るものが足りない?」
「はぁ?」
「なぁ。どうやったら獣化ってヤツになれるんだ?」
「うーん?こうギュッとして、ブワってなってズドーンって感じか」
先程から、聞こえてくるクロードの説明が説明になっていない。擬音が多くて全く意味がわからなかった。
「説明が下手。もう少し、まともに説明できないのですか?」
ここまでシェリーがお膳立てをしたのに、肝心なクロードの説明が全く意味をなさないものだったなんて、使えない。
「そう言われてもなぁ。感覚的にこうすれば出来るってわかるからそうしているだけだ。」
これはあれだ。こうあろうと考えれば、そこまでの道筋が見えてしまうのだろう。これではグレイにもオルクスにも役に立たたない。
まあいい。クストとクロードの戦いを見ることで何か参考になることはあったはずだ。
「そうですか。これ以上ここに居ても役に立たなそうなので、還しますね。」
「お前さ自分勝手って言われな「解除」・・・」
シェリーはまだ話している途中のクロードを世界の記憶の海へ戻した。
「シェリー。まだ聞きたいことがあったんだけど・・・。」
グレイが名残惜しそうにクロードがいた場所を見ていた。しかし、シェリーはそんなグレイに周りの見るように言う。
「グレイさん、そろそろ邪魔になりそうですよ。」
訓練場には殆ど人がいなくなり、居るのはルジオーネに命令され、ここを整備するように言われた者たちだけだった。
軍の敷地内から出ようとしていると、前方から第2師団長のアンディウムがこちらに向かって来ていた。
そのアンディウムがシェリーの前で立ち止まった。かなりの距離を空けて
「シェリーさん。今日はどうされたのですか?」
アンディウムがそうシェリーに話しかけるもシェリーは距離を縮めていく。しかし、アンディウムもその分距離を取っていく。
「クソ狐、いい加減に学習というものをしないのですか?」
「いやいや。君とは距離を取ることを覚えたよ。」
クソ狐と呼ばれたアンディウムは軽い口調で答えていく。だが、姿に変わりはない。
「君がここに来たと報告を受けてね。ついでに連絡をしておこうと思って」
なんのついでかは分からないが、シェリーに用があったらしい。
「ああ、魔剣を運んでくれたらしいね。ウィルの報告のおかげでこちらも色々対応しなければならない事が増えたから、ついでに辺境の方にも運んでくれないかな?」
「お断りします。もっと軍が働けばいいと思います。おかげで、王都の冒険者が辺境の依頼を受けることになっているのですが?」
シェリーの言葉にアンディウム(仮)は肩をすくめる。冒険者のことに軍は関係ないと言わんばかりに。そして、アンディウム(仮)はシェリーの後ろにいる人物に視線を向け、再びシェリーに視線を戻しながら言う。
「しかし、君は本当に困ったものだね。この国を乗っ取るつもりなのかな?」
「なぜ、そのような面倒なことをしなければならないのですか。」
「面倒か。ああ、5日後もう一度話し合いの為に訪ねて来てくれ。今度は教会を交えて行うからね。時間は追って知らせるよ。」
「教会には行きませんよ。しかし、5日後とは早急ですね。」
「あれはもう懲り懲りだから場所は王宮で行うから」
アンディウム(仮)は困ったような表情をして、スーウェンを伺い見る。
「早急と言うか、エルフの方がこの話に興味を持っていてね。聖女を確認したいそうだよ。エルフというのはこういう話を持っていくと否が応でも強引だね。」
本当は今ここに聖女を呼び出せと言わんばかりの態度だったのだろう。しかし、シェリーに連絡が取れるのが、いつになるか分からない為、これでも引き伸ばした方ではないのだろうか。
「そう言えば先程、懐かしい感じがしたのだけどね。一体なにがあったのかな?君が何かしたのだろう?」
「懐かしい?」
「雷牙の黒狼。彼の力を感じてね。軍の上層部では大騒ぎなんだけど、知らない?」
「雷牙の黒狼と言う人を知りません。」
シェリーはシレッと知らないと言う。別に嘘を付いているわけではない。そのような名前の人物を初めて聞いたのだ。シェリーのその答えに呆れたような視線をアンディウム(仮)は向ける。
「そんな常識もないようなことをするのは君ぐらいだと思うんだけど?まぁいいよ。君がここに居たと言えば、皆納得してくれるだろう。」
そう言って、アンディウム(仮)は踵を返してもと来た道を戻って行った。本当にシェリーに用があっただけらしい。しかし、一国の王がフラフラと部下に命令をすればいいことを自分で行っていることに問題があると思われた。
0
お気に入りに追加
1,016
あなたにおすすめの小説
前世を思い出したので、最愛の夫に会いに行きます!
お好み焼き
恋愛
ずっと辛かった。幼き頃から努力を重ね、ずっとお慕いしていたアーカイム様の婚約者になった後も、アーカイム様はわたくしの従姉妹のマーガレットしか見ていなかったから。だから精霊王様に頼んだ。アーカイム様をお慕いするわたくしを全て消して下さい、と。
……。
…………。
「レオくぅーん!いま会いに行きます!」
「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】
清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。
そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。
「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」
こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。
けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。
「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」
夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。
「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」
彼女には、まったく通用しなかった。
「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」
「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」
「い、いや。そうではなく……」
呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。
──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ!
と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。
※他サイトにも掲載中。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
転生した元悪役令嬢は地味な人生を望んでいる
花見 有
恋愛
前世、悪役令嬢だったカーラはその罪を償う為、処刑され人生を終えた。転生して中流貴族家の令嬢として生まれ変わったカーラは、今度は地味で穏やかな人生を過ごそうと思っているのに、そんなカーラの元に自国の王子、アーロンのお妃候補の話が来てしまった。
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
夫が私に魅了魔法をかけていたらしい
綺咲 潔
恋愛
公爵令嬢のエリーゼと公爵のラディリアスは2年前に結婚して以降、まるで絵に描いたように幸せな結婚生活を送っている。
そのはずなのだが……最近、何だかラディリアスの様子がおかしい。
気になったエリーゼがその原因を探ってみると、そこには女の影が――?
そんな折、エリーゼはラディリアスに呼び出され、思いもよらぬ告白をされる。
「君が僕を好いてくれているのは、魅了魔法の効果だ。つまり……本当の君は僕のことを好きじゃない」
私が夫を愛するこの気持ちは偽り?
それとも……。
*全17話で完結予定。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる