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6章 王都メイルーン
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シェリーは微睡みの中にいた。やはり屋敷の自分の部屋が一番落ち着く、ただ、先程から髪を撫でられる感覚に戸惑いを覚える。ここは私の部屋で私か入れないようになっていたはずなのに、これは何んだ。
うっすらと目を開けると金色の目が・・・。
「カイルさん「イル」・・イル。ここは私の部屋で私しか入れないようになっていたはずですが?」
目の前には、ここには入ってこれるはずがないカイルが色気駄々モレでベッドの中にいた。
「おはよう。シェリー。この前ここに来たときオリバーさんに頼んでいたんだ。シェリーの部屋に入れるようにしておいて欲しいって。快く受けてくれたよ。」
「何を交換条件にしたのですか?」
「うーん。特殊な素材ばかりだったけど、丁度持っていたものばかりだったね。」
どうやら、素材欲しさにシェリーを売ったようだ。
「ちっ。」
「シェリー。朝のあいさつしてくれないのかな。」
「おはようごさいます。」
「ちゅーは?」
「は?」
朝から何を言っているのだこの男は
シェリーの顔に不快感が表れる。
カイルはシェリーの髪を撫でるのをやめ、シェリーを引き寄せ、首元に顔を埋める。
「久しぶりのシェリーの香り。」
そう、シェリーは自分の家に帰って来たため、青いペンダントは外して本来の黒髪の姿になっていたのだ。
カイルはシェリーの首元に口づけをし吸い付く。
「何をしているのですか。」
シェリーが抵抗するが、人族であるシェリーの力などむなしい抵抗となる。
首元から離れ、己のつけた跡を見たカイルは、高揚感に沸き立つ。金色の瞳を揺らめかせ、シェリーの唇に噛みつくようにむしゃぶる。舌を絡ませ、吸い付く。
「んっ。」
カイルの目に怪しい光が灯ったことを感じたシェリーは身の危険を感じベッドから降りようとしたが、両手をカイルの手でベットに縫い付けられ、上から覆い被さるように口づけをされてので、抵抗をすることができなくなってしまった。
「んっく。」
カイルの舌がシェリーの舌を絡めとり、口内を蹂躙する。溢れた唾液もカイルが絡め取っていくが、口の端から漏れ出てくる唾液が首を伝う。
息も絶え絶えにになった頃、カイルがシェリーから離れ、二人の間には、銀の糸が伸びていた。
「シェリーは可愛いね。」
シェリーの口を指で拭いながらカイルは言う。
「そうそう、当分の間は邪魔が入らないから、シェリーを独り占め出来るんだ。」
どういうことだ。確かにいつもなら、何かを感じ取ったグレイの邪魔が入るのに今日は一向にやって来なかった。
「あの二人は今、冒険者ギルドで身分証のタグを作りに行っているんだよ。昨日みたいに問題になるのは嫌だったみたいで、朝一番に出掛けて行ったよ。だから、シェリーを独り占めできる。」
そう言ってカイルはシェリーを抱き締める。シェリーの番が増えるということは、シェリーを独り占め出来なくなることはわかっていた。
本当は勇者ナオフミが羨ましい。複数いた聖女の番を手にかけ、聖女を手に入れたのだから。
しかし、勇者の聖女にはなくて、シェリーにはあるもの、それはあの白き高位なる御方の存在だ。それさえいなければきっとカイルは勇者と同じ道を歩んだだろう。
あのとき、勇者が言っていた。『一生勝てん男がいるっちゅうのはある意味共通の敵や。』まさにその通りだ、あの御方に立ち向かうだけ無駄なのだ。絶対的存在。頭を伏すべき存在。
「カイルさん痛いです。」
「イルだって言っているのに」
腕の中のシェリーが身を捩る。しかし、このように抱き締めていても不安は解消されない。どうすれば、己だけを見てくれる。どうすれば、心を己に預けてくれる。どうすれば・・・。
不安は解消されることはない。
「シェリー。どこにも行かないで。消えないで。ここに居て欲しい。」
これが、カイルの心からの叫びだ。
カイルに抱き締められてどれぐらいたっただろう。シェリーは大人しく抱き締められていた。相変わらずツガイいうものが理解できないが、カイルが言った言葉に戸惑っていた。子供の様な心からの言葉だったからだ。
カイルはシェリーの欲しい言葉をときより口にする。『家族になろう』『黒髪が似合うよ』『このペンダントを必要としない日がくればいいと思うよ』カイルがシェリーに寄り添うように考えてくれていることがわかる言葉だ。
それを意固地に拒否し続けているのはシェリー自身だ。だが、もうツガイが3人も集まってしまった。カイル一人なら良かったかもしれないが、もしこれで、一人を贔屓にすれば、勇者の二の舞だ。
今度こそ世界中が焦土化してもおかしくはない。
シェリーはため息を付く。
「カイルさ「イル」・・はぁ。イル私は変わることはありません。私がシェリーとして存在しているかぎり、イルだけに思いを寄せることはありません。」
「わかってはいるよ。じゃ、シェリーじゃない君はどうかな?」
シェリーじゃない私?
「時々、シェリーじゃないシェリーがいるよね。きちんと俺の目を見て話をしてくれるシェリーが。ササキさんだったよね。君はどうかな?」
「私ですか。ふふ。私とわたしが存在していることに気がついてくれた、イルのことが好きですよ。」
「シェリーも君も愛しているよ。」
カイルはそう言ってシェリーに口づけをした。
うっすらと目を開けると金色の目が・・・。
「カイルさん「イル」・・イル。ここは私の部屋で私しか入れないようになっていたはずですが?」
目の前には、ここには入ってこれるはずがないカイルが色気駄々モレでベッドの中にいた。
「おはよう。シェリー。この前ここに来たときオリバーさんに頼んでいたんだ。シェリーの部屋に入れるようにしておいて欲しいって。快く受けてくれたよ。」
「何を交換条件にしたのですか?」
「うーん。特殊な素材ばかりだったけど、丁度持っていたものばかりだったね。」
どうやら、素材欲しさにシェリーを売ったようだ。
「ちっ。」
「シェリー。朝のあいさつしてくれないのかな。」
「おはようごさいます。」
「ちゅーは?」
「は?」
朝から何を言っているのだこの男は
シェリーの顔に不快感が表れる。
カイルはシェリーの髪を撫でるのをやめ、シェリーを引き寄せ、首元に顔を埋める。
「久しぶりのシェリーの香り。」
そう、シェリーは自分の家に帰って来たため、青いペンダントは外して本来の黒髪の姿になっていたのだ。
カイルはシェリーの首元に口づけをし吸い付く。
「何をしているのですか。」
シェリーが抵抗するが、人族であるシェリーの力などむなしい抵抗となる。
首元から離れ、己のつけた跡を見たカイルは、高揚感に沸き立つ。金色の瞳を揺らめかせ、シェリーの唇に噛みつくようにむしゃぶる。舌を絡ませ、吸い付く。
「んっ。」
カイルの目に怪しい光が灯ったことを感じたシェリーは身の危険を感じベッドから降りようとしたが、両手をカイルの手でベットに縫い付けられ、上から覆い被さるように口づけをされてので、抵抗をすることができなくなってしまった。
「んっく。」
カイルの舌がシェリーの舌を絡めとり、口内を蹂躙する。溢れた唾液もカイルが絡め取っていくが、口の端から漏れ出てくる唾液が首を伝う。
息も絶え絶えにになった頃、カイルがシェリーから離れ、二人の間には、銀の糸が伸びていた。
「シェリーは可愛いね。」
シェリーの口を指で拭いながらカイルは言う。
「そうそう、当分の間は邪魔が入らないから、シェリーを独り占め出来るんだ。」
どういうことだ。確かにいつもなら、何かを感じ取ったグレイの邪魔が入るのに今日は一向にやって来なかった。
「あの二人は今、冒険者ギルドで身分証のタグを作りに行っているんだよ。昨日みたいに問題になるのは嫌だったみたいで、朝一番に出掛けて行ったよ。だから、シェリーを独り占めできる。」
そう言ってカイルはシェリーを抱き締める。シェリーの番が増えるということは、シェリーを独り占め出来なくなることはわかっていた。
本当は勇者ナオフミが羨ましい。複数いた聖女の番を手にかけ、聖女を手に入れたのだから。
しかし、勇者の聖女にはなくて、シェリーにはあるもの、それはあの白き高位なる御方の存在だ。それさえいなければきっとカイルは勇者と同じ道を歩んだだろう。
あのとき、勇者が言っていた。『一生勝てん男がいるっちゅうのはある意味共通の敵や。』まさにその通りだ、あの御方に立ち向かうだけ無駄なのだ。絶対的存在。頭を伏すべき存在。
「カイルさん痛いです。」
「イルだって言っているのに」
腕の中のシェリーが身を捩る。しかし、このように抱き締めていても不安は解消されない。どうすれば、己だけを見てくれる。どうすれば、心を己に預けてくれる。どうすれば・・・。
不安は解消されることはない。
「シェリー。どこにも行かないで。消えないで。ここに居て欲しい。」
これが、カイルの心からの叫びだ。
カイルに抱き締められてどれぐらいたっただろう。シェリーは大人しく抱き締められていた。相変わらずツガイいうものが理解できないが、カイルが言った言葉に戸惑っていた。子供の様な心からの言葉だったからだ。
カイルはシェリーの欲しい言葉をときより口にする。『家族になろう』『黒髪が似合うよ』『このペンダントを必要としない日がくればいいと思うよ』カイルがシェリーに寄り添うように考えてくれていることがわかる言葉だ。
それを意固地に拒否し続けているのはシェリー自身だ。だが、もうツガイが3人も集まってしまった。カイル一人なら良かったかもしれないが、もしこれで、一人を贔屓にすれば、勇者の二の舞だ。
今度こそ世界中が焦土化してもおかしくはない。
シェリーはため息を付く。
「カイルさ「イル」・・はぁ。イル私は変わることはありません。私がシェリーとして存在しているかぎり、イルだけに思いを寄せることはありません。」
「わかってはいるよ。じゃ、シェリーじゃない君はどうかな?」
シェリーじゃない私?
「時々、シェリーじゃないシェリーがいるよね。きちんと俺の目を見て話をしてくれるシェリーが。ササキさんだったよね。君はどうかな?」
「私ですか。ふふ。私とわたしが存在していることに気がついてくれた、イルのことが好きですよ。」
「シェリーも君も愛しているよ。」
カイルはそう言ってシェリーに口づけをした。
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