72 / 121
72 フェアリーのいたずら?
しおりを挟む
光が消え、目を開けてみると暗い。じゃなくて、私を抱えているジュウロウザに解放するように叩いて訴える。私はジュウロウザの胸板に押し付けられていた。
しかし、ジュウロウザの力が緩むことはない。
「これはこれは面妖な」
シンセイの不思議そうに困惑した声が聞こえてきた。
「キトウさん。力を緩めてください。光る輪が出ていませんか?」
すると、私は解放され、部屋の中央を見ることができた。
何これ?確かに光るサークルは出現した。しかし、その周りには金貨や宝石など多様な物が散乱していた。まるで光るサークルから飛び出たように。
「何処から金貨や宝石が出てきたのでしょう?」
「姫、光る輪からですぞ」
シンセイが教えてくれた。この大量の金貨と宝石をどうすればいいのだろう。ゲームでは何かが飛び出てきた記憶はない。
ん?そう言えば、ダンジョンの魔物を倒していたけど、そこから何かドロップした感じではなかったなぁ。それとも、私が気が付かなかっただけでドロップしたものを敢えて二人が無視していたのだろうか。
「これはどう致そうか?」
「集めてモナ殿の鞄に入れておけばいいだろう」
ジュウロウザが私の鞄の中にドロップした物を入れようと言っているが。
「キトウさん。氷竜のところにあった宝石や魔石を大量にもらっているので、これ以上は必要ないのでは?」
そう、氷竜の巣にあった氷竜が集めてきたと思われるキラキラの宝石や魔石を私が寝込んでいる間にジュウロウザが私の拡張収納の鞄にしまっていたのだ。
「あって困るものじゃないから、構わないだろ?」
困らないけど。困らないけどそんなに宝石があっても使わないし、何処かで換金する?
「それで、モナ殿あの光る輪はなんだ?」
ジュウロウザに言われて改めて光るサークルを視る。
【フェアリーの癒やし】
HP、MPを全回復できる。
ただし、フェアリーのいたずらに注意。
いたずら?もしかして、これがいたずら?
「えーっと。HPとMPが回復できます。それから、フェアリーのいたずらに注意とあります」
「いたずら?」
ジュウロウザがそう言いながら、散らばっている金貨と宝石に目を向ける。金貨と宝石はただの金貨と宝石なので、幻でも偽物でもない。
そのキラキラした物体をシンセイは足でかき集めている。ああ、沢山ありすぎて集められないものね。
私はテントに戻り、掃除用の箒を持ってきて、周りから掃き始めた。
「モナ殿ゴミではないのだが?」
ジュウロウザの呆れた声が聞こえたが、こんなに沢山ちまちま拾っていられない。それに、作った食事が冷めてしまう。今日は氷竜の肉を使ったシチューなのだ!少し味見をしたけど、鶏とも牛とも違う味わい。とろけるような美味しさとはこういうものなのか!というシチュー肉になった。
これも、ジュウロウザがいつの間にか私の鞄に入れていた物だ。
ジュウロウザ、グッジョブ!美味しいものは好きだ!
呆れが顔を見せるジュウロウザに私は言う。
「今日は氷竜の肉シチューです。私はお腹が空きました。怪しいモノは解決したので、早く食べたいです」
そう言うと、私が持っていた箒をジュウロウザに取られ、ゴミを掃き出した。
うん。お腹空いたよね。
氷竜の肉シチューは美味しかった。とてもとても美味しかった。
けれど、私はおかわりができなかった。多めに作ったはずなのに、侍と老将が競い合うようにおかわりをして、大鍋がすっからかんになってしまった。明日の分もあったのになぁ。
しかし、ボケ老人が全くもって普通だ。丸一日共に行動をしていたが、お決まりのセリフ『ばぁさん飯はまだかいのぅ』を全く聞かなかった。
一体どういうこと?その老将は目の前でお茶をすすっている。確かに昨日までは雨の中、おかしな事を喋っていたし、野菜売りのおばさんも『ボケ爺さん』と言っていた。
ただ、そのボケ老人が普通の老将に戻るきっかけがゲームではあった。それはシンセイの武器を渡してイベントが済んだあとに、老獪な爺さんになっていたのだ。あの勇者の証を使わずに、キャラの不具合性が矯正されていた。
なら、今の状態はなんだ?やはり、ゲームは所詮ゲームということなのだろうか。
はぁ。全くもってわからない。
「気になっておったのですが、姫と将はどのような関係か?夫婦ですかな?」
「「違う」ます」
すぐさま否定する言葉がジュウロウザと重なった。何処をどう見たら、夫婦にみえると?
「俺はモナ殿の守護者だ」
「キトウさんに護衛をしてもらっています」
そう、カスステータスの私をジュウロウザに守ってもらっているだけ、そして、地獄モードに至らないために、ジュウロウザに私の運を分けているだけだ。
地獄モードになったら私は生きていけないからね。LUK-10000000は避けなければならない。
しかし、ジュウロウザの力が緩むことはない。
「これはこれは面妖な」
シンセイの不思議そうに困惑した声が聞こえてきた。
「キトウさん。力を緩めてください。光る輪が出ていませんか?」
すると、私は解放され、部屋の中央を見ることができた。
何これ?確かに光るサークルは出現した。しかし、その周りには金貨や宝石など多様な物が散乱していた。まるで光るサークルから飛び出たように。
「何処から金貨や宝石が出てきたのでしょう?」
「姫、光る輪からですぞ」
シンセイが教えてくれた。この大量の金貨と宝石をどうすればいいのだろう。ゲームでは何かが飛び出てきた記憶はない。
ん?そう言えば、ダンジョンの魔物を倒していたけど、そこから何かドロップした感じではなかったなぁ。それとも、私が気が付かなかっただけでドロップしたものを敢えて二人が無視していたのだろうか。
「これはどう致そうか?」
「集めてモナ殿の鞄に入れておけばいいだろう」
ジュウロウザが私の鞄の中にドロップした物を入れようと言っているが。
「キトウさん。氷竜のところにあった宝石や魔石を大量にもらっているので、これ以上は必要ないのでは?」
そう、氷竜の巣にあった氷竜が集めてきたと思われるキラキラの宝石や魔石を私が寝込んでいる間にジュウロウザが私の拡張収納の鞄にしまっていたのだ。
「あって困るものじゃないから、構わないだろ?」
困らないけど。困らないけどそんなに宝石があっても使わないし、何処かで換金する?
「それで、モナ殿あの光る輪はなんだ?」
ジュウロウザに言われて改めて光るサークルを視る。
【フェアリーの癒やし】
HP、MPを全回復できる。
ただし、フェアリーのいたずらに注意。
いたずら?もしかして、これがいたずら?
「えーっと。HPとMPが回復できます。それから、フェアリーのいたずらに注意とあります」
「いたずら?」
ジュウロウザがそう言いながら、散らばっている金貨と宝石に目を向ける。金貨と宝石はただの金貨と宝石なので、幻でも偽物でもない。
そのキラキラした物体をシンセイは足でかき集めている。ああ、沢山ありすぎて集められないものね。
私はテントに戻り、掃除用の箒を持ってきて、周りから掃き始めた。
「モナ殿ゴミではないのだが?」
ジュウロウザの呆れた声が聞こえたが、こんなに沢山ちまちま拾っていられない。それに、作った食事が冷めてしまう。今日は氷竜の肉を使ったシチューなのだ!少し味見をしたけど、鶏とも牛とも違う味わい。とろけるような美味しさとはこういうものなのか!というシチュー肉になった。
これも、ジュウロウザがいつの間にか私の鞄に入れていた物だ。
ジュウロウザ、グッジョブ!美味しいものは好きだ!
呆れが顔を見せるジュウロウザに私は言う。
「今日は氷竜の肉シチューです。私はお腹が空きました。怪しいモノは解決したので、早く食べたいです」
そう言うと、私が持っていた箒をジュウロウザに取られ、ゴミを掃き出した。
うん。お腹空いたよね。
氷竜の肉シチューは美味しかった。とてもとても美味しかった。
けれど、私はおかわりができなかった。多めに作ったはずなのに、侍と老将が競い合うようにおかわりをして、大鍋がすっからかんになってしまった。明日の分もあったのになぁ。
しかし、ボケ老人が全くもって普通だ。丸一日共に行動をしていたが、お決まりのセリフ『ばぁさん飯はまだかいのぅ』を全く聞かなかった。
一体どういうこと?その老将は目の前でお茶をすすっている。確かに昨日までは雨の中、おかしな事を喋っていたし、野菜売りのおばさんも『ボケ爺さん』と言っていた。
ただ、そのボケ老人が普通の老将に戻るきっかけがゲームではあった。それはシンセイの武器を渡してイベントが済んだあとに、老獪な爺さんになっていたのだ。あの勇者の証を使わずに、キャラの不具合性が矯正されていた。
なら、今の状態はなんだ?やはり、ゲームは所詮ゲームということなのだろうか。
はぁ。全くもってわからない。
「気になっておったのですが、姫と将はどのような関係か?夫婦ですかな?」
「「違う」ます」
すぐさま否定する言葉がジュウロウザと重なった。何処をどう見たら、夫婦にみえると?
「俺はモナ殿の守護者だ」
「キトウさんに護衛をしてもらっています」
そう、カスステータスの私をジュウロウザに守ってもらっているだけ、そして、地獄モードに至らないために、ジュウロウザに私の運を分けているだけだ。
地獄モードになったら私は生きていけないからね。LUK-10000000は避けなければならない。
6
お気に入りに追加
171
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
疲れきった退職前女教師がある日突然、異世界のどうしようもない貴族令嬢に転生。こっちの世界でも子供たちの幸せは第一優先です!
ミミリン
恋愛
小学校教師として長年勤めた独身の皐月(さつき)。
退職間近で突然異世界に転生してしまった。転生先では醜いどうしようもない貴族令嬢リリア・アルバになっていた!
私を陥れようとする兄から逃れ、
不器用な大人たちに助けられ、少しずつ現世とのギャップを埋め合わせる。
逃れた先で出会った訳ありの美青年は何かとからかってくるけど、気がついたら成長して私を支えてくれる大切な男性になっていた。こ、これは恋?
異世界で繰り広げられるそれぞれの奮闘ストーリー。
この世界で新たに自分の人生を切り開けるか!?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
騎士団寮のシングルマザー
古森きり
恋愛
夫と離婚し、実家へ帰る駅への道。
突然突っ込んできた車に死を覚悟した歩美。
しかし、目を覚ますとそこは森の中。
異世界に聖女として召喚された幼い娘、真美の為に、歩美の奮闘が今、始まる!
……と、意気込んだものの全く家事が出来ない歩美の明日はどっちだ!?
※ノベルアップ+様(読み直し改稿ナッシング先行公開)にも掲載しましたが、カクヨムさん(は改稿・完結済みです)、小説家になろうさん、アルファポリスさんは改稿したものを掲載しています。
※割と鬱展開多いのでご注意ください。作者はあんまり鬱展開だと思ってませんけども。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】小公爵様、死亡フラグが立っています。
曽根原ツタ
恋愛
ロベリア・アヴリーヌは前世で日本人だった。恋愛小説『瑠璃色の妃』の世界に転生し、物語には登場しない公爵令嬢として二度目の人生を生きていた。
ロベリアには、小説のエピソードの中で気がかりな点があった。それは、主人公ナターシャの幼馴染で、尚且つ彼女に恋心を寄せる当て馬ポジションのユーリ・ローズブレイドについて。彼は、物語の途中でナターシャの双子の妹に刺殺されるという数奇な運命を迎える。その未来を知るのは──ロベリアただひとり。
お人好しの彼女は、虐げられ主人公も、殺害される当て馬も、ざまぁ予定の悪役も全員救うため、一念発起する。
「ユーリ様。あなたにはナターシャに──愛の告白をしていただきますわ!」
「…………は?」
弾丸令嬢のストーリー改変が始まる──。
-----------------
小説家になろう様でも更新しております。
(完結保証)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】身を引いたつもりが逆効果でした
風見ゆうみ
恋愛
6年前に別れの言葉もなく、あたしの前から姿を消した彼と再会したのは、王子の婚約パレードの時だった。
一緒に遊んでいた頃には知らなかったけれど、彼は実は王子だったらしい。しかもあたしの親友と彼の弟も幼い頃に将来の約束をしていたようで・・・・・。
平民と王族ではつりあわない、そう思い、身を引こうとしたのだけど、なぜか逃してくれません!
というか、婚約者にされそうです!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜
京
恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。
右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。
そんな乙女ゲームのようなお話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
地味でブスな私が異世界で聖女になった件
腹ペコ
恋愛
どこからどう見ても、地味女子高校生の東雲悠理は、正真正銘の栗ぼっちである。
突然、三年六組の生徒全員でクラス召喚された挙句、職業がまさかの聖女。
地味でブスな自分が聖女とか……何かの間違いだと思います。
嫌なので、空気になろうと思っている矢先、キラキラ王子様に何故か目をつけられました……
※なろうでも重複掲載します。一応なろうで書いていた連載小説をモチーフとしておりますが、かなり設定が変更されています。ただキャラクターの名前はそのままです。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!
鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……!
前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。
正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。
そして、気づけば違う世界に転生!
けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ!
私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……?
前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー!
※第15回恋愛大賞にエントリーしてます!
開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです!
よろしくお願いします!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる