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13章 死の国
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「モルテ王。実は交渉をしたいことがありまして、ここを訪ねたのです。」
シェリーはここに来た本来の目的を話し出した。
「ここ数百年間、マルス帝国から奴隷を購入していることはご存知ですか?」
ここ千年の間、狂っていた王にシェリーは尋ねる。もちろん答えは
「知らん。」
それはそうだろう。奴隷の件は王には関係のないことなのだから。
「レガートス。どういう事だ。」
「はっ!それに関しては我々に必要だったため購入をしておりました。」
正気を保っている者とそうではない者の違い。それは奴隷を食事として利用できた者とそうではなかった者との違いだったのだ。
しかし、シェリーはここ数百年と言っていた。それまではどうしていたか。神が創った王が正気を保っていたため必要がなかったとだけ、ここでは言っておく。
「それで、奴隷がどうしたのだ。返せと言うのか。」
「いいえ。そのような事は言いません。正式な契約に則って行われた取引ですから。」
「では、なんだ。」
王はシェリーにお前には関係がないことだろうと言わんばかりに尋ねる。
「神の慈悲と王が存在している今となっては、奴隷を購入する必要はなくなりましたよね。」
「結論を言え!」
シェリーの言葉を遮って、王は話の見えないことに苛立ちを顕にさせた。
「マルス帝国から助けを求められても、無関心でいてくださることをお願いに来ました。」
シェリーは言われた通り、結論だけを言う。それだけでは、王にはやはり伝わらなかったようで
「意味がわからん。」
「ですから、順にお話をさせていただいていましたが?マリートゥヴァ様がおっしゃられていた通り、結論を先に求めるより、話の内容をきちんと聞いてから吟味してくだいますか?だから、間違うのです。一番大切な者を手放してしまうことになるのです。エフィアルティス殿下。」
シェリーにエフィアルティスと呼ばれた王はゆらりと玉座から立ち上がり、一段一段ゆっくりと階段状になった壇上から降りてくる。その度に纏う闇が徐々に濃くなっていき、影から何やら怪しいモノが見え隠れしている。
後ろの方から『終わった。』『ここが俺の墓場か。』なんて言葉が聞こえてくる。
「なぜ、貴様からマリーの名が出てくる。貴様はマリーの何なのだ!」
その言葉と同時にシェリーの目の前に出現した。転移をしたかのように思える程の現れ方だったが、闇と同化し移動し現れたのだ。王にとって、スーウェンの結界など意味をなさなかった。
「ラフテリア様と共にいらしたマリートゥヴァ様とお話をしたことがありますが?」
「ラフテリアさま・・・聖女か。」
「ええ。私は6番目の聖女ですから、ラフテリア様が私に接触をしてもおかしくはないでしょう。そして、その傍らにマリートゥヴァ様がいてもおかしくはないでしょう。未だにマリートゥヴァ様は贖罪の為にラフテリア様に従っているのです。誰の罪ですか?」
その言葉に王の闇は薄れていき、王はシェリーを見下ろして言う。
「俺が愚かだったからだ。」
「では、話の続きをしましょう。」
王が落ち着いたところで、シェリーは話の続きを始めた。不死の王が間近で居るにも関わらず、淡々と始めた。
「先程も言いましたが、神からの慈悲により、奴隷は必要なくなったと思います。ですから、マルス帝国からの繋がりを断っても問題はなくなったと考えられます。
私は、マルス帝国をいいえ、裏の皇帝であるサウザール公爵を討ちます。それは言葉で言うほど簡単なことでは無いと考えています。サウザール公爵は自分に歯向かうものがいると知ればありとあらゆる力を行使し、最悪では戦争と言っていいほどの規模になると思われます。
このことは隣国に了承を得ていますが、ここモルテ国に手を出されると、それも難しいでしょう。別に私の味方をしろとは言いません。ですから、マルス帝国に助けを求められても、無視をしていただきたいのです。」
シェリーは言葉を止め、笑顔で王を見上げる。
「このことをお約束してくださるのであれば、王にツガイをお贈りしましょう。」
シェリーの思いもよらない言葉に、王はきょとんとした表情になる。
「は?番?俺の番はマリーだった。」
「ええ。エフィアルティス殿下にはマリートゥヴァ様が、ロビン様にはラフテリア様が。では、ルナティーノ様にツガイがいてもおかしくはないですよね。」
「俺の番・・・何処だ。何処にいる。」
王は狂気を帯びた目でシェリーを見る。シェリーはこの世界の者達のツガイに対する狂気的なほど求める行動に、またかと、ため息を吐きたくなった。
「先に契約を。そうすれば、王の目の前にお持ちしますよ。」
「何の契約だ?早くしろ!」
「はぁ。」
思わず出てしまった、ため息を戻せるわけでもなく、シェリーは準備に取り掛かる。古の最も重い契約をするために。
シェリーはここに来た本来の目的を話し出した。
「ここ数百年間、マルス帝国から奴隷を購入していることはご存知ですか?」
ここ千年の間、狂っていた王にシェリーは尋ねる。もちろん答えは
「知らん。」
それはそうだろう。奴隷の件は王には関係のないことなのだから。
「レガートス。どういう事だ。」
「はっ!それに関しては我々に必要だったため購入をしておりました。」
正気を保っている者とそうではない者の違い。それは奴隷を食事として利用できた者とそうではなかった者との違いだったのだ。
しかし、シェリーはここ数百年と言っていた。それまではどうしていたか。神が創った王が正気を保っていたため必要がなかったとだけ、ここでは言っておく。
「それで、奴隷がどうしたのだ。返せと言うのか。」
「いいえ。そのような事は言いません。正式な契約に則って行われた取引ですから。」
「では、なんだ。」
王はシェリーにお前には関係がないことだろうと言わんばかりに尋ねる。
「神の慈悲と王が存在している今となっては、奴隷を購入する必要はなくなりましたよね。」
「結論を言え!」
シェリーの言葉を遮って、王は話の見えないことに苛立ちを顕にさせた。
「マルス帝国から助けを求められても、無関心でいてくださることをお願いに来ました。」
シェリーは言われた通り、結論だけを言う。それだけでは、王にはやはり伝わらなかったようで
「意味がわからん。」
「ですから、順にお話をさせていただいていましたが?マリートゥヴァ様がおっしゃられていた通り、結論を先に求めるより、話の内容をきちんと聞いてから吟味してくだいますか?だから、間違うのです。一番大切な者を手放してしまうことになるのです。エフィアルティス殿下。」
シェリーにエフィアルティスと呼ばれた王はゆらりと玉座から立ち上がり、一段一段ゆっくりと階段状になった壇上から降りてくる。その度に纏う闇が徐々に濃くなっていき、影から何やら怪しいモノが見え隠れしている。
後ろの方から『終わった。』『ここが俺の墓場か。』なんて言葉が聞こえてくる。
「なぜ、貴様からマリーの名が出てくる。貴様はマリーの何なのだ!」
その言葉と同時にシェリーの目の前に出現した。転移をしたかのように思える程の現れ方だったが、闇と同化し移動し現れたのだ。王にとって、スーウェンの結界など意味をなさなかった。
「ラフテリア様と共にいらしたマリートゥヴァ様とお話をしたことがありますが?」
「ラフテリアさま・・・聖女か。」
「ええ。私は6番目の聖女ですから、ラフテリア様が私に接触をしてもおかしくはないでしょう。そして、その傍らにマリートゥヴァ様がいてもおかしくはないでしょう。未だにマリートゥヴァ様は贖罪の為にラフテリア様に従っているのです。誰の罪ですか?」
その言葉に王の闇は薄れていき、王はシェリーを見下ろして言う。
「俺が愚かだったからだ。」
「では、話の続きをしましょう。」
王が落ち着いたところで、シェリーは話の続きを始めた。不死の王が間近で居るにも関わらず、淡々と始めた。
「先程も言いましたが、神からの慈悲により、奴隷は必要なくなったと思います。ですから、マルス帝国からの繋がりを断っても問題はなくなったと考えられます。
私は、マルス帝国をいいえ、裏の皇帝であるサウザール公爵を討ちます。それは言葉で言うほど簡単なことでは無いと考えています。サウザール公爵は自分に歯向かうものがいると知ればありとあらゆる力を行使し、最悪では戦争と言っていいほどの規模になると思われます。
このことは隣国に了承を得ていますが、ここモルテ国に手を出されると、それも難しいでしょう。別に私の味方をしろとは言いません。ですから、マルス帝国に助けを求められても、無視をしていただきたいのです。」
シェリーは言葉を止め、笑顔で王を見上げる。
「このことをお約束してくださるのであれば、王にツガイをお贈りしましょう。」
シェリーの思いもよらない言葉に、王はきょとんとした表情になる。
「は?番?俺の番はマリーだった。」
「ええ。エフィアルティス殿下にはマリートゥヴァ様が、ロビン様にはラフテリア様が。では、ルナティーノ様にツガイがいてもおかしくはないですよね。」
「俺の番・・・何処だ。何処にいる。」
王は狂気を帯びた目でシェリーを見る。シェリーはこの世界の者達のツガイに対する狂気的なほど求める行動に、またかと、ため息を吐きたくなった。
「先に契約を。そうすれば、王の目の前にお持ちしますよ。」
「何の契約だ?早くしろ!」
「はぁ。」
思わず出てしまった、ため息を戻せるわけでもなく、シェリーは準備に取り掛かる。古の最も重い契約をするために。
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