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102 ガーディアンを倒そう

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「モナ!ルナを悪く言うな!モナこそ何もできないだろう!」

 リアンの言葉にジュウロウザの右手が動こうとしたので、左手を掴んで動かないように視線を向ける。

 そして、リアンに手をかざし、治癒のスキルを発動させる。

「その何もできない私を村の外に連れ出したのは誰?リアンでしょ?それに何もできないなりに私にも出来ることはあるけど?」

 傷がついていた頬に、右腕に滲んでいた血。アチラコチラに付いていた擦り傷。すべてが綺麗に治っていた。そのことにリアンは驚きを隠せないようだ。

「ああ、私はカスステータスだからね。治すのは同郷のリアンだけ、それ以外は治さない。ばぁちゃんの薬が欲しいのなら、そうだね。銀貨1枚で人数分の回復薬を売ってあげる。良心的な値段だよね」

「1万Gガルか。それぐらいなら」

 そう言ってリアンは銀貨2枚を差し出してきた。ああ、一人2本出せということか。私が銀貨を受け取ろうとすると、ジュウロウザが銀貨をふんだくり、私の鞄からばぁちゃんの薬を8本分をリアンに押し付けるように渡した。

「そうだったね。モナは頑張り屋さんだった。そうか、こんなことも出来るようになったのか」

 何故かリアンが嬉しそうに言ってきた。いや、治癒スキルは努力如きで手に入るものではない。神の加護を受けてのことだ。ついでに退魔のスキルももらってしまったけどね。

 リアンはキラキラエフェクトを振りまいて私を見て言った。

「モナ。俺たちと一緒に行かないか?」

「はぁ?寝言は寝て言ってくれる?私のステータスを知ってよくそんなことが言えるよね。私の助言を無視するほどルナの言葉を信じているのよね。そうね。ルルドに行くなら出直しなさいよと私は助言をしておくよ。あとは好きにすればいい」

「モナ。考えておいてね?」

「行かないと言っているのがわからないのか!馬鹿リアン!」

 忘れていた。リアンにははっきりとした言葉で言わないと、自分の都合のいいように解釈をする癖があるんだった。

「うん。わかったよ」

 笑顔で返事をされたけど、本当にわかってくれたのだろうか。
 リアンは回復薬を持って座り込んでいる4人の元に駆け足で向かって行った。ああ、リアンを相手にしていると疲れる。

「はぁ。さっさとガーディアンを倒して帰りましょう」

 もう村に帰りたい。ベルーイを迎えに行ったら速攻転移で帰ろう。

「ああ、あいつの顔は見たくない」

 ジュウロウザもあのキラキラエフェクトがうざいと感じてしまったのか。勇者か特典かなんか知らないけど、キラキラエフェクトうざいよね。いや、フェリオさんも漏れているから、血筋の問題?

「姫。ノアールを持っていただけるか?」

 シンセイがオプションノアールを差し出してきた。

 取り外していいのか!
 今まで、ずっと付けていたじゃないか!

 まぁ、戦いになるから邪魔なのだろう。私はシンセイからノアールを受け取る。孵化して一ヶ月経つが、あまり変わりがない。やはり、そろそろ肉を食べさせた方がいいのだろうか。幼竜なんて育てたことがないからわからないよ。

 巨大な扉の前に立つ。天井までめいいっぱい扉が存在している。その昔は繊細な粧飾でもしてあったのだろう。その名残がところどころに見えるだけで、今はただの石の扉だ。

 その両開きの扉をシンセイが軽々と開ける。重そうに思えたけど軽い?シンセイが片側の扉を押さえ、その隙間にジュウロウザ先に入り、その後に私が続いて入り、最後に扉を押さえていたシンセイが入ってきた。その扉が閉まるとき、ものすごい音を立てて閉まっていった。え?本当は重い?

 中を見渡すと、煌々と明かりが灯された広い空間が広がっている。その中央奥には丸い円状の舞台のような場が見える。恐らくそこが転移装置だ。

 そして、広い空間の両端に仏像のように突っ立っているストーンゴーレムが2体存在している。その大きさは天井と変わりない。目測5m程か。

 ジュウロウザとシンセイが武器を構え、ストーンゴーレムに近づいていくと、ゴーレムの目が光を灯し、ゴゴゴゴと動く。
 ·····が、目の光が消えた?!

 え?どういうこと?ジュウロウザを見ると刀を鞘に収めているところだった。シンセイはというと、首を傾げていた。
 何が起こった!

「あ、あの?私にはわからなかったのですが、何が起こったのですか?」

「いやはやなんとも、人形相手では面白みも何もないでありますな」

 は?
 シンセイは手応えがなかったと言わんばかりに残念そうにしている。そして、ストーンゴーレムの額の石を取って来ると言って、動かなくなったゴーレムの方に向かって行った。

「弱点がわかっていれば、簡単なものだ」

 そう言いながら、ジュウロウザがこちらにやってきた。ああ、弱点ね。確かに額の石を壊せばいいとは言ったものの、普通では届かない高さなんだけど?
 きっと凡人の私には理解できないことが起こったのだろう。

「姫。これでよかろうか?」

 シンセイが私に差し出してきた。二本の金色の針だ。指針の針。転移装置を動かす指針の針だ。それを片手で受け取る。

 うん。間違いはない。

【転移の指針】
 転移する場所を指し示すものと、次に転移出来る時刻を示すものである。

「ええ、大丈夫です。場所と時刻を示す針で間違いありません」

 私が二人にお礼を言おうとしたところで、背後から声が聞こえた。

『レプトロック!!』

 な!この呪は·····

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