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9章 ラースの魔眼
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シェリーの魔眼が強制的に解除されたことにより、シェリーの魔力が放出され、この部屋一帯に魅了の術が施行された。直に被害を受けたのがカイルだ。それはそうだ。その目を見てしまったのだから、カイルから思考能力を奪い、意識を奪い、命令をされるがままの人形と化してしまった。
次に被害を受けたのは心が折れたスーウェンだった。スーウェンは負の感情に支配され、目の前の原因となった者を屠ることのみしか考えられなくなってしまったのだ。
次に影響がでたのがイーリスクロム国王陛下だ。現実逃避を始めた思考に影響し、目の前の現実を消し去ろうと考えはじめた。
瞬時にして3人に影響を与え、シェリーのエルフを否定する言葉を命令と理解したカイルが大剣を抜き、スーウェンに向かい攻撃を仕掛ける、スーウェンは己の背の高さ程の杖を取り出し、押さえつけられている中央のエルフに向かい大魔導術を施行しようと術式を組みだし、イーリスクロムは全てを灰燼に帰すために狐火を多数出現させる。
異変を感じた、オルクスが己の番の安全を確認するためにシェリーを見ようとしたところで視界を塞がれた。
「グレイ!何をする。」
オルクスの視界を塞いだのはグレイだった。
「シェリーの魔眼が発動している。今のシェリーを見るのは危険だ。ラースの眼は世界を破壊すると言われる程危険なものだ。カイルやスーウェンの様に自分の意思関係無く操られる。」
この話をしている間もアンディウムはイーリスクロムを止めようとしているし、カイルとスーウェンは殺し合いを始めている。
「どうすればいいんだ?」
「普通なら魔導師に魔眼を封じてもらうのが一番なのだが、ここのエルフ共は信用ならない、肝心のスーウェンは操られている。お手上げだ。」
「シェリー自身で何とかできないのか。」
「わたし自身が封印を解除する分には問題はないのですが、わたしの意思なく魔眼が発動されてしまったので、わたしはどうすることもできません。はぁ。起きているといいのですが。」
そう答えるのは、この状況を作り出したシェリーである。シェリーは魔石を一つ取り出し、魔力を流す。
『昼間から何?』
聞こえる声はどうやらオリバーのようだ。
「中央教会に来てください。エルフのバカに魔眼の封印が強制解除されて、惨劇が作り出されそうです。」
『シェリーは無事のようだね。なぜ、教会に行ったのかな。教会に関わるとろくなことにはならないと言うのに。』
「行くことを拒否をしたのですが、聞いてはもらえませんでした。」
『はぁ。その魔石を下に置いてくれるか?』
シェリーが床に魔石を置くと、そこから陣が展開され、オリバーが現れた。
「ほう、これは面白いね。」
オリバーはカイルとスーウェンが戦い、イーリスクロムが狐火を纏ってアンディウムに襲いかかり、二人のエルフが床に転がり、一人のエルフがオルクスに押さえつけられているが、オルクスもグレイに目隠しをされている状況の感想だ。
「面白がっていないで、封じて下さい。」
「本当にきれいに何もかも無くなってしまっているね。」
そう言いながら、オリバーはシェリーの目に手を当て、術を施す。
「んー。こんなものかな?」
シェリーの目が、魔眼が封じられたその時、カイルとスーウェンとイーリスクロムが正気に戻った。カイルの大剣がスーウェンの首を斬るという瞬間に、イーリスクロムがアンディウムを狐火で燃やしつくそうとしている瞬間に魔眼の効力が切れた。
カイルとスーウェンはなぜお互いが殺し合いをしているのか理解できず。イーリスクロムはアンディウムを燃やそうをしていることに理解できなかった。
「なんだ。何が起こった。」
イーリスクロムは混乱していた。自分の記憶はエルフがシェリーに攻撃魔術を行ったそこまでだ。それが、なぜ己が騎士であり、王の剣であるアンディウムを燃やそうとしていることに理解ができなかった。
シェリーは一番重傷である、アンディウムに近づき『聖女の癒やし』を行う。皮膚は赤く爛れ、白く美しかった長い髪が燃やされ、白い翼も片翼になってしまっていた。しかし、どんな怪我でもどんな病も治してしまう『聖女の癒やし』である。髪は流石に短いままになってしまったが赤く爛れた皮膚も跡形もなく治り、無くなってしまっていた片翼も元通りの白い美しい翼に治っていた。
続いてカイルとスーウェンの傷を治す。その光景をオルクスに押さえつけられていたエルフが見ていた。
「聖女様」
その呟きが聞こえていたのは、押さえつけていたオルクスと近くにいたグレイのみであった。
「イーリスクロム陛下。申し訳ありません。」
シェリーはイーリスクロムに向かって頭を下げる。シェリー自身の意思で発動したわけではないが、ここまでの自体を引き起こした原因ではある。
「そこのエルフがわたしの魔眼の封印を解いたがために魅了眼が発動され、わたしの意思が関係なく、そのときの陛下の思いが増幅され引き起こしたことになります。」
「僕の思い?」
「例えば、エルフの行動に否定的であった陛下の思いが増幅され、世界を否定してしまった。みたいなことです。これが、制御をなくし完全に封印が外れたラースの眼の恐ろしいところですね。」
「そこのエルフもこれに凝りたら人が封じている魔眼を勝手に解除しないように」
「「魔導師オリバー!」」
未だに押さえつけられているエルフとイーリスクロムの声が重なった。
次に被害を受けたのは心が折れたスーウェンだった。スーウェンは負の感情に支配され、目の前の原因となった者を屠ることのみしか考えられなくなってしまったのだ。
次に影響がでたのがイーリスクロム国王陛下だ。現実逃避を始めた思考に影響し、目の前の現実を消し去ろうと考えはじめた。
瞬時にして3人に影響を与え、シェリーのエルフを否定する言葉を命令と理解したカイルが大剣を抜き、スーウェンに向かい攻撃を仕掛ける、スーウェンは己の背の高さ程の杖を取り出し、押さえつけられている中央のエルフに向かい大魔導術を施行しようと術式を組みだし、イーリスクロムは全てを灰燼に帰すために狐火を多数出現させる。
異変を感じた、オルクスが己の番の安全を確認するためにシェリーを見ようとしたところで視界を塞がれた。
「グレイ!何をする。」
オルクスの視界を塞いだのはグレイだった。
「シェリーの魔眼が発動している。今のシェリーを見るのは危険だ。ラースの眼は世界を破壊すると言われる程危険なものだ。カイルやスーウェンの様に自分の意思関係無く操られる。」
この話をしている間もアンディウムはイーリスクロムを止めようとしているし、カイルとスーウェンは殺し合いを始めている。
「どうすればいいんだ?」
「普通なら魔導師に魔眼を封じてもらうのが一番なのだが、ここのエルフ共は信用ならない、肝心のスーウェンは操られている。お手上げだ。」
「シェリー自身で何とかできないのか。」
「わたし自身が封印を解除する分には問題はないのですが、わたしの意思なく魔眼が発動されてしまったので、わたしはどうすることもできません。はぁ。起きているといいのですが。」
そう答えるのは、この状況を作り出したシェリーである。シェリーは魔石を一つ取り出し、魔力を流す。
『昼間から何?』
聞こえる声はどうやらオリバーのようだ。
「中央教会に来てください。エルフのバカに魔眼の封印が強制解除されて、惨劇が作り出されそうです。」
『シェリーは無事のようだね。なぜ、教会に行ったのかな。教会に関わるとろくなことにはならないと言うのに。』
「行くことを拒否をしたのですが、聞いてはもらえませんでした。」
『はぁ。その魔石を下に置いてくれるか?』
シェリーが床に魔石を置くと、そこから陣が展開され、オリバーが現れた。
「ほう、これは面白いね。」
オリバーはカイルとスーウェンが戦い、イーリスクロムが狐火を纏ってアンディウムに襲いかかり、二人のエルフが床に転がり、一人のエルフがオルクスに押さえつけられているが、オルクスもグレイに目隠しをされている状況の感想だ。
「面白がっていないで、封じて下さい。」
「本当にきれいに何もかも無くなってしまっているね。」
そう言いながら、オリバーはシェリーの目に手を当て、術を施す。
「んー。こんなものかな?」
シェリーの目が、魔眼が封じられたその時、カイルとスーウェンとイーリスクロムが正気に戻った。カイルの大剣がスーウェンの首を斬るという瞬間に、イーリスクロムがアンディウムを狐火で燃やしつくそうとしている瞬間に魔眼の効力が切れた。
カイルとスーウェンはなぜお互いが殺し合いをしているのか理解できず。イーリスクロムはアンディウムを燃やそうをしていることに理解できなかった。
「なんだ。何が起こった。」
イーリスクロムは混乱していた。自分の記憶はエルフがシェリーに攻撃魔術を行ったそこまでだ。それが、なぜ己が騎士であり、王の剣であるアンディウムを燃やそうとしていることに理解ができなかった。
シェリーは一番重傷である、アンディウムに近づき『聖女の癒やし』を行う。皮膚は赤く爛れ、白く美しかった長い髪が燃やされ、白い翼も片翼になってしまっていた。しかし、どんな怪我でもどんな病も治してしまう『聖女の癒やし』である。髪は流石に短いままになってしまったが赤く爛れた皮膚も跡形もなく治り、無くなってしまっていた片翼も元通りの白い美しい翼に治っていた。
続いてカイルとスーウェンの傷を治す。その光景をオルクスに押さえつけられていたエルフが見ていた。
「聖女様」
その呟きが聞こえていたのは、押さえつけていたオルクスと近くにいたグレイのみであった。
「イーリスクロム陛下。申し訳ありません。」
シェリーはイーリスクロムに向かって頭を下げる。シェリー自身の意思で発動したわけではないが、ここまでの自体を引き起こした原因ではある。
「そこのエルフがわたしの魔眼の封印を解いたがために魅了眼が発動され、わたしの意思が関係なく、そのときの陛下の思いが増幅され引き起こしたことになります。」
「僕の思い?」
「例えば、エルフの行動に否定的であった陛下の思いが増幅され、世界を否定してしまった。みたいなことです。これが、制御をなくし完全に封印が外れたラースの眼の恐ろしいところですね。」
「そこのエルフもこれに凝りたら人が封じている魔眼を勝手に解除しないように」
「「魔導師オリバー!」」
未だに押さえつけられているエルフとイーリスクロムの声が重なった。
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