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7章 教会の聖女候補と世界の聖女

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 シェリーは王都メイルーンから西に100キロメルkmの農村の近くにいた。緑に覆われた山々の中に夏の作物がタワワ・・・収穫されずに大きくなりすぎた野菜畑が広がっていた。そして、シェリー、カイル、グレイ、スーウェン、オルクスがいた。そう、オルクスが付いて来たのだ。

 王都出発するときシェリーの騎獣が豹羽であると知ったオルクスがシェリーに付きまとい「豹が好きなのか?豹ってやっぱいいよな」とシェリーにゴロゴロとくっつき出した。シェリーはオルクスを殴り地面に落とし、「わたしは猫鳥がよかった。」と虫けらを見る目でオルクスを見下している横で、ガーンっとショックを受けている豹羽がいた。それからシェリーの豹羽の機嫌が落ち込んでしまった。
 何とか目的地には連れては来てくれたが、豹羽の機嫌が治らない。ふぅ。一息をつき。

天音あまね、私は君にこの世界には存在しない言葉の名を与えた。私に空の世界を見せてくれた君に送った。これからも私の為に空を見せて欲しい。』

 シェリーはこの世界にない言語で話した。シェリーが独りの時によく使う言語だ。独りのシェリーと共にいた豹羽はシェリーの言葉を理解し、頭を伏した。シェリーは頭を一撫でする。

「あ、俺も撫でて欲しい。」

 復活し、頭をつき出してきたオルクスに眉を潜め

「なぜ、撫でなければならないのですか。」

「俺が撫でて欲しいから。」

 三人の視線が痛い。

「誉められることもしていないのに?豹羽はわたしを運んでくれたから撫でたのですよ。」

「じゃ、運ん」

 オルクスが伸ばした手をカイルが叩き、シェリーを引き寄せる。

「シェリー行こうか。」

「おい。お前「オルクス・ガナート」」

 シェリーは声を被せる。

「別に付いて来なくていいのですよ。あなたは黒髪の女性の番の所に帰るのでしょ?」

「シェリーって名前だと聞いた。」

 シェリーは鼻で笑い。

「聖女シェリーメイに因んだシェリーなんて名前よくあるじゃないですか。暴君レイアルティス王の番として悲劇の人生を歩んだ聖女。」

「シェリーメイは幸せの象徴の名前だぞ。」

 シェリーは目を細め

「それは誰が言った言葉です?聖女の言葉ですか?違いますよね。書物に残した者の言葉ですよね。聖女の呪いの言葉が綴られた手記を破棄した者の言葉ですよね。」

 そう言ってシェリーは赤黒くまだらの表紙の本をオルクス差し出した。

「オルクス・ガナート、あなたはここでこの手記を読んでおいてください。番によって翻弄された聖女の心の内を知ってください。聖女の番のあなたには必要でしょ?」


 シェリーはオルクスを置いてくることに成功した。考えなしに行動されて病人の村人に迷惑をかけることがあってはならない。
 しかし、三人の顔色が悪い気がするが、気のせいだろう。

 村に近づいて来たが、シェリーは村まで500メルメートルというところで立ち止まる。3人が何も言わないっていうことは見えないのだろう。

「シェリーどうかした?」

 カイルが声をかける。

「そうですね。今まで見たことが無いほど黒く蠢くモノが村を覆っています。見たままを伝えますと毒沼に人の顔が浮かんでいる?」

「それ、ヤバくないか?」

 グレイが想像したのか、ブルリと震えた。

「これ以上近づかないでください。」

 シェリーは『真理の目』で目の前のモノを見る。

『蠱毒の壷』
 毒の水を体内に含むことで、意識が混濁し、己以外を排除しようとする。そして、最後の一人には全てが授けられる。別名魔王の卵

 魔王の卵!魔王の復活が思ったより早い。
 それを確認した瞬間シェリーは、魔力を最大限に練り上げ

「『サンクチュアリ』」

 村の外から聖域結界を辺り一帯に広げ、目の前に見える怪しく蠢く黒い空間を覆う。中心点で術の発動を行わなかったため、効果は薄いが徐々に薄くなってきている。しかし、足りない。絶対的な浄化力が足りない。

「『私は一つの欠片から火を起こし、その火から太陽の軍勢と月の軍勢、星の軍勢をすべては白き火から生じさせた。』」

 白い炎が聖域結界を囲むそこから形造られたのは幾つもの3対の翼を持つ人形ひとがただ。
 形造られたモノ達が歌ように言葉を紡ぐ。

『聖なる光。聖なる炎。聖なる風。すべての大いなる主。主の御心は地のすべてを浄化する。』

 溢れんばかりの白い光が放出され、世界が白に染まり、優しい風が吹き抜けた。

 光は収まりその場には、ただ普通の農村と畑が存在し、地面に座り込むシェリーと呆然と立つ番の三人だいた。

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