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108 幼児ステータスからの脱却···

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 女神仕様ってのがよくわからないけど、ステータスを確認してみよう。私はステータスを開いて見る。

 ·····




モナ

 16歳
 職種:ミコ神子

 Lv.48

 HP 506
 MP 1025

 STR 10
 VIT 6
 AGI 26
 DEX 18
 INT 60
 MND 20
 LUK ∞

スキル
 真眼
 治癒
 魔祓い
 マップ
 転移
 極の逆転

称号
 異界からの転生者
 ラッキーガール
 混じりしカミト
 最恐のシンキ
 惑乱のマレキ
 世界を救った者


 つ、ツッコミどころがありすぎる!
 レベルはまあいい。経験値からすれば妥当なのだろう。
 その割にはHPとMPが低すぎない?

 それも他のステータスは全く変化が無い!これでもか!というぐらいに変化が見られない。幼児ステータスから全く脱却していない。

 これのどこが普通なんだ!

 それも職種がミコって何!ゲームではそんな職種はなかった。

 そして、最後の称号。私、魔王を倒してはいない!


 はぁ。結局私は幼女から成長できないということなのか。

「ぷー」

 私が落ち込んでいるからか、ノアールから心配そうな鳴き声が聞こえてきた。

「戻ろうか」

 そう言って私はノアールの背に腰を下ろす。私の中の不安感は今も感じ続けている。いつ魔物が来るかわからないところに長居は無用だ。転移の間に戻ってジュウロウザとシンセイと早く合流しよう。 

 暗い通路を私を乗せたノアールが進んでいく。爪がカツカツと通路の床に当たる音が聞こえるが、それに混じって別の音も混じって聞こえる。
 気の所為だと思いたい。それも前方から聞こえてくる。引き返すもここの通路は金色の扉のところで行き止まりになっている。

 どうする?

 どうするも何も私には戦う能力はない。ノアールに止まるように促し、考えるも何も手立てがない。腰には私の武器としてムチを備えてはいるが、これは調教用でしかない。

 ノアールが止まったことで、前方の音はおそらく人だろうということは推測できた。カツカツと靴が出す音と思われる。ただ、一人分の足音しかない。リアンたちは3人だ。
 ジュウロウザとシンセイは母さんと同じく足音をたてないで歩く癖があるようで、彼らではない。

 なら誰だ。こんなダンジョンに、それも暗闇に包まれた通路にわざわざ足を運ぶ者は誰だ。

 息を潜め待ち構えていると、暗闇からその人物の姿を捉えられる距離まで近づかれた。ダンジョンの中で漂う淡い光りで確認出来るまでに近づかれてしまった。

 その者は血まみれだった。いや、一人ではない。腕に誰かを抱えているようだけど、何かがおかしい。


 私の眼の前には血を被ったかのように血を滴らせたリアンが立っていた。

「ああ、モナ。こんな所にいたんだね」

 ぞわりと肌が粟立った。目が、目が憎しみに囚われた者の目をして私を睨み付けているリアンに恐怖を覚える。

「やっぱり生きていた。殺したはずなのに生きているからだったんだ」

 いや、私も死んだと思っていたよ。しかし、私が死ぬ必要は元々なかったんだけどね。

「リアン言っておくけど「モナの所為だ!」····」

 何が?

「モナが生きているからルナが怪我をしてしまったんだ!」

 そこを私の所為にしないで欲しい。元々、私はレベルが足りていないと忠告をしたのに、リアンとルナが聞く耳を持たなかったんだ。

 リアンの抱えている人物を見る。顔に血の気がなく。目は虚ろであり。薄暗い空間で目を細めて見ても、ルナの下半身があるように思えない。
 リアンはルナの上半身しか抱えていないように見える。怪我というレベルではない。

「モナが死ねばルナの怪我も治る。そうすれば、ルナの両親も探しに行けるよ。ルナ」

 なんてめちゃくちゃな!私が死んでもルナは生き返らない!それぐらいわからないのか!

 いや、現実を認めたくないのだろう。

「リアン。私が死んでもルナは生き返らない。これが現実。認めなさい。あなたが弱いと仲間が死ぬ。私は今までに何度もリアンに言ってきた言葉。認めなさい。」

 私はリアンに現実を認めるように言葉をかける。武器を取れない私が出来るのはリアンに言葉を掛けることだけ。
 本当なら彼に慰めの言葉を掛けなければならないのだろう。けれど、リアンは勇者だ。こんなところでつまずいてしまっては困る。だから、私は現実を突きつける。
 ルナを殺したのはリアンの弱さだと。

「いや、生き返る。ルナが言っていた。何でも知っているルナがリセットをすればやり直せると」

 それゲームの話だから!

「だから、モナを殺して、そこからやり直そうね。ルナ」

 それも違う!私は死ななくてもいい!

 リアンは右手に持っている剣を私に向けてきた。その時ノアールがリアンに向けてブレスを吐いた。

「グォォォォ」

 という、鳴き声と共にアイスブレスをリアンに向けて放ったが、まだ幼竜のノアールだ。その威力は成竜とは比べ物にはならない。

 リアンは体を反らすことで、ブレスを避け一気に私に近づき、鈍く光った剣を私に向けて振り下ろしてきた。


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