102 / 121
102 ガーディアンを倒そう
しおりを挟む
「モナ!ルナを悪く言うな!モナこそ何もできないだろう!」
リアンの言葉にジュウロウザの右手が動こうとしたので、左手を掴んで動かないように視線を向ける。
そして、リアンに手をかざし、治癒のスキルを発動させる。
「その何もできない私を村の外に連れ出したのは誰?リアンでしょ?それに何もできないなりに私にも出来ることはあるけど?」
傷がついていた頬に、右腕に滲んでいた血。アチラコチラに付いていた擦り傷。すべてが綺麗に治っていた。そのことにリアンは驚きを隠せないようだ。
「ああ、私はカスステータスだからね。治すのは同郷のリアンだけ、それ以外は治さない。ばぁちゃんの薬が欲しいのなら、そうだね。銀貨1枚で人数分の回復薬を売ってあげる。良心的な値段だよね」
「1万Gか。それぐらいなら」
そう言ってリアンは銀貨2枚を差し出してきた。ああ、一人2本出せということか。私が銀貨を受け取ろうとすると、ジュウロウザが銀貨をふんだくり、私の鞄からばぁちゃんの薬を8本分をリアンに押し付けるように渡した。
「そうだったね。モナは頑張り屋さんだった。そうか、こんなことも出来るようになったのか」
何故かリアンが嬉しそうに言ってきた。いや、治癒スキルは努力如きで手に入るものではない。神の加護を受けてのことだ。ついでに退魔のスキルももらってしまったけどね。
リアンはキラキラエフェクトを振りまいて私を見て言った。
「モナ。俺たちと一緒に行かないか?」
「はぁ?寝言は寝て言ってくれる?私のステータスを知ってよくそんなことが言えるよね。私の助言を無視するほどルナの言葉を信じているのよね。そうね。ルルドに行くなら出直しなさいよと私は助言をしておくよ。あとは好きにすればいい」
「モナ。考えておいてね?」
「行かないと言っているのがわからないのか!馬鹿リアン!」
忘れていた。リアンにははっきりとした言葉で言わないと、自分の都合のいいように解釈をする癖があるんだった。
「うん。わかったよ」
笑顔で返事をされたけど、本当にわかってくれたのだろうか。
リアンは回復薬を持って座り込んでいる4人の元に駆け足で向かって行った。ああ、リアンを相手にしていると疲れる。
「はぁ。さっさとガーディアンを倒して帰りましょう」
もう村に帰りたい。ベルーイを迎えに行ったら速攻転移で帰ろう。
「ああ、あいつの顔は見たくない」
ジュウロウザもあのキラキラエフェクトがうざいと感じてしまったのか。勇者か特典かなんか知らないけど、キラキラエフェクトうざいよね。いや、フェリオさんも漏れているから、血筋の問題?
「姫。ノアールを持っていただけるか?」
シンセイがオプションを差し出してきた。
取り外していいのか!
今まで、ずっと付けていたじゃないか!
まぁ、戦いになるから邪魔なのだろう。私はシンセイからノアールを受け取る。孵化して一ヶ月経つが、あまり変わりがない。やはり、そろそろ肉を食べさせた方がいいのだろうか。幼竜なんて育てたことがないからわからないよ。
巨大な扉の前に立つ。天井までめいいっぱい扉が存在している。その昔は繊細な粧飾でもしてあったのだろう。その名残がところどころに見えるだけで、今はただの石の扉だ。
その両開きの扉をシンセイが軽々と開ける。重そうに思えたけど軽い?シンセイが片側の扉を押さえ、その隙間にジュウロウザ先に入り、その後に私が続いて入り、最後に扉を押さえていたシンセイが入ってきた。その扉が閉まるとき、ものすごい音を立てて閉まっていった。え?本当は重い?
中を見渡すと、煌々と明かりが灯された広い空間が広がっている。その中央奥には丸い円状の舞台のような場が見える。恐らくそこが転移装置だ。
そして、広い空間の両端に仏像のように突っ立っているストーンゴーレムが2体存在している。その大きさは天井と変わりない。目測5m程か。
ジュウロウザとシンセイが武器を構え、ストーンゴーレムに近づいていくと、ゴーレムの目が光を灯し、ゴゴゴゴと動く。
·····が、目の光が消えた?!
え?どういうこと?ジュウロウザを見ると刀を鞘に収めているところだった。シンセイはというと、首を傾げていた。
何が起こった!
「あ、あの?私にはわからなかったのですが、何が起こったのですか?」
「いやはやなんとも、人形相手では面白みも何もないでありますな」
は?
シンセイは手応えがなかったと言わんばかりに残念そうにしている。そして、ストーンゴーレムの額の石を取って来ると言って、動かなくなったゴーレムの方に向かって行った。
「弱点がわかっていれば、簡単なものだ」
そう言いながら、ジュウロウザがこちらにやってきた。ああ、弱点ね。確かに額の石を壊せばいいとは言ったものの、普通では届かない高さなんだけど?
きっと凡人の私には理解できないことが起こったのだろう。
「姫。これでよかろうか?」
シンセイが私に差し出してきた。二本の金色の針だ。指針の針。転移装置を動かす指針の針だ。それを片手で受け取る。
うん。間違いはない。
【転移の指針】
転移する場所を指し示すものと、次に転移出来る時刻を示すものである。
「ええ、大丈夫です。場所と時刻を示す針で間違いありません」
私が二人にお礼を言おうとしたところで、背後から声が聞こえた。
『レプトロック!!』
な!この呪は·····
リアンの言葉にジュウロウザの右手が動こうとしたので、左手を掴んで動かないように視線を向ける。
そして、リアンに手をかざし、治癒のスキルを発動させる。
「その何もできない私を村の外に連れ出したのは誰?リアンでしょ?それに何もできないなりに私にも出来ることはあるけど?」
傷がついていた頬に、右腕に滲んでいた血。アチラコチラに付いていた擦り傷。すべてが綺麗に治っていた。そのことにリアンは驚きを隠せないようだ。
「ああ、私はカスステータスだからね。治すのは同郷のリアンだけ、それ以外は治さない。ばぁちゃんの薬が欲しいのなら、そうだね。銀貨1枚で人数分の回復薬を売ってあげる。良心的な値段だよね」
「1万Gか。それぐらいなら」
そう言ってリアンは銀貨2枚を差し出してきた。ああ、一人2本出せということか。私が銀貨を受け取ろうとすると、ジュウロウザが銀貨をふんだくり、私の鞄からばぁちゃんの薬を8本分をリアンに押し付けるように渡した。
「そうだったね。モナは頑張り屋さんだった。そうか、こんなことも出来るようになったのか」
何故かリアンが嬉しそうに言ってきた。いや、治癒スキルは努力如きで手に入るものではない。神の加護を受けてのことだ。ついでに退魔のスキルももらってしまったけどね。
リアンはキラキラエフェクトを振りまいて私を見て言った。
「モナ。俺たちと一緒に行かないか?」
「はぁ?寝言は寝て言ってくれる?私のステータスを知ってよくそんなことが言えるよね。私の助言を無視するほどルナの言葉を信じているのよね。そうね。ルルドに行くなら出直しなさいよと私は助言をしておくよ。あとは好きにすればいい」
「モナ。考えておいてね?」
「行かないと言っているのがわからないのか!馬鹿リアン!」
忘れていた。リアンにははっきりとした言葉で言わないと、自分の都合のいいように解釈をする癖があるんだった。
「うん。わかったよ」
笑顔で返事をされたけど、本当にわかってくれたのだろうか。
リアンは回復薬を持って座り込んでいる4人の元に駆け足で向かって行った。ああ、リアンを相手にしていると疲れる。
「はぁ。さっさとガーディアンを倒して帰りましょう」
もう村に帰りたい。ベルーイを迎えに行ったら速攻転移で帰ろう。
「ああ、あいつの顔は見たくない」
ジュウロウザもあのキラキラエフェクトがうざいと感じてしまったのか。勇者か特典かなんか知らないけど、キラキラエフェクトうざいよね。いや、フェリオさんも漏れているから、血筋の問題?
「姫。ノアールを持っていただけるか?」
シンセイがオプションを差し出してきた。
取り外していいのか!
今まで、ずっと付けていたじゃないか!
まぁ、戦いになるから邪魔なのだろう。私はシンセイからノアールを受け取る。孵化して一ヶ月経つが、あまり変わりがない。やはり、そろそろ肉を食べさせた方がいいのだろうか。幼竜なんて育てたことがないからわからないよ。
巨大な扉の前に立つ。天井までめいいっぱい扉が存在している。その昔は繊細な粧飾でもしてあったのだろう。その名残がところどころに見えるだけで、今はただの石の扉だ。
その両開きの扉をシンセイが軽々と開ける。重そうに思えたけど軽い?シンセイが片側の扉を押さえ、その隙間にジュウロウザ先に入り、その後に私が続いて入り、最後に扉を押さえていたシンセイが入ってきた。その扉が閉まるとき、ものすごい音を立てて閉まっていった。え?本当は重い?
中を見渡すと、煌々と明かりが灯された広い空間が広がっている。その中央奥には丸い円状の舞台のような場が見える。恐らくそこが転移装置だ。
そして、広い空間の両端に仏像のように突っ立っているストーンゴーレムが2体存在している。その大きさは天井と変わりない。目測5m程か。
ジュウロウザとシンセイが武器を構え、ストーンゴーレムに近づいていくと、ゴーレムの目が光を灯し、ゴゴゴゴと動く。
·····が、目の光が消えた?!
え?どういうこと?ジュウロウザを見ると刀を鞘に収めているところだった。シンセイはというと、首を傾げていた。
何が起こった!
「あ、あの?私にはわからなかったのですが、何が起こったのですか?」
「いやはやなんとも、人形相手では面白みも何もないでありますな」
は?
シンセイは手応えがなかったと言わんばかりに残念そうにしている。そして、ストーンゴーレムの額の石を取って来ると言って、動かなくなったゴーレムの方に向かって行った。
「弱点がわかっていれば、簡単なものだ」
そう言いながら、ジュウロウザがこちらにやってきた。ああ、弱点ね。確かに額の石を壊せばいいとは言ったものの、普通では届かない高さなんだけど?
きっと凡人の私には理解できないことが起こったのだろう。
「姫。これでよかろうか?」
シンセイが私に差し出してきた。二本の金色の針だ。指針の針。転移装置を動かす指針の針だ。それを片手で受け取る。
うん。間違いはない。
【転移の指針】
転移する場所を指し示すものと、次に転移出来る時刻を示すものである。
「ええ、大丈夫です。場所と時刻を示す針で間違いありません」
私が二人にお礼を言おうとしたところで、背後から声が聞こえた。
『レプトロック!!』
な!この呪は·····
1
お気に入りに追加
171
あなたにおすすめの小説
異世界召喚されたけどヤバい国だったので逃げ出したら、イケメン騎士様に溺愛されました
平山和人
恋愛
平凡なOLの清水恭子は異世界に集団召喚されたが、見るからに怪しい匂いがプンプンしていた。
騎士団長のカイトの出引きで国を脱出することになったが、追っ手に追われる逃亡生活が始まった。
そうした生活を続けていくうちに二人は相思相愛の関係となり、やがて結婚を誓い合うのであった。
【完結】気づいたら異世界に転生。読んでいた小説の脇役令嬢に。原作通りの人生は歩まないと決めたら隣国の王子様に愛されました
hikari
恋愛
気がついたら自分は異世界に転生していた事に気づく。
そこは以前読んだことのある異世界小説の中だった……。転生をしたのは『山紫水明の中庭』の脇役令嬢のアレクサンドラ。アレクサンドラはしつこくつきまとってくる迷惑平民男、チャールズに根負けして結婚してしまう。
「そんな人生は嫌だ!」という事で、宿命を変えてしまう。アレクサンドラには物語上でも片思いしていた相手がいた。
王太子の浮気で婚約破棄。ここまでは原作通り。
ところが、アレクサンドラは本来の物語に無い登場人物から言い寄られる。しかも、その人物の正体は実は隣国の王子だった……。
チャールズと仕向けようとした、王太子を奪ったディアドラとヒロインとヒロインの恋人の3人が最後に仲違い。
きわめつけは王太子がギャンブルをやっている事が発覚し王太子は国外追放にあう。
※ざまぁの回には★印があります。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
乙女ゲームの悪役令嬢は断罪回避したらイケメン半魔騎士に執着されました
白猫ケイ
恋愛
【本編完結】魔法学園を舞台に異世界から召喚された聖女がヒロイン王太子含む7人のイケメンルートを選べる人気のゲーム、ドキ☆ストの悪役令嬢の幼少期に転生したルイーズは、断罪回避のため5歳にして名前を変え家を出る決意をする。小さな孤児院で平和に暮らすある日、行き倒れの子供を拾い懐かれるが、断罪回避のためメインストーリー終了まで他国逃亡を決意。
「会いたかったーー……!」
一瞬何が起きたか理解が遅れる。新聞に載るような噂の騎士に抱きすくめられる様をみた、周囲の人がざわめく。
【イラストは自分で描いたイメージです。サクッと読める短めのお話です!ページ下部のいいね等お気軽にお願いします!執筆の励みになります!】
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
【完結】若き最強のサムライ、異世界でも剣を振るう ~神威一刀流の秘剣を伝授された拙者、異世界に誘拐された婚約者を見つけるため剣鬼とならん~
岡崎 剛柔
ファンタジー
片桐進之介は、江戸で最強の流派の1つと言われていた神威一刀流の正統継承者。
その進之介には剣の師匠の1人娘であり婚約者でもあった梓がいたのだが、ある日、梓は神隠しに遭ったように姿が消えてしまった。
進之介は行方不明の婚約者・梓を探すため、「神隠し」の噂が絶えない時坂神社へ向かう。
そこで進之介は異世界から来た謎の人物――クラウディオスと出会い、梓を攫った犯人だと思い戦いを挑む。
人間を超えた激闘の末、クラウディオスは進之介から逃げるように古池に飛び込んで姿を消してしまう。
進之介は驚愕しながらも、クラウディオスのあとを追って古池に飛び込む。
そして気づいたときには、進之介は見知らぬ異世界へ転移していた。
行方不明の婚約者・梓がいるかもしれない、南蛮国のような異世界へと――。
果たして進之介は、異世界で梓を見つけられるのか?
若き最強のサムライが、異世界で婚約者を見つけるために剣を振るう壮絶な冒険譚、ここに大開幕!
どうやら私(オタク)は乙女ゲームの主人公の親友令嬢に転生したらしい
海亜
恋愛
大交通事故が起きその犠牲者の1人となった私(オタク)。
その後、私は赤ちゃんー璃杏ーに転生する。
赤ちゃんライフを満喫する私だが生まれた場所は公爵家。
だから、礼儀作法・音楽レッスン・ダンスレッスン・勉強・魔法講座!?と様々な習い事がもっさりある。
私のHPは限界です!!
なのになのに!!5歳の誕生日パーティの日あることがきっかけで、大人気乙女ゲーム『恋は泡のように』通称『恋泡』の主人公の親友令嬢に転生したことが判明する。
しかも、親友令嬢には小さい頃からいろんな悲劇にあっているなんとも言えないキャラなのだ!
でも、そんな未来私(オタクでかなりの人見知りと口下手)が変えてみせる!!
そして、あわよくば最後までできなかった乙女ゲームを鑑賞したい!!・・・・うへへ
だけど・・・・・・主人公・悪役令嬢・攻略対象の性格が少し違うような?
♔♕♖♗♘♙♚♛♜♝♞♟
皆さんに楽しんでいただけるように頑張りたいと思います!
この作品をよろしくお願いします!m(_ _)m
【完結】スクールカースト最下位の嫌われ令嬢に転生したけど、家族に溺愛されてます。
永倉伊織
恋愛
エリカ・ウルツァイトハート男爵令嬢は、学園のトイレでクラスメイトから水をぶっかけられた事で前世の記憶を思い出す。
前世で日本人の春山絵里香だった頃の記憶を持ってしても、スクールカースト最下位からの脱出は困難と判断したエリカは
自分の価値を高めて苛めるより仲良くした方が得だと周囲に分かって貰う為に、日本人の頃の記憶を頼りにお菓子作りを始める。
そして、エリカのお菓子作りがエリカを溺愛する家族と、王子達を巻き込んで騒動を起こす?!
嫌われ令嬢エリカのサクセスお菓子物語、ここに開幕!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる