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7章 教会の聖女候補と世界の聖女
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「渡した時に言いましたね。聖女シェリーメイの手記だと。疑いになるのであれば、どこぞの誰かが書いた『レイアルティス王戦記』と照らし合わせてみれば、年号等は合うと思いますよ。手を離してください。」
「こんなもの歴史に書かれた聖女シェリーメイじゃない。人の出入りが不可能な塔に監禁されていたなんて、そんな記述はどこにもなかった。」
「聖女の番なんてそんなものですよ。スーウェンさん。シャーレン精霊王国には聖女に関する書物ぐらい残っていますよね。表のことも裏のことも、どうですか?」
スーウェンは目をさ迷わせながら
「ええ、ありますよ。ただ、口外することは出来ません。その、手記は読んだことはありませんが、事実だとだけ言っておきます。」
その言葉を聞いたシェリーは冷笑を浮かべながら
「だ、そうですよ。ああ、白い謎の生命体曰く、聖女の番は失敗作らしいです。さっさと町へ行きましょう。」
シェリーは手を振り払い、踵を返して隣町がある方向へ足を向ける。それにカイルとスーウェンが続く。
「事実だと?謎の生命体?失敗作?なんだそれは」
オルクスの呆然とした声にグレイが答える。
「俺たちは神の遊び心によって造られたってさ、じゃあな。」
置いていかれては堪らない、とばかりにグレイは早口で答え、オルクスを置き去りにした。
「おい、ちょっと待て 、詳しく教えろ。」
そう言いながらオルクスもシェリーの後を追うのだった。
「マジか。」
町の診療所の外で座り込んでいるオルクスの隣にはグレイが立って話をしていた。
「まぁ、そう言うことだから、シェリーの前では殺し合いはしない。」
すごく物騒なまとめ方をしている。診療所の扉が開きシェリーとスーウェンが出てきた。
「シェリーどうだった?」
グレイがシェリーに尋ねる。しかし、答えたのはスーウェンで
「村人達の内2人が意識が戻りましたが、意識が混濁していたためか何も覚えていないそうです。」
「テメーには聞いてない。」
「この町に詰めている軍の人たちに後は任せる感じでしょう。とりあえずカイルを待ちましょう。ご主人様。」
「だから、テメーには聞いてねぇ!」
ここにはいないカイルはこの町に詰めている第9師団の小隊に連絡を取ってもらっている。流石に、村人の殆どが失踪したとなれば、冒険者ごときでは対処出来ない案件だからだ。
「待たせてしまったかな?」
カイルとその後ろに4人の兵がやって来た。そのうち一人はシェリーが見たことある顔だった。
「ひぃ。ラースの悪魔。」
シェリーの顔を見て、青い顔で後退りする。体格が2メルを越える程大きく茶色い髪に小さめの丸い耳が出ている熊獣人がいた。
「第6小隊の隊長さんお久しぶりです。左遷ですか?」
「第18小隊だ。全部お前のせいだ。クソ餓鬼。」
「そうですか。おめでとうございます。ここから6キロメル西の村の住人が6人以外いなくなってしまったという報告です。後はよろしくお願いします。」
そう言ってシェリーは町を出ようとする。
「ちょっと待てい。めでたくもねぇし。そんな報告で終わらせようとするな。」
「ちっ。」
「思いっきり舌打ちすんじゃねぇよ。おい、ジーノ、ラオ。中の村人に事情を聞いておけ。」
「「はっ。」」
「ラースの悪魔、さっさと村まで案内しろ。ってかなんで男ばっかり侍ら・・・・。」
小隊長がある一点で視線が止まった。座り込んでいるオルクスだった。
Sランクの『銀爪のカイル』がこんな田舎町にいる時点で嫌な予感はしていた。そして、あの『ラースの悪魔』までいた。他に赤い金狼なんて思い付くのは一人だ。深い青色のエルフもだ。最後にどう見ても『ギランの豹』が目の前にいる。なんだこれは。
「村に案内しろ。」
小隊長は己の心の平穏のために見なかったことにした。
「隊長。聞きたいことが」
村に向かって騎獣で移動をしているなか、シェリー達の後ろを第18小隊の二人が飛んでいた。
「なんだ。」
「『ラースの悪魔』ってなんですか?あの女性のことですか?」
「あいつには絶対に喧嘩は売るな買うな。それも、同じ色の目をした弟にはかかわるな。あいつの爆裂だからな。」
「はあ。弟ですか。」
「あいつの弟はスッッゲー美少女だ。」
「弟ですよね。」
「だから、いろいろ問題が起こるんだ。西第二層門に第6師団長が詰めているのも、あいつ対策だ。最初の頃はクスト師団長でも対処出来ていたんだが、ここ最近は第4師団長のブライ師団長ぐらいしか対処出来なくなってきているらしい。」
「第4って言えば暗部ですよね。王都の警邏隊を担っている第6師団長のクスト師団長の方が適任じゃないのですか?」
「ああ、それは攻撃対象を素早く避難させ、その場から速攻に立ち去るためだ。」
「そもそも、公務執行妨害で捕まえた方がいいんじゃないですか。」
「っぃ。それは、第5師団の奴らがやらかした。その結果が、今、第5師団が存在しないという「懐かしい話ですね。」」
シェリーの声が被さってきた。
「そういう事だったのですか。ブライ師団長さんに変なところでよく会うと思っていたら、ふーん。そういうことなら次から邪魔するようならヤっちゃっていいですよね。」
横を見ると今まで話の種になっていたシェリーが並走していた。
「いやいや。それはダメだ。第4師団まで壊滅してしまうじゃないか。」
「小隊長さん、ありがとうございます。いい話が聞けました。」
そういいながらシェリーは元いた前の方に行った。
騎獣の上で頭を抱えながら大きな体を小さく丸める熊獣人が
「すいません。ブライ師団長。すいません。」
とぶつぶつ言っている自分の上司である隊長の隣で、もしかしていらないことを聞いてしまったのかと遠い目をする部下の姿があった。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
補足
爆裂=地雷と同意味です。
「こんなもの歴史に書かれた聖女シェリーメイじゃない。人の出入りが不可能な塔に監禁されていたなんて、そんな記述はどこにもなかった。」
「聖女の番なんてそんなものですよ。スーウェンさん。シャーレン精霊王国には聖女に関する書物ぐらい残っていますよね。表のことも裏のことも、どうですか?」
スーウェンは目をさ迷わせながら
「ええ、ありますよ。ただ、口外することは出来ません。その、手記は読んだことはありませんが、事実だとだけ言っておきます。」
その言葉を聞いたシェリーは冷笑を浮かべながら
「だ、そうですよ。ああ、白い謎の生命体曰く、聖女の番は失敗作らしいです。さっさと町へ行きましょう。」
シェリーは手を振り払い、踵を返して隣町がある方向へ足を向ける。それにカイルとスーウェンが続く。
「事実だと?謎の生命体?失敗作?なんだそれは」
オルクスの呆然とした声にグレイが答える。
「俺たちは神の遊び心によって造られたってさ、じゃあな。」
置いていかれては堪らない、とばかりにグレイは早口で答え、オルクスを置き去りにした。
「おい、ちょっと待て 、詳しく教えろ。」
そう言いながらオルクスもシェリーの後を追うのだった。
「マジか。」
町の診療所の外で座り込んでいるオルクスの隣にはグレイが立って話をしていた。
「まぁ、そう言うことだから、シェリーの前では殺し合いはしない。」
すごく物騒なまとめ方をしている。診療所の扉が開きシェリーとスーウェンが出てきた。
「シェリーどうだった?」
グレイがシェリーに尋ねる。しかし、答えたのはスーウェンで
「村人達の内2人が意識が戻りましたが、意識が混濁していたためか何も覚えていないそうです。」
「テメーには聞いてない。」
「この町に詰めている軍の人たちに後は任せる感じでしょう。とりあえずカイルを待ちましょう。ご主人様。」
「だから、テメーには聞いてねぇ!」
ここにはいないカイルはこの町に詰めている第9師団の小隊に連絡を取ってもらっている。流石に、村人の殆どが失踪したとなれば、冒険者ごときでは対処出来ない案件だからだ。
「待たせてしまったかな?」
カイルとその後ろに4人の兵がやって来た。そのうち一人はシェリーが見たことある顔だった。
「ひぃ。ラースの悪魔。」
シェリーの顔を見て、青い顔で後退りする。体格が2メルを越える程大きく茶色い髪に小さめの丸い耳が出ている熊獣人がいた。
「第6小隊の隊長さんお久しぶりです。左遷ですか?」
「第18小隊だ。全部お前のせいだ。クソ餓鬼。」
「そうですか。おめでとうございます。ここから6キロメル西の村の住人が6人以外いなくなってしまったという報告です。後はよろしくお願いします。」
そう言ってシェリーは町を出ようとする。
「ちょっと待てい。めでたくもねぇし。そんな報告で終わらせようとするな。」
「ちっ。」
「思いっきり舌打ちすんじゃねぇよ。おい、ジーノ、ラオ。中の村人に事情を聞いておけ。」
「「はっ。」」
「ラースの悪魔、さっさと村まで案内しろ。ってかなんで男ばっかり侍ら・・・・。」
小隊長がある一点で視線が止まった。座り込んでいるオルクスだった。
Sランクの『銀爪のカイル』がこんな田舎町にいる時点で嫌な予感はしていた。そして、あの『ラースの悪魔』までいた。他に赤い金狼なんて思い付くのは一人だ。深い青色のエルフもだ。最後にどう見ても『ギランの豹』が目の前にいる。なんだこれは。
「村に案内しろ。」
小隊長は己の心の平穏のために見なかったことにした。
「隊長。聞きたいことが」
村に向かって騎獣で移動をしているなか、シェリー達の後ろを第18小隊の二人が飛んでいた。
「なんだ。」
「『ラースの悪魔』ってなんですか?あの女性のことですか?」
「あいつには絶対に喧嘩は売るな買うな。それも、同じ色の目をした弟にはかかわるな。あいつの爆裂だからな。」
「はあ。弟ですか。」
「あいつの弟はスッッゲー美少女だ。」
「弟ですよね。」
「だから、いろいろ問題が起こるんだ。西第二層門に第6師団長が詰めているのも、あいつ対策だ。最初の頃はクスト師団長でも対処出来ていたんだが、ここ最近は第4師団長のブライ師団長ぐらいしか対処出来なくなってきているらしい。」
「第4って言えば暗部ですよね。王都の警邏隊を担っている第6師団長のクスト師団長の方が適任じゃないのですか?」
「ああ、それは攻撃対象を素早く避難させ、その場から速攻に立ち去るためだ。」
「そもそも、公務執行妨害で捕まえた方がいいんじゃないですか。」
「っぃ。それは、第5師団の奴らがやらかした。その結果が、今、第5師団が存在しないという「懐かしい話ですね。」」
シェリーの声が被さってきた。
「そういう事だったのですか。ブライ師団長さんに変なところでよく会うと思っていたら、ふーん。そういうことなら次から邪魔するようならヤっちゃっていいですよね。」
横を見ると今まで話の種になっていたシェリーが並走していた。
「いやいや。それはダメだ。第4師団まで壊滅してしまうじゃないか。」
「小隊長さん、ありがとうございます。いい話が聞けました。」
そういいながらシェリーは元いた前の方に行った。
騎獣の上で頭を抱えながら大きな体を小さく丸める熊獣人が
「すいません。ブライ師団長。すいません。」
とぶつぶつ言っている自分の上司である隊長の隣で、もしかしていらないことを聞いてしまったのかと遠い目をする部下の姿があった。
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補足
爆裂=地雷と同意味です。
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